目が覚めたら神様に看病されていた。
そんなことがあるのだなあ、と私は思いました。
「目が覚めましたね、優しいお方。」
うん、とりあえずヘスティアママの膝枕はとてつもなくいい香りがして意識がまた途切れそうになる。
「おお、目が覚めたか。英雄よ。……ありがとう、君のおかげでこのオリュンポスは最悪の展開を迎えなくて済んだ。ありがとう」
ゼウスに感謝をされたが、しかし別に何かしたかな?と私は思った。
しかし私を赦してくれるのだな……と私は神に対する考えを改める。
「そう、そういえばなのだが、……あと千年の時を経てこの世界は完全に崩壊する、と言うことが先程わかってな…………」
そりゃそうか。と私は思う。だってこの世界、いや特異点は文字通り異物。ましてや私があんな虚構だのなんだのとやったおかげで確実に異物になってしまったのだろう。
申し訳ない気持ちで私は俯く。
けれど、神々の対応はとても想像とは異なるものだった。
「……もし、お主が良いならば……この世界の最期を見届けてくれぬか?……物語は読み手がいないと物語として成立できない。だから、お主という読み手に最期を託したいのだ。……これは我らオリュンポス十二機神の総意である。……それに、ぜひこの世界で様々な経験をしていってくれ。……それがお主の役に立つのであれば我々の存在した意味ができるというものだからな。」
……神々がこの世界に上陸してからの何百万年もの積み重ね、その全ての歴史の終止の刻を私が見届ける……か。
それも悪くないな。……今の私には時間が欲しい。だからその時間を利用するのがいいのだろう。
私はその神々の提案をのみ、この世界で千年の刻を過ごすこととなった。
──────私が使者たちを弔うお墓を立てるために高原を歩いていると、突然話しかけられる。
それは、ファウストであった。ファウスト曰く、自分はこの世界を媒体に召喚されたが故に帰ることが出来ないと。だから君に
「何故スタイリッシュ?」
私の問に対し、ファウストは答える。
「君は泥臭すぎる。いいかい、スタイリッシュとはいわば心の余裕の事だ。心に余裕があるから冷静に戦える。冷静に戦うと無駄が減り失うものも減る。……何より、君はそれを実現するだけの力があるのだから」
なるほど、と私は納得した。……その結果、彼にスタイリッシュな振る舞い方を千年間かけてみっちりと教えてもらう羽目になったのは別のお話。
──────オリュンポスでの毎日はあっという間に過ぎていった。
毎日、アンブロシア、ネクタルを飲み食べ、神々から様々な知恵と武力。振る舞い方に、権能の使い方。
さらに北欧神話の方々にも来てもらって魔術に魔法の使い道、アレンジ方法なども教えてもらった。
あっという間だった。私の人生の中で1番のこんなに楽しい、勉強になる日々が続いた。
服も、武器も、考え方も、全く変わった私がそこにいた。
──────そうして、崩壊の日は訪れた。
世界のあちらこちらがひび割れて虚無へと消えてゆく。
そこで私は神々と別れて元の世界へと帰った。
この千年間の物語は、もし今後私がどこかの世界で小説家にでもなった時にかくとしよう。そう私は決めた。
──────神々の権能が全て集約された髪飾りとイヤリング。ネックレスとレザーコートを身にまとい私は雪山に舞い降りる。
実に、千年ぶりの元の世界であった。
そんな元の世界、高台から見上げた私の第一声は……地獄絵図だな。であった
序章が終わりまして次は第一章となります。
多分次から始まるものはここまでを読んでいなくても読める様に作っていきますので改めてよろしくお願い致します