※この作品はR-18です。

今夜も彼氏を鳴かせたい!~そして俺は彼女に抱かれる~   作:桃ノ木ネネコ

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pixivに掲載時、ちょうどバレンタインだったので・・・。
普通はこういった時事ネタはこちらには投稿しないのですが、
本編にガッツリと組み込める話になったのでちょっと季節外れですが、
こちらにも投稿する事にしました。


第56話:バレンタイン特別編~はじめてのおねだり~(その1)

「んで、彼女との快楽漬けの日々はいかがっスか?」

カウンター席で浅葱がニヤつきながらユキヤに聞いてくる。

「人聞きが悪い上に、そういう事を大きな声で言わないでください・・・」

ユキヤが苦々しく返す。

ここはユキヤのバイト先の喫茶店。この時間帯は店内には他に誰もいない。

 

関係が逆転してから随分経つが、おそらくもうユキヤの身体で

すみれの指と口が触れてない部分はないだろう。

全身隈なく愛撫された結果、 敏感になった身体では

彼女の唇や手から与えられる快感に逆らう術などあるはずもない。

「ふふふ、あれを責められたら、逆らえる男の子はいないっスからね~」

浅葱がしたり顔で言う。

 

「だからそんな事大声で言わないでくださいってば!」

ユキヤが顔を真っ赤にして抗議する。

「あはは、ごめんなさいっス。でも気持ちいいのは否定しないんスよね?

じゃあいいじゃないっすか」

「・・・・・・!」ユキヤは歯ぎしりしながら黙ってしまう。

事実なのだから言い返せない。

 

それにしても浅葱という女性はどうしてこうも明け透けなのか。

しかもそれを全く悪びれずに言うあたりがたちが悪い。

そもそもなんでこんな話題を振ってくるのか。

「まぁまぁ、そう怒らずに。仲良きことは美しきかなっスよ」

「・・・」

ユキヤはジト目で浅葱を見る。

 

「ところで、もうすぐバレンタインっスね。」

浅葱が話題を変えて来た。

「ああ、そろそろですね。」ユキヤが答える。

「うちでもネギのやつが張り切ってるっスよ。」

「あいつ男なのに・・・」

ユキヤがあきれ顔になる。

「教授のために甘くないものを作るらしいっスよ。」

「・・・どこの乙女ですか?あいつは」

ユキヤがため息をつく。

「そりゃあんたらのせいっスよ。」

浅葱は呆れた顔でユキヤを見つめる。

「えっ?俺ら?心当たりがないんですけど」

「ネギのやつは確実にあんたらの影響けてるっスよ」

「・・・???」

ユキヤは困惑した表情を浮かべる。

 

「かつては道ならぬ恋に偏執的な情熱を燃やすヤンデレコミュ障が、

今やすっかり恋する乙女っスよ。」

「・・・でも相手はあの変態教授なんでしょう?」

ユキヤの顔が引きつる。

 

「ま、それはそれとして・・・」浅葱が何か言いかけると

「ああ、バレンタインデー限定メニューだったら、

いつものメガ盛りメニューはありませんけど、

カップル二人で食べる前提のなら浅葱さん一人でも・・・」

「いや、そっちじゃなくて」

「?」ユキヤは首を傾げる。

 

「彼女さんとのバレンタインはどうするっス?」

浅葱はニヤニヤ笑いながら聞いてくる。

「あっ、その話か」

ユキヤは納得してうなずく。

 

「もうすぐっスね。」

「はい。」

「で、当日は何するっスか?全身チョコ掛けプレイとかっスか?」

「しません!しませんってば!」

「ふふふ、冗談っスよ。」

浅葱は楽しげだ。

 

「大体そう言った食べ物を粗末にする系のはちょっと・・・」

「そっちかい?!」

浅葱が思わず突っ込む。

 

「いやまぁ、確かにあれはちょっとどうかと思うっスけど」

「ですよねー」

「じゃあ手作りチョコレートとかっスか?」

「・・・確か、去年はそうだったような・・・?」

「あれ?なんかあやふやっスね?」

「・・・」

ユキヤは顔を赤くしている。

 

「ん~、まさかとは思うっスけど、その日、浮気してたとか?」

浅葱が少し呆れた顔で聞く。

「・・・・・」

ユキヤの顔を見ると冷や汗が流れている。「・・・図星っスね?」

「・・・はい。ほかの子に誘われてケーキバイキング行ってました・・・」

ユキヤは観念したように白状した。まだ関係が逆転する前の話である。

 

「うわぁ、最低っスね」

浅葱が露骨に嫌悪感をあらわにする。

「その後、チョコと一緒に腹パン喰らいました・・・」

ユキヤは力なく項垂れている。「自業自得っスよ。」

「はい・・・」

「今だったら、熱く煮えたぎったチョコを体内に注入されてたところっスね。」

「ひぃっ!?」

ユキヤは青ざめる。

 

「ま、今年はその分優しくしてやるっスよ。」

浅葱は苦笑しながら言う。

「はい・・・」

ユキヤは力なく答える。

 

****

一方大学では、そのすみれと根岸が話していた。

「やっぱりネギちゃんは手作りで行くの?」

「は、はい!お菓子なんか作るの初めてですけど・・・」

「大丈夫だって、レシピ見れば誰でも作れるから。」

「で、でも不安で・・・」

「しょうがないなぁ。私も一緒に作ってあげるよ。

一見女の子二人がキャッキャウフフしてるように見えるが

、片方は男である。

 

「あ、ありがとうございます!」

根岸は嬉しそうだ。

「ところで、あのさ、チョコの材料だけど、どこで買うか決めた?」

「えっと、まだ決めてないんですけど、どこのがいいでしょうか?」

「ん~、近所の大型スーパーとかはどうかな?今の時期、

そういった材料の特設コーナーが出来てるし」

「な、なるほど!」

根岸は感心している。

 

「あと、ちょっと遠いんだけど、業務用の専門店もあるよ。」

「そ、それはどんな感じなんですか?」

根岸は興味津々だ。

「う~ん、ちょっと大きい店だから入りづらいかもしれない・・・」

「そうなんですか・・・」

「ただ、結構種類が豊富でね。」

「へぇ~」

根岸はさらに目を輝かせている。

「あ、もしよかったら、今度案内しようか?」

「ほ、本当ですか!」

根岸はとても喜しそうにしている。

 

「そういえば白石さんは、その・・・今年も手作りするんですか?」

「うん、一応ね。」

「ど、どういったものを?」

「ん~、去年はトリュフチョコ作ったかな・・・」

「おぉ~」

根岸は感嘆の声を上げる。

 

「・・・あと腹パン一発・・・」「?」

「い、いやなんでも。」

「???」

根岸は不思議そうな顔をしている。

 

****

 

「・・・それでよく腹パン一発で済みましたね・・・としか」

翌日、浅葱からの話を聞いた蘇芳は苦笑して見せる。

「ホント、よく別れなかったなって思うっスよ。」

浅葱も同調した。

 

「そう考えるとあの二人は結ばれるべくして結ばれた・・・

と言った感じですね。」

「それが今じゃあちこち開発されまくって

浮気したくてもできない身体にされかけてるっスからね。」

浅葱も苦笑する。

 

「ところで根岸君は何処に行きましたか?姿が見えませんが。」

蘇芳が話題を変える。

「あ、ネギのやつならしばらく来ないっと思うっスよ。

例のアレで、すみれちゃんとウキウキと出かけて行ったっス。」

「ああ、あれですか。彼にも困ったものですね・・・。」

「ひょっとして寂しいっスか?

ここ最近はずっとネギに相手してもらっていたっスからね。」

「い、いえそんな事はありませんよ。私はいつも一人ですよ。」

蘇芳は慌てて否定する。

「ふぅん・・・」

浅葱はニヤリと笑う。

「何ですかその目は?」

「いや別に何でもないっスよ。久々に私が教授に何かしてやろうかなと」

浅葱がますますニヤニヤする。

 

「それは・・・どういう?」

「さぁねぇ~」

浅葱はわざとらしく肩をすくめる。

「まぁ楽しみにしててくださいよ。」

「そ、それは一体どういう事ですか!?」

「ネギじゃ責められなかった部分を、重点的に責めていくっスよ」

浅葱がイキイキとし始める。

 

「くっ、わ、わかりました。受けて立ちましょう。」

蘇芳の顔が引きつる。

「ではまず、男の子が責められたら絶対逆らえなくなる場所を・・・」

「そ、それは・・・」

蘇芳は焦った表情になる。

 

「男に生まれてよかったと思わせるほどの快楽を味わせるっスから、

覚悟・・・もとい期待しててほしいっス!」浅葱は自信満々に宣言した。

「は、ははは・・・」

蘇芳は乾いた笑い声を上げた。

(こ、これはマズい事になったかもしれませんね・・・)

蘇芳は冷や汗を流した。

 

***

 

「あと3日か・・・」

ユキヤはカレンダーを見ながらソワソワしていた。

(去年の腹パンはともかく)ユキヤにとって

精神的に立ち直る切っ掛けになったバレンタインデーは特別なものだった。

「うん、去年のは・・・うっかりケーキバイキングの誘いに乗った

俺がいけなかったんだ・・・」

ユキヤはため息をつく。

 

部屋の入り口付近には、月の予定を書き込むためのホワイトボードがある。

主に今月の予定や、すみれが泊まりに来る日などが書かれているが、

今週はバレンタインデー当日まですみれは来ない。

「楽しみにしてろとは言われたけど・・・」

ユキヤは頭を掻いて悩む。

 

勿論チョコも楽しみなのだが・・・(そのあと何されるんだろうか・・・)

いや間違いなく何かされる・・・

恐怖と不安はあるが、同時にひそかな楽しみでもあった・・・。

いろいろ想像しつつユキヤは自室のベッドに横になり、

条件反射のように湧き上がってくる妄想と戦っていた。

(俺はもう、すみれなしではいられないのかも・・・)

パブロフの犬だってこうはいかないだろう。

ユキヤは悶々としながら寝返りを打った。

 

****

 

同じ頃。

すみれは根岸と大型スーパーに買い物に出ていた。

バレンタインチョコの材料を買うためだ。シーズンだけあって、

店内にバレンタイン用の特設コーナーが設けられている。

 

「えっと、生チョコの型にココアパウダーを振って、

チョコペンでメッセージを書けばいいんですかね?」

「うーん初心者なら材料も道具も全部そろってる

キットを使うって手もあるよ。」

 

すみれと根岸は特設コーナーでチョコを物色している。

「あぁそれもいいですね!じゃあそっちで・・・」と言いかけるも、

「でも、やっぱり手作りチョコに

チャレンジしたいって気持ちはあるんです。」

根岸は目を輝かせながら提案する。

(なんか・・・テンション高いなネギちゃん)

すみれはそのハイな根岸にやや引き気味になる。

普段冷静なだけになおさらそう感じる。

 

「白石さんはどんなチョコを作りたいんです?」

根岸はウキウキとした口調で訊ねる。

「うーん・・私は、インパクトがあって印象に残るやつ作りたいな。」

「白石さんにしては珍しく抽象的な言い方ですね。」

「いや、ユキヤってことチョコに関しては来るもの拒まずというか・・・

とにかく誰からでも何でもかんでも貰ってくるのよ。」

「ほう?」

「だから下手なもの作ると、そう言ったチョコの中に

私のも埋もれちゃって、記憶に残ってくれないと思うの。」

(それで去年ケーキバイキングの誘いにホイホイ付いていくような奴だからなぁ)

 

「なるほど・・・」

「それに、ユキヤには『私が作った』っていう特別感が欲しいなって。」

「ふむ・・・」

根岸は腕を組んで考える。

「ホント凄いんだよ。学校の女の子たちは勿論、同じバイトの人たちとか

行きつけの美容院の美容師さんからとか・・・」

「へぇ~」

「バイト先では店長にまで貰ってきててさ・・・」

「それはすごい!」

「お返しどうしようか悩んでるみたいで、

バイト中ずっと上の空だったりしてね。」

「うわぁ・・・それ食べきれるんですか?」(あの人も相当だな)

 

「食べてるの・・・全部」

 

「うえっ!?」

「まぁ、貰ったものは全部食べる主義らしいんだけど・・・

好きだから苦じゃないらしいし」

「律儀ですねぇ・・・」

「うん、そこだけは尊敬できるかも。」

 

「いや、そこはじゃないですよ。そこ以外はダメでしょう。」

「それであいつ1gも太らないのよ!なんなの!おかしいでしょ?!」

すみれは激高する。変なスイッチが入ったらしい。

「そりゃ確かに羨ましいですけど・・・」

(ひょっとして茶木さん、浅葱の奴と同じ体質?!)

 

根岸はちょっと引くも、気を取り直し

「白井さん、まずは落ち着いて。論点がずれてます!」と諭した。

「あ、ごめんなさい。つい取り乱しちゃった。」

すみれは恥ずかしげに頭を下げる。

 

「いえ、大丈夫です。それで、

具体的にどういうチョコを作りたいんですか?」

「それが、特に決まってなくて・・・

ただユキヤにあげたら喜んでくれるようなものって思ってるの。」

(うーん・・・これは難しいぞ)

根岸は頭を捻らせる

「・・・だったら一緒に探しましょうよ?このコーナーだけでも

商品が結構な量ありますし、ボクの分と一緒に考えるのもありですよ」

「そうね。じゃあ、お願いします。」

すみれはぺこりと頭を下げた。

 

(しかし今日のネギちゃん、めっちゃ乙女だな・・・)

「・・・はい、分かりました。任せてください。」

根岸はそんなすみれの様子に微笑みながら返事をした。

そして2人はバレンタイン用のチョコレートを探し始めた。

 

****

そして1時間後。

「ネギちゃんはチョコブラウニー作るの?」

「はい、これなら結構簡単に作れそうで、

溶けないので、仕事中でもつまみやすいし」

根岸はチョコブラウニーのキットの箱を手にしていた。

 

「いいわよね、チョコブラウニーは。」

「はい、それにチョコ系だとあまり甘くないし、

男の人でも食べやすそうだし。」

「わたしはまだ決まらないや・・・」すみれはちょっと寂しそうに言う。

「あの、思ったんですけど・・・白石さんは下手に意識せずに

自分が作りたいもの作ればいいのではと思います。」

「え?!」

「きっと茶木さんにとっては、白石さんが作ったってだけで、

それが一番で特別ですよ。」

「そっか・・・。ありがとう。頑張ってみるわ!」

すみれの顔はパッと輝くように笑顔になった。

その顔を見て根岸は安心する。

 

「それにしても、今日のネギちゃんは乙女だねぇ」

すみれはニヤリとした顔で根岸に話しかける。

「ちょっ・・・それはもういいですから!」

根岸は照れ臭く目を逸らす。

「ふふ、冗談だって。」

すみれはいたずらっぽく笑った。

 

つづく

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