昨日の任務は早く終わったのですぐ寝つくことが出来た。鬼殺隊の仕事は必然的に夜が中心となるがだからと言って朝昼を寝て過ごす訳にはいかない。その為いつもなら直ぐにアオイちゃんに起こされるが今日は運良くいつもよりたっぷり睡眠をとらせて貰えた。まだお昼というほどではないが早めの昼食を頂く。お茶碗いっぱいの玄米に大根と人参の酢の物・小松菜の煮浸し・アオイちゃんが作った豆腐の味噌汁は茄子が入ってるのが特徴だ。更に善逸が昼夜兼用なのを気遣ってか焼き鮭の切り身に目玉焼きも付けてくれた。早速鮭の切り身を玄米に乗せて食べる。この組み合わせが素晴らしい。食欲はあったのであっという間に平らげてしまう。
「善逸さん、昨日の任務のことでアオイさんからお話があるそうです」
朝ごはんを食べ終えひなたぼっこしている最中に、三つ編みのなほちゃんから言伝を貰う。しまったと思う。俺としたことが言われるまで禰豆子ちゃんのことを忘れるなんて、彼女はまだ目を覚ましてないのだろうか?
「ありがとうなほちゃん!おー-い!禰豆子ちゃーん!大丈夫!?」
騒ぎながら廊下をバタバタと走りだす。その様子になほも呆れるしかない。やっとこさアオイちゃんがいる部屋に到着し、バンバンと大げさにノックし扉を開ける。
禰豆子ちゃんは布団にくるまって寝そべっていた。目は開いてるから起きている証拠だ。
「禰豆子さんは朝方には起きました...それより善逸さん、禰豆子さん...ごめんなさい!私が現場のことを理解してなかったばっかりに、昨日の任務お二人に辛い思いをさせてしまって...」
アオイちゃんは深々と頭を下げる。心配してくれていたことは嬉しいがここまでされると申し訳なくなる。
「アオイちゃんが誤ることじゃないよ。最悪な奴と最悪な場面で出くわしただけ、たまたま運が悪かっただけなんだ...それに俺と禰豆子ちゃんでこてんぱんにやっつけて女の人も助けられたし...」
嘘だ。俺は一番肝心なことを伝えていない。禰豆子ちゃんはほんの少しとはいえ自分に一度敵意を向けた。俺はどうしても禰豆子ちゃんにとって不利になるような証言は言えない。ほんの僅かな歪で禰豆子ちゃんがどこか遠くへ行ってしまいそうな気がしたからだ。
「でも、私がせめて相手をもっと選んでいれば…」
「全く問題ないよ!俺と禰豆子ちゃんが一緒なら十二鬼月にだって勝てるよ!」
心の中で下弦の下位ならと付け加える。いややっぱコワイ。ていうか最近下弦の鬼って目撃情報が一切ないらしいけどもしかしていなくなった?善逸はどや顔のまま一人で動揺する。
「善逸さん...こんなに立派になったんですね。でも今日は休んでください。基礎練習だけすませたら後は自由になさって下さい」
アオイちゃんは本気で感動してるみたいだが晩にはボロを出す自信がある。というより昨日の任務でさえ俺一人だったら過呼吸で倒れていただろう。アオイちゃんの部屋を出る直前に禰豆子ちゃんと目が合った。
「⁉」
一瞬の違和感。彼女の瞳が鮮血を染み込ませた様に赤く見えた。眼をこすってもう一度見るといつもの少し眠たそうな霞んだ瞳に戻っていた。
〖匣夢〗
ここは真っ暗な箱の中、夜も昼もない、ただ心地の良い暗がり。ゆらゆら ぐらぐら 箱が揺れるのでウトウトしてると頭をぶつけてしまいます。でも温かい暗がりに包まれてとても楽しい夢を見られます。嬉しい時にいつもそばにいるのは家族です。家族みんなでお鍋を食べています。七人家族なのでお鍋はとても大きいです。葱に椎茸・家はお山にあるので山菜もたくさん入れちゃいます。グツグツ グツグツ 良く煮えてるので鶏肉も入れちゃいましょう。
「■■■■■■」
お外で何やら騒いでる人がいます。酔っ払いかな?こんな寒い山の中で奇特な方もいるのですね。気にせずお鍋を食べましょう。茂!お肉は取りすぎちゃダメだからね。お母さんのおなかの中にいる六太の為にもたくさん食べさせてあげなくちゃ。
「胎■ヲ■■■」
酔っ払いに耐えかねてお兄ちゃんと竹雄が様子を見に行きました。少し心配だけど二人なら大丈夫、グツグツ グツグツ お肉の赤身が消えてきました。そろそろ食べ頃久々の御馳走に私も頬が緩みっぱなしです。
「胎児ヲヨコセ‼」
血まみれの出刃包丁を持った男が入ってきた。男は真っ先にお父さんの頭に包丁を振り下ろし、くし形切りにした果物みたいに後頭部を切り落とした。茂が激怒して殴りかかったが簡単にあしらい、茂を顔から思いっきり沸騰した鍋に叩きつけた。茂は泣き叫びながらのたうち回る。花子は茂を連れて逃げて!お母さんは私が…嫌だお願いお母さんと六太を殺さないで..そんなところに包丁を突き刺したら死んじゃうよ..お願いしますそれ以上お母さんのおなかを切り裂かないでくださいゴメンナサイやめてください家族を奪わないで六太を殺さないで何でもしますおかねをはらいます私のカラダを差し上げますからもうやめてください家族を幸せを返してください__________
「アレ?何でこんな屑野郎にワタシは媚びる必要があるの?」
怒りが収まらない、今は単純にさっきまで嬲り殺しにしていた不細工な男が挽肉より細切れになったのでこの激情をぶつける相手がいないのだ。そもそも私は何故こんなに腹が立って仕方ないの?そばに転がってる男女の死体は何か関係があるのかしら?もうどうでもいい何もかも壊しましょう。家をでる、二人の男の血で雪が濡れて_どうでもいい。しばらく歩くと珍妙な黄色い頭をした男が立っている。誰なのあなたは?邪魔するならあなたも殺す。男が近づいてくる、黄色い男はどんな血の色か楽しみね。せめてさっきの不細工よりは綺麗な悲鳴を奏でなさい。
「花子ちゃんと茂は大丈夫だよ。男の子は酷い火傷だけどお医者さんがきっと治してくれるよ」
…そんな人は知らない。なのになんでこんなにホッとしてるんだろう。男がそっと抱きしめて来た。やめなさい。馴れ馴れしいのよ あぁでも何故私は見ず知らずの男の腕を振りほどけないんだろう 男と胸が重なり合う 彼の心臓の音がとても心地よい ああなんて酷い夢 こんな惨い悪夢は思い出しただけで吐き気がするのに 最後にこの男がもう一度抱きしめてくれるのなら 恐ろしい夢に魘されても 目を覚ませば吉夢となるでしょう
◇◇◇◇
あの悪夢の様な任務から一週間が経過した。伊之助は相変わらず猪突猛進、炭治郎も体力が回復してどうやら日輪刀を受け取る為に刀鍛冶の里へ向かうらしい。普通刀は直接受け取るんじゃなく、送ってくれる物なのだが、どうやら担当刀鍛冶の不興を買ったらしく仕方なくのことらしい。見たことはないが相当ヤバい奴らしいので炭治郎も可哀想だ。いや、よく考えたら全然可哀想じゃない。炭治郎の野郎禰豆子ちゃんをまた遠いところへ連れて行くみたいだ。俺はいったい何を糧にして生きていけばいいんだ!
「寝ぼけ丸!何さっきからブツブツ言ってやがんだ!素振り千回俺はもう終わったぞ」
伊之助にどつかれる。
「うるせぇ!明々後日には遠征に行かなきゃいけないってのに炭治郎は明後日里に出るんじゃ一体何日禰豆子ちゃんに会えないんだよ、ふざけんな!」
実際の所一日余分に彼女と会えない日があるだけだが善逸はそれさえ我慢ならないようだ。
「なんだオマエそんなに寂しいのか?だが今日があるだけマシだろ。炭一郎だけじゃねえ珍しく今夜はしのぶとナカヲも任務に出てねぇんだ。晩飯はきっと賑やかになるぜ」
それを聞いて善逸は思い出した。蝶屋敷を拠点としている鬼殺隊員は禰豆子を含めて七名。その全員が揃って食卓を囲むのは本当に珍しいのだ。それに全員が揃うということは…
「おぉ..よく考えたらすげぇぞ、蝶屋敷総勢十人中、女の子が七人だぜ?ご飯食ってる最中でも絶対視線に可愛らしい子達が入る人数だ。なんかすげえ腹が減ってきたぞ、早く晩飯にならねぇかな?イヒヒヒヒィ..」
「よく分かんねぇがオマエすげえ気持ち悪リィな」
善逸は頬を緩めっぱなしながら木刀を振り回す。今は伊之助の暴言が気にならないしカナヲの名前を言い間違えてることにも気が付かないくらい気分が良かった。
◇◇◇◇
日課の鍛錬を終え夕食前に風呂に入る。炭治郎も近場の任務を終えた様なのでほぼ同時に合流した。蝶屋敷は完全に和風の外観だが内部は洋風の物が多い。お風呂場は特にそれが顕著で、一面がタイル張りだ。更にいち早く水道式を取り入れてる上に蛇口は最新式で使い勝手がいい。浴槽は丸く三人で入ってもそれ程窮屈ではない。最早ちょっとした大衆浴場である。伊之助は一瞬で汗を流して湯ぶねに飛び込む。最初は叱っていたが何故かあれでも伊之助は割と清潔だから黙認している。そしてまだカラダを洗っている俺と炭治郎にお湯をかけて遊んでいる。あの野郎あとで沈めてやる。善逸はそう決めた。
「善逸、背中流そうか?」
炭治郎が提案してくる。
「わりぃ、それじゃ頼む」
炭治郎が石鹸を泡立て背中を洗ってくれる。固い掌だ、そして所々ゴツゴツしている。恐らくタコやマメだろう。その独特な感触が案外心地よい。
「善逸、先週はありがとう。おかげでこれからも禰豆子と任務に行けるよ」
先週..恐らくあの任務のことだ。禰豆子ちゃんはあれから変わった様子が全くない。今日も任務だったが炭治郎の様子から問題は無かったのだろう。しかし任務報告で禰豆子ちゃんに関する部分を秘匿したのは事実だ。
「勿論だ炭治郎、禰豆子ちゃんも俺のことカッコいいと思っているに違いない。助けた女の人もそのうち元気になって幸せを取り戻すに決まってる。それより炭治郎刀鍛冶の里にはどれくらい滞在するんだ?」
善逸は柄にもなく前向きなことを言う。何故か件の任務について深く考えたくないのだ。そして露骨に炭治郎に会話を振って話題を変えようとする。
「鋼鐵塚さんを見つけて刀を打って貰ったら戻るつもりだけど..鬼と戦う訳じゃないしそんなに遅くはならないと思うけど」
炭治郎の話より善逸は彼の音に意識が向いた。別に珍しい音じゃない、殆どの人間がたまに発する物だが炭治郎から鳴ったのは初めてなので少し気が散ってしまった。
「大変です!皆さんすぐに来てください!」
長めのおかっぱ頭が特徴である寺内きよが大慌てで浴室に入ってくる。
「ギャーー-⁉きよちゃん?俺裸なんだけど!」
善逸は湯浴み姿を異性に見られた思春期の女子みたいな悲鳴(ただし汚い高音)を上げる。
「禰豆子さんの様子がおかしいんです!とにかくすぐに来てください」
「禰豆子が?すぐに行く!」炭治郎が飛び出ていく。
善逸・伊之助も負けじと身体も拭かずに着替えて禰豆子のいる寝室へ駆け出す。嫌な予感がする。禰豆子が己に殺意を向けたあの眼を鮮明に思い出す。いや、そんなことはあり得ない。間違いであってくれ。善逸は自分に言い聞かせる。
寝室に到着した。禰豆子は布団で寝かされているが酷く苦しそうだ。唸り声も弱弱しいが聴く者に威圧感を与えるどう猛さを感じる。彼女のそばで必死にしのぶとアオイが看病している。カナヲとすみとなほの三人はお湯や薬を取り換える為にあわただしく部屋を出入りしている。
「どうして禰豆子がこんな状態に..さっきまでずっと元気だったのに!」
炭治郎も思わず取り乱してしまう。
「分かりません、鎮静剤を飲ませても良くなる気配がない。どちらにしろこのままでは危ないことに間違いありません」しのぶはそう言った。
善逸はしのぶの切羽詰まった表情を初めて見た。それだけで今が危機的状況であることを理解する。禰豆子ちゃんが死ぬ?いや、そんなことはあり得ない。鬼ならむしろ苦しいぐらいで死ぬことはないのだ。つまりしのぶさんが焦ってるということは…ダメだ、その先は考えるな。
「事態は一刻を争います。カナヲは鴉を使ってお館様にこのことを今すぐ報告させてください。竈門君達は…」
しのぶはハッとして言葉を呑む。禰豆子の唸り声がぱったりと消えたからだ。そしてさっきまで苦しみ横たわっていた彼女はゆっくりと立ち上がる。善逸は彼女と目が合う。それは以前任務で見た朱く怒りをたぎらせた肉食獣の眼と同じだった。
しのぶはすぐさま禰豆子を柔道の要領で組み伏せ、束ねた手ぬぐいを禰豆子に噛ませる。
「すぐに私の日輪刀を持ってきてください!禰豆子さんが人を襲う前に!」
「日輪刀でどうするの?そんなことしたら禰豆子ちゃんが…」
現実を受け入れられない。それはもはや禰豆子ちゃんを殺すと言ってるも同然だ。
「捕獲用の毒を使います、時間稼ぎにはなるはずです。それでも間に合わなければ殺傷力がある毒を使いますからそれだけは覚悟しておいて下さい」
それを聞いて善逸は少しだけ希望を持った。程なくして予め鳴らしておいた笛の音を聞きつけ近場にいた鎹鴉が窓から入って来た。
「善逸、しのぶさんの日輪刀を持って来てくれ、俺と伊之助は禰豆子を抑えておく!」
善逸は遂に決心する。そして刀を取りに行く為、襖を開けようとした瞬間、
「ガァァァァアア‼」
禰豆子は口を塞がれているのもお構いなしに雄叫びを上げる。そして部屋中が赫い炎で燃え盛った。善逸は思わず顔を手で覆うが熱も感じず焦げた臭いもしない。しかし瞼を閉じているにも拘わらず、赫い光が眼に焼き付けられる。___恐らく数秒も経過してないだろうが、ようやく視力を取り戻せたので目を見開く。禰豆子の足元にはしのぶ・炭治郎・伊之助が倒れこんでいる。きよ・なほ・すみの三人は抱き合う様に倒れこんでカナヲとアオイは三人を守る様に覆いかぶさっている。恐らく三人を庇ったのだろう。鴉は部屋の隅でうずくまったままピクリとも動かない。しかし音は消えてないので生きている。どうやら一時的な昏睡状態に陥ってるのかもしれない。しかし一つだけ気になることがある。なぜ俺だけは意識があるのだろうか?間違いなく炎に包まれたはずなのにだ。
もはや思考する暇もなく、立ち尽くしていた禰豆子が善逸の元へ歩み寄る。彼女の姿は善逸が初めて目にする物だった。まず、背丈が伸びており善逸とほとんど差が無くなっている。そのせいかいつも着ている麻の葉文様の着物がはだけ、胸元が露出される。瞳は桃色になり、殺気は感じられないが爬虫類が如き目つきは先程の物よりおぞましさを感じる。何より異質なのは右側の額から生えている角だ。それは粗削りだが、鋭く尖らせた石膏を思わせる。象の皮膚でさえ貫けそうだ。それに加えて爪は以前より更に鋭く研ぎ澄まされ、爪先は獲物の血を染み込ませたとでも言わんばかりに紅く艶めいていた。
ドクンドクン、と心臓が高鳴る。もう禰豆子の間合いに入っている。彼女の姿を間近で見て始めて気が付いた。首から手の甲、そして足首にかけてまで所々紅葉した、或いは血に濡れた若い枝葉が禰豆子の肢体に絡みついている。実際はそういう紋様なのだが善逸はそうとしか認識できなかった。____もはやこんなの形容するまでもない。人ならざる者、化け物だ。善逸はそのまま立ち尽くすことしかできない。だがそれは恐怖や絶望が原因ではなかった。
「禰豆子ちゃん..君は…」
俺は、見惚れていた。目の前に存在するのは鬼だ。そんなことは分かっている。人ならざる化け物?確かにそうだろう。だからこそ今の彼女はこの世で最も妖しく、美しい。最早俺は彼女になら殺されてもいいと思っている。だが、どうしても疑問が残る。本当に目の前にいるのは禰豆子ちゃんなのだろうか?
「君は..誰?本当に..禰豆子ちゃんなの…?」
力を振り絞ってそれだけを口にする。妖艶な鬼はずっと人形みたいな冷たい表情だったが善逸の言葉が聞こえたのか初めて笑みを浮かべる。だがそれはどこか不敵だった。
「そうよ、善逸さんのことよく知ってるもの。貴方は私が愛しくて仕方ないのでしょう?」
その声色は善逸を誘惑する物だった。
「寧ろ私こそが本当の竈門禰豆子よ。だから善逸さんは私の物になるべきだと思うの」
それは素晴らしい提案だと思う。だが既の所で理性を取り戻す。アレが本当の禰豆子ちゃん?じゃあ俺が好きになった、今までずっと見続けてきた彼女は何だったというんだ?それを全て忘れて今の美鬼を受け入れるほど俺は器用じゃない。
「違う、俺が好きになったのは君じゃない。君が本当に禰豆子ちゃんだと言うのならあの頃に…」
言うより先に善逸は唇を奪われる。唐突な接吻。そのまま妖艶な鬼は善逸の頭部に手を掛け抱き寄せる。既に禰豆子の舌は善逸の口内を犯している。だが善逸は理解が追いつかない。キスなんかしたことも無いのに最も濃厚な口づけをされているからだ。善逸が彼女とキスしていることに気が付いたのは一分が経過した頃だった。経験したことのない快楽、そして体の器官を完全に支配される感覚に善逸の脳は完全に麻痺していた。善逸は足元から崩れ落ち襖にもたれかかる。見上げると禰豆子は上気しつつもあでやかな表情で善逸を見下ろしていた。
「そんな駆け引きや問答を今はしたくないな..それに本当は貴方も難しいこと考えたくないでしょう?だって善逸さんったらもうこんなにしちゃってるもの」
クスクスと笑いながら禰豆子は布越しに善逸のペニスを撫でる。その時に善逸はやっと理解した。そうか、脳が麻痺していたところで俺の本能はとうに妖しい羅刹へ屈服していた様だ。
いつの間にか部屋の灯りは消え失せていた。代わりに禰豆子の爆血が鬼火の如く灯され薄暗く部屋を照らしている。まだ部屋にはよく見知った顔が八人転がっている。その異様な情景の中、羅刹女は髪を乱らせ、獲物である男に撓垂れ掛かる。男は蛇に睨まれた蛙が如く生気を失っていたが、陰茎だけは不自然な程充血し、力滾っている。
漆黒に沈む新月の夜
屋敷を照らすは狐火のみ
暖を帯びた骸を招聘し
淫蕩なる宴は幕を上げる
更新は未定です。次回は絶対にHシーンがメインとなりますので安心して下さい。多分次で最終回となるはずなのでもうしばしお付き合い下さい。