「ミオリネさん!」
笑顔でこちらへと駆け寄ってくるスレッタにミオリネは『暑苦しいのよ』と、憮然とした表情で返す。
それでも人懐っこい子犬のようなスレッタは『えへへ……』と笑って互いの距離を詰めてくる。
「なに笑ってるのよ」
そう、いつものじゃれ合いとして返すつもりだった。
それなのに、その言葉が呼び水となり──あの日を思い出すのか、不意にスレッタの手の平が赤く染まりゆく。
「……ひッ」
「ミオリネさん、どうしたんですか?」
笑いながら手を伸ばしてくるスレッタ。
その赤い、鮮血に、彩られた、掌が、頬へとぴたりと触れて──
「い……いやあああぁぁぁッ!!」
喉奥から絞り出したかのような甲高い悲鳴が上がり、その自分の声でミオリネは目を覚ました。
「っ、は……、はぁ……はぁ……うぅッ……!」
深呼吸を繰り返し、荒く乱れた息を整える。
そうして先程見たものは夢なのだとようやく理解し、心を落ち着けようとするが──果たして、『今』が本当に現実なのだろうか?
『まだ自分は夢の中にいるのではないか?』と、そんな疑問を抱くミオリネ。
何故ならこの部屋は──壁も天井も家具も何もかもが赤一色で塗り潰されているからだ。
(……こんなの、現実じゃない。こんなの夢よ……。夢に決まっているわ……)
目を閉じて、胸中でそう繰り返すミオリネをスレッタが優しく抱き締める。
「ミオリネさん……すごい声でしたね。大丈夫ですか? まだ怖いですか?」
「……ッ」
スレッタの腕が自身に絡み付き、ぞわりと総毛立つ。
(この腕が、手があの日、人を──……)
「ミオリネさん」
「い……いやっ! 離して……!!」
恐怖を振り払うようにミオリネは、スレッタの腕を払い除けた。
スレッタはショックを受け、悲しみに眉を寄せたが、またすぐに笑顔になり──
「ミオリネさん、お薬飲みましょう。お母さんが言ってました。このお薬を飲めばつらいこと忘れられるからって」
そう言ってナイトテーブルの上に置いた白い錠剤を彼女に手渡した。
「バ、バカ言わないで! そんな訳の分からないもの、飲めるわけがないでしょう! そもそも……何なのよ、この部屋! こんな、何もかも真っ赤な部屋に私を閉じ込めて、あんたいったい何がしたいわけ!?」
「ああ、これは……ショック療法というやつらしいですよ。ミオリネさんはあの日以来、赤いものを見ると怖がるようになってしまったので。こうしてずっと見ていると慣れて怖くなくなる……ということだそうですよ……!」
「冗談でしょ!? 寧ろ気が変になるわよ!!」
「ですからこれは、そういう時のためのお薬です……っ。はい、どうぞ。ミオリネさん」
笑顔で水と共に薬を勧めるスレッタ。
しかしミオリネは『そんな得体の知れないものは飲めない』と突っ撥ね続ける。
「ええ……もう、困ったなぁ……ミオリネさんは。お姉さんなのに、自分じゃお薬が飲めないなんて」
「そういう意味じゃないわよ!」
こちらの言葉を曲解して受け取り、『くすくす』と笑うスレッタに不気味なものを感じて、ミオリネは身を引いた。
しかしその手を掴まれ、ぐいと引き寄せられる。
「な……ッ!?」
「……花嫁が困っていたら、助けるのが花婿の務め。……花嫁が間違った道に進んでいたら、正してあげるのが花婿の務め……ですっ!」
「あ、あんた……なに言って──んぅっ!?」
不意にキスで唇を塞がれ、パニック状態に陥るミオリネ。
スレッタの腕の中で身動ぎし、逃れようとするが、彼女の力は存外強く、身を離すことが出来ない。
「やっ、あぁ……あ、んん……っ!」
口内へと強引に舌が捩じ込まれ、そして歯列の裏や上顎の綿密な襞を舐め擽られる。
「んっ! ふっ……、だ……だめっ、んっ……はぁぁっ……!」
……いつかこうしてスレッタと、口付けを交わす日がくるだろうと思っていた。
──あの日までは。
「や……やめて、や……っ、やめなさい、スレッタ! やめるのっ……! いやッ!!」
……そう。あの日を境に、そんな日はもう二度とこないと思った。
自分に取ってあれだけ大事で愛しいと想えた相手は、もはや恐怖の対象でしかないのだから……。
故にミオリネはスレッタの胸を押し、口付けを終わらせようとするのだが、彼女の舌は喉の奥深くまで入り込んできて決して離してはくれない。
「ミオリネさん……ほら、もっと大きなお口……開けて下さい……」
「やっ、あぁ……ぁ、んぅぅ……っ!」
抱き寄せられ、口付けを深められるに伴い、先程の怪しい薬を押し込まれる。
「ッ、い……やっ、やめ……! ん……ぐぅ……ッ!」
舌で錠剤を押し返そうにも口内は唾液の海で、上手くその白い塊を見付けられない。
その上、唇を塞がれているものだから、だんだんと息苦しくなり、唾液を飲み込んで空気を求めたくなってくる。
「はぁ……あっ、んッ、っく……! うぅぅ……ッ!」
必死に抵抗を続けるミオリネだが――
「ミオリネさん……。んぅ……っ」
悩ましげな声と共に、胸に触れられて、驚きのあまりミオリネは、『ごくりっ』と唾液と共に錠剤を飲み下してしまった。
「……んっ、んん! んっ、ん……ッ!!」
吐き出そうとするも錠剤は見る間に溶けていき、彼女の身体の一部となっていく。
「うっ、うう……!」
「……ん、はぁ……ぁ、ミオリネさん……。お薬ちゃんと飲めましたね。えらい、えらい」
ミオリネが薬を飲み込む気配を感じればようやく口付けを終えて、互いの唇の間で透明の長い橋を架けつつ微笑むスレッタ。
そんな彼女に優しく頭を撫でられるも、ミオリネの中には恐怖しかない。
「っ、さっきの薬……飲んだらどうなるの……っ!?」
「つらいことが忘れられるって、お母さんが──」
「それはさっきも聞いた! 具体的にどうなるのって、聞いてるのよ!!」
「……身体が、熱くなってくるらしいですよ」
「身体が、熱く……?」
「はい」
頷き、何の前触れもなしにミオリネの股間を鷲掴みにするスレッタ。
「ひぅっ!?」
ミオリネが驚愕し、腰を浮かせるが構わず『わしわし』と揉んでいく。
「ここが、とっても熱くなるんだってお母さん言ってました」
「どっ、どうしてそんな……ところが……ッ、んっ、んん……!」
「そうして、つらいことも日常も全部忘れちゃうぐらい、ミオリネさんのこと愉しませてあげなさいって。お母さんにそう言われたんです」
「あ……あんた達、狂ってる! こんなことされたからって、忘れられるわけ……ないでしょう!?」
「大丈夫です、ミオリネさん。お母さんが言うことに間違いはありませんから! ですので、どうか私に任せて下さいね♪」
満面の笑みでそう請け負い、指をくの字に曲げて布越しに彼女の膣口を『ぐいっ』と押し込むスレッタ。
生まれて初めての刺激に、ミオリネは悲鳴をあげて飛び上がった。
「ひッ!? そ、そんなとこ……触らないで! いやっ!!」
「ええ……? でも、ここ……熱くなって疼いてくるでしょう? そういうお薬を飲んだわけですし……」
「そ、それはあんたが……強引にっ……!」
「はい。そうでもしないとミオリネさん、飲んでくれませんからね。ですがこれも、花嫁を想うが故のことですよ。……へへっ」
照れたように笑いながら指を動かし続けるうち、『くちゅくちゅ』という水音がミオリネの股間の奥から響き始めた。
「っ、い……、いや!」
淫猥な音色は自身の膣口が奏でる音だと察しをつけ、真っ赤になり、スレッタの腕を掴んで動きを止めさせようとするミオリネ。
しかし腕を押さえられたところで指は軽やかに動かせるので、スレッタは続けて彼女を愛撫する。
「あぅっ、ん……やめ、て……っ。ああ……!」
たまらずに甘声が漏れてしまい、恥ずかしさが助長され、腰を引いて逃れようとするものの、ミオリネはそのまま押し倒されてしまった。
「……あっ! な、何するのよっ……!」
「ですから……うんと気持ちいいことして、それでつらいこと忘れさせてあげます……っ!」
そう言うなりスレッタは再びミオリネに口付け、ねろりと唇をねぶりながら衣服を脱がせていった。
「ちょっ……ちょっとやめて! だめっ、い……いやッ!」
相手は同性だが、それでも裸を見られることには抵抗があり、脱がされまいとして必死に衣を掴んでいると──
「んもう……素直じゃないなぁ。ミオリネさんは……」
スレッタは『仕方がない』と身を起こし、自身の髪紐を解けばそれで彼女の腕を後ろ手に縛り上げてしまった。
瞬間、怒りよりも恐怖が勝り、ミオリネは悲鳴を飲み込み、ぶるりと身を震わせた。
「…………っ」
「ふふ……やっと大人しくなってくれましたね。これでようやく、ミオリネさんを気持ち良くすることに集中できます」
などと屈託のない笑みを浮かべるスレッタのことが、ミオリネは怖くて怖くて仕方がなく、とうとう涙を溢れさせた。
「や……やめて、お願い……っ。怖いの……、いやっ……」
「ああ……初めては何でもそうですよね……。でもミオリネさん。逃げたら一つ、進めば二つ──ですよ」
「そ……そういう問題じゃっ……」
「大丈夫、任せて下さい! 大事な花嫁さんですっ。私、なるべく優しくしますから……!」
相変わらず笑みを崩すことなく、スレッタは自身の歪んだ愛情、そして歪な解釈とによるもので、全裸に剥いた彼女の身体のあちこちをまさぐり始めた。
「ぅあ……! あぁっ、や……ッ! んうぅぅ……んはっ、あ……ンン……!」
『やめて欲しい』『怖い』という思いとは裏腹に、上擦った声をあげてしまうミオリネ。
羞恥に唇を噛み締めるも、身体がぴくぴくと反応を示してしまう。
「いっぱい感じてくれて嬉しいです。ミオリネさん……」
「ち、ちがっ……これは、薬のせい……んっ、ああ……!」
「それでもいいんです。気持ち良くなることが、大事ですから……!」
微笑み、ミオリネの小さな胸の膨らみを、そっと撫でていく。
「あふっ、ん……! あっ、は……、んはぁ……ぁ、ああっ……!」
やわやわと乳房を揉みしだかれ、次第に吐息が熱を孕み、そしてむくむくと浮き立つ胸先がスレッタの手の平を押し上げていく。
「あっ……ミオリネさんの乳首、硬くなってきた……」
感慨深げに漏らしながら、その屹立した胸先を『きゅっ!』と摘まみ上げる。
「っあ!? やっ、あううっ……!」
ビリリと甘い電流が身体の中心を走り抜け、腰を大きく跳ね上げるミオリネ。
その間にもスレッタは『すりすり』と、彼女の乳首を指の腹でこすり合わせていた。
「やっ、あ……あぁン! だめっ、くぅ……ッ、やめて……! あぁぁッ!!」
「ふむふむ。ミオリネさんは乳首が弱いんですね。なら、たくさん責めちゃいますね……!」
言うが早いかスレッタは、ミオリネが拒否の言葉を吐くより前に乳首に吸い付き、そして歯先で『こりこり』と甘噛みしていった。
「ンくぅ……っ! はっ、ぁ……ん、くはぁ……ッ!」
責められているのは乳首のはずなのに、何故かクリやヴァギナが疼いてくるようで、ミオリネは困惑げに眉を寄せた。
(い……いやっ、どうしてこんな……って、薬のせいに……決まってるわよね……ッ)
そう薬のせいと思うことでいくらか気は楽になったが、それでも身体の奥底から込み上げてくる、酷く焦れったいという感覚が抑えられるわけではないので、ミオリネは『やめて……!』と繰り返しながらも、所在なさげに足を擦り合わせていった。
それに気付いたスレッタは、彼女の股間へと手を移していく。
「っあ! やぁ……ッ!」
「……ん?」
触れた瞬間、指先にぬるりとした感触があり、透明の蜜が纏わりついていることに気付く。
「ミオリネさん、これって……」
「い……言わないでよ!? 言ったら怒るから!!」
「恥ずかしいんですね。分かりました」
その言葉にホッと安堵するものの──くちゅっ、ぐちゅっ!
スレッタが割れ目の内部で指を『すりすり』と動かすたび、卑猥な水の音が、布越しであった先程よりも大きく響く。
そのせいでぐしょ濡れであることが分かってしまい、ミオリネは真っ赤になって股を閉じ、スレッタの動きを封じた。
「……あらら。これじゃ続けられませんねぇ」
「……それは良かった。じゃあ、やめて」
『続けられない』との言葉から、これで終わるものとミオリネは思ったのだが、あろうことかスレッタは──
「仕方ないなぁ。足も拘束しなきゃ……ですね♪」
歌うようにそう言って、ナイトテーブルの引き出しから二本の紐を取り出し、それで彼女の足をヘッドボードのポールに括り付けてしまった。
「なっ、い……いやあぁぁぁぁッ!!」
全裸の状態で大股開きの格好にさせられ、ミオリネは甲高い悲鳴をあげた。
「やっ、やめて! こんなの嫌よ! 離してッッ!!」
「どうしてですか? ミオリネさん、すっごく濡れてるのに……」
スレッタは不思議そうに首を傾げながら、ミオリネの秘部へと顔を近付けた。
「……ひっ!」
スレッタの吐息が割れ目の内部に触れて、ぴくりと身を跳ねさせるミオリネ。
そんな自身の反応も恥ずかしいし、大事な部分を見られていることだって勿論恥ずかしい。
にもかかわらずスレッタは、無遠慮に股間を覗き込んだままで、あろうことか『ピンッ!』と指でクリを弾いてきた。
「ミオリネさんのクリトリス、真っ赤になってカチカチですね。……えいっ!」
「んっ、……ひぃぃぃッ!!」
微かな痛みと共に凄絶な快感に見舞われ、『ひくひく』と秘部全体が戦慄く。
そうして羞恥がピークに達し、彼女はとうとうしゃくりあげて泣き始めた。
「……っ、い……や、も……もうやめて……こんなこと……、もういやよ……。は、恥ずかしいのよっ、分かってよ……! お願い……っ。……う、っく、ひぃっく、ぐすっ、うぅ……あぁ……っ……」
「……ミオリネさん。大丈夫ですよ。うんと気持ち良くなれば、つらいことも恥ずかしいことも全部忘れられますからね……♪」
ミオリネが泣いているにもかかわらず、相変わらずの軽い口調でスレッタは、笑って彼女の割れ目を拡げ、その中身を露出させた。
瞬間、膣の内側に溜まっていた愛液が、どろりと零れ落ちる。
その淫液が尻のあわいへと伝う感覚にさえ感じてしまうらしく、ミオリネは泣きながら甘い喘ぎを漏らした。
「っあ! んっ、んぅ……ッ、ぐすっ、ひぃぃっく、うぅぅ……ッ」
「ふふ、ミオリネさん。善がり泣きというやつですか? どんどんエッチなおつゆが溢れてきますね♪」
「い、いやっ! 言わないで……っ!」
『ぐずぐず』と啜り泣きながら必死に足を閉じようとして藻掻くが、強く拘束されているため思うように動かせない。
そうして大股開きのままで、スレッタにいいように膣とクリとをもてあそばれる。
「ミオリネさんは、あれですね。いやよいやよも好きの内、というやつですね。ふふっ♪」
などと言葉で嬲りながらスレッタは、彼女のクリトリスに吸い付きつつ、膣口へと指の束を挿入していった。
「ッ! い、いや! 待って! お願いっ、私……初めてなの! お願いだから待って! ねぇっ、お願いッッ!!」
必死に懇願し、指が奥深くに入ってくるのを止めさせようとするミオリネ。
しかし揃えた指三本はペニスよりも細く、彼女の狭い膣内を難なく進んでいく。
「うんうん。ぬるぬるに濡れているので、余裕で入っていきますねぇ♪」
「い……いっ、いやぁ! 許してっ! もうやめてぇぇぇッ!!」
泣き叫び、激しくかぶりを振るものの、スレッタの指は容赦なく彼女の最奥──子宮口を捉えた。
「ひッ、ぃ……!」
「やりました、ミオリネさん! 私の指、とうとうミオリネさんの一番奥まで入りましたよ! ……ふふ、今日が私達の新婚初夜というやつですね♪」
……幸いなのは、指の細さのおかげで破瓜の痛みを感じずに済んだことだろうか。
しかしミオリネは、処女を喪失したショックで放心し、声を失くして固まっている。
「…………」
「……あ、ごめんなさい。痛いですか? ならさっきのお薬、おまんこに入れちゃいましょうか。そのほうが直接効くと思いますし♪」
スレッタはミオリネの膣内で指を大きく開き、空洞を作ってその隙間に先程の薬を入れて、そして奥深くへと押し込んでいった。
「んぅっ!? い、いや……! もうこれ以上、何もしないで! こんなに酷いことして……もう充分でしょッ!?」
「酷いだなんて、心外だなぁ。私はミオリネさんに、気持ち良くなってもらいたいだけですよ♪ 痛いとかつらいとか、そういうの全部取り除いてあげたいんです……!」
スレッタはそれが『正しいこと』だと信じて疑わないのだろう。
彼女は彼女なりの優しさ、そして思い遣りで、ミオリネを快楽の淵へと導くべく、膣内で指を『ぐるぐる』と回し、柔肉の熱で薬を溶かしていった。
「っ、あ……! やっ、ああ……いやッ! あンン! あっ、や……っ、んあぁぁ……!」
薬のせいなのか、それとも痛みがなかったせいなのか、それは分からないが、処女を失ったばかりであるにもかかわらず、ナカを掻き混ぜられて気持ちがイイと感じてしまい、ミオリネは甘い声をあげて『ぎゅいぎゅい』と濡れた膣肉でスレッタの指を食い縛った。
「……ん! ミオリネさんのおまんこ、すごく締まってますね! それだけ気持ちがイイってことでしょうか。だとしたら、お母さんがくれたお薬に感謝……ですね。ふふっ♪」
「ぅ……ううっ、いや……! そもそもこの薬……何なのよっ、危ないものなんじゃ……ないのっ? んっ、っく……ぅ、うンンンン……!」
「お母さんがくれたものですから、大丈夫ですよ」
母親に全幅の信頼を置いているスレッタは迷いなくそう返して、ミオリネの体温で錠剤を完全に溶かしてしまった。
「よし……っと。ミオリネさん、これで痛くなくなるはずですよ」
「……い、痛いわけじゃっ……ないんだけど……ッ」
スレッタの優しい笑顔を見ると、憂いなど何もなかった日の記憶が甦り、ふと彼女に対する冷たい仕打ちに申し訳なさを覚えてしまう。
──半ば監禁された状態で薬を用いて強引に処女を奪われて、と。
確かに酷い目に遭ってはいる。
だが助けに来てくれた彼女に酷い言葉を浴びせかけ、傷付けてしまったのは、自分が先であったのではないだろうか。
そう思うとスレッタばかりを責める気にはなれず、居心地の悪さにミオリネは、彼女から顔を背けた。
「……ん? どうかしましたか、ミオリネさん。もしかして……まだ痛い……いえ、痛くはないんでしたね。なら、キツくてつらいのかなぁ……」
心配そうにたぬき眉を下げ、優しく指の腹でミオリネの膣壁を撫でるスレッタ。
そんな心配げな面持ちの彼女を見て、再び懐かしさが胸に込み上げるようで、ミオリネは『きゅっ』と唇を噛み締めた。
(私に……この子を責める権利なんてない)
そう心の枷が緩んだ途端、ミオリネの口から熱い吐息が漏れだしていく。
「……ぁ、んっ、は……あぁっ……」
「……あ、ミオリネさん。良かったです! しっかりお薬、効いてきたみたいですね」
(薬……? あぁ、そうよね……こんなの全部、薬のせいなんだわ……)
スレッタに対する罪悪感と、この快感は薬により無理矢理引き出されたものと、そう思うことで身体が快楽を受け入れ始めたのか、抵抗感が薄れていく。
「ん……っふ、ぁ……はぁ、ん……っ」
「うんうん。どんどんおまんこがいい感じに解れてきますね~♪」
満足げに言いながらスレッタは指をくの字に曲げ、膣奥より少し手前の性感帯──Gスポットを『ぐい!』と強く刺激した。
瞬間、ミオリネの視界が白一色に染まりゆく。
「ひ……ッ、あ……!? あっ、……あああぁぁぁッ!!」
悲鳴まじりの喘ぎをあげて、尿道口からブシュッと銀の飛沫をシブかせるミオリネ。
絶頂に伴う快感よりも驚きのほうが強いらしく、ヴァギナをひくつかせながらも呆然とし、目を見開いている。
「……ぅ、あっ、あ……、はっ、あぁぁ……あッ……」
「わぁ……すごいですね、ミオリネさん! 初めてで潮を噴いちゃうなんて! ……あ、でもお母さんに貰ったお薬のおかげかな? ふふっ」
「し、お……? 私、イったの……?」
「ええ、そうですよ。イくといいなぁ~と思ってGスポットという場所を探して押してみましたが……まさかホントに噴くなんて思いもしませんでした!」
愛しい人を気持ち良くさせることが出来たという満足感からか、にこにこと朗らかな笑みを浮かべているスレッタ。
そのまま彼女は指を動かし、乳房をやわやわと揉みつつ乳首に噛み付いていった。
「んっ! くはっ、ん……あぁ、はっ……だめ! あっ……んんん……!」
一度達したせいで身体が過敏になっているのか、ミオリネは喘ぎを大きくさせて切なげに身悶えするのだが、しかしスレッタは『分かりました』と、あっさり身を離してしまった。
「っ、え……?」
「お母さんが言ってました。あんまりしつこくするのも良くないって」
「……それは、勿論……そうだと思うけど……」
「やっぱりそうなんですね! お母さんが言うことは、いつも正しいなぁ……」
スレッタは『うんうん』と納得したように頷いて、ミオリネの拘束を解いていった。
そうして行為の後始末をし、困惑げに目を瞬くミオリネに衣を着せてやった後、彼女に『ちゅっ』と口付けて──
「私はちょっと出掛けてきますけど、ミオリネさんはゆっくりしていて下さいね」
そう言い置いてスレッタは、部屋を後にした。
「…………」
この部屋に、鍵は付いていない。
だが、この施設の入り口自体に鍵が掛けられているし、廊下の至る所に防犯カメラが設置されている。
ここに連れてこられた当初、ミオリネは何度も脱走を試みたがその都度『治療』と称して鎮静剤を打たれ、この部屋に押し込められた。
(……ここに来て、もう何日になるのかしら)
この部屋には日付や時間が分かるようなものは一切ない。
外部と連絡を取る手段や、世間の情報を知り得る機器も何もなく、あるのは数冊の書籍だけだ。
本は読み終えれば他のものを持ってきてもらえるが、スマホ世代である自分に取って紙媒体の書籍は馴染まず、そして何もすることがなくなれば眠くなるだけで、だが寝ればまた悪夢に襲われてしまう。
(……気が狂いそう)
いつもならそれでも、ベッドで横になるうち、結局寝てしまうのだが、今日はスレッタに飲まされた薬のせいか、身体が火照って仕方がなかった。
「……ぁ、ん……っ」
つい、か細く漏れてしまう声。
一度イかされはしたが、それでは満足できず、寧ろ快感を欲する気持ちに火が点いてしまったようであった。
オナニーの経験がなくはないため、自分で慰めるという手もありはするのだが、それは恥ずかしいと言うより何だか悔しくて、する気にはなれなかった。
(……すると、あの子の思い通りになるみたいで嫌なのよね。それぐらいならまだ悪夢のほうがマシよ……)
そう思い、疼きを沈めるためにと目を閉じていくミオリネ。
やがて彼女は、眠りの淵へと堕ちていく……。