今夜も彼氏を鳴かせたい!~そして俺は彼女に抱かれる~ 作:桃ノ木ネネコ
そして週末。
ユキヤのスマホにこんなメッセージが寄せられた。
『今日7時神社の前にて待つ』
「果たし状かな・・・」
ユキヤはそのメッセージをみて呟いた。
時刻は6時50分。約束の時間まであと10分ほどある。
(結局来てしまったが・・・。)
ユキヤは心の中で思った。
「・・・来てくれたんだね」
「ああ。」
すみれは浴衣姿で神社の鳥居の下で待っていた。「その格好・・・」
「うん、お祭り行くんでしょう?だったら私も行こうと思って」
「そっか。」
「・・・・・」お互い沈黙してしまう。
「・・・あの時は悪かったな」
「え?」
「バカなこと言って・・・悪かった。」
「私も、意地張っちゃってごめんなさい。」互いに頭を下げる。
「・・・それじゃ、行こっか?仲直りのデート」
「おう」
こうして二人は祭りに向かった。
「ああ、あのさ・・・」歩きながらユキヤが口を開く。
「何?」「この前一緒に歩いていた男だけど・・・」
「え・・・まさか見てたの?!」「声掛け辛かったんだよ!」「あー・・・」
「あれ、誰なんだ?」「・・・ただの幼馴染だよ。」
「本当にそれだけなのか?」「・・・どういう意味?」
「別に深い意味があるわけじゃないんだけど。」「・・・」
「なんかお前の態度がいつもと違って見えたから」
「そんなことないと思うけど」
「そうか。」「もしかして、浮気してると思った?」
ユキヤは答えずに目を逸らす。
「大丈夫だよ、蒼ちゃんは地元で付き合っている人がいるから。」
すみれは笑って見せる。
「・・・もう、自分を基準にするから、そんな考えになるんだよ」
「うぐ・・・そうかも知んねぇ」
「でもね、私はユキヤが一番だからね」
「わかってるよ。」
「・・・ならいいよ。」
二人は神社の境内に向かう。すでに多くの人で賑わっているようだ。
屋台も多く出ているようで、食べ物のいい匂いが漂ってくる。
「何か食べる?」「たこ焼きとかどうだ?」「たしかに美味しそうだよね」
「おっ、兄ちゃんたちカップルかい?」
屋台のおじさんに声を掛けられる。
「はい!そうなんです!」
すみれは満面の笑みで答える。
「お似合いじゃないか!おまけしとくぜ」「ありがとうございます!」
「ほらユキちゃん」「お、おお」
ユキヤはたじろぎながらもたこ焼きを受け取った。
「・・・熱いぞこれ」ユキヤは爪楊枝を刺して一口かじる。
「あつっ!」「あーもう、だから言ったじゃん」
「うう、舌火傷した」ユキヤは涙目で訴える。
「はい水、これで冷やしといて」
すみれはユキヤにペットボトルの水を渡す。
「・・・ありがと」ユキヤはそれを受け取って口に含んだ。
「ふぅ・・・なんとか治まった」ユキヤは安堵の表情を浮かべる。
「気を付けないとダメだよ?」すみれは心配そうに言う。
「ああ、悪かったよ」ユキヤは苦笑いしながら応えた。
「さっきの話に戻るけどさ、私達ってお似合だと思う?」すみれが聞いてくる。
「まぁ・・悪くはないんじゃないか?」
「もうちょっと褒めてくれても良くない?!」「いや、だってさぁ・・・」
「まぁ、ユキヤがそういう反応するのは知ってたけどね」
すみれはため息をつく。
「あとさ、その浴衣・・・」ユキヤはすみれの浴衣を指差す。
「どうかな?変かな?」「いや、似合ってるとは思う・・・」
「そっか、良かった」すみれは嬉しそうに微笑む。
「・・・」ユキヤは思わず見惚れてしまう。
「ユキヤ、何ボーッとしてるの?」
「え?ああ、悪い。」
「ユキちゃん、射的やってかない?」
「ああ、いいね」
二人は屋台の景品を見て回る。
「へぇ、結構いろいろあるんだな」「あんまりムキなっちゃダメだよ」
「分かってるよ」二人は銃を手に取る。
「まずは私からね」「おう」
パンッ! コルク弾は見事に棚の上に置かれたぬいぐるみに当たる。
「やった!当たったよ!」
「やるじゃねぇか」「次はユキヤの番ね」「よし、任せな」
ユキヤも引き金を引くが外れてしまった。
「惜しかったねぇ」
「くそぉ、もう一回だ!」
その後も二人は何度か挑戦するがなかなか当たらないようだ。
「難しいねぇ」
「ああ、これは思った以上に難敵だ」
二人は真剣に悩んでいる。
「あ、あのさ、俺が一発で当てたらさ、
何でも一つお願いを聞いてくれない?」
「え?」「い、いや、なんでもない」
「・・・いいよ」
「ええ!?」「いいから、早く撃てばいいじゃない」
「あ、ああ、わかった」
ユキヤは意を決して狙いを定める。
「・・・」
パァン!
「あっ!」
ユキヤが撃った弾が当たり、ぬいぐるみが倒れる。
「おめでとう!はい、これあげる」
店主がクマのぬいぐるみを渡してくる。
「あ、ありがとう」
「ユキちゃん凄いじゃん!」
「い、いや、たまたまだよ」
「でも、嬉しいんでしょ?」すみれはいたずらっぽく笑う。
「・・・うん、まあな」ユキヤは照れくさそうに笑う。
「あ、花火始まるよ」
ヒュ~・・・ドーン!! 夜空に大きな花が咲く。
「綺麗・・・」すみれはその光景に見入っている。
「そうだな・・・」ユキヤはそんなすみれの横顔を見つめている。
「ねえ、ユキちゃん」
「ん?」
「キスしていい?」「・・・ああ」
チュッ・・・二人の唇が重なる。
「んっ・・・」すみれの吐息が漏れる。
ユキヤは無言ですみれを抱き寄せる。
ドン!パラパラ・・・ 大きな音と共に色とりどりの花びらが舞い散る。
「・・・」二人とも無言のままお互いの顔を見る。
そして再び口づけを交わす。
ドォーン・・・
「ユキちゃん」すみれは再び口を開く。
「なんだ?」「私、ユキちゃんの事好きだよ」
「・・・」
「大好き」
「・・・」ユキヤは黙ったまますみれを強く抱きしめた。
「ユキちゃん、痛いってば」
「ごめん」ユキヤはさらに強くすみれを抱きしめる。
「・・・もう」すみれもユキヤを優しく抱き返した。
「なぁ、すみれ」「ん?」
「今日さ、泊まっていかないか?」
「・・・いいよ」
二人は手を繋いで歩き出す。
そしてまだ人で賑わう神社を後にした。
つづく