あけましておめでとうございます
ちょっと年末から仕事が忙しかったり、応援してる漫画が打ち切り寸前でテンション下がってたりで執筆が滞っております。
何とかペースを上げていく所存ですので今年も宜しくお願いします。
ーーー征服歴1501年6月 スペイサイド州北西部カルメリア基地ーーー
レナが基地内の案内を買って出たエリカと共に部屋から去り、それを契機に海軍陸戦隊の士官達や龍驤大隊の士官達も続々と退室しようとする中で、最後まで部屋に残ったフリッツは懐から取り出した手紙をアレクへと手渡す。
「あー…ウォーカー中佐、こちらミスト侯からのお手紙です」
「何故今渡す?」
「……中佐がボウモア准尉の秘書官着任を認めたら渡すようにと言われていたので」
「………」
心底申し訳なさそうにフリッツが顔を逸らし、アレクは不機嫌そうに顔を顰めた。
「それでは、僕はこれで」
「ああ……あー…フリッツ」
「…?」
気まずさを誤魔化すように敬礼し踵を返したフリッツの足を、アレクは歯切れの悪い声が止める。
不思議そうに振り向いたフリッツへ、アレクが頭を下げる。
「ありがとう」
「……ええ、どういたしまして」
仮面に隠れたアレクの表情はフリッツには分からない。
たが少なくとも、アレクの真摯な態度に嘘は無いと、短い期間ながらアレクと友人として接したフリッツには理解出来た。
故に苦笑気味に微笑みながら、アレクの不器用な感謝を素直に受け止め改めて部屋を後にした。
「さて……」
フリッツを送り出したアレクは大隊長室で一人、フリッツから手渡された手紙の封蝋を割り、高級な羊皮紙に記された流麗な筆致の文章を読み始めた。
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「取り敢えず、女性用区画は一通り周り終えたわね」
「困った事があったら言ってくださいね」
「ありがとう御座います、リガール大尉、ヘイデン中尉」
案内を買って出たエリカと、彼女だけだと心配だからと付いてきた兵站幕僚のヘイデン中尉(施設に一番詳しい)にレナが深々と頭を下げる。
一通りの案内を終えた後、士官食堂で茶菓子を摘みながら、女子(?)三人は和やかに情報交換と言う名の女子会と洒落込んでいた。
「しかし驚きました……私は民間採用なので前線には出ませんから知りませんでしたが、殺気って本当に感じられるんですね」
「あー…あれはねぇ……」
つい先程の大隊長室での一幕を思い出して冷や汗をぬぐうヘイデン中尉の愚痴に、エリカが
「一応訂正しておくけど、アレクは実戦であんな露骨に殺気出して相手を威圧しないわよ?」
「そう…なんですね」
「アレクって結構面倒臭がりだから、
上流貴族のお嬢様らしく上品にクッキーを摘みながらも、その発言は実戦を経験した士官らしく血腥い。
そんなエリカの言動に僅かに顔色を蒼くするレナに、エリカは困ったように微笑む。
「だから私もちょっとびっくりしたの。だから改めて聞いてもいいかしら、レナ?」
「えっ?」
「貴女がここへ来た理由よ。貴女がアレクに言った決意は本物だと私も思うわ、でも前に王都で会った貴女なら、きっとアレクに迷惑をかけないよう、自分の想いを押し殺したはず。だからアレクは貴女を本気で殺しかねない程に脅したんじゃないかしら?」
同性ですら見惚れる程に美しく輝く黄金の瞳が、驚愕と困惑で揺れる翠色の瞳を見据える。
「それは……」
「あ、もしかして
「っ!? い、いいえそういう訳じゃないんです!」
エリカの指摘をレナは慌てて否定する。
「だだ、その…」
「…?」
「口止めされている訳では無いのですが…その……、ミランダ様の言い回しが独特過ぎて、捉え方によってはリガール大尉を批難する内容になるかもと」
「あー…そういう事ね。大丈夫よ、それも含めてミランダおば様が
申し訳なさそうに目を伏せるレナに、エリカは優しい笑顔で続きを促す。
「『
「ふぅん……ありがとうレナ」
恐る恐る、ミランダの
「大丈夫よレナ、何となく意味は理解出来たし…まぁ、ミランダ様から私とアレクへのお叱りだけどね〜」
「お叱り、ですか…?」
「あはは……最近好き勝手やり過ぎたし、ミランダ様は私達の後見役だしね」
エリカはカップに残った冷めた紅茶を飲み干し、自身とアレクの
「私やアレクなら出来て当たり前、無茶でも無謀でも無くとも他の人にとってはそうじゃない。ミランダ様は
「は、はぁ……」
一人で勝手に頷くエリカに困惑しながら、レナが曖昧に頷く。
「ということで、改めて宜しくね。レナ・ボウモア准尉殿?」
「は、はい。エリカ・リガール大尉殿」
エリカが手を差し出し、レナは迷わず、その女性にしてはゴツゴツとした堅い掌を握った。