虹夏と一緒の帰り道。リョウは新譜を見に行くと言ってさっさと帰ってしまったから、二人きりになる。
緊張の面持ち。たぶん、これから起こることに、虹夏の意識は向いてしまっているのだろう、と豪は思っていた。
写真の送信だけはさすがに阻止したが、行為そのものについては情報を共有していてもおかしくはない。かすかな羞恥心はあるものの、どうせいつかはわかってしまうことだ。それが早いか遅いかの違いだけしかなく、一度腹を括ったからには口出しなどするべきではない。
「あ、あははっ。豪ちゃんのとこ泊まるなんて、一体いつぶりかなあ」
「昔は、よく夜更けまでゲームしてて怒られたよな。愉しい思い出、これからもいっぱいつくろう、虹夏」
「あっ……、うんっ。えへへっ、なんだか調子狂っちゃうなあ」
差し出した手を、虹夏が遠慮がちに掴んでくる。
こんなのは、堂々としている者が勝つと相場が決まっている。繊細そうな指先。しっかり絡め取ると、虹夏が顔をさらに赤くしながら笑ってくれる。
これでいい。
リョウの願いがなかったとしても、自分は二人の間にいて、いつまでもつなぎとめてみせる。それだけが現在の最優先事項で、これからもそれは変わらないのだと思う。
「んっ……。着いちゃったね、家」
「とりあえず、入ろうか。鍵、今度虹夏の分も用意しておくよ。必要になるだろ、きっと?」
「豪ちゃんのその真っ直ぐさ、ほんとあの頃から変わらないよね。だから、あの変人代表みたいなリョウも、懐いちゃうんだろうけどさ」
「むう。自分では、よくわからないな。好きな子のために、好きなことをしてるだけなんだし」
「うぐっ……。そういうとこだよ、ほんと。そ、それじゃ、お邪魔しまーす」
虹夏のあとに続いて玄関をくぐる。
揺れるサイドテールがかわいらしい。ドアが閉まりきったことを確認し、さっさと施錠してしまう。誰かが来ることもないし、リョウにはスペアの鍵を預けてあるから、もし気分が変わって訪れたとしても途方に暮れることはない。
「あっ、そうだ。リョウには気をつけなよ、豪ちゃん。ちょっと気を許したら、部屋を次々と侵略されちゃうんだから」
なんとなく想像がつくが、リョウは虹夏の部屋に私物を持ち込んでいるのだろう。しかも、常識の範囲外でだ。
ちょうど今なら部屋も余っているし、なんなら自室に物を置かれても別に構わない、と豪は思っている。それだけリョウが居心地のよさを感じているのだし、あの幼馴染のことをなんだかんだで虹夏も許容してしまうのだろう。その気持ちに関しては、もっとも理解できる部分だった。
「っと……。ここでしたの、リョウとは?」
「うん。正直、めちゃくちゃかわいかった。それに、リョウも俺も子供じゃなくなったんだって、実感できてさ」
「もう、妬けちゃうなあ。豪ちゃんがリョウのこと大好きなのは、よく知ってるけど」
リョウと身体を重ねたソファーの前。
こちらに向き直った虹夏が、なにか言いたげな視線をぶつけてくる。
「背、すごく伸びたよね。けど、こうして豪ちゃんのこと見上げるのも、悪くはないか」
胸のあたりを掴まれている。
ちょっとつま先立ちになった虹夏の顔が、ゆっくりと近づいてきた。考えるまでもなく、キスをせがまれている。
「かわいい、虹夏」
「ほんとに? リョウよりも?」
「ははっ。いじわるなんだな、今日の虹夏は」
虹夏の身体を支え、唇を合わせた。
ほんのりと甘い味がする。気のせいなのかもしれないが、それがもっと欲しいという気分にさせてくる。
ふれあいを徐々に強めていき、舌をするりと忍び込ませた。虹夏の肩がふるえる。けれどそれも一瞬のことで、自分の動きに合わせてくれるのがこの幼馴染らしかった。
「あむっ、ちゅっ、ふはっ。も、もう一回、豪ちゃん……♡」
虹夏の頭を撫で、キスを再開させる。
肉づきの薄い身体。服の上からふれると、虹夏はちょっと息を荒くする。
「んっ、あふっ……。ごめんね、あんまり大きくなくて」
「どうだっていいよ、そんなの。虹夏のだから、さわりたいんだし」
「やっ……。その言い方、ずるいってばぁ。むっ、ちゅ、んむっ」
円を描くように胸を揉む。
小さい方が敏感だと耳にしたことがあるが、あれはほんとうの話なのだろうか。
直にふれてみたいという欲求が強くなる。制服の裾に指をかけ、持ち上げる。恥ずかしいのか、虹夏の吸い付きが激しくなった。
「ほら。ばんざいして、虹夏」
「あうっ。こんなの恥ずかしいってぇ、豪ちゃん」
虹夏に腕を上げさせ、シャツを脱がせた。半分泣きそうな声が、興奮を高めてくれる。
傷ひとつない肌。かわいらしい柄の下着。優しくふれると、虹夏は小さく喘ぎを洩らす。そのすべてがたまらなくて、ズボンの中のペニスが苦しいくらい膨らんでいる。
「んっ……。豪ちゃんのそこ、すごいことになってるよ? へへっ。興奮してくれてるんだ、あたしで」
「そりゃあ、もう。でも、なるべく優しくするから。かわいい幼馴染のこと、傷つけたくなんてないしさ」
ソファーの上に、虹夏をゆっくりと押し倒す。
女の子特有の甘い香り。顔を近づけているとそれを強く感じて、気持ちが昂った。
「見せてよ、豪ちゃんのも。あたしだけなんて、ずるいでしょ?」
わずかに頷き、豪はベルトを緩めていく。
下腹部の隆起した部分に、視線が注がれる。ソファーに身体を沈ませる虹夏。顔はずっと赤いままだが、背けることはしなかった。
「わっ……。リョウから聞いてたけど、ほんとにおっきぃ……」
ガチガチにかたくなっていて、赤い先端が露出している。
はっきり言って、見た目としてはちょっとグロテスクなくらいなのである。それでも虹夏は、その姿をしっかり眼に焼きつけようとしているようだった。
「んっ、ごくっ……。こ、これを、世の中ではお口でしてあげたりするんだ」
「無理にしてくれなくていいよ、そんなの。手でさわってもらえるだけでも、十分嬉しいし」
「うん。でも、あたしだってかわいがってあげたいし。こ、恋人らしいこと、したいじゃん」
具現化された欲望のかたまりを、虹夏の口で気持ちよくしてもらえる。
想像しただけでも、かなりヤバい。ぬるりとした唾液。それをまとった、柔軟性のある舌。その中でもみくちゃにされたら、自分はどうなってしまうのだろうか。
そんか心中を見透かすように、虹夏がほほえむ。唇の輪郭をなぞる人差し指。その動きを追うだけで、ペニスがびくんと脈打った。
「お口の練習、ちょっとだけしてみてみよっか、豪ちゃん?」
「うっ……。お願いします、虹夏さん」
「任せてよ。といっても、あたしも雑誌で少し見ただけなんだけどさ」
虹夏が上体を起こし、醜悪な形状をしたペニスに顔を寄せる。
二つの対比が凄まじい。亀頭に当たるくすぐるような吐息が、心にざわめきを生じさせる。
「んとっ。それじゃ、失礼して……。はむっ、んっ、むむっ」
虹夏の口に、もっとも腫れ上がった部分が飲み込まれる。
融け合うような感覚。まともなセックス以上に愛されているという気がしてきて、全身が甘い痺れに包まれる。
「くぷっ、はふっ、くぽっ……」
唇の間で、先端がれろれろと粘膜に弄ばれている。
情けない声。洩れそうになるのをなんとか我慢し、豪は虹夏の頭に手を置いた。
ゆっくりと撫でる。
虹夏はこくこくと頭を上下させ、応えてくれている。その動きすら、今はペニスを強烈に追い立てるのだ。
「あむっ、もごっ。むっ、ぷはっ……。えへへ、どうだった、豪ちゃん?」
「ごめん、虹夏……。その、もうちょっとだけ……」
「おっ、わわっ。よしよし、そんなに焦らなくても大丈夫だからね」
もう少し、口内のあたたかさを味わっていたい。そんな思いが暴走して、つい虹夏の顔にペニスを擦りつけてしまう。
猛り狂ったやんちゃな棒を、あやすように撫でられている。それだけでも結構な気持ちよさがあって、頭の中は沸騰しそうになっていた。
「ちょっとしょっぱいけど、まあ豪ちゃんのだし。ちゅっ、はむっ……。いいんだよ、気持ちよくなってくれて?」
「あ、ああっ。虹夏の口、あったかくて離れられなくなりそうだ」
「ふふん。それなら、がんばった甲斐があったかな。ちゅうぅ、んくっ……。先っぽから出てくるお汁、すごい味がする」
「気持ちいい、虹夏……。俺、そろそろやばいかも」
「ふぇ? やばいって、それもしかして」
射精したいという欲求が、とめどなく溢れてくる。
虹夏もこちらの事情を察してくれているようで、表情がどこか緊張したものに変わっている。
「れろっ、んっ……。その、出るんだよね、精液。豪ちゃんは、どこに出したい?」
「えっと、できれば虹夏の顔に……。嫌、だよな?」
「うぅーん、どうしよっかなあ。でも、ほかでもない豪ちゃんのお願いだし?」
我慢の限界が近づいていることを理解しているのか、虹夏による責めが激しくなっている。
拙いかどうかなんて関係ないし、そもそも知らないのだから比較のしようもない。ただ、虹夏が自分のことを思って、快楽を引き出そうとしてくれている。その事実さえあればなにも必要なく、今はそれだけがすべてだった。
「出るっ……! 受け止めてくれるか、虹夏」
「しょーがないから、許してあげる。だから、たくさん出してね、豪ちゃん」
ちゅぽんという音とともに亀頭が口から抜け、同時に終わりがやって来る。
痺れるような気持ちよさ。それによって、ぎりぎりのところで堪えていた精液が一気に押し出される。濁流と表現していいくらいの量だった。汚濁が虹夏の整った顔に降り注ぎ、きつい匂いでマーキングしていった。
「うわっ、すごっ……!? ねばねばしてて、匂いもずっと濃い。これが、豪ちゃんの精液なんだ」
恍惚とした表情で、虹夏が感想を洩らしている。
その様子をぼんやりと見つめ、豪は射精の余韻に浸っている。
♪
ゴムの皮膜で覆われたペニスで、虹夏の秘裂を何度か擦る。
どうせ汚すのならという理由で、二人はあれから風呂場に移動していた。
壁に手をついた虹夏が、遠慮がちに尻をこちらに向けている。ぴったりと閉じた入り口。亀頭の先をわずかにくぐらせると、幼馴染の初めてを奪うという背徳感から、背中がぞくりとふるえた。
「挿れるぞ、虹夏」
「う、うんっ。来て、豪ちゃん。あっ、はあっ、あぁああっ……!」
リョウよりも明確に狭い中。ぐっとペニスを突き入れると、結合部の隙間からじわりと血が滲む。
虹夏の処女を散らせた。リョウに続いて、二人の大切なものを貰い受けたという思いが強くなる。
「うっ、あっ、うぅ……」
苦悶の声。
リョウがそれほどでもなかっただけに、油断があったのかもしれなかった。虹夏の腹をさする傍ら、首筋に口づける。
「ごめん、痛くして。しばらく、じっとしてるから」
「い、いいの。このくらい、覚悟してたことだから。それに、全部が全部痛いだけでもないし、さ。ねっ?」
振り返った虹夏が、気丈にほほえんだ。
眼の端には、かすかに涙が浮かんでいる。自分にはどうすることもできない痛み。ただ、耐えるだけの時間が少しでも短くなればいいと思った。
「キスしてたら、ちょっとは気も紛れるかな」
「それがいい。しよ、豪ちゃん」
ついばみから開始して、やがて舌を丹念に絡ませる。
虹夏の中が熱い。膣肉がぴったりとペニスに張り付いているようで、断続的な心地よさがあるようだった。
こうして留まっていれば、そのうち自分のかたちに馴染むことがあるのかもしれない。それだけを願って、豪は虹夏とのキスに耽っている。
「ちゅむ、はっ、ふはぁ……。へへっ。キス、いつでも気持ちいいね。……不思議だなあ。豪ちゃんが帰ってきて、また前みたいな関係になると思ってたのに、いきなりこうなって」
「心の準備なんて、する暇もなかったもんな。けど、俺はこれでよかったと思ってる。リョウと虹夏と、いつまでも一緒にいたい。男の我侭でしかないけど、これ以上の方法なんてなかった気がするな」
平らに近い胸を、いたわるように刺激する。
乳首を同時に転がされたのが気持ちよかったのか、キスをする虹夏にも反応が見られている。
試しに、軽く腰を揺さぶった。
ペニスを包む膣肉が、動きに合わせてついてきている。
虹夏の口から洩れる声。先程までは苦悶だけだったが、今はそれだけではないような感じがする。確かめるように、もう一度。やはり虹夏は、いくらか挿入に慣れてきているのか。
「うっ、ふあっ……。豪ちゃんのおちんちん、あたしの中で動いてるよぉ。あっ、ああっ、んふぅ……!」
結合部に指でふれる。滲んでいるのは、血だけではないようだった。
入り口の締めつけが凄まじい。慎重に腰を引いて、また突き入れる。それだけでペニスが麻痺するような刺激が走り、射精を堪えなければならないような状態になってしまう。
「すごいな、虹夏のここ。がっちり、抱きしめられてるみたいでさ」
「そ、そうなんだ? 自分ではよくわからないけど、豪ちゃんは喜んでくれてるんだよね? だったら、嬉しいな」
そんな事実だけで、虹夏は声を弾ませてくれる。
正直、いつ射精してしまってもおかしくないような状況だった。汗ばんだ肌。虹夏の右肩に手を添えて、さらに膣内をほぐしていく。
狂おしいような快楽があるわけではない。そんなものは、何度も身体を重ねるうちについてくるはずなのである。
今は、虹夏と過ごす時間さえあればそれでよかった。
「出したかったら、いつでもいいよ? んっ、あうぅ……。あははっ、ゴムつけてるから、中でも平気だし」
「虹夏は、どこに出してほしい? さっきは、俺のお願い聞いてもらったからさ」
「あっ……♡ そ、そうだな。だったら、豪ちゃんの精液身体で感じてみたい、かも」
「よし、頼まれた。洗っても簡単に落ちないくらい、虹夏の身体にっ……!」
締めつけの中でペニスを扱き、射精感を高めていく。
頭の内側が沸騰するような感覚。決壊までは一瞬だった。膣内に埋まったものを引き抜き、邪魔なゴムをずるっと取り払う。
「ふあっ、んふう……! あ、熱いっ。豪ちゃんの精液、あたしの背中にたくさん出てっ……♡」
絶頂にふるえるペニスを手で擦り、虹夏の背中めがけて精を放つ。
止まらない。虹夏の尻の間に押しつけ、さらに刺激を強くした。
「あっ、やあっ……♡ 豪ちゃん、これぇ……♡」
「気持ちいいんだ、虹夏も? 俺なんて、もう頭がおかしくなりそうでっ……!」
「ふあっ、あはぁっ……! ちょうだい、豪ちゃん。匂いがずっと残るくらい、あたしに出してぇ♡」
虹夏の声が、浴室の壁に反響している。
いつまでも続くような快楽。幼馴染の身体を自分の色で染め、豪は熱い息を吐いていた。