慧音と翁が約束を交わしてから、五年の月日が経っていた。
息子は十歳となり、逞しく屈託のない少年へと成長を遂げた。だが、慧音は体調が悪化し寝入ることが多くなっていた。
翁が告げた衰弱、この五年で末期に近づいたことが誰の目で見ても明らかだった。限界が近いことも。
息子はこのことが不安で堪らなかった。母との死別など、この年ではあまりにも酷だった。
だがそれでも、周りに心配はかけまいと元気に振舞っていた。それが自分のできる最大限だと信じながら。
ある日、慧音は布団で寝ていた。
(私の寿命もそろそろ近い、自分で分かってしまう。あの子に……父と母の真実を明かすべきだろうか?
私の歴史を操る力、それは過去を解明する力でもある。それを継承すればあの子は真実を知るだろう…
だが、真実を直視したばっかりに、あの子の未来が狂ってしまう。道を踏み外してしまうなんて、そんなのは絶対にあってはならない。)
慧音は、ふと殺した二人の少年のことを思い出す。
(あいつらと○○を同じ道に進ませては駄目だ、そんなことは繰り返してはならない。だが……真実を闇に葬ることが本当に正しいことなのだろうか?
私にはもう分からない、どちらが正しいのか……。)
慧音の心中は、迷いが渦巻いていた。かといって、誰かに相談する気にもなれなかった。
後日、午前中の草原で息子と翁の二人がいた。
「お爺ちゃん、わざわざ相談に付き合ってくれてありがとう。」
「水臭いことを言うでない、儂とおぬしの仲ではないか。それで、用件はなんじゃ?」
「うん、僕は母さんにできることはないのかなって…。」
「…どういうことじゃ?」
「母さんはもう、長くはないのでしょう……。一緒にいられる時間は少ないって。」
息子は分かっていた、母である慧音の寿命が短いことを。
それが翁でもどうにもならないことも。
「…気付いておったか、まあその通りじゃが…。」
「そこでだよお爺ちゃん、母さんのとって嬉しいことをやりたいんだ。何も出来ずにお別れになって後悔したくないんだ。」
「立派な志じゃのう、その年で母の死を覚悟できるとは。じゃが一つ聞いていいかの?」
「いいけれど……。」
「儂が慧音殿を助けられないのを理解しておるのじゃろう?覚悟できるということは。」
「………。」
「恨みはないのか?憤りを感じないのか?不甲斐ないこの儂を。」
「……無いといえば噓になる、だけどお爺ちゃんも辛いことは分かる。八つ当たりしたってなんの変わらない、それどころか母さんが悲しむだけ……。不幸の泥沼なんて御免だよ。」
「そうか…。」
息子がどこか切迫していたことを翁は気付いた。本当は自分の境遇を、不条理を呪いたくてたまらないことを。
だが、それでも幸せの道を目指したいことも伝わった。翁は自分を責めたくなった。
(こんな思いをさせるのは、儂の落ち度じゃのう。)
「それでお爺ちゃん、母さんにとって嬉しいことは何だろう?」
「それは本人に聞くのが一番じゃのう。」
時が過ぎ、日が沈み夜になる。
翁は用事でいなかった、家には慧音と息子の二人きりだった。
今日の慧音はどこか安らかだった、珍しく調子が良かった。息子はそれに安心する。
「ねえ母さん、僕に何かできることってないのかな?」
「どうしたの?思いつめちゃって…。」
「僕は母さんに何かできて、喜んで欲しいんだ。いつも寝たきりの母さんを見てるとそう思えて。」
「心配させてしまったのね…御免なさい、こんな母親で。」
「謝らないで母さん、身体が弱ってるのは母さんのせいじゃないでしょ。僕はただ、母さんに喜んで欲しいだけなんだ。ただそれだけなんだ。」
「……。」
慧音は、我が子の優しさが嬉しくて堪らなかった。感涙しそうになるほどに。今までの苦労が報われたと信じられるほどに、我が子が最後の希望だった。
「ありがとう……、悲しいこと以外で…嬉しくて泣けるなんてもう忘れていたわ。」
「母さん……。」
「○○、私の願いを聞いてくれる?」
「うん!何でも聞くよ母さん!」
初めて母さんに願い事をされる、初めての体験に心が弾んだ。
「それなら、この夜だけでも良い…。ここで、私の彼氏になって欲しいの……。」
「……ッ!!? 彼氏ッ!? 僕が母さんの恋人になるってことッ!!?」
「ええッ……私の恋人になってッ今日の夜だけでもいいから。」
気が動転しそうになった、母親が我が子に一夜だけの恋人になって欲しいと懇願されるとは思わなかった。
地の果てまで吹っ飛ぶ衝撃だった。だが今の慧音は母親の顔をしていなかった、まるで初恋を覚えた乙女のように顔を赤らめる初心な表情だった。
(……どうしよう、でも母さんは本気だ。やっぱり無理なんていったら深く傷付いてしまう……。間違いない。)
「分かったよ、母さん。今夜は僕が恋人になるよ。」
「本当ッ!?母さん嬉しいッ!!」
「それじゃ……今夜はよろしくねッ ダーリン!❤」
「だ…ダーリン……。」
息子は、正直反応に困った。人生初めての彼女ができたが、それが自分の母親だったのだ。
年の差が凄いカップル何てものではなかった。
「でも母さ……いや、慧音さん…僕は恋人になったけど、一体何をすれば良いのか分からないんだ。」
「大丈夫よ、私がちゃ~んとリードしてあげるから。だから安心して❤」
「そうなんだ、けど…なんというか……気が気じゃないというか。」
「照れちゃったの?っもう、ダーリンたら可愛い❤」
慧音はすっかり舞い上がっていた、今までの母の姿からは考えられなかった。別人だった。
ただ、息子にとって母であることには変わりない。恋人を演じなければならない、願いを叶いるために。
(お爺ちゃんがこの場に居なくて良かったよ…年甲斐がない所じゃないもん。)
「そうね、まずは誓いのキスから始めましょう。」
「誓いのキスッ!?本当にやっちゃうの?ここでッ!?」
「勿論よ、私たちは結ばれたんだから❤。」
「……それなら、いくよ慧音さん。」
慧音は彼氏になった息子の頭を両手で抱き寄せ、自分の顔へと近付ける。お互い吐息がかかるほどに近い距離で二人は見つめ合う。
お互い初めてのキスだった、そして…。
「……。」
「……ッ。」
チュッ チュゥゥッッ
キスが始まった、二人きりの空間で。
唇同氏が触れ合い、二人の舌が重なり合う。熱くなった口内を口付けし合い、体温を伝え合っていく。
二人は溢れる唾液を味わい合う、口元から漏れ出すほどに。お互い目を閉じて接吻だけで愛情を確かめていた。
ただ静寂に包まれながら、囲炉裏の炎は傍観する。
「………んッ…僕、初めてキスしちゃった。こんな気持ち初めて。女の子に夢中になってしまうこの感じ。」
「……ダーリンの初めてのキス、私が奪っちゃった❤ッでも、私が初めてで良かった。浮気なんてナ・シ・ヨ❤」
「浮気なんてしないよ、慧音さんは僕の恋人だもの。」
「まあ❤言うわね、あなた。」
それぞれの口内に恋人の唾液が交わっていく、今の二人にとって喜ばしいことだった。愛の誓いが成し遂げられたのだ。
だが慧音はこれだけでは、満足できなかった。
「さて、今夜はまだまだ終わらせないわよ。今の私は飢えている、乾いている、自分でも不思議なほどに。
これを満たせるのはダーリンだけ❤ッあなたが本気にさせたのよ。」
「慧音さん…誓いのキス以外にできることってなんでしょう?」
「ふふ、驚かないでね。」
「えッ……。」
慧音は布団の上で上着を脱ぎ始める、古着の紐を解き重なっていた前の布を開いた。すると、慧音の巨乳と腹が露になった。
巨乳の先端は赤い乳首が立っていた。直視した息子は、羞恥のあまり顔が真っ赤に染まってしまう。物心ついてから初めての女性の裸体だった。
「お……お、おっぱいッ!!?僕…見ちゃったッ!!」
「恥ずかしがり屋さんなのね、可愛いんだから❤ッでもそうして意識してくれるなんて嬉しい。」
「え……おっぱい見られたのにッ。」
「見せたのよ、私が。よく翁さんに身体を洗ってもらってるけど…あの人全く反応しないのよ。安全といえば安全だけど……女としてのプライドが傷付いてしまったわ。私を女として見てくれたことなんて一度もなかったのよ、それはそれで残念だったわ。」
「そうだったの…。」
慧音は内心不満だった、翁は仙人であり女に反応する感性が無くなっていた。慧音にとってそれが物足りなかった、
男性に女として向き合って欲しい願望が強いのも、夫がいないことが大きかった。もっとも慧音は、実の夫に伴侶として期待したことなど一度も無かった。期待したくも無かった。
「でもねッ!そんな寂しい乙女だった私の前にダーリンが来てくれたのッ!私を一人の女性として見てくれるダーリンが❤ありがとう!ッもうあなたを手放せない、私虜になっちゃうッ!!きゃ~~❤❤///恥ずかし~~~❤❤///」
「慧音さん…。」
慧音は両手で頬を覆い赤面する、彼氏の初心な反応に酔いしれていた。
そんな母親の姿を息子は内心痛々しいと思っていた、
もうそんな年でもないのに……そう考えた。だが……。
(母さんは、男性と恋愛したことが全く無かったんだ。それでずっと寂しかったんだ、ろくにデートを味わえず僕を産んでしまったから……。
ずっと未練を抱えたまま母親になってしまったんだ、恋人のデートに憧れてたのもそのため……。
母さんの過去を、僕は何も知らない。母さんも僕に知ってほしくない、きっと辛いことだから。)
事情があるのだろうと察した息子は、同情と加護欲が湧いた。それでも大好きな母親であることには変わらない。
父親への疑念が深まってしまったが。
「慧音さん、服を着てよ。こんな格好だと風邪ひいちゃうよ。」
「あら、心配してくれるの。優しいんだから、でも嫌よ。言ったでしょ?今夜は終わらせないって。」
「え……。」
再び慧音は息子の頭を抱き寄せ、そして……。
ムニュッ ギュウゥゥ~~
「!!?ッ」
「どう?ダーリン❤私のおっぱいは、大きくて柔らかいでしょう。これには自信があるの。」
息子の顔は、慧音の巨乳に埋められた。胸の谷間へと頭がすっぽりと収まってしまった、パフパフが始まった。
息苦しかったが胸の柔らかい感触と母の匂いが気持ち良かった。
「ぼ…今の僕ッ!恋人だよッ!!これじゃ赤ちゃんみたいだよッ!!?」
「でもお顔が真っ赤よ、本当は嬉しいくせに。もっと素直になってもいいのよ、愛しのダーリン❤」
「で……でもッ!!」
「…あのねダーリン、もっと誰かに甘えてもいいのよ。今までずっと我慢してきたのでしょう?辛かったでしょう?
だから今日は、私に目一杯甘えてちょうだい。ダーリンはね、こうやってハニーに甘えてもいいのよ。ずっと無理してたら潰れてしまうから。」
「……。」
「素直な方が私は嬉しいわ…。」
慧音は分かっていた、我が子がずっと瘦せ我慢を強いられていたことを。今までずっと負い目を感じていたことを。
息子は胸が一杯になった、涙が零れ始めた、自分の気持ちが打ち明けられないでいた。
(母さんは分かっていたんだ、僕が今まで辛かったことが……。)
「慧音さん……僕…。」
「んッ……。」
ガバッ!!
息子は慧音の乳首にむしゃぶりついた、巨乳を両手で鷲掴み顔を埋めながら。
目には涙が溢れていた、ずっと甘えられず寂しい思いをしてきたのは息子もだった。
チュウッ チュウッ チュッ チュッ
ムニュ ムニュ
いくら乳首を吸っても母乳は出なかった、もうとっくに枯れていた。
「ごめんねダーリン……もうおっぱいは出ないの。身体が出してくれないの…。」
「慧音さんッ……こうやって吸えるだけでいいんだッ!……こうしていられるだけで……僕はッ!!」
慧音は、泣きながら乳首を吸い続ける恋人を見下ろしていた。その表情は、慈愛と悲痛が入り混じっていた。
今まで我が子に辛い思いをさせてきたこと、そして今、愛情を必死に求めていることを痛感した。
関係が破綻し手遅れにならなくて良かったという安堵もあった。
しばらく時が経った。
息子は泣き止んでいた、安らかな表情で慧音の巨乳を縋るように吸い付いていた。乳首の吸い方も穏やかだった。
まるで、母に抱かれ安心する赤ん坊のようだった。そんな恋人である息子を慧音は、優しく頭を撫で見つめていた。
「おっぱい吸って安心しちゃったのッ?ダーリン可愛い❤よしよしっいい子いい子❤」
「慧音さん、僕…もっと!ッ」
チュウッ! チュウッ! チュウッ!
「あんッ!激しい吸い方しちゃってッ!もう、ダーリンのエッチ❤」
「慧音さんのおっぱい、美味しいッ!」
「もう、ミルクは出ないのに美味しいだなんて変なのッ、んッ?これはッ?」
慧音は気付いた、息子の股間が盛り上がっていたことを。ズボンに山が出来ていた。
「あら~ッチンポが勃っちゃってる~、さてはおっぱいで興奮しちゃったのかな~。」
「えッ…!!?ッち……違うんです!!これは……そのッ…」
息子は授乳をやめ、恥ずかしがって股間を手で隠す。
「恥ずかしがらなくて良いのよ、男の子だもの。興奮するのも無理ないわ。それとも、そんなに私の身体が色っぽかったかしら?やん❤ッそんなに夢中になられるとちょっと恥ずかしいかも❤」
慧音は赤面しながら、わざとらしく巨乳を両手で覆い隠す。心の中の乙女が炸裂していた。
「うっうぅ……こんなアソコが変なことになるなんて…初めて。」
息子の身体は性に目覚めつつあった、理性では拒んでも本能が女体の神秘を求めてしまう。
ギンギンに勃起した肉棒がなによりの証拠だった。
「もうお年頃なのね、時が経つのは早いわ。……よしッ!ならお姉さんがダーリンのために今日は奮発しちゃうぞッ!❤」
「奮発って、何する気ッ!?」
「んふふっ、まずはお私の膝に座って、空いてるわよ。」
「ひっ膝に座るのッ?」
「そうッ、ほら早く座ってッ…は~や~く~❤ハニーを焦らしちゃだめよッ~❤ほ~ら、おいで❤」
慧音は笑顔で両手を広げる、息子は微笑んだ、どこか嬉しかった。母に寄り添えることが…。
息子は慧音の膝枕にちょこんと座り、お互い見つめ合う。
「素直になれて偉いぞ~、こうなったらやることは一つ。」
「け、慧音さん?うひぁッ!?」
慧音は息子のズボンとパンツを掴み、脱がしてしまった。脱ぎ捨てられ下半身が丸裸になってしまった、息子の股間に肉の柱がそそり立っていた。勃起したソレはいつもより大きく、硬くそびえ立つ。
「僕のチンポ、こんなに立ってる…いつもはこんなことにならないのにッ!?」
「落ち着いて、男の子は誰でもこうなるものよ。私に全てを委ねてッ、ギンギンになったおチンチンはこうするのよ!」
慧音は息子を左手で抱え、右手で肉棒を掴んだ。そして…。
!!?ッ
肉棒をしごき始めた、強すぎず弱すぎず絶妙な指使いで男根を刺激する。刺激されるたびに未知の快感が脳へと駆け巡っていく。息子は喘ぎ、瞳孔が開き唾液を散らす、手淫の虜へと堕ちていく。
「き……気持ちいいッ!!…なにこれ、ゾクゾクしちゃうッ!!ぼくどうなっちゃうのッ!!?」
「うふふ、私もなかなかお上手でしょ❤ッまだまだいくわよダーリン❤」
「!!?ッう!ッあッッもっと……もっとしてッ!!」
「あらら?ッまだ物足りないのかしらッ?なら私のおっぱいを吸いなさいな❤ッ」
「う…ぷ…。」
巨乳に顔が埋もれた息子は、乳首を吸い始めた。慧音は乳房を吸われながら男根をしごいていく、授乳手コキが始まる。
吸われる巨乳は息子に揉みしだかれる。
チュウッ チュウッ チュウッ
シコシコシコッ
(ああ…、おっぱい吸われるの気持ちいい。ダーリンも初めての刺激に焦燥に駆られてる、不安でおっぱいに縋り付きたいのね。もう、本当に可愛いんだから❤)
しごかれ続けた息子は、突然ビクビクと痙攣し始めた。金玉が膨張し肉棒から何かが迫る感覚に襲われる。
「慧音さんッ!!チンチンから何かが出そう!!!ッよく分かんないけど溢れ出ちゃいそうッ!!!」
「いいのよッ出して、さあ、私にビュービューする所を見せて頂戴。」
「いッ、いいの!!?ッオシッコかもしれないのに!?ッ」
「大丈夫、さあ遠慮しないで❤ッ」
息子の股間は臨界点に達していた、噴火寸前の活火山のようだった。母の乳房に涙とともに縋り付きながら叫ぶ。
「う…で…出る!!ッ」
ビュルルルルルゥゥゥゥッッッッ!!!
ビュビュビュッッ!!
肉棒から大量の精液が噴出した。精液は空中を舞い散り、床へビチャビチャと振り注いだ。
息子は精通を終えたのだった。
「いっぱい出たわね、こんな量の精液を金玉が溜め込んでたなんて。男の神秘ってやつね。」
「慧音さんッ……僕ッ……どうなっちゃうの?…オシッコとは違うものが出ちゃったッ……。」
「大丈夫よ、これは精液っていってね、あなたが大人の男性へ一歩成長した証なの。病気なんかじゃないから安心して♪。」
「そうなんだ………僕…成長できたんだ………。」
「嬉しいわ、大人の階段を昇れて…将来が楽しみね。」
次第に息子の身体に力が抜けていく、瞼が重くなっていく。
「慧音さん……あなたのことが……大好きッ………いつか…あなたと……結婚したい………。」
「ダーリンッ………。」
息子は慧音に介抱されながら、眠ってしまった。
スー、スー、……
「私もよダーリン❤、…………。だけどね、私とあなたは…結婚できないの。なぜなら……。」
慧音の表情は、恋する少女から母親のそれへと戻っていく。
「親子だから、母と子は結婚が許されないの。こればかりはどうすることもできないの。」
次第に悲憤に打ちひしがれ、涙が流れていく。
「できるなら我が子の望みを叶えてあげたい、……でも、一線を越えてしまったら…もう親子ではいられない。恋人同士の関係も………この夜でお終い、
夢幻になってしまう。………ずっと続いて欲しいのに。」
慧音の身体は、熱く滾っていた。女のソレが生理的に濡れていた、だが、そんな卑しさに自己嫌悪していた。
最期の時まで母親でいたかったのだ。必死に本能を拒んだ。
「酷いよね、…あなたが大人の男性に成長しても……結局、他の女に奪われてしまうのだから。ずるいわよね、そんな女。
私のたった一つの……掛け替えのないものを独占するのだから。………なぜ、私じゃないのよ……なぜ………。」
大切な息子を奪っていく女に対し、激しい妬みと怒りと軽蔑を剝き出しにする。そんな自分が醜いと分かっていても止められなかった、慧音に男性と愛し合い結ばれる時間の猶予など残されてはいなかった。
自身の短い寿命という不条理を呪うしかなかった。
だが、そんな姿は我が子に見せられない。
「○○、……一夜限りでも、私の恋人になってくれてありがとう。………あなたを産んで良かった。」
しばらくして慧音の意識が朦朧としていく、視界が澱んでいく。この時でも衰弱は進んでいた。
(もう……残された時間は、少ないのね。………それでも、少しでも愛してあげたい。)
慧音は我が子を優しく抱きながら、眠った。息子も応えるように寝ながら抱き締め返した。
………夜は終わりを迎えた。