※この作品はR-18です。

ハイスクール DRAGON&DEMONS   作:十色十光十一月

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誤字脱字、キャラ崩壊注意




第3話 ポーンは辛いよ、聖女の秘事

駒王町にある古びた教会。

そこは誰も使わなくなり、無人の廃墟と化したものであった。

悪の秘密結社デビルショッカーの大幹部、死神博士三世はそこに呼び出された。

骸骨とクラーケンの意匠が施されたハーレーダビッドソンのような厳ついバイクを門の前に停めて教会の中に入る。

時刻は夜。月光が、薄汚れたステンドグラスに差し込み、明かりの無い教会をほんのりと照らす。

死神博士はクラーケンを模した仮面を被っており、仮面の暗視スコープ越しに、教会を見渡す。

 

「ふむ…呼び出したのは貴様だな?堕天使」

 

神父が立って話すであろう机の上に腰掛ける黒い翼を背中から生やした女。

 

「はじめまして、影の人達のボス。私はレイナーレ…あなた達に協力して欲しいのよ。少しね」

 

「ほう…組織を知っているか。ならば、貴様らと手を結ぶと思うか?貴様らも我が組織の支配対象。はい、そうですかと言う事を聞く訳あるまい…………が」

 

死神博士は言葉を続ける。

 

「我々組織は利用できる事は全部利用する。ここは取引をしようじゃあないか」

 

「取引?たかが人間如きが私と取引?」

 

「脅しても無駄だ。貴様ら堕天使の使う光の力は我々、強化人間(アルターエゴ)には通用しない。その時点で我々と君らは対等だ。それで…こちらの条件は一つだ」

 

「……一体何よ」

 

「"仮面ライダーの抹殺"」

 

「仮面ライダー…?」

 

「我々の組織に反旗を翻す存在。奴を始末するのに協力していただけるのであれば、組織の人員と技術をお貸ししましょう。どうです?」

 

レイナーレは人間に命令された事に腹を立ててはいるが、背に腹は変えられず、デビルショッカーの条件を呑んだ。

それほど重要な事とは…一体。

 

「それで?そちらの要件は?」

 

「―――」

 

 

 

〜〜〜〜

 

 

 

はぐれ悪魔。

主人のもとを離れ、好き勝手に暴れる厄介な存在。

悪魔の力の箍(タガ)が外れているのか、その姿はリアスや一誠のような人間に近い姿では無く、むしろ変身した強化人間に近い異形と化している。

それが現れて野に放たれたとき、処刑するのがその管轄の悪魔の仕事である。

 

「だから今回、仮面ライダーの力は使わないでちょうだい」

 

「…うっす」

 

はぐれ悪魔の住処と思われる廃屋に到着した。

今日の雲田は完全

今回、はぐれ悪魔退治に全員が出動しているのは、一誠の研修と、とあるアイテム―――悪魔の駒(イーヴィル・ピース)の説明の為である。

 

「いい?これが"悪魔の駒"。これを使って私はあなたを悪魔に転生させたの」

 

悪魔の駒は赤いチェスの駒のような見た目をしており、転生に使用すると、使用した駒に応じた特性が身体に付与される。

 

「今からそれを実戦も兼ねて説明するから……来たわね」

 

「「「「「…!!」」」」」

 

木場、小猫、朱乃、雲田の三人は殺気に気が付き構える。一誠もそれに続き、自身の神器(セイクリッド・ギア)を出現させて構える。

ズズズ…何か重いものが床を這いずり回る音。

 

『近いぞ…』

 

ベイルがそう呟く。

間もなく音の正体は柱の影から出てきた。

上半身は、人間とよく似た姿。

だがその下半身は形容し難き冒涜的なものであった。

ライオンやサイのような獣の足、鋭い爪にアナコンダのような大きく長い尻尾。

完全変身した強化人間と良い勝負の異形の怪物が目の前に現れる。

強化人間と違う点があるとするなら身体の大きさだろう。

完全変身・強化人間の身長は一九〇センチメートルほどで、このはぐれ悪魔はその二・五倍の五メートルほどである。

 

「はぐれ悪魔バイザー……グレモリー公爵の名のもとに、あなたをぶちのめしに来てあげたわ」

 

「なんだ小娘ッ……!!私を殺そうというのか!!そこの雑魚共が?!この私を?!フハハハハ!!生意気が過ぎるぞ小娘ェェェーーーーッ!!!」

 

「一誠、レッスンその一は騎士(ナイト)よ」

 

「ナイト…?」

 

バイザーがリアスに向けて振り下ろした足を木場が目にも留まらぬ速さの抜剣術で一刀両断してしまう。

 

「光速の剣士、スピードで右に出る者はいない。騎士になったものは卓越したスピードを獲得するの」

 

「ウガアアアアアアアアア!!!」

 

唸り声に近い悲鳴を上げる悍しい怪物。

次に掛かって行ったのは、塔城小猫だった。

 

「レッスンその二、戦車(ルーク)よ」

 

「こ、小猫ちゃんがルーク?」

 

はぐれ悪魔は尻尾を横一線に薙ぎ払い。小猫は避ける事なく少し地面を強く踏む。

小猫に薙ぎ払いが直撃する

 

「危ない!小猫ちゃん!!」

 

一誠は小猫を心配したが、直撃した衝撃で舞い上がった砂埃が晴れた瞬間、その心配は必要無くなった。

小猫は巨大な尻尾の一撃を腕の甲で受け止めきり、それどころか、そのまま尻尾を抱え込み、自身の体重の何倍もあるであろう巨体をハンマー投げのようにして投げ飛ばした。

 

「強靭な戦士、豪快な力と堅牢な護り。戦車はシンプルなの…故に強いの」

 

ぅゎょぅι゛ょっょぃと言いたげな顔になる一誠。

ハンマー投げされたはぐれ悪魔は完全に姿勢を崩して倒れ込む。おそらく強い衝撃で気絶しているのだろう。

そこへと歩み寄るのは笑顔と雷を迸らせる朱乃であった。

 

「レッスンその三、女王(クイーン)…朱乃、あとは好きにして構わないわ」

 

「はい部長。そのように〜うふふ…」

 

朱乃は手始めと言わんばかりに雷を落とす。

感電したはぐれ悪魔は苦しみの悲鳴を上げ、意識を無理矢理覚醒させられる。

 

「起きられましたか?では、始めましょうか」

 

朱乃は満面の笑みではぐれ悪魔に雷を断続的に落とし始める。断続的ではあるが単調ではなく緩急をつけ、まるでその行いを愉しむかのような…

 

「女王は、全ての駒の特性を持った万能かつ最強の駒。もっとも、朱乃の強さの秘訣は……S」

 

「え…す?も、もしかして部長…」

 

「そう、ドS。彼女はナチュラルボーン・サディスト」

 

「まだまだ行けますわよね〜♪」

 

「ウギャアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

 

朱乃ははぐれ悪魔の脅威が霞むほどの美しくも恐ろしい笑みを溢れさせながら、雷ではぐれ悪魔をいたぶる。

これには雲田も少し引き、ベイルも少し引いた。そして同時に「絶対に敵に回したくない」と思った。

朱乃の"お愉しみ"が終わり、衰弱しきったはぐれ悪魔にトドメを刺しに行くリアス。

 

「言い残す事、あるかしら?」

 

「ペッ…くたばれクソ女……」

 

「最期まで度し難いバケモノね…」

 

リアスは黒い滅びの魔法を球状に変化させて放つ。

そして、はぐれ悪魔バイザーはそれと共にこの世から"消滅"した。

 

「さぁ、レッスンその四…一誠、あなたの駒よ」

 

「お、俺の駒…!!って…残ってる駒って…兵士(ポーン)と…僧侶(ビショップ)…もしかして俺ってびsy」

 

「あなたの駒は、兵士(ポーン)よ」

 

「ぽ、兵士!?あの前にいるちっこい奴ッスか?!」

 

「そうよ、チェスにおける最弱の駒…でも、ポテンシャルがある(・・・・・・・・・)駒でもあるわ。それはまた今度、説明してあげる。僧侶の説明もね」

 

自分が最弱の駒と知って少しだけしょぼくれる一誠。

 

「ちなみに、あなたが悪魔に転生するなら戦車になるわ」

 

「ほへ〜」

 

やっぱり強化人間と相性が悪いだけでクソ強いんだなこの人と心の中で再確認する雲田。そして同時に、デビルショッカーの手に渡れば手のつけようが無くなってしまうとも感じた。

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

翌日も一誠がやる事は変わらずチラシ配りにetcの雑務。出世のためとはいえつらいものはつらい下積み期間。

ハーレム王になれるのはいつの日か。

ふと、あの時会ったシスターを思い出す。

あのシスターは元気にしているだろうかと…可愛かったなと…辛い現実から目を背けようとした。

だが、うだうだ考えていても王にはなれない。

気合いを入れ直し、まずは契約を一つ取ってくる!

漢、兵藤一誠踏ん張ります。と意気込んだその日の夜、事件は起こった。

召喚依頼が入ったため、雲田がバイクで一誠を送って行った。

行き先のアパートで、いつものようにインターホンを鳴らし「リアス・グレモリーの使いの者です」とドア越しに言う。

―――だが返事が無い。

何度チャイムを鳴らしても出てこないため、ドアノブに手を掛ける。

すると、鍵が掛かっておらず、すんなり入れた。

しかしなぜだか、室内からは異様な雰囲気が漂っている。

これ以上踏み込むな…本能がそう言っている気がする。

 

「(なんだ…この……)」

 

だが一誠は室内に入る。踏み込むな…そう告げる本能とは別に吸い寄せられる身体……

 

そして、一誠は室内(ナカ)で目撃した。

 

「ウッ……!!?これって…!!」

 

血溜まりの上に横たわる、腹を切られ、内臓が飛び出している人間の死体。

 

「"悪魔に魂を売るヤツはブチ殺しても構わない"。これ、世界の常識にすべきだと俺ちゃん思うんヨネ〜」

 

そして闇夜から一誠に語り掛ける声と一閃の光。

その光は一誠の背中を袈裟に一太刀切り裂いた。

あまりの痛みに、一誠はその場に倒れ込む。

 

「おっはークソ悪魔!俺ちゃんの剣のお味はいかがかナ〜〜おいちかったでちゅかー?グッフッフ!はじめましてー、えーワタクシ、クソ悪魔ぶっ殺し隊隊長のフリード・セルゼンでござんマス。しくよろ〜」

 

中にいたのは、あの白髪神父のフリード・セルゼンだった。

 

「お、お前…まさか……お前がこの家の人を…!!」

 

「はい殺しました。後悔はありません、当然です。悪魔なんかに頼って生きてる人間は人間とは呼びません。粗大ごみって言うんです。はい、なので始末しました」

 

人殺しに何の葛藤も躊躇いも、ましてや悪びれる様子も無いフリードに吐き気を覚える一誠。

 

「てめぇ…それでも神父か……?」

 

「はいそうです。服見りゃ分かんだろうがよおおおクソ悪魔!!」

 

「キャアアアアアアアーッ!!」

 

フリードがさらに一太刀入れようとした瞬間、奥の部屋からもう一人、この部屋にやって来た。その人は死体を見て思わず悲鳴を上げてその場にへたり込む。その悲鳴でフリードの剣撃は止まった。

 

「ん?あらら、これはこれはアーシアちゃん。何でこっちの部屋に来ちゃってるのかな〜人祓いの結界張ってる君がさぁ」

 

「あ、アーシア…?!」

 

「あなたは…あの時の…!!」

 

「あれ?アーシアちゃんはこのクソ悪魔とお知り合い?いい再会だ、感動的だな」

 

一誠と、もう一人の修道士――アーシア・アルジェントは思わぬ形で再会してしまった。敵同士として…!!

 

「だが無意味だ」

 

フリードは、一誠の右手に剣をぶっ刺す。

一誠は光の力で身体中を蝕まれて、苦しみの声を上げる。

 

「や、やめて下さい!」

 

なんと、アーシアは静止に入った。

 

「何故?どうして?アーシアちゃんどったの?なーんでクソうじ虫を庇うんですかぁぁー???」

 

「その人は…私がバケモノに襲われそうになった時に助けてくれました!だ、だから…悪い方ではありません!」

 

フリードは一誠に剣を突き立てたまま、懐から拳銃を取り出し、アーシアの首を掴んで壁に叩きつけて、心臓のある場所に銃を押し当てる。

 

「アーシアちゃん、甘いよ甘い。甘過ぎてゲロゲロピーしちゃいそう!あのなぁ…悪魔は存在すること自体が悪なの。だから見つけ次第ぶっ殺してOK。助けられたかなんだか言ってるけど、助けられた時点で自害しちゃった方が良いんだよねぇ〜〜」

 

銃口はさらに強く押し当てられる。

首を締められ、さらに銃で肺の動きも制限されアーシアは窒息しかける。

だが当然、美少女の危機(ピンチ)を一誠が黙ってみている訳もなく、自分の手に刺さってる剣を抜こうと刀身を握りしめる。

だが、悪魔にとって猛毒である光でできた刀身は、触れた一誠の手を焼く。

 

「グアアアアッ!!?……やめろ…その子から離れやがれ!!」

 

「おぉ?!頑張るねぇうじ虫ちゃん。まさかお前、コイツに惚れちゃってる?一目惚れ…ってコト?!いやーん青春〜!!そんな青春は木っ端微塵にぶち壊してやりましょうねぇ!!」

 

なんとフリードはもう一本光の剣を取り出し、それでアーシアの着ていた修道服をズタズタに切り裂いてしまった。

とんでもない辱めを受けたアーシアの目に涙が浮かぶ。

 

「さてと…惚れた相手を目の前で犯される最大の屈辱を味わってから死にな!!クソ悪魔ァァァ!!」

 

「イヤアアアアアアアア!!!」

 

アーシアがフリードの手に堕ちる……アーシアの叫びが、アパートの一室に木霊する。

 

―――だが!!

 

《ディサイドアップ!!》

《DEEP(深く)…DROP(落ちる)…DANGER(危機)》

 

「ライダーキック!!!!」

 

「グベボラアアアアアア!?」

 

なんと、窓を突き破り壁を蹴破り、仮面ライダーが懇親のキックでフリードを蹴り飛ばした。

そして蹴り飛ばした先にあったアパートの扉に叩きつけられるフリード。だが気は失っておらず、蹴られた頬を赤く腫らしながら、突然やってきた望まぬ来訪者と対峙する。

 

「き、貴様!何奴だ!俺ちゃんの顔面に飛び蹴り喰らわせたクソ野郎は!!」

 

「…幼気(いたいけ)な少女を手籠にし、僕の友人を手にかけようとする奴を懲らしめるべく参上した…大自然の使者――。」

 

「雲…田…!!」

 

「あなたは…!!」

 

「――仮面ライダーだ」

 

《RIDER(仮面)…DEMONS!!》

 

青く光る六つの複眼でフリードを見据え、構える仮面ライダー。

フリードも光の剣と拳銃を取り出して戦闘態勢を取る。

 

「その声、あん時の悪魔の匂いがしたクソ野郎だな…!!俺ちゃんの可愛い顔に傷つけやがってクソッ!!」

 

「そっちこそ、やけに口が悪い上に脅してきたクソ神父だな。人間だから手加減してやったけど、僕の知り合いに手を出すなら、もっとキツイ奴をブチかましてやるから覚悟しろよ」

 

「うっせぇ黙れクズ!」

 

フリードの放つ光の弾丸は仮面ライダーに向かっていく。

だが、仮面ライダーは右肩アーマーから蜘蛛の巣状のバリアを展開し、弾丸を弾き落とした。

そしてカウンターと言わんばかりに、武器を持つ手とアパートの手すりをデモンストリングでへばりつけて拘束する。

 

「何!?このネバネバ!キモい!気持ち悪いわ!!」

 

「そこで大人しくしてろ。さて、ズラかるぞ…!!」

 

《ドミネイトアップ!コンドル!ゲノミクス!!》

 

仮面ライダーは床に倒れ伏す一誠と腰が抜けて座り込むアーシアを抱えてデモンぶち破って来た窓から一目散に駆け出す。

そして窓から飛び出したところでコンドルバイスタンプの力によって武装された飛行ユニット―――デモンランブルジョーカーでその場から飛び去った。

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

「はぁはぁ……ここまで来たらとりあえず…大丈夫か」

 

ヒロは常磐荘の前まで二人を運び、変身を解除した。

そしてアーシアに来ていた革ジャンを掛けて、とりあえず中に入った。

大家はまた雲田が騒がしくしてると思い様子を見に来て絶句。

 

「あんた…この人達は…」

 

「説明すれば長くなる。とりあえず救急箱と女性ものの着替えを一着貰えるか?」

 

ヒロは救急箱が届くまでに着ているものやタオルで一誠の止血処置を行った。

大家が着替えと救急箱を持って来て、アーシアを大家の部屋へと連れて行く。

救急箱にある消毒液で、傷口を消毒、ガーゼや包帯を使ってとりあえず傷口を保護する。

応急処置はなんとか完了した。

 

「ふぅ…脈はあるし呼吸もしてる…ちょっと血が足んなくて元気でないかもだけど、まぁ死ななくて御の字と思ってくれ…」

 

着替えが終わったあと、大家の部屋からアーシアが出てくる。

 

『あの…助けていただいて…ありがとうございます』

 

『どういたしまして…と言いたいんだけど、礼はコイツに言ってくれ。俺はコイツの叫び声で中の異常に気が付けたんだ』

 

『その人…怪我を』

 

『あぁそうだな。でもまぁ命に別状は無さそうだ。ズバッと斬られたくせに頑丈な奴だよ全く』

 

『傷を…見せて下さい』

 

『へ?』

 

そう言われ、一誠の包帯を少し取って背中の傷を見せた。

するとアーシアはその傷口を優しく包み込む様に手をかざす。

その時、不思議な事が起こった。

アーシアの手をかざした場所から緑色の淡く優しい光が発し、斬られた傷がみるみる内に治っていく。

 

「凄い…これが"奇跡"ってやつか」

 

ヒロは感心すると同時にあるモノが目に留まる。

それは、"指輪"だった。銀色で、美しい造形でありながら慎ましく、決して派手では無いが高貴さと気品に満ち溢れたそんな指輪。

ヒロはその指輪に不思議な力があると見抜き、アーシアに問い掛けた。

 

『それが君の神器(セイクリッド・ギア)か?』

 

『…!!この力の事を知っているのですか?』

 

『あぁ、コイツも持ってるんだよ。お前とおんなじ力』

 

アーシアはひどく驚いていた。どうやら自分と同じ力を持つ人に初めて出会ったようだ。

 

『あなたが仮面ライダーに変わるときの…あれは違うのですか?』

 

『あれは人の手で造られた変身機構(ライダーシステム)だから違うんだよ。しかし、その力……こういう言い方は良くないかもだが、便利だな。傷ついた身体を癒すなんて』

 

「便利」その言葉を聴いて、アーシアの目が少しだけ曇った。

ヒロは、しまったという感じでフォローをし、誤解を解こうと弁明した。

その最中、アーシアはヒロにある話を打ち明けた。

 

「―――。」

 

「そうか……」

 

 

そして翌日。

一誠はリアスに呼び出されこっぴどく叱られ、そして謝られた。

 

「まさかあなたがはぐれの悪魔祓い(エクソシスト)と遭遇してたなんて…あの場所にはおそらく人祓いと私達に感づかれなくなる術が成されてたのね…」

 

「……」

 

はぐれ悪魔祓いは、様々な理由で教会を追放された者たちがなる非正式の悪魔祓いであり、その主人は大抵、堕天使である。

 

「そのアーシアって子も堕天使の手先という訳よ。これ以上、彼女と接触しない方が身のためよイッセー」

 

そう釘を刺されてとぼとぼと家路につく一誠。

そんな一誠の前にバイクに乗ったヒロとアーシアがやって来た。

 

「アーシア…」

 

「一誠…さん」

 

「同い年同士、一緒に食事でもしてきたらどうだ?ほれ、お小遣い」

 

そう言うと、一誠の胸ポケットに一万円札を押し込むヒロ。一誠はそのまま去ろうとするヒロの腕を掴み、呼び止めた。

 

「ちょい待てよ…お前」

 

「人の心を救うっていうのは、怪人を倒す事よりも難しい。僕にとっては特にね…だから、今こそお前の出番だと思う」

 

それだけ言って、ヒロだけがバイクに乗りその場を去った。

アーシアと一誠は二人っきりになる。

 

「ははっ…ま!とりあえず、飯でも食いに行くか!行こう!アーシア」

 

「ふぇ?!は、はい」

 

少し気まずそうにするアーシアの手を引き、駆け出す一誠。その様子を少し遠い木陰から見守っているのは、バイクで走り去ると見せ掛けて脇道に隠れて引き返して来たヒロだった。

 

「(同じ神器持ち同士だし、立場は違えど…あの二人なら分かり合える)」

 

『退屈でしかたねぇ…おい坊主、次に敵が現れたら俺に変われ…!!』

 

「ちゃんと良い子にして、一般人を襲わないって約束できるなら考えといてやるよ」

 

『知っているか坊主、"約束は破るためにある"』

 

「じゃあ一生変わってやんねーよ」

 

ピロロロ…。ピロロロ…。

ヒロの電話が鳴る。送信者は、リアス・グレモリーだ。

 

「もしもし、リアス先輩?」

 

『ヒロ、イッセーとアーシアって子はいるかしら?』

 

「え?今は居ませんけど。さっき一緒にご飯食べに…」

 

『やっぱり忠告は聞いていないのね。それはまぁ、誰かさんのせいでしょうけど』

 

「なんの話でしょうかねぇ〜……それで、僕に直電って事は"奴ら"に関する情報ですか?」

 

『正解よ。最近、堕天使達の動きが妙だから使い魔達に調査をさせてみたの。それで分かった事があるの…堕天使側の勢力に"あの判子"を使って生み出す化け物と、あなたと同じ強化人間がいる』

 

「!!」

 

堕天使とショッカーが繋がっているという新報告に驚くヒロ。支配対象である堕天使にショッカーは一体なんの目的があって手を貸しているのだろうか。頭をフル回転させて考察する。

 

「(そういえば、アーシアの"昨日の話"……まさか…神器(セイクリッド・ギア)を?!)」

 

「その通り」

 

ヒロの心の声に返答するかの様に通話に割って入ってきた。

声の主はクラーケンのフルフェイスマスクを装着したデビルショッカー大幹部―――死神博士三世だった。

 

「やぁ仮面ライダー、雲田ヒロ…いや、試作型強化人間第2号(プロト・ツー)…と呼ぶべきかな?第一号(プロト・ワン)であるディバルズを殺し、我々の所有していたライダーシステムとバイスタンプを奪った憎き盗賊…」

 

「お前…ショッカーの大幹部だな!!」

 

「私は死神博士三世。此処で会ったが百年目…貴様を始末してやる」

 

死神博士三世は帯を締めるように腰に手を引き左手を突き出してこう叫んだ。

 

「変身!!悪魔烏賊型強化人間(イカデビル)!!!」

 

叫びとともに死神博士の身体はどんどんとメカメカしく無骨なイカの怪物――イカデビルへと変身した。

 

「イカデビル…見参ッ!!」

 

「へぇ…大幹部さんが直々にお相手なんて光栄…だけど、友達が危ねぇかもなんだ…部長切ります。奴を退かし次第、二人を追います」

 

ヒロは電話を切り、ドライバーを取り出す。そして最短の変身シークエンスで、仮面ライダーデモンズへと変身した。

 

「そこを退いてもらうぞ、ショッカー!!」

 

「やれるものなら退かしてみろ!!」

 

二人の拳はぶつかり合い、火花を散らす―――。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

一方その頃二人は、ファストフード店で一緒にハンバーガーを食べたり、ゲームセンターで遊んだりと、まるでデートのように、まるで友達同士のように、立場や種族の壁を飛び越え、笑い合い、楽しいひと時を過ごした。

そして日が暮れそうという時に、一誠は昨日お礼を言った。

 

「ありがとうな、アーシア。俺の傷、治してくれたってアイツが言ってたよ」

 

「イッセーさんが元気になったみたいで…嬉しいです。あの…あの人から聞いたのですが、イッセーさんも…そういった力を持っているとか…」

 

「ん?あぁ神器(セイクリッド・ギア)か?見せてやるよ!行くぞ〜〜ド・ラ・ゴ・ン・波ァーッ!!!」

 

一誠は懇親のドラゴン波ポーズで、左手に神器を装着させる。

 

「これが俺の神器。って言っても何ができるのかよく分かんねぇし、アーシアのその治す力みてぇに立派なもんじゃねぇけどな」

 

「……」

 

アーシアの顔が少し曇る。

アーシアは、ヒロに打ち明けた話を一誠にもした。

 

 

―――少し昔…あるところに。一人の信心深い少女がいました。少女は毎日のように祈りを捧げていました。

そして八歳の頃、その心が神に届いたのか、その少女は傷ついた者を癒す力に目覚めました。

これを知った教会の大人達は少女を「聖女」と祭り上げました。

そして時が流れ、少女が少し大きくなったとき、教会に傷ついた悪魔が一人やって来ました。

教会にとって悪魔は憎むべき敵、ですが心優しい少女はなんとその悪魔を手当しようと自分の治癒の力を使いました。

するとどうでしょう。今まで神の祝福を受けた者にしか効果は無いと思われた少女の治癒の力は、神を否定する悪魔の傷を治してしまったのです。

これを教会の大人達に目撃された少女は「魔女」と蔑まれ、ついには教会を追い出されてしまいました。

そして、路頭に迷った少女を拾ったのは…極東のはぐれ悪魔祓いの組織でした。

 

「それで…私は…この街にやって来たのです。この力を恨んだ事はありません。これも…主が与えて下さった試練なのだと…そう思ってます」

 

その健気さが一誠の言葉をさらに詰まらせた。「可哀想に」そんな同情の言葉は掛けられなかった。そんな言葉を掛ければ彼女の生き方を冒涜した事になると思ったから。

アーシアは少し涙ぐんだ声で、言葉を綴る。

それは、一人の聖職者としてではなく…一人の少女としての言葉だった。

 

「私…昔から同じ年の子と関わったりする事が少なくて…だからこうして誰かと遊んだのが初めてで……夢のようでした…」

 

「…アーシア、俺と友達になってくれ!!」

 

それが、一誠の心から湧き出た一言だった。

力強く、どこまでも透き通った言葉だった。

 

「友達…ですか?それは…あなたと契約する…ということですか?」

 

「違う!悪魔とか悪魔祓いとか、立場とか種族とか、そんなもんどうでもいい!これからも一緒に遊んで、一緒にご飯食べたりする友達だ!」

 

「でも…私は……この国に来てまだ日が浅くて馴染めるかどうかも……言葉だってほとんど話せません」

 

「そんなもん、後から考えりゃ良いんだ。住めば都…って雲田(アイツ)も言ってた、それに今日俺と話せたんだし、馴染んだり慣れたりするのはこれからだ。んで、そっから後はアーシアが後悔しない方を選べば良いんじゃないかな」

 

「後悔しない方…?」

 

「またアイツの受け売りなんだけど…"そうした方がそうしないより自分が後悔しない"…そう考えて生きて行けば良いんじゃねぇかな?」

 

アーシアは少し黙って考え、再び口を開く。

 

「私…私は!」

 

「駄目よ、アーシア。悪魔に唆されちゃ」

 

アーシアの言葉を遮るように現れたのは黒い翼の女―――天野夕麻改め、堕天使レイナーレだった。

レイナーレの姿を見て、ひどく怯えるアーシア。

再び自分の前に現れた天野夕麻を見て驚く一誠。

 

「夕麻ちゃん……」

 

「あの連中から少し聞いていたけれど、まさか本当に生き返っていたのね…しかも悪魔として…本当にサイアク……でも、今日用があるのはお前じゃない…アーシア、あなたよ」

 

一誠はレイナーレがアーシアを連れて帰ろうと即座に察して、神器を出して構える。

 

「アーシア、あなたは教会へ帰るのよ…私と一緒に来なさい」

 

「お前…アーシアが目的か!!お前らみたいな危ねー奴らにアーシアを渡すもんか!!」

 

「黙ってなさいゴミ。今、私はアーシアと話してるの…」

 

冷徹に…まるで養豚場で飼われる豚でも見るかのような目で一誠を睨みつけるレイナーレ。

そんなレイナーレにアーシアは怯えながらも口を開く。

 

「私は、人を平気で殺すような場所には戻りたくありません!」

 

「へぇ…アーシア、私にそんな口が利けるようになったなんて…随分と偉くなったわね。でも、あなたのわがままを聞き届けるほど、私は優しくないの。ついて来ないというのなら…あなたを唆してるその悪魔には死んでもらう事になるわ」

 

「…!!!!」

 

「誰が死ぬかってんだ!!喰らえ!神器!」

 

一誠は神器をつけた拳で殴りかかるが、堕天使に平然と避けられ、逆に光の槍によって腕を少し斬られた。

 

「うぐっ…!!?」

 

「『龍の手(トゥワイス・クリティカル)』なんてありふれた神器でこの私に勝てるとでも思っていたのかしら」

 

「トゥワイス…?」

 

「『龍の手』…所有者の力を一定時間倍加させる能力を持つ神器。でも、あなたごときの力が倍加されても恐れることはない…雑魚にお似合いの雑魚神器よ。それに比べてアーシアは素晴らしい力を持っているわ」

 

「お前ら…最初からアーシアの神器を狙って…!!」

 

「バカな癖に察しが良いわね。彼女は悪魔だろうがなんだろうが傷を治す万能の治癒能力をもたらす神器『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』の所有者。そして、その力はもうすぐ私のものとなるのよ」

 

「ッ!!…レイナーレェェェーーーッ!!」

 

怒りのあまり突撃する一誠。だが、難なくかわされた上に組伏せられた上、槍を突きつけられる。

 

「気安く名前を呼ばないでもらえるかしら?さぁアーシア、こっちへいらっしゃい。さもなくば、この男の首が目の前で飛ぶわ」

 

「アーシア…!!逃げろ!こんな奴らの言う事を聞いちゃ駄目だ…!!」

 

「少しは自分の立場を弁えなさい!」

 

レイナーレは先程切った一誠の腕を履いているヒールで、踏みつけて傷口を抉る。

一誠は痛みに耐えかね、苦しみの声を上げてしまう。

悲痛な叫びを聞いたアーシアは、レイナーレの言う事に従った。

それがその場で、アーシアが後悔しない選択であったから…

そして、その場から去る堕天使は一誠にこう捨て吐いた。

 

「無様ね、女の子一人も守れないくらい弱いなんて。」

 

黒い翼を舞い上がらせ、飛び去っていく堕天使とアーシア。

その直後、死神博士の妨害をくぐり抜けて、ヒロが駆けつけて来た。

 

 

「一誠…!!」

 

「クッソおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

悔しさ、そして自分の不甲斐なさを呪った叫びが、その場に木霊したのであった。

 

 

→To be Continued→




次回、仮面ライダーデモンズ

堕天使に攫われてしまったアーシアを救おうと奮闘する一誠。だが立ちはだかるは堕天使に手を貸す強化人間やデッドマン、そしてかつての初恋の相手。
はたして一誠に待ち受ける運命とは!

第5話「赤き龍の覚醒!!グッバイ、俺の初恋」ご期待下さい

=設定公表=

○試作型強化人間

第0話に登場したディバルズと雲田ヒロが該当する型の強化人間。
ギフの遺伝子《デビル・ギフト》の抽出液をそのまま器に注入することによって肉体強化が成された個体。
後継型の強化人間よりもギフの影響を受けやすい特徴を持つ。
完全変身形態は共通して赤い鬼のような姿になるのも特徴。
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