※この作品はR-18です。

破面にも穴はある!   作:柴猫侍

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シィアン・スンスン

 

 薄闇に音があった。

 粘性を秘めた液体が糸を引く光景を彷彿とさせる。同時に聞こえてくるのは衣擦れだろうか。

継続的に聞こえてくる謎の音を辿って行けば───居た。

 

「あらあら。なんて情けない顔をしてるんですの? まだ手で擦られているだけなのに」

 

 薄闇の中に浮かび上がる輪郭は二人分。

 一人は男。もう一人は、手が覆い隠れるほど袖の長いアオザイのような衣服を身に纏った女だった。ぱっつりと切り揃えられた前髪の下では、長い睫毛を湛えた切れ長の瞳が鈍い輝きを放っている。

 

 シィアン・スンスン。

 ハリベルの従属官の1人。粗野で粗雑で粗暴な同僚2人とは違い、女性的な立ち振る舞いを忘れない妖艶な女破面だ。

 

 しかし、今だけは違う。

 彼女の眼光は、まるで蛇。

 寄り添うようにもたれかかるスンスンは、その口元を覆う袖さえなければ唇が触れるであろう距離まで肉迫してまで毒を吐く。

 

「それにしても毎日毎日良くもまあ飽きないこと。盛りのついたサルでももう少し自制するんではなくて?」

 

 耳元で囁かれる罵倒。直後、男の体が不自然に跳ね上がる。

 快楽に歪む男の表情。彼の不自然な動きの出どころは、スンスンの袖ですっぽりと覆い隠された股間にあった。何かを擦るように上下に動く袖。クチュクチュと奇妙な水音を鳴らす音源もそこだった。

 

「もうイキそうですの? 我慢のできないおサルさんだこと。別に構いませんわ。貴重な子種を私の手に無駄撃ちしたいのなら、どうぞご自由に」

 

 そう言うスンスンの袖が上下する動きが速まっていく。

 衣擦れは勿論、粘ついた水音の激しさも増す。次第に男の息は荒々しくなり、腰もへこへこと上下し始める。

 

「ほら、早くイってくださいまし。私、貴方にいつまでも付き合っていられる程暇じゃなくてよ?」

 

 ますます手の動きは速くなる。

 だが、中々男は絶頂に至らない。罵倒された手前、意地でも絶頂してたまるかという反骨精神なのか、それとも少しでも長くこの快楽を享受しようという腹積もりなのか。

 どちらにせよいつまで経っても絶頂しない男に呆れたスンスンは、おもむろに彼の耳へと口を寄せ、

 

「強情な人」

 

 直後、片耳から音が遠くなった。

 いや、遠くなったという表現もやや違うか。だが、何もされていない方の鼓膜が捉える静寂とは裏腹に、もう一方ではグチュグチュと不可解な音を掻き鳴らす物体が耳の穴を塞いでいた。

 が、次の瞬間には音がクリアになった。

 代わりに熱い吐息が鼓膜まで吹き付けられた。

 

「ぷはぁ……どうです? これがお好きなんでしょう? 毎度毎度手で擦られながら耳を舐められてる所為で、(こっち)でも感じるようになったんでしょう?」

 

 息継ぎの為に耳から口を放したスンスンの言葉だ。

 糸を引く舌先を動かせば、ざらりとした感触が耳に触れる。そう、彼女は男の耳を舐めていたのだった。

 

「耳で感じてしまうなんてどうしようもない御方。このザマではいつかどこを触ってもイってしまうのではなくって?」

 

 言い切ったスンスンがフーッ、と耳に息を吹きかける。

 それだけで男の体は二、三度痙攣した。手で握っている肉棒も一回り大きく怒張した気がした。袖の生地から染み出してくる精臭は一段と濃くなり、溢れ出る汁の量を想像させてくるようだ。

 それを一瞥し、冷たい視線を湛えるスンスンはもう一度溜め息を吐く。

 

「まったく……貴方が耳で感じるようになるのは勝手ですけれども、それで自慰が儘ならなくなっても文句はナシですわよ? だって私はほんの少し掃除してあげてるだけですもの。これで感じてしまうのは貴方の責任でしょうに」

 

 言うや、再び耳の中にスンスンの舌先がねじ込まれようとする。

 細く長い舌は、まず耳の凹凸をなぞっていく。ザラザラとしつつも唾液に濡れて滑らかに滑る生暖かい感触は心地よい。そうして全体を湿らされた後、彼女の体温で温められた吐息が皮膚の上を走っていく感触、これもまた極上であった。

 単に性器を弄られるのとも違う。

 時折耳たぶを唇で挟まれたり、チロチロと耳穴の奥へと舌先をねじ込まれたり、男の性感は加速度的に高まっていく。

 

「れろぉ……ちゅ……んぅ……はぁ。貴方の体温が掌に伝わってきますわ。達してしまうんでしょう」

 

 いっそ執拗なくらい耳舐めを続けながらスンスンは囁く。

 

「我慢なんてお止しなさい。するだけ無駄ですわ。貴方はどうしようもなく自制の利かないお猿さんなんですもの。こうして女の手に弄ばれて喘いでいる内に無駄撃ちするのがお似合いですわ」

 

 『ほらほら』と催促するスンスンの手が早くなる。

 鈴口から溢れる我慢汁はすでに彼女の掌全体を満遍なく濡らしているおかげか、やや激しい手淫も痛くないレベルに落ち着いている。

 だが、それは強烈なまでの刺激を与えられるのと同義。

 男の性感はみるみるうちに絶頂近くまで高まっていき、あと少しで射精というところまで上り詰める。

 

「んっ……じゅる……ほら、このままイってしまいなさいな。れるぅ……それとも私の膣内(なか)に吐き出したいとでも? ぷはぁ……そんなの駄目に決まっているでしょう。貴方に出来るのは惨めに私の手の中に射精することだけですわ」

 

 冷たく言葉で突き放しながらも、熱い舌先はグリグリと耳穴を責め続ける。

 彼女の舌先で舐められ続けた結果、最早耳穴は解れ切ってしまっていた。これでは男がスンスンに犯されているに等しい。現に射精の主導権をスンスンに握られている以上、彼女が上位の立場であるには違いない。

 

「それとも……私の手を性器に見立ててみます? 想像するだけなら自由ですわ」

 

 耳責めだけではなく言葉責めも続けるスンスンは、ギュッと肉棒を順手のまま握りしめる。そのまま小指の方から順番に薬指、人差し指、最後に親指と……だんだん強く握りしめていく。

 

「ほうら、目を閉じて想像してごらんなさい。貴方の腰に跨った私が一生懸命腰を振る姿を。存分に濡れた膣で貴方の性器を締め上げて……あら、ビクってなりましたね。まさか本当に想像して? ホント……見下げ果てるくらい逞しい想像力ですわ」

 

 はぁ、と熱い吐息を漏らしたスンスンは、いっそ男の耳に口づけするように唇を近づけ、

 

「───本物はもっと気持ちいいですわよ?」

 

 囁いた。

 そこが限界だった。

 耳の奥へ舌をねじ込まれるのとほぼ同時。体の中から押し出されるように、陰嚢からせり上がってきた精液が凄まじい勢いで亀頭から発射される。

 だが、そこはスンスンの袖の中。

 覆い被さる生地に射線を阻まれた精液は、びちゃびちゃと音を立てて袖の中をのた打ち回る。その間もスンスンの手淫が収まらないから、さらに勢いは増すばかりだ。

 

 数分後、ようやく射精が止まった頃。

 

「……大した量ですわね」

 

 耳穴から糸を引く舌先を引き抜いたスンスンが、呆れたように吐き捨てる。

 それから遂に肉棒を覆い隠していた袖を持ち上げる。

 次の瞬間、思わず眩暈を覚える濃密な精臭が溢れ出した。

 

「よくもまあこんなに射精()したものですわ。汚らしいことこの上ない。ごらんなさいな」

 

 白濁とした糸を垂らす袖口。

 その奥に佇む彼女の掌も大量に吐き出された精液の被害に遭っているのは想像に難くない。現にスンスンは掌の感触に不快を覚えていると言わんばかりに顔を顰めている。

 

「それになんて酷い臭い……鼻が曲がりそうですわ。こんな臭いの体液を女性に掛けるなんて、貴方の品性を疑いますわ。もういっそ去勢した方がよろしいのではなくて?」

 

 言いながらスンスンは精液で汚れた袖をまくり上げる。

 想像通りと言うべきか、彼女の白皙とした細腕には精液が掛かっており、液体が反射する艶めかしい光を帯びていた。

 

「まったく、どう落とし前をつけてくれるんですの?」

 

 ジトッ……と湿った眼光が男を貫く。

 と、次の瞬間だった。

 

「きゃ」

 

 精液塗れの手を掴まれ、スンスンは男に抱き寄せられた。

 抵抗する間もなく男の腕の中に収まったスンスンはと言えば、そのまま片方の手で後頭部を支えられ、流れるような口づけを交わすこととなる。

 

「んっ……ちゅ……んぅ……っ!」

 

 瞳を閉じ、ゆっくりと味わう体勢に入る。

 乱れた髪を直すこともせず、男と指を恋人のように絡め合うスンスン。しばし啄むようだった口づけは、互いの口腔に舌をねじ込んで唾液を絡ませる濃密なキスへと変化していた。

 

「じゅるる、ずるッ……ぷはぁ……んぅー……んむッ!♡」

 

 ほとんど口を覆い被せてキスを堪能するスンスンは、グネグネと体を捻りながら男に密着する。

 情欲に煽られる肉体は交わる前から十二分に火照っており、玉のような汗を首筋に伝わらせている。ただし、主君含め女破面の中では露出度の低い服を着ていることから、その官能的な女体を目にすることは叶わない。

 けれども、押し付けられる女体の柔らかさだけは隠し切れない。

一見起伏がないように見える体も、ほとんど圧し掛かられるような体勢で密着していればだんだんと()()()()()

 

「んむっ、ぷはぁ……ふふっ、もう下が固くなってる……♡ 口吸いだけでこんなに勃起させてしまうだなんて童貞みたいに初心ですわね。本当に気持ち悪い……気持ち───んぅ!♡」

 

 男に圧し掛かるスンスンの腰がビクンと跳ね上がる。

 何故彼女は男の逸物が勃起していると分かったのか? その理由は彼女の下半身の居場所を見れば一目瞭然だ。

 まろやかな尻の曲線が上下する。それは自身の股間を男の腰に擦り付けるスンスンのものに他ならない。上半身が慎ましやかな胸が潰れる程密着しているのに対し、常に刺激を欲する下腹部の疼きを収めようとする彼女の本心が、その動きに現れていた。

 

「ふぅーっ……ふぅーっ……!♡」

 

 一心不乱にスンスンは腰を振る。

 衣服と下着越しに性器を擦りつけて刺激する彼女は、そのもどかしさを晴らすかの如く激しいキスに没頭する。スンスンの舌は口腔全体を舐り回すには十分な程に長く、隅という隅まで彼女の唾液を舌の動きと共に擦り込まれていく。

 

「ぷはぁ♡ はぁ……んっ……♡」

 

 一頻りキスを貪って満足したのか、スンスンは顔を離す。

 色白な肌に上気した頬はよく映える。伝う汗と共に流れ出る女の色香を前にしては、高ぶる情動を押さえるのも一苦労だった。

 その様子を目撃したスンスンは……舌なめずりをした。

 

 まるで、獲物を見つけた蛇のように。

 そうして口の周りの唾液を舐めとれば、彼女は青い血管が浮かび上がる肉棒に目を遣った。

 

「まあ、苦しそうですわね。女性の服に性器を擦りつけるのがそんなに気持ち良かったんですの? 変態とは貴方の為にあるような言葉ですわね。でも、イキたくてもイけないのは辛いですわね。私が止めてしまったんですもの」

 

 ほとんど零距離まで顔を近づけたスンスンは、興奮に目元が歪むのを押さえながら、口元の三日月を袖で覆い隠していた。

 

「さて、ここからどうされたいんですの? このまま一人で惨めに自慰に耽るか、それとも私からの評価が地の底まで落ちるのを覚悟で処理させるか……」

 

 どっちがよろしくて?

 

 甘く───そして毒のように脳を痺れさせる声色で問いかけてきた男に、正常な判断などできるはずもなかった。

 イかせてください、と男は漏らした。

 すれば、男からは見えないスンスンの口角が吊り上がる。この上ない歓喜を湛えた笑み。彼女という人物を知る者が見れば、ぞっと寒気さえ覚えかねない表情であるが、だからこそあらかじめ覆い隠していた。

 

───腰を振るなんていう間の抜けた動きで快楽に溺れる姿など、他人にはとても見せられない。

 

 しかし、快楽からは逃げられないと自覚したスンスンが、男の肉棒の前へと移動した。

 

「はぁ……仕方のない御方。このままでは行きずりの女性を襲いかねませんしね。()()()()私が処理して差し上げますわ」

 

 言い切るや、笑みが零れ落ちてしまわぬ内にスンスンがしゃぶりつく。

 

「んっ……れろぉ……あむっ……ちゅ……♡」

 

 まずは小手調べ。

 少しだけ口から顔を覗かせた真っ赤な軟体が、我慢汁と精液で汚れた肉棒の先端をチロチロと擽る。それだけで男の腰が数度浮かび上がるが、構わずスンスンは鈴口へ舌先をねじ込んだ。

 敏感な部分のさらに敏感な奥。

 一種の拷問とすら思えるような刺激の奔流が男を襲うが、スンスンの繊細な舌遣いは苦痛を苦痛では終わらせない。

 次第に苦痛よりも快感が勝る瀬戸際。まさにギリギリのラインを反復するスンスンの妙技を前に、男はただただ喘ぐしかできなくなっていた。

 

「んむっ♡」

 

 と、そこで我慢汁が溢れ出す。

 鼻腔を通り抜ける青臭さにスンスンの眉間に皺が寄る。

 止まった彼女が『ぐぱぁ……♡』と口を開けば、口の奥で唾液が無数に糸を引いていた。ムワリ、と湯気を幻視しそうな光景だ。濡れた亀頭に浴びせられる吐息も生暖かく、そして湿っていた。

 

 臭いに耐えかねたのだろうか───。

 イイところだったのに。思わず肩を落とした男であったが、直後にビクリと跳ね上がる。強烈な快楽の波濤が陰部から全身に駆け巡る。何事かと思えば、スンスンが細長い舌をこれでもかと突き出しながら、竿全体を舐め回していたのである。

 

 チロチロと、まるで蛇のように舌を左右に動かすスンスンは、器用に亀頭に唾液を擦り付けていく。敏感な部分に舌のザラザラとした感触は想像以上に刺激的だ。だが、たっぷりと塗りつけられた唾液が潤滑油の役割を担い、痛みにまでは至らない強烈な快楽だ。

 

 そこでスンスンは流れるように裏筋へ舌先を移す。竿全体の中でも特に快感を得やすい部位。皮と海綿体の狭間とも言えるべき筋を舌先で弄ぶスンスンは、時々ビクリと跳ねる肉棒を鼻で笑う。

 

 しばらく反応を楽しんだ彼女は、ヌルゥ~と舌先を根本の方まで這わせる。

 膚があり、亀頭や裏筋ほど得られる性感は高くない部位。だが、本領はほとんど頬擦りするような距離感で肉棒を舐めるスンスンの姿にこそある。

 これまでの前戯でしっとりと汗ばんだスンスンの額や頬には、彼女の艶やかな髪が数本張り付いている。瑞々しい、そう評するに相応しい艶姿であった。

 

 しかし、頬に張り付くのであれば皮にも張り付く。彼女のもっちりとした柔肌は、ガチガチに怒張した男の肉棒にも吸い付いてきた。

 竿の形に合わせてムニッと変形する頬肉。そこには得も言われぬ色気が佇んでいた。これでいながら口から出した舌先はチロチロと動かしているのだから堪らない。舌で舐められているというより、これではほとんど頬擦りだ。彼女の美貌そのもので竿を扱かれていると言っても過言ではない。心なしか彼女が向けてくる視線も熱っぽいように見える。

 

 数分間、舌淫は続く。

 男の反応を心行くまで堪能するスンスンであったが、舌先に伝わる脈動の間隔が狭まるのを感じ取っていた。

 

「じゅるるるっ、ずっ、ずぞぞっ!!♡」

 

 直後、亀頭全体にしゃぶりついたスンスンが音を立てて肉棒を吸い始めた。

 口周りが引っ張られるのも厭わない強力なバキューム。淑女としては憚られるひょっとこ顔を隠そうと目元を裾で隠してはいる彼女だが、それでも尿道を吸い上げることは止めない。

 精管を通り、尿道まで込み上がっていた精液の残り滓を一滴残らず吸い尽くされる。男が不自然に二、三度痙攣した後、これ以上は絞れないと悟ったスンスンは青臭い息を漏らしながら口を放した。

 

「はぁ……♡ 臭いし苦いし……ほんと最悪な味ですわ」

 

 突き出した舌の上には吸い出したばかりの精液が生暖かい精臭を立ち上らせていた。

 それを零さまいとわざわざ下に手を添えていたスンスンであったが、存分に男に見せつけて満足したのか、やおら舌を口の中に戻せばコクコクと喉を鳴らした。

 男が困惑と驚愕、そして期待の色に染まり上がる。

 数秒後、何かを嚥下したように喉が動いていたスンスンが、もう一度口を大きく開けて見せてきた。

 

 綺麗に生え揃った白い歯と、真っ赤に震える舌が覗く。

 だが、間もなく彼女の甘い色香でさえ掻き消せぬ青臭い精臭が香ってきた。

 

「はぁ~……♡ 吐き捨てるのも面倒でしたから飲んで差し上げましたわ。それにしても酷い喉越し……粘っこくてとても飲めたものじゃありませんわね」

 

 毒を吐くのも忘れず、おもむろにスンスンは立ち上がる。

 

「それにこんなものをいつまでもダラダラと……これは本格的に搾り尽くさないと駄目なようですね」

 

 さて、とスンスンは男の腰の上に跨る。

 真下では、まさに天を突かんとする勢いで肉棒が反り返っていた。しかし、真上に構える女……その股座から漂ってくる濃い淫臭を感じ取ったのか、面白いくらい前後に触れ始めた。

 

「よほど私に挿入したいみたいですわね」

 

 したり顔と言うべきか。

 男の辛抱堪らない反応を上々だと捉えたスンスンは、アオザイのスリットから下着に指を掛ける。シュルシュルと衣擦れを奏でながら足首まで至れば、とうとう彼女の秘所を飾る鎧が露わになった。

 姿を現したのは、手の込んだ刺繍が入った純白。中々に面積が際どい。その上、ただでさえ心許ない布地は糸を引く体液で湿っているような状態であった。

 

 それを躊躇なく投げ捨てるスンスン。

 彼女はそのまま膝を折った。アオザイは着たままだ。

 

「あら、まさか服を脱ぐとでもお思いで? 馬鹿も休み休み言ってくださいまし。貴方如きに私の裸を見せるとでも?」

 

 にべもなく突き放される。どうやら神は居ないらしい。

 しかし、神は居らずとも発情した女神なら居た。若干トロリと蕩けた瞳を揺らし、膝立ちだったスンスンは徐々に腰を下ろしていく。

 

 そして、

 

「んっ……!♡」

 

 クチュ、と。

 瑞々しい何かが亀頭に触れた。ここに来て初めて喘ぎらしい喘ぎを漏らしたスンスンは、尚も口元を袖で覆い隠しながら、腰を円の軌道で揺らし始める。

 軸は当然、男の雄槍であった。

 スンスンの腰につられ、亀頭は右へ左へと倒れていく。その間、アオザイで阻まれた不可視の暗黒では、性器と濡れた()()がリップノイズを響かせていた。

 

「ふぅ……どうしたんですの、そんな切なそうな顔をして。言いたいことがあるならハッキリ仰ったら? まあ、発情したおサルさんの考えていることなんて大体想像が付きますけれど」

 

 あえて手前で止めるスンスンは、ゆっくりと男の方へ体を倒した。

 

「───挿入()れたいんでしょう? 私の膣内(なか)にその魔羅を突っ込んで。劣情をぶつけるみたいに腰を打ち付けて子種を吐き出したいんではなくて?」

 

 そうに決まってますわ、と覗き込んでくるスンスンの瞳には、確かに情欲の炎が燃え盛っていた。ドロドロと竿に滴り落ちてくる液体は愛液か、それとも───。

 

「でも、」

 

 袖口の陰に笑みを浮かべ、スンスンは告げる。

 

「今当てている方が()()()か……判別付きます?」

 

 ビクンッ、と亀頭が跳ねた。

 要するに性器か肛門かという問い。当然、アオザイで隠されている以上直接確かめる術はない。唯一の手掛かりは亀頭に触れている感覚だけ。

 

「私も誰彼構わず股を開くような尻軽ではなくてよ。膣に男のナニを挿入()れるだなんて……心を許した殿方にしかさせませんわ。搾精するだけなら後ろだけでも十分ですし」

 

 まるで角オナでもするように緩やかに腰を振っていたスンスンだが、不意にピタリと動きを止める。

 

「まあ、どちらに挿入()れるかは結局私次第……貴方は精々どちらか、そのおサルさん以下の頭で想像しているといいですわ」

 

 慎重に狙いを定め、今度は奥へとねじ込むように腰を下ろす。

 キツイ入口を亀頭が通過すれば、すぐさま熱々の肉壺が迎え入れてくれた。トロトロに解れていた肉はキュウッ♡ と肉棒を締め上げる。いっそ絞め殺されそうな圧迫感だった。

 これは───後ろではない。後ろならば入口だけきつく締め付けられ、中はフワフワとした肉壁に包み込まれるだけなのだから。

 満遍なく均一に締め上げてくる。それでいてドバドバと、まるで消化液のように溢れ出して来る体液は、竿を伝い下腹部まで滴ってきた。

 

粘性に富んだ、雌臭が辺りに溢れ出す。

 

───前?

 

 男は目の前のスンスンに問いかけた。

 

「───正解、ですわ……♡」

 

 甘い声色が鼓膜を揺らす。

 なんと、なんと甘い響きだろう。確信を得た脳内は、瞬間、大量の快楽物質を分泌して男を快楽漬けに陥れる。

 やがて毒のように拡がる淫蕩の熱は、男から完全に理性を奪った。

 刹那、スンスンの口元を覆い隠す袖が取り払われる。

現れ出るのは裂けんばかりに吊り上げられた口元。微かに覗く鋭い犬歯も、物欲しそうに蠢く舌先も、その全てが彼女を蛇のように見立てさせた。

 

 だからといって興奮が冷めるはずもない。

 満面の笑みを浮かべたスンスンは、獲物に喰らい付くように男に自分の口を覆い被せる。そこからは想像通りだ。張りと柔軟性に富んだ温かな物体が唇に触れたかと思えば、強引にねじ込まれる舌が口の中をのた打ち回る。

 酸素なんてものは彼女が一度肺に取り込み、それを吐き出したものに限られていた。呼吸困難に陥りかけ、なんとか口づけから逃げて息を吸う男。しかし、すぐさまスンスンが口を貪ってくる。それの繰り返しだ。

 

 一方で下半身も凄まじかった。

 アオザイに隠されているものの、その布地では抑えきれぬ甲高い水と肉の音が何度も何度も打ち鳴らされる。

 それだけ激しい淫音を奏でるとなると、スンスンの下半身も大人しくは居られない。スリットの部分から細い脚が伸びており、堅い床をしっかりと踏みしめている。その上、普段は滅多にお目に掛かれないであろう太腿も今ばかりは露出していた。魅力的な腿肉は情欲の炎に炙られてか、ほんのりと赤みがかっている。

 

「ふぅ……!♡ ふぅ……!♡ ふぅ……!♡」

 

 貪るようなキスを続けていたスンスンだが、次第に舌の動きが緩慢になっていく。

 よくよく集中してみれば、どうにも彼女の肉壺が不規則に収縮している。これはおそらく絶頂の予兆。散々男を弄んできた蛇女が、ようやく見せた隙と言ったところか。

 

「あっ……!?♡ ちょっと、勝手に腰を掴まないでくださる!?♡ そんな強く打ち付けられたら───あぁッ!!♡♡」

 

 男の手によって深々と肉棒を突き立てられる。

 するとスンスンの細い女体が弓なりに反りかえり、それまで慎ましやかった喘ぎ声が一回りも二回りも甲高く迸った。

 

「あんッ!!♡♡ いけませんわッ、これ……!!♡♡ 奥に、ズンズンってぇ……!?♡♡」

 

 キスをする余裕も失ったスンスンは、それでも男と密着し続けていたいのか、彼の頬にピタリと自分のも寄せながら吼える。

 

「あぁん!!♡♡ 頭、真っ白になるぅ……!!♡♡ ひぁ……ッ!!♡♡ こ、このままイってしまいそう……!!♡♡」

 

 駄目なのに……!!♡♡ と口にしつつも、すでに彼女の瞳は淫蕩に染まり切っていた。

 最早自分から腰を振るまでもなく、子宮口近くまで亀頭をねじ込まれる。腰が激しく打ち付けられれば、下腹部全体に得も言われぬ震動が広がり、性器から全身へ快楽の波が広がっていった。

 そうこうしていれば男の肉棒も限界が近くなる。

 スンスンの肉壺が収縮するように、男の肉棒は大きく脈動を放つ。

 

「あッ!?♡♡ 絶頂()くんですの!?♡♡ このまま膣内(なか)で!?♡♡ イ、いけませんわそんな狼藉ッ!!♡♡ 貴方如きが私に種付けしようだなんて……ひゃん!!♡♡」

 

 肉壺から肉棒を引き抜こうとするが、手にも足にも力が入らない。

 中途半端に上がった細い腰はそのまま勢いをつけられ、再び男の腰の上にピッタリと収まった。そうなれば当然、肉棒はスンスンの最奥を貫く訳であり、下腹部から電波する快楽に脱力したスンスンは成す術がなくなる。

 

「あぁん!!♡♡ あッ!!♡♡ んぁ!!♡♡ はぁ!!♡♡ ふんぁ……!!♡♡」

 

 可愛らしい嬌声を上げ、スンスンはひたすらに快楽を受け入れざるを得なくなる。

 ただ、そこに拒絶の意思は見られない。今にも爆発寸前の肉棒を受け入れても尚、彼女の美貌には獰猛な肉食獣の笑みが浮かんでいた。

 

───油断すれば一気に丸のみにされてしまいそうだ。

 

 だからこそ、男は先にスンスンの口を塞いだ。

 

「んーーーッ!!?♡♡」

 

 先に唇を塞がれてしまったスンスンは、お得意の舌技を繰り出す暇もなく口の中へ舌をねじ込まれる。全身が脱力し切った彼女は、当然舌にも力が入らない。ただただ口腔の蹂躙を受け入れるしかないスンスンは、恍惚とした表情のまま優しく男の舌を甘噛みする。

 彼らは最早互いの境界すら曖昧な肉の塊と化していた。スリットから曝け出されたスンスンの脚も、今では男の脚に複雑に絡み合っている。

 これこそ、まさに蛇の交尾だ。互いの肢体を絡ませる性欲の象徴。

 心臓の鼓動すらも同調させる2人は、そのまま性感すらも同時に高めていき、そして───。

 

「んぅ……あぁああぁああぁああ~~~~~ッ!!!♡♡♡」

 

 スンスンの甲高い悲鳴が薄闇を貫く。

 アオザイの中ではプシャ! と潮が男の下腹部を叩いている。だが、繋がり合った秘部はもっと凄絶であった。

 蠢動する膣内をまるまる満たす白濁液。それらすべてが男の吐き出した精液であった。しかしながら、スンスンの絞め殺す勢いの肉壺には収まり切らず、注がれた傍から連結部位の隙間からドロドロと零れ落ちている。

 だが、男はそれを許さなかった。射精に際して一回り怒張した肉棒をさらに膨らませ、強制的に肉壺に栓をしたのだ。逃げ場を失った精液がどこへ向かうかとなれば、勿論奥───子宮の方。

固く閉ざされた子宮口をも通り抜け、大量の精液がスンスンへと注ぎ込まれる。

 

 それが数分。射精としては余りにも長い時間であった。

 

「ふぅー……ふぅー……ふぅ……♡」

 

 ようやく絶頂の余韻から帰ってきたスンスンが腰を浮かす。

 ゴポッ……♡ と鳴り響く泡の音はさておき、時間を掛けて立ち上がった彼女の股下にはこれでもかと白濁とした精液が滴り落ちた。

 これがすべて彼女の膣内に放出された量というのだから凄まじい。

 未だ息を荒くするスンスンはそれを一瞥するや、熱っぽい視線を男の方へ落とす。

 

「……大した量ですわ。これを全部私の膣内(なか)に注いだなんて……あぁ、信じられない。おサルさん改め、おウマさんですわね」

 

 褒めてはいなくてよ? と注釈をつけたところで、彼女は続ける。

 

「ところで……まだ()()()が元気そうなのは何故でして?」

 

 勿論、まだ射精したりないからだ。

 正直に告げれば、またまた呆れたスンスンが長いため息を吐いた。

 

「本当に仕方のない御方……仕方ない……仕方ないですわね」

 

 譫言のように『仕方ない』と繰り返す。

 そんなスンスンは袖で隠す。抑えきれぬ情欲で吊り上がる深く鋭い笑みを。

 

「仕方ないですから私がお相手しますわ♡」

 

 

───今度こそ一滴残らず丸呑みにしてさしあげます♡

 

 

 しばし、艶やかな嬌声は薄闇に響き続けた。

 何十分、何時間と───。

 

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