※この作品はR-18です。

ハイスクール DRAGON&DEMONS   作:十色十光十一月

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オリ主の導入部分です。

誤字脱字、キャラ崩壊が恐らくあります。
ご注意下さい。


第0話 プロローグは突然に

どの世界にも平和の裏に潜む影がある。

影は平穏に生きる者を光から闇へと容赦なく引きずり込む。

雲田 ヒロ。彼もその一人であった。

ヒロは都内に住む高校生で、城北大学附属高等学校に通う1年生であった。

影が送り込んだエージェントが、通学路を行くヒロを攫い、研究施設へと連行した。

催眠薬によって意識を失ったヒロは、研究施設の手術台の上で寝かされ、影の研究員達に取り囲まれた。

 

「これより、雲田 ヒロの改造手術を行う。」

 

ヒロの身体は脳を残してバラバラに刻まれたり、機械のパーツに取り替えるなどしてサイボーグと化した。

そして、身体改造を一通り終えたところでヒロは意識を取り戻す。

両手両足には分厚い拘束具が装着されており、逃げる事ができない。ふと自分の腕を見ると、まだ人工皮膚の移植が終わっておらず、内部が剥き出しとなった機械になっている事に気が付く。

 

「この身体は…おい!僕は一体どうなっているんだ?!」

 

「目覚めたな、雲田 ヒロよ。我々は"デビルショッカー"」

 

影はデビルショッカーと名乗った。

聞き覚えの無い単語に困惑するヒロ。

デビルショッカーとは、旧ナチス残党の科学グループ。世界中にその勢力を伸ばし、"上位存在"による支配を受けない完璧な人間――"強化人間(アルターエゴ)"を作ろうとしていた。

 

「強化人間で"上位存在"達を淘汰し、逆に支配する。そして奴らも我々に忠実な生物兵器へと変え、強化人間と共に我々に逆らう者を抹殺、デビルショッカーの意のままに動く理想郷(ユートピア)を築き上げるのだ!」

 

「冗談じゃない…!!上位存在ってのが何かは知らないけど、お前らの都合で何も知らない善良な人達を殺すなんて……そんな事したくない!!」

 

ヒロの訴えに影は嗤った。

それを取り囲む科学者達も嗤う。

 

「"したくない"…残念だが雲田ヒロくん。君はもう我々デビルショッカーのエージェントとなっている。脳(ココ)以外はね……研究員、ヤツの身体に高圧電流を流せ」

 

「ハッ!!」

 

「……!!」

 

研究員が手術台の近くにある機械を操作してヒロの身体に六百万ボルトの電圧で凄まじい量の電気が身体に流れ込んでくる。だが高圧電流はヒロに苦痛を与える事はできても、殺す事は出来ない。身体は完全に無傷、意識がショートする事も無かった。

 

「これが、今の君の身体だ。だがこれは"器"でしかない。研究員、例の者をここに持って来い」

 

影は研究員達に指示を出し、研究所に収容されていた大きな"何か"を持って来た。

"何か"は不気味な形をしており、鉱物のようであり、生き物のようにも見える。腕が二本生え、頭には角のような突起や単眼を思わせるような丸く大きい珠が埋め込まれている。

 

「これは平行世界ゲートより送られて来たオーパーツ"ギフの棺"だ」

 

「ギフ…?」

 

「我々デビルショッカーはこのギフの棺から採取した破片、通称ギフの遺伝子(デビル・ギフト)を"器"に注入する事によって、強化人間は完成するのだ」

 

「身体を機械にして…その上遺伝子改造…人間の身体をどれだけ弄べば気が済むのだ!!」

 

「人間など、脆弱で不完全な存在は滅ぼされて然るべき。強化人間こそ、旧人類に代わる新人類となる!!」

 

「違う!脆弱で不完全でも助け合い、苦しみを分かち合って前に進むのが人間だ!!」

 

「黙れ!貴様はもはや新人類!貴様に旧人類を庇う資格などない!研究員、ギフの遺伝子を注入するのだ!!」

 

ヒロの義体の心臓部に接続されたパイプは、ギフの遺伝子から成分抽出した培養液の入ったタンクに繋がっており、研究員が注入装置のレバーを下げると、培養液が一気に身体へと流れ込んでゆき、人工血液と融合し始める。

最初は互いに拒否反応が起こり、ヒロは全身に針で刺されたような痛みが走り、悶苦しむ。

だが徐々にギフの遺伝子と人工血液は順応していき、やがて痛みは消え、不思議と全身から力が湧いて来るような気分となった。

 

「よし、残るは脳改造のみ…」

 

クックック…と不敵に笑う影。

だがそこに研究員が慌てて入ってきて、手術を中断するよう言い始めた。

 

「も、申し上げます!捕獲していた悪魔が脱走!デモンズドライバー…そして、複製していたバイスタンプを2つ強奪されました!!」

 

「なんだと?!」

 

次の瞬間、鉄筋コンクリートでできた硬い壁が木っ端微塵となって吹き飛んだ。そしてそこから、紅い悪魔が一人、やって来た。

 

「よお…ディバルズ……話が違うじゃねぇか」

 

「ベイル……貴様どうやって脱走を…」

 

ベイル―――それがあの紅い悪魔の名だ。

その手には黒いボディに筋繊維が張り巡らされたベルト―――デモンズドライバーと、血に濡れたような真っ赤で大きいバイスタンプ―――クリムゾンベイルバイスタンプが握られていた。

 

「ギフの次元干渉の力を使い、俺を元の世界へと返す約束の筈だ…。俺はそのためにそこの坊主をさらって来てやったんだ」

 

「貴様など駒に過ぎない。バイスタンプとドライバーを返してもらおうか」

 

「断る…これは元々俺のだからな…!!」

 

ベイルはクリムゾンベイルバイスタンプのローラ部分を身体に押し当て、思いっきり回す。そして心臓に向けて突き刺すように押印する。

 

《BLACK OUT!!!》

《クリムゾンベイル…!!》

 

禍々しい鎧を身に纏った形態―――クリムゾンベイルへと変身した。

クリムゾンベイルは、研究室内に居る人間を無差別に攻撃し、次々と研究員達を撲殺していく。

一人、また一人と殺されていく中、影―――ディバルズが割って入り、ベイルを止める。

 

「これ以上の好き勝手は許さん…」

 

「こちらのセリフだ…!!」

 

ディバルズは変身せず生身でクリムゾンベイルと戦う。

ディバルズは決して押される事なく、ベイル互角の勝負をする。

 

「フンッ!!」

 

ベイルがハイキックで側頭を蹴り抜かれると、先程まで持っていたデモンズドライバーともう一つのバイスタンプ―――スパイダーバイスタンプを落とし、研究室の床に散らばった。

二人はその事は気にせず戦いに耽る。

チャンスとみたヒロは、身体中に湧いてくる力を解き放つようにして手と足を思いっきり振ってみせた。

すると鋼鉄製で厚さ十センチといったゴツい拘束具がまるでゼリーのようにグシャっと崩れ、ヒロの拘束が解けた。

そして、ヒロは床に転がったドライバーとバイスタンプを何故か拾い上げ、ドライバーを腰に装着した。

そこでやっとヒロが逃げたことに気が付き、ディバルズはベイルからヒロに標的を変えた。

 

「貴様は絶対に逃さん!逃してなるものか!!」

 

ディバルズの攻撃を簡単に躱し、その上反撃に渾身のストレートパンチを顎にめり込ませる。流石に怯み、殴られたところに手を添えるディバルズ。

 

「チッ…やはり同じ強化人間……それもこのパンチ力…適合率も申し分無い…!!」

 

研究が大成功と知り、昂りのあまり笑みをこぼすディバルズだったが、後ろから不意打ちを受け笑みは消える。

ベイルの飛び殴りによる強襲はディバルズの頬を掠りはしたが、傷を負うことはなかった。

 

「貴様の相手は俺だ…!!」

 

「ギフから生まれた残留思念のクセに…私に楯突こうとは!!」

 

ディバルズとベイルの戦いは研究室の外にまで突入した。

互いの拳が交差しあい、火花が散る。

だが、ベイルの攻撃は一切、効いていなかった。それどころか、ベイルは段々と弱っていき、ついには膝から崩れ落ち、変身が解除される。

 

「はぁ…はぁ…どうなってやがる!?」

 

「愚かな奴め。お前はギフの棺から生まれ出た"バグ"のようなもの。強烈な未練でなんとか現世に踏み留まれるクズ。たとえ変身していようとそんな状態では本来の力の2%も出ない。身体を維持するのがやっとだろう…」

 

「クソッ……!?……ならばイチかバチかだ!!」

 

ベイルは身体の維持をやめ、赤い粒子となって自分達の戦いを影から見ていたヒロのドライバーの中に入る。デモンズドライバーの中心にある大きな液晶―――オーインジェクターに紫色の目が現れ、ヒロに話し掛ける。

 

『坊主…!そのバイスタンプを使って変身しろ!』

 

「え?!変身…!?でもどうやって…?」

 

『スタンプを上に押してからこっちに押せ!!』

 

デモンズドライバーはベイルの言うとおり、天面には朱肉のような部分があり、オーインジェクターにバイスタンプを押印するためのスタンプ台のような形状になっている。

ベルトの構造を把握し、ヒロはバイスタンプのスイッチを押して起動する。

 

《スパイダー!!》

 

「させるか!」

 

ディバルズが邪魔してくるが、攻撃を避けながら変身シークエンスを開始する。

 

《Deal…!!》

 

「変身!!」

 

《ディサイドアップ…!!》

《DEEP(深く)…DROP(落ちる)…DANGER(危機)》

《RIDER(仮面)…デモンズ!!》

 

ヒロは蜘蛛の力を宿した異形の鎧を纏った戦士―――仮面ライダーデモンズへと変身する。

顔をペタペタと触って自分がどんな姿になったのか確認するヒロ。

 

「なんかよくわからないけど…よし!!」

 

ヒロはデモンズの力を活かし、ディバルズを追い詰める。

粘性の特殊繊維―――デモンストリングを指から射出し目潰しと拘束を同時に行い、身動きを取れないようにする。

そして、スパイダーバイスタンプをオーインジェクターに直接押印し、姿勢を低くして右足に力を溜める。

そして、両側の発動装置――デモンズノックを押し込んで力を解放する。

 

《デモンズフィニッシュ!!》

 

「ッサァァァァーッ!!!!」

 

天高く跳躍し放った必殺キック。そこに背中から生えた八本の蜘蛛の足が収束され、ドリルのごとくディバルズの身体を貫く。

ディバルズの心臓部は砕け散り、貫かれた部分から人工血液が流れ出る。

ディバルズは最期に調子の悪いラジオのような声で捨てセリフを吐いた。

 

「こレで…終わったと思ウナ……ワがデビルショッカーは…日本の別の都市ニ本拠地を構えテイル……貴様以外ニモ強化人間はたクサン居ル!!そノ強化人間ガ…貴様を倒スだロウ……我々に逆らったコトを…後悔サセテヤル!!デビルショッカー…万ァァァァァーーー歳ッ!!!!」

 

ドッゴーン!!と凄まじい爆発と共にディバルズは絶命した。その爆発によって研究所のが壁が壊れ、外に続く穴ができた。

ヒロは、ほっと一息つこうとしたが変身が急に解除され、ドライバーからベイルが排出されて、その勢いで思いっきり尻もちをついた。

ドライバーから出てきたベイルは今だに息が荒く、しかも身体が消えかかっていた。

 

「やはりダメか…!!クソッこんなところで…!!」

 

ヒロは消えかかっているベイルを見て咄嗟に、自分に押印したスパイダーバイスタンプをベイルに押印してみせた。

すると、消えかかったベイルの身体は元に戻った。

ベイルは思い通りに動く拳を握りしめ、ヒロの襟元を掴み上げた。

 

「坊主…なんのマネだ!!」

 

「…多分、このスタンプはギフにまつわる力が宿ってる。だから僕の身体に押せば、遺伝子の力が譲渡できると思った…!僕の仮説は正しかったようだ……。」

 

「なぜ助けた。俺は貴様を助けたのでは無い…!ディバルズを殺すためにお前を利用しただけだ…!!」

 

「同じだ。僕はこれからデビルショッカーの強化人間達に追われる生活を送る。そんなとき、戦う力が無かったらなすすべなく僕は殺されてしまう。だから生きる為に、僕は君を助けた!」

 

悪魔という存在に臆せず物申すヒロの姿勢に少しの苛立ちと、不思議な高揚感を覚えるベイル。ヒロはベイルを気に掛けずさらに主張を続ける。

 

「君は別の世界から連れて来られたんだろう?僕は君を元の世界へと帰す方法を探す。君はそんな僕をデビルショッカーの手から守る。どうだ?そういう契約で…!!」

 

「クッハッハッハッハ!!」

 

堪らず笑うベイル。襟元を掴むのをやめ、再びドライバーに入る。

 

『面白い…たかが人間如きが悪魔に契約を持ち掛けるとは……その愚かさと無謀さに免じて…お前のふざけた契約を受けてやる。』

 

「『契約成立だ』」

 

「さて、忘れてたが…ギフの棺がここにあるらしいからな。まずはアレから調べるか……」

 

ヒロは元いた研究室に戻り、ギフの棺を調べようとした。

だが、ギフの棺はすでに研究所から持ち出されていたようで、培養液が入ったタンクも割られて中身が床にぶちまけられていた。

 

「クソッ!!あの場に残った研究員が持っていったのか…。ならその痕跡があるはずだ」

 

ヒロはシラミ潰しに研究室内を探してゆき、デスクの中から地図のような物が出てきた。

どうやら日本の関東地方の地図のようだ。地図には赤色のペンで幾つも印が打たれており、印はある街に密集していた。

 

「(そういえば…あいつら……"上位存在"がどうとか言ってたな……)」

 

ヒロはディバルズが言っていた言葉を必死に思い出しながら、この印の意味を推測する。

 

「(まさか…これって……)」

 

「ベイル、上位存在って何の事だ?」

 

『ディバルズが言っていた事か………奴はこの世界に住み着く"悪魔"、"堕天使"、"天使"をそう呼んでいた』

 

「悪魔…?ベイルとは別種のやつか?」

 

『あぁそうだ…俺は人間の心に住み着き、心の闇を糧として生きる存在。この世界に住む悪魔とは別だ…。』

 

「なるほど……デビルショッカーは上位存在を淘汰してそいつらも生物兵器に変えるって言ってた。要するにデビルショッカーは上位存在を追っているって事だ。………つまりこの地図、上位存在が目撃されている場所の地図じゃないのか?!」

 

ヒロはその仮説に乗っ取り、印の集中する場所を確認する。ヒロはそこを見てあっと驚く。

 

「ここ…僕、知ってる(・・・・)。僕が城北高校とどっちにするか悩んでた進学先がある街だ……。」

 

『ほう…。それで貴様はどうする?』

 

「これ以上、強化人間が増えれば俺の追手も増えてしまう。それにここまで場所が絞れてるなら、デビルショッカー日本支部本拠地があの街に置かれていてもおかしく無い…!!」

 

「僕はこの街に行く!そしてデビルショッカーを叩き潰す。そしてギフの棺を手に入れてベイルを元の世界に帰す」

 

こうして悪魔と強化人間の二人は手を組み、打倒デビルショッカーと元の世界に帰還する事を掲げて上位存在が密集する街へと赴いた。

その街の名は………「駒王町」

 

 

 

〜〜一年後〜〜

 

 

 

「編入試験、合格おめでとう。雲田ヒロくん。」

 

「ありがとうございます」

 

「国語や世界史といった文系科目も素晴らしいものだが、数学、化学、生物は飛び抜けているね。まさか三科目とも満点とは…」

 

「大学は生物学科への進学を目標に勉強していたので、それが功を奏したのかもしれませんね」

 

「でも、ぶっちゃけた話だが、城北大学はかなりの名門校…しかもその大学にストレート進学できる程のエリートが揃った附属高校の生徒がなぜわざわざ我が校に編入を?」

 

「前の学校より、こっちの方が学校内の空気感が好きだったので…」

 

「は、はぁ……」

 

ヒロは前学校に退学届を提出し、駒王学園の高等部に編入するための試験を受けて見事合格した。

結果は見事合格、そして全科目高得点だった事により特待生となり学費は免除された。二年生の始業式から新しい環境での生活に心躍っているかと思いきや、ヒロは全く別の事を考えていた。

 

「(アレから調べたところ…上位存在はこの学園を中心として目撃されてる事が分かった。この学校に潜入して情報を掴み…上位存在に取り入りつつ、デビルショッカーとの接触を図るか…)」

 

「―――えー今日からこのクラスの仲間になる雲田ヒロくんだ。では雲田くん挨拶を…」

 

「別の高校から編入してきました雲田ヒロです。この街に来たばかりで知らない事もたくさんありますが、よろしくお願いします」

 

当たり障りのない挨拶をして席につく。

ホームルームが終わると、数人の生徒に囲まれて質問責めにあうヒロ。

 

「どこの高校から編入してきたの?」

 

「城北大学附属高校です」

 

「実家はどこなんだ?」

 

「東京の端っこらへんかな」

 

へぇそうなんだと徐々に興味が薄れて人が減ったところで、後ろの席の男子が話し掛けてくる。

 

「一応聞いておきたい。雲田氏も"アレ"が目的で編入してきた…とそうであるか?」

 

「(………もしかしてコイツら!!?)」

 

ヒロが立ち上がって構えようとした瞬間。男子生徒二人が口を揃えて言う。

 

「「美少女だらけのハーレム空間を求めて!!」」

 

「………え?」

 

「それも当然、ここ駒王学園は共学になって間も無い…」

 

「野郎の数なんてほんのちょっと…大半は女子生徒」

 

「そこにくれば入れ食い間違い無し!人生バラ色ハーレムスクールライフが送れると!!」

 

「………」

 

二人に圧倒され、言葉を失うヒロ。それを見かねたのかもう一人の男子生徒が二人を止める。

 

「おいおい…松田、元浜その辺にしねぇとドン引かれてるぞ」

 

「イッセー、貴様が一番警戒すべき相手だというのにどうした」

 

「まぁ聞けよ二人とも…あいつの元いた学校は城北高校だろ?」

 

「それがどうかしたか?」

 

「城北大学は頭が良くて勉強できるエリートの集まり…おそらくアイツも例にもれない」

 

「ほうほう?それで同志…お主の見解は?」

 

「つまり、アイツはガリ勉タイプの男!恋愛レースからはとっくに外れてる。つまり、編入生だからといって恐るるに足りず!」

 

「なるほど!その考えは無かったぞイッセー」

 

「今日のお前は冴えているな!」

 

「……聞こえてるぞ」

 

めちゃくちゃ近い距離でヒソヒソ話をされて、困惑する頭でようやく捻り出した言葉がそれだった。

これが、後に運命を共にする仲間とのファーストコンタクトであった。

 

「(兵藤 一誠、渾名イッセー。さっきの質問責めのときに名前が出てたな。ド変態の野蛮人だとかなんとか……デビルショッカーとの関わりは無さそうだし、あまり気にしないでおくか……)」

 

その後、編入試験の監督だった先生から呼び出され今日一日の出来事について聞かれた。

始業式は緊張したかとか、クラスのみんなと上手くやっていけそうかなど、何でもない話から入り、ヒロは話題を切り出した。

 

「先生、最近学校で変わった事とかありますか?」

 

「なぜ、そんな事を?」

 

「いやちょっと、編入前の学校の様子をあまり知らないもので、聞いてみたかっただけです。」

 

「そうだな…ここ数年で一番変わった事といえば、やはり廃部寸前だったオカルト研究部が息を吹き返した事かな」

 

「へぇ…オカルト研究部ですか。それがまたどうして…?」

 

「現部長リアス・グレモリーが入ってから新たに3人の部員が入ってねぇ…どんな活動をしてるかは知らないが、廃部処分はそれで取り止めとなったよ」

 

「ふーん…ありがとうございます(オカルト研究部にリアス・グレモリー……何か匂うな)」

 

 

 

〜〜〜〜

 

 

 

夜。駒王学園高等部の旧校舎の一室から外を見渡す女性が一人。綺麗な紅髪に妖艶な雰囲気を纏う美女―――オカルト研究部部長、リアス・グレモリーだ。

いつもは優しい目で街を見るリアスだったが、今日は違った。殺気立った目で何かを見据えていた。

 

「不快。なぜ、あなたの様な存在が街を我が物顔で練り歩いているのかしら」

 

リアスの背後に立っていたのは、全身黒ずくめで、顔も生き物を象った仮面を着けた男だった。

男はリアスに言う。

 

「リアス・グレモリー。あなたは我が組織の人材として非常に適している。我が組織のスーパーコンピュータがそう判断した。あなたは選ばれたのだ」

 

「二度も同じ事を言わせないでもらえるかしら。あなた、不快なの。今すぐ出て行かないのなら…ここに来た事を後悔させてあげるわ」

 

「ならば仕方無い。力づくで連行させてもらおう」

 

黒ずくめの男は着ている物をどんどんと脱いでいく。そして裸となった部分が、どんどんと異形のものと化していく。全身に鱗が生え、鋭利な刃物のように鋭い爪が伸びる。そしてついには、顔を覆っていた包帯を取る。

すると顔は鰐のように変身した。

 

「俺様は大鰐型強化人間(クロコダイル・アルターエゴ)。リアス・グレモリー…身柄を拘束させてもらう」

 

「……朱乃」

 

「はい、部長。」

 

リアスは何もない場所に目を向け、誰かの名前を呟く。

すると、その場所から女性現れ、指先から雷を放った。

雷は怪人に命中。普通の人間なら黒焦げになって感電死となるところだったが……強化人間はまるで効いている素振りを見せない。それが強がりでは無いというのは対峙した二人が一番よく分かっている。

 

「無駄だ。俺様の身体にはギフ様の力が宿っている。貴様ら悪魔の使う魔法も、堕天使や天使の光の力は効かない」

 

「厄介な相手ね、腹立たしくて仕方ないわ」

 

「大人しく投降しろ。そうすれば、これ以上ここにも、君の仲間にも危害は加えない」

 

「―――魔法が効かないなら、こういうのはどうかな?」

 

天井から人が降ってきた!降ってきた人は、凄まじい速度の抜剣術でリアスと怪人の間に割って入った。

そしてそれと同時に怪人の死角から思いっきり別の人が殴りかかった。怪人はソファーやテーブルを巻き込み思いっきり吹っ飛ぶ。

 

「大丈夫ですか部長?」

 

「祐斗、小猫。丁重にお送りしてあげて頂戴」

 

「はい部長…。」

 

「それがあなたの眷属…スピードとパワー……そこの金髪が騎士(ナイト)で白髪が戦車(ルーク)といったところか。そして、朱乃という名だったか……お前は腹心の女王(クイーン)といったところか?」

 

「ご明察。大した洞察力ね…それに"私達"についても詳しい。ますます不愉快ね」

 

「我々組織はお前達悪魔、そして堕天使、天使の新たなる支配者となるべく生まれた強化人間。貴様らの手口もすでにバレている」

 

「たかが人間が支配者気取りなんて…神や魔王にでもなったつもりかしら?」

 

「あながち間違いでは無いさ。いつか貴様の身内も、我が手中へと落ちる」

 

「ッ!!!」

 

リアスは顔を歪め、黒い滅びの魔法を放った。

だが依然として効いている様子は無い。

 

「我は強化人間。同じギフの力を持つ者で無ければ倒せん。剣で斬られようが、拳で殴られようがだ!!」

 

騎士も戦車も怪人を食い止めようとするが、大岩を砕くパンチも、金剛石を真っ二つにできよう剣撃も、怪人には効かない。

 

「さぁ共に来い!リアス・グレモリー!!」

 

リアスが連れ攫われてしまう!眷属達が追撃し、なんとか食い止めようとした時だった。

 

「―――ライダーキック!!」

 

窓が割れ、ロケットのように勢いよく室内(なか)に入って怪人の胸を蹴り抜く。

怪人はドアを突き破って吹き飛ぶ。

乱入者は着地し、腰にドライバーを装着する。

 

「お前は"ただの外国人の娘一人がなんだってんだ"って言ってたけど、やっぱり張ってて良かっただろ?」

 

『チッ…気に食わん』

 

「雲田 ヒロ…反逆者がなぜこの街に…!!」

 

「お前らデビルショッカーを追ってきたんだよ。そういうお前は鰐の強化人間か。デビルショッカーの完全変身が可能な強化人間は幹部クラスのはず…。やっぱりこの街に何かあるって事だな!!」

 

「えぇい死ね!反逆者!!」

 

怪人のタックルはヒロに受け流され、割った窓から巴投げで外に放り出される。それを追撃するべく窓から飛び降りながら、変身シークエンスを行う。

《ディサイドアップ!!》

スパイダーバイスタンプを押印されたデモンズドライバーは全身に人工筋肉―――ゲノマッスルを身に纏わせ、蜘蛛の力を宿した鎧を装着させる。

《RIDER(仮面)…デモンズ!!》

仮面ライダーデモンズは寝転がる怪人の頭を砕く勢いで拳を振り下ろす。

怪人は間一髪でそれを避け、すぐに構え直す。

大鰐型強化人間は、大きな口を使った噛み付き攻撃や鋭い爪による引っ掻き攻撃を繰り出す。

だが、それらは華麗に捌かれ、仮面ライダーを傷付ける事は出来なかった。それだけでなく、デモンストリングで口をぐるぐる巻きにされ、噛み付き攻撃が繰り出せなくなっていた。

 

「(コイツ…!!一年前のデータよりもさらに強くなっている…!?)」

 

「お前らデビルショッカーが毎度毎度、刺客に強化人間を送ってくれたおかげで、かなり戦い慣れてきた。俺を本気で倒したいなら、最高幹部か大首領を連れて来い!」

 

「(貴様ァァァーッ!!)」

 

《CHARGE…!!》

 

バイスタンプを再び押印して拳に力を込める。

右腕を立て、左拳を右肘へと添える独特の構えから、仮面ライダーは地面を思いっきり踏み出し、渾身の右ストレートパンチを放つ。

 

「ライダァァァァーッ!!パァァァァーンチッッッッ!!!!!!!!」

 

強烈な右ストレートと、それをカウンターするように放った怪人の左ストレートは火花を散らしながら交差(クロス)する。

だが、仮面ライダーの拳は、左ストレートよりも速く射程距離に届き、怪人の拳は軌道が変わり空を切る。

仮面ライダーの拳は顎を砕ききり、怪人を再起不能にした。怪人が地面に倒れ込もうとした時、仮面ライダーはすかさずデモンストリングで引っ張り上げ、両腕を縛り上げて首根っこを掴む。そして、尋問が始まった。

 

「デビルショッカーの基地は何処だ!!駒王町のどこにある!!」

 

「フッ…俺様は大鰐型強化人間、口は大きくともダイヤモンドより固い。デビルショッカー万歳ーーーッ!!!」

 

「クソッ!!」

 

怪人は自決用の自爆装置を起動し、爆発四散。

仮面ライダーも間一髪避けれたが、デビルショッカーに関する情報を何も得ることが出来なかった。

戦いを終え、仮面ライダーは変身を解除する。

素顔を晒したヒロは窓から数人に見つめられる。

リアス・グレモリーとその眷属達だ。

 

「……窓ガラス割ったのはわざとじゃないんだ」

 

 

 

〜〜〜〜

 

 

 

一息ついてからヒロは旧校舎の一室に呼び出され、リアスと眷属達に取り囲まれた。不思議な事にヒロが壊した窓ガラスや扉、そして怪人との戦いでグチャクチャになったテーブルやソファはキレイに治っていた。

 

「あの……来月になっちゃうんですけど弁償代払います。荒らすつもりとかは無かったんです」

 

「それは良いわ。もう直しちゃったもの」

 

「そ、そうみたいですね」

 

「その代わりに、あなたがさっき戦っていたアレ…アレについて知ってる事を全部話して頂戴」

 

「わ、分かりました。」

 

リアスにデビルショッカーの存在について話した。

デビルショッカーは強化人間と呼ばれる存在を作っている事、その強化人間を生物兵器として利用しようとしている事、そして―――。

 

「デビルショッカーの狙いはこの街に住む人間だけじゃない。悪魔、堕天使、天使、あらゆる上位存在を手中に収めて世界の"完全征服"を目論んでいるのです。」

 

「神をも恐れぬ人の業。厄介極まりないわね」

 

「あなた達は悪魔ですよね。デビルショッカーはおそらく今後も強化人間を差し向けてくると思います。その時はまた駆けつけますが、十分注意してください」

 

「ご忠告いたみいるわ……じゃあ、最後に一ついいかしら?」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「あなたは一体、何者?」

 

ヒロは制服のジャケットを着直し、改まって自己紹介をした。

 

「デビルショッカーの敵、そして平穏に生きる全ての者の味方。ついでに迷える悪魔の帰り道を探している大自然の使者………"仮面ライダー"!!」

 

→To be continued→




次回!仮面ライダーデモンズは!

兵藤一誠に迫る影、黒い翼に要注意。
デビルショッカーの次なるターゲットは?!

第1話「怪奇!黒い翼と大百足」ご期待下さい。


=設定公表=

○強化人間《アルターエゴ》
旧組織ショッカーの改造技術を応用し、地球外生命体ギフの力を取り込んだ新型の改造人間。
ギフの恩恵を受けており、同じギフの力を持つものや、それを利用するライダーシステムを持つ者にしか倒す事はできない。
強化人間の中には身体を別の生物に酷似した姿になれる者もいる。変身能力を獲得した強化人間は他の強化人間よりもギフの恩恵を強く受けており、覚醒すれば、ギフの持つ次元干渉能力を使用可能になる。


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