目覚めた時、そこは四畳半程度の広さしかない土壁の部屋がある。
部屋の中心には質素な装飾の台座があり、部屋全体を青色に淡く照らす水晶石が宙に浮かべられていた。指先で触れる、冷たくも温かくもない。部屋を見渡せば、見事なまでに土一色。壁は先述した通り、床も天井も土で覆われていた。まるで地面の中を真四角に繰り抜いたかのような空間だ。地面に小石などは混ざっておらず、思っていたよりも踏み心地が良い。
ここで漸く、気付いたのだが、僕は今、全裸だった。
膨らみかけの胸があり、細くなった手足、綺麗な指先。丸みを帯びた胴体にへその窪みがあった。僕は男だ、しかし今は女になっていた。誰も居ないのに、なんとなしに気恥ずかしくなって手で胸を隠す。秘部を隠すように、ぺたんと女の子座りをし、恐る恐ると改めて周囲を見渡す。変化はない。空気穴のようなものはなく、なんとなしに肌寒かった。
はあ、と零した吐息が艶めかしい。聞き慣れない声に身震いしそうになる。
どうして、僕は今、こんな状況に置かれているのだろうか。
思い出す、昨日までの事を想起する。
僕は、特別というほどに特別でもない男子高校生、だったはずだ。
とある日の事、授業を終えた下校道、横断歩道。隣になっていた中学生ほどの少女、今の僕よりも少し大きいくらいの子が、ふらりと車道に跳び下りるのを見た。
まだ信号は赤だった、絶妙なタイミングだった。今にして思えば、自殺しようとしていたとしか思えない。法定速度を走るトラックの直ぐ前に立った自分よりも幼い少女を見た僕は、考えるよりも先に彼女の肩を掴んでいた。そのまま力一杯に彼女を歩道へと引っ張ってやれば、代わりに非力で小柄な僕の身体が車道へと放り出されてしまった。
瞬間、少女と視線が交わった。困惑する彼女の顔を見て、僕は安心させるように笑いかけた。
ぐしゃり、と強い衝撃と共に僕の意識は喪われる。
そして今、気が付けば、土壁の部屋の中にいる。
いや、ここに来る前に誰かと話していたような気がする。でも記憶に靄がかかっているように思い出せなかった。覚えているのはひとつだけ「其方には、ひとつの権能とみっつの素質を与える」という言葉だ。ひとつの権能というのは、なんとなくわかる。手を前に突き出して「ブック」と口にすれば、皮表紙の値が張りそうな分厚い本が手元に現れた。それはもう何もない空間より、ポンと現れる。表紙には「Dungeon Master.」と金箔で書かれていた。普通の本ではない。その本が放つ気配というか、なんというべきか。兎も角、手に吸い付くような不思議な感覚があった。まるで自分の身体の一部のようだ。
本を開いてみれば、中身は魔導書であり、僕の知らない文字の羅列が刻まれている。
でも読む事は出来る、使い方も分かった。そして、これが僕に与えられた権能のひとつであり、この先、僕がやるべき事でもあった。今はまだ四畳半の世界、これが僕に与えられた領土であり、これから先に発展させていく事ができる。最低限の生活も整っていない環境、より良い生活を営む為には、少しでも多くの
だが、それ以上に手っ取り早いのは、人間にダンジョンまで足を踏み入れて貰う事だ。
それも強ければ強い方が良い。殺せば、更に効率が良くなる。ゲームのRPGでいうところの経験値が今、部屋の中心にて淡く光る水晶石に溜まる仕組みになっており、それを用いる事でダンジョンを拡張したり、改良を加えたりとできるようになる。
後は新しく魔物を召喚してみたりとか、これは重要。こんな場所で一人きりとか頭がおかしくなる。
部屋の環境を整えるよりも先に、予め水晶石に溜まっていた魔素で召喚を試みる。
魔物の質は、召喚に費やした魔素の量で決まる。とはいっても、ほとんど運だ。魔素の量を増やしても上限が決まるだけで下限はない。でも今回は初めての召喚という事もあり、予め最低値よりも多めの魔素が設定されている。それは最初から本に込められていた魔素であり、今、水晶石に溜まっている量よりも多くの量があった。
それを用いて召喚する、水晶石を中心に魔法陣が展開される。
五芒星だ。魔力の奔流、魔法陣が拘束で回転して部屋全体を眩く輝かせた。網膜が焼き切れるかというほどの光、思わず目を閉じてしまった。まだ瞼を開けられずにいると、顔を挟み込む柔らかい感触があった。薄っすらを目を開ける。すると、その、豊満に膨らんだ胸が僕の目の前にあった。視線だけを上に向ける。うっとりとした顔の綺麗なお姉さんが、僕の事を見下ろしていた。甘ったるい香りがする。
そして僕のお腹に押し付けられているブツがあった。
「可愛いマスター、私のマスター。尽くしましょう。愛しましょう。私を呼んでくださり感謝もしましょう」
僕に与えられたのは、ひとつの権能、みっつの素質。
素質のひとつは、魅了。無条件で相手に好意を抱かせるというものだ。催眠作用もあるし、催淫作用もある。不便な事に、無条件に発動する。でもまあ、ある一定以上の実力があれば、跳ね返せるものでもあった。中には、あえて掛かる奴もいるみたいだけど……例えば、そう、目の前の魔物だとか。もうひとつは、召喚した魔物全てが夢魔化してしまうというものだ。夢魔化した魔物は、好意を抱いた相手の嗜好に合わせる為、ある程度、自分の性別を変える事ができる。例えば今、僕のお腹に押し当てられているものが、それだ。抱き締められたまま、押し付けられている陰茎を両手で押し返そうとすれば、その亀頭。鈴口からぬらりとした液体の感覚があった。最後のひとつは催眠能力、暗示と言い換えても良い。これは単純に対象を催眠する事ができるというものだ。誰か、相手に掛けるには、ちょっとした手間がかかるけど、常識改変から命令に従わせることまで、催眠っぽいことならなんでもできるものだ。
とりあえず、この与えられた権能と素質で、今の状況を切り抜けなきゃいけない。
「ま、待って……」
「待てません」
「良いから待ってよ」
夢魔の身体にも勿論、催淫作用はある。
胸の動悸が激しくなる中、やっとの思いで彼女の身体を引き剥がす。前に立たせれば、彼女の顔が豊満な胸で見ずらかった。僕が少し身を屈めれば、その巨大な胸の下に頭を置ける程度の身長差。頭には角が生えている。青紫色の肌、大きく肌を晒した淫靡な肢体。蝙蝠の翼、先端がハートの形をした尻尾。衣服は下着のようで、水着のようでもあって、隠しているのは本当に必要最低限の布面積だった。そして勃起した陰茎は、パンツの中に隠せておらず、少し身を屈めれば、自分の胸で扱けてしまいそうな程に大きかった。
夢魔化するまでもなく、彼女はサキュバスだ。インキュバスかも知れない。
やるべきことは分かっている、出来る事は限られている。
好奇心よりも恐怖の方が強かったけど、本を開いた時、流れ込んで来た知識の中に外の世界の勇者という存在を知った。それを知った僕は、常軌を逸した、その強さに恐怖した。だから僕は決めたのだ。このダンジョンは永遠に封鎖する、外には繋げない。少なくとも、今はまだ、しかし、それでは魔素を集める手段がない。召喚した魔物を維持する為にも魔素は必要だ。
そこで重要になるのは夢魔の特性、夢魔は淫靡な行為によって、体内に魔素を生み出すことができる。
そして今の僕の身体は、ダンジョンそのものと言っても良い。
魔素を貯めるには、この肉体に魔素を取り込めば良いのだ。
……でも、これは流石に……手を前に出す、その亀頭に手を添える。片手でも手に余り、両手でやっと包み込むことができた。AVを見た事はない、他の人の陰茎なんて分からない。
だけど、これは、現実的な大きさではなかった。
「心の在り方が、そのまま形と大きさに表れるのです」
頭を抑えられる。亀頭に顔を近付ける、むわりとした雄の臭いがした。
胸の動悸が抑えきれない。息を吸い込めば、吸い込むほどに意識が蕩けてしまいそうだった。
もう陰茎しか見えない。溢れ出す我慢汁に、ゆるりと口を付ける。
しょっぱい、味がした。それが、癖になる味だった。
「ああ、そういえば、マスターはキスを済ませているのでしょうか?」
亀頭の半分も咥え切れていない。彼女の言葉に首を傾げれば、あらあら、と彼女は頬に手を当てる。
「ゲームブック。その皮製の魔導書には、貴女の履歴を確認する事ができます」
僕は、くらくらとした頭で彼女へ一時的に本を扱う権利を与える。
あらまあ、と呟く彼女は渡された本を手に取り、その項目のひとつを指で差して彼女の陰茎を頬張る僕に見せつけた。
「貴女は前世でも初心だったのね。ファーストキス、私の陰茎で登録されちゃったわよ」
それを見た僕は、彼女の尿道に溜まっていた我慢汁をズズッと吸い出した。
たぶん、この時にはもう、僕は彼女の催淫に掛かっていたようだ。もっと欲しいと身体が疼いた。
身を捩る。もどかしい気持ちを、どうすれば処理できるのか分からない。
「いいえ、貴女には分かっているはずです」
彼女は土の上に座り、僕は彼女の腰に跨った。
荒い息が漏れる。何時までだって舐め続けられそうな陰茎、その長さは僕の胸元近くまである。
魔導書には、力がある。無条件に魔物を従わせる事だって可能だ。あんまりやり過ぎると裏切りにあったり、勝手に帰ったりすることもあるらしいのだけど──僕は彼女の身体の上に立った。痛くないかなって思ったけど、彼女は余裕の笑みを浮かべている。まだ何人も侵入させたことのない秘裂に亀頭の先端を添える。
ダンジョンマスターとして、パチパチと痺れる頭で彼女に初めての命令を下す。
「三日後まで、使い魔の貴女が僕の御主人様。肉便器としてゴミのように扱ってください」
言った後で両脚の力を抜いた。
これが最適解、これが今できる最短距離も道。最も効率的に魔素を集める為の手段、そう信じての行いだった。
──はずだった、のだけど。ボコンと膨れるお腹、その衝撃に視界が白く弾けた。
「あ……れ……? ぼ……くは、なに……を……?」
知らない間に掛かっていた洗脳。何が起こっているのか一瞬、理解が及ばなかった。
僕の太腿に手が沿われる。まだ陰茎は半分程度しか入っちゃいなかった。それでも僕の奥まで貫かれており、内臓が押し上げられている。待って、とは言葉にはならなかった。目で懇願する。これ以上は入らない。僕、死んじゃう。サキュバスな彼女の手が震える。彼女の顔を見た、何か必死に抗おうとしているようだった。でも、それも束の間、彼女の極太の陰茎は僕の身体の更に奥、子宮を抉り、内臓をそのものを押し上げる。
人間の身体ではなかった。まるで弾力のあるゴムのように伸びる。思えば、こんな太いものを受け入れているのに陰裂は裂けちゃいなかった。でも膜はあった、それが全部、破られた。痛い、その上に苦しい。身体の半分以上を支配する異物感、固くなった陰茎が私の背骨以上に体幹を支えている。ずっぽりと根元まで咥えこんでいることが、身体の外からでもよく分かった。
手足がピンと伸びる、パクパクと口を動かした。声は出ない、胃と肺が圧迫されている。呼吸もままならない。
「もっと優しく扱うつもりだったのだけど……ごめんなさい。でも、あんなことを命令しちゃうから……ゴミのように扱えって言っちゃうから……」
サキュバスが上半身を起こし、僕の身体を抱きしめて固定する。
彼女は、ぶるりと身を震わせた。そして温かいものが子宮に注ぎ込まれる。
チョロチョロと、ありえないものが注がれていた。
「尿にも魔素は含まれていますので、無駄にはなりません」
ただでさえ苦しかったお腹が更に膨らんだ。
許容量を超えた分が股から零れ出す。十秒は優に超えた、二十秒、三十秒近い時間。それだけの量を注ぎ込まれた。
まるで道具のような扱いに、唖然とし、ぽけっとしていた。
僕の股下から陰茎が抜かれる。膨らんだお腹から刺激臭を伴う黄色い液体が、だぱあっと溢れ出す。
白い湯気の立つ水たまりの上で、本当に彼女は、僕を便器として使った事を強く認識した。
「それとマスター、迂闊な契約なんて結ぶものではありませんよ。例え、それが催淫の上、魅了に掛かっていたとしてもです。正直、想定以上の言葉を頂けて、驚きました。元からそういう素質があったのかも知れませんね。なので、これは愛のある授業料として────」
──ゴミになってみましょう。
そんな事を言われてしまった。
べしゃり、と俯せで地面に叩き付けられる。液体があった、つい先程まで自分の膣に入っていたものだ。自分の長い髪が尿に触れて、沁み込んでいく感覚があった。勿体ない、と感じてしまった。全てが地面に吸い込まれてしまう前に舌を伸ばす。ざらりとした土の感触に尿の少ししょっぱい味がする。腰に手を添えられる、威圧感のある大きなブツが穴に宛がわれる。そして、ゆっくりと押し込まれる。
最初は、入る訳なんかないと思った。
裂けるかも知れない感覚にギュッと目を瞑る。でも、僕のお尻は、僕の意に反して大きく広がり、思っていた以上に緩く広がってしまった。ずりゅん、と一気に何かが入る。陰茎の最も大きく膨らんだ部分が、身体の中に収まったのを感じ取った。未知の感覚に、プシャッと尿が垂れる。両足が小鹿のように、ぷるぷると震え出した。
無意識にキュッと締められる窪みは、欠片ほども小さくならなかった。
「あ……はッ! やば、締め付けが良過ぎでしょ?」
更に奥に押し込まれる。もっと奥に言えられれば、お尻に入った陰茎の膨らみ表面に表面に現れる。もっと奥まで差し込めば、人が辿り着いてはいけない場所まで入り込んだ。僕のお尻に彼女の太腿が当たった時、僕はもう前の手で地面に触れる事すらできなくなっていた。彼女の陰茎が僕の身体を持ち上げている。「あっは♪」と笑う彼女が腰を上げれば、僕の脚は爪先立ちとなり、そして、遂には地面に立つ事もできなくなった。背面立位の姿勢、身体の内側から支えられている。そのまま彼女が腰を前に突き出す、すると中に入っていた陰茎が上向きに跳ね上げられて、全身が仰け反った。僕の身体を支えているのはお尻の穴だけだ。勿論、それだけでは僕の体重を支えることなんてできやしなかった。まだ残っていた数センチメートル、ズンッと奥の奥まで彼女の陰茎が入り込んだ。胸元の近く、心臓すらも押し上げる。
「亀頭に心臓の鼓動を感じちゃうんですけど……やっば、新感覚♪」
僕の口から泡がぶくぶく噴き出す。それでも構わず、彼女は僕の両脇に手を入れて、ゆっくりと持ち上げる。
異物感から解放されて、お尻の穴から陰茎を抜く感覚が心地よかった。そうして亀頭のカリの部分がお尻の穴に引っかかる。全部、引き抜かれる事はなかった。引き抜くつもりもなさそうだった。代わりに彼女の先端がハートの形になった尻尾が、僕の膣口に添えられる。
横目に、彼女の顔を見た。満面の笑顔だった。ふるふると僕は首を横に振る。
「命令もなしに、私のおしっこを舐めちゃうような子にはお仕置きが必要だと思わないかしら?」
そんな無情な言葉と共にパッと手を離された。
そこから先の記憶は曖昧だ。強い衝撃に意識が飛んだ。次に目覚めた時は頭が痛かった、物理的に。髪の毛を掴まれて、顔を持ち上げられているようだ。目の前には陰茎があった、生臭い臭いがする。全身の怠惰感、お腹の中には大量の何かが溜まっている感覚がある。僕は、眼前に用意された御馳走を前に、鈴口を咥える。生臭い味がする、美味しくはない。でも、舌先で鈴口の中を刺激する。まるでそうするのが正しいことであるかのように、ごく自然にそうしたのだ。
熱い、液体が、注がれる。
精液ではない、しょっぱい味がした。さらりとした液体を口から漏らさないように喉を立てて、飲み干す。僕は今、おしっこを飲まされている。飲み込めなかった分が鼻から溢れ出し、思わず鈴口から口を離してしまった。慌てて口を付け直す、頑張って飲み干そうとする。でも、噎せてしまって、尿が胃に入ってくれなかった。
結局、半分以上を零してしまう事になる。
「次、飲めなかったら、もっとひどいことをするって言いましたよね?」
記憶にない、意識が飛んでいた。
初めて精液を注がれた感覚も覚えておらず、全身に付着した白濁液が今までの蹂躙劇を物語る。
手足に力が入らない。トンと肩を押されれば、仰向けになる程度には疲弊しきっていた。
「排泄なんて必要ないのだけど……ああ、でも、魔力の塊ではあるので、ちゃんと飲み干すこと」
目の前には彼女のお尻があった。ゆっくりと降ろされるそれを、僕はなんとか逃れようとした。
「マスター、命令です。大きく口を開けて、全てお腹に溜め込むこと」
もう逃れる手段も失われた。
大きく開いた口に彼女のお尻の穴が宛がわれる。
何度か窪みをひく付かせた後、それは排泄された。
意識はあった。でも、よく覚えていない。
その全てを、僕は、受け止めきった事だけは、確かなようだ。
もう、僕は、人だった時の感覚を、思い出せない。
「まだ半日も経っていないわよ」
僕は、人間でいる事を、辞めた。
◆
目覚めた時、そこは四畳半程度の広さしかない石壁の部屋があった。
部屋の中心には質素な装飾の台座があり、部屋全体を青色に淡く照らす水晶石が宙に浮かべられている。また壁のひとつには鉄製の扉があり、取手を捻ると別の部屋に繋がっていた。大広間、真っ白な壁紙にフローリングの床。中心には高価な食卓が置かれており、それを囲うようにソファーが並べられている。
ソファーには、三人の女性が腰を下ろしていた。
犬耳に犬の尻尾を付けた狼娘、全身が青く透き通るスライム娘。そして頭に角を生やした蝙蝠の翼を持ったサキュバス。まあ、三人が三人共に夢魔属性を持ったサキュバスなのだが、生粋のサキュバスなのは彼女だけだ。三人は僕の眷属であり、僕の配下でもある。ダンジョンマスターである僕の命令であれば、なんでもいうことを聞いてくれる。
まあ、そんな卑怯な真似はしたいとは思わない。彼女達が僕に好意を持ってくれているのだって、僕自身が持つ魅了の効果もあっての事ってのは重々に承知しているつもりだ。青紫色をしたサキュバスの彼女、名はリリス。彼女は僕を手招きし、歩み寄る僕の唇にキスをする。これは夢魔の特性故、肌の触れ合いや唾液の摂取で体調を整えているという話だ。
僕専用のソファーに腰を下ろす。すると銀色の毛並みをした狼娘が隣に近寄り、僕の子供特有のぽっこりとしたお腹を優しく撫でる。反対側にスライム娘が腰を下ろして、僕の左腕を取り込んだ。少し擽ったい、腕全体を揉まれている感覚だ。これもスキンシップの範疇、ちょっと過剰なように思えることもあったけど、海外じゃキスやハグは当たり前という話もある。異世界ともなれば尚更の事、郷に入っては郷に従えって誰かも人も言っていたので、好きにさせている。
これが彼女達にとって、当たり前のコミュニケーション。所謂、役得というものだ。
このダンジョンは、まだ外に繋げていない。
大広間には、幾つもの扉が備えられている。これは台所や浴場に繋がっているものであり、トイレもある。集団生活の為、浴場は複数人で入れる程度には大きいし、トイレは公衆トイレを模した内装になっていた。また扉のひとつは各々の私室に向かう為の廊下に繋がっており、集合住宅のように左右で十個程度の部屋が用意されている。増築は可能、僕の部屋は一番、奥にあるのだけど、ほとんど使う事はなかった。部屋はまだ小さくて一人辺り四畳半だ、これもまた後で拡張する予定がある。
部屋の設置と拡張は、ゲームブックと呼ばれる革製の魔導書を用いる事で可能となっている。
他にも様々な事が行える為、頻繁に活用している。例えば、食料や飲み物の調達とか、娯楽品の購入とか。何故か僕の世界にあったテレビゲームやパソコンを購入することもできれば、この世界特有の技術である魔法が用いられた道具もリストに加えられている。このゲームブックは複製し、権限を制限した上で使い魔の皆にも配布していたりする。得られた魔力をお小遣い代わりにし、好きなものを購入できるようにしてある。
土壁だけだった頃に比べると、随分と快適になったものだ。
基本的に、地底の中に引き籠ると決めた僕達のやるべきことは少ない。
充分に魔素が集まる度にダンジョンを拡張し、少しずつ生活環境を整える。といった程度の事しかやるべき事がなかった。大広間で怠惰な時間を過ごした後、サキュバス娘のリリスに手招きを受ける。柱時計の針を見た、もう8時を回っていた。僕はスライム娘と狼娘の二人とキスをした後、彼女に手を引かれるまま、大広間を出る。大広間にはカレンダーがある。カレンダーには僕の使い魔の名前が書いてあり、その日の僕の所有権が決められていた。朝の8時から夜の8時までは僕の時間帯、それ以外の時間帯は僕の所有権は僕にはない。そう決まっている、そう決まっているから僕は従わないといけないのだ。彼女の色香に誘われて、今夜もまた彼女と添い寝をする。
夢魔は肌の触れあいや唾液の摂取で体調を整える。だから、これは御主人様である僕の大事な役割なのだ。
使い魔たちの部屋が並んだ廊下を歩いている、ひとつは鉄扉になっていた。
ここは地下室になっている。拷問室でもあり、懲罰室でもあった。三角木馬は勿論、磔台もあれば、水責め用の設備もある。新しいものが入荷される度に、その使い心地を僕は堪能していた。そうだ、確か、昨日も僕は、全身を拘束されて、四肢を失う事になり、意識を失って、気付いた時には、あの水晶石のある部屋に居た。とても気持ち良かった気がする、とても痛かった気がする。よく、思い出すことが、できなかった。
彼女の部屋の扉が開けられる。
その中に一歩、足を踏み入れた時、脳裏に直接叩き付けられる記憶の奔流にビクンと身体が強張った。
ああ、そうだ。忘れていた。久しく、忘れていたような気がする。彼女の陰茎に蹂躙される悦びを、彼女の手に触れるだけで全身を貫くような快感を、この部屋の中で行われた淫靡な行為の数々を思い出す。僕は全裸だった、どうして気付かなかったのか分からない。でも、それが今の僕に相応しい姿でもあった。目を細めて、僕を見下ろす彼女の顔を見て、許可なく彼女の肢体を見ることすら烏滸がましい、と地面に額を擦りつけて平服する。
僕の素質のひとつに催眠がある。
彼女に堕とされることを自覚した僕は、淫靡な記憶は全て自己催眠で封印した。思い出すのは、その人の部屋に赴いた時。他にも思い出す設定になっている部屋はいくつかあったはずだけど、今の僕には思い出すことができない。分かるのは今、僕には彼女達を従えるだけの力がない。彼女と僕を繋げる関係は、肉便器。彼女は性欲の履け口として、ただただ僕の事を使い潰す。ただただ蹂躙される。
その事を思い出した肉体は、チョロチョロと尿を垂れ流す。
これから行われることに恐怖している。
「先ずは私の足を舐めなさい」
そして、心は期待していた。
差し出された足の爪先にキスをした僕は、その指に舌を這わせる。昼間の時の記憶はある。忘れている時の記憶は、はっきりと覚えており、確かに人として扱われていた時間が今の僕に嫌悪感を示す。でも、記憶を忘れる度に再生成される尊厳を踏みにじられて、跡形もなく破壊されることが何もよりも心地よいのだ。
人間を辞める。これに勝る快感はなかった。
・僕(本名未定)
女神のせいで女体化した元男子高校生。
現在は肉体年齢的には、中学一年生程度。小柄なので映画館で小学生と言い張れば、小学生料金で行けるんじゃないかってくらい。胸はない訳じゃないけども、あるっていう程でもない。
黒髪黒瞳なのは前世の名残、髪が背中を隠す程度まで伸びている。自分で手入れはしないけども周りが勝手にやってくれる。髪型と服装も同じ、魔物娘の趣味と性癖と性欲で決められている。
実は当代の魔王。まだ魔王ではないので、次期魔王ともいう。
前世時代、文化祭で女装をした時に女子を間違われた経験を持っている。
なんなら街中で男装をしていたのにナンパされた事もある。
ホワイトデーとかハロウィンにお菓子を自作してきて配ったりする子。
勿論、男にも配っているので、偶に勘違いされる。
趣味は料理。