「はぁ〜、食べた食べた。」
女子たちが入浴を済ませるまで、まだ時間はあるだろう。しばらく横になるか。
ドン!!!
いきなりノックも無しに部屋の扉が開いた。こんなことするのは一人しかいない。
「おい、のび太。」
「ん?」
「寝てないで、起きろ。」
「???」
ジャイアンは興奮気味にのび太の腕を掴むと、そのまま部屋を飛び出した。
「どこ行くの?」
「いいから来い!!」
そう言って階段を降りていく。一体どこに行こうというのだろう?
「察しが悪いな。阿保か、お前は・・・・・」
呆れたようにジャイアンとスネ夫がため息をつく。
「いいか、よく考えろ。今、アカメちゃんたちは何をしていると思う。」
「何って、お風呂に行ってるんじゃないの?」
「そう、そこだ!それ!お前、今、いいこと言った!」
「はぁ!?」
「いいか。これを見ろ!ペンションのオーナーから授かった大事な大事な宝の地図だ。」
スネ夫は、そう言うと一枚の紙切れをのび太に渡した。
「・・・・・・・・・・。」
「驚いたか?」
それはペンションの看取り図だった。そこに示されたルート。それは
「まさか・・・・・」
「そのまさかだよ。旅行で風呂っつったら、やることはひとつだろ。」
つまり、こいつらは風呂を覗くつもりなのだ。
「知らなければ行かなかった・・・・・でも、俺たちは知ってしまったのだ!!」
「・・・・・・・・・・・・。」
「知ってしまったなら、行かねばならないだろう。いや、知っていながら、見て見ぬフリをすることの方が男として罪ではないか!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「さあ、行こう
それは福音だった。しかし、のび太に残された幾ばくかのようの良心がのび太を虐む。
「で、でも・・・・・・・なあ・・・・」
「だー、もう!愚図愚図している暇はないんだ。迷ってないで、さっさと行くぞ。何もしないで後悔するより、やって後悔しろ、だ!」
のび太はいつにないジャイアンとスネ夫の気迫に気圧されて、つい、頷いてしまった。こうなったら、つきあうしかないか。
「よし、行くぞ。心の友よ!」
「どーこいに行ーくの?」
「!?」
誰かがのび太の手を掴んだ。振り返ると、そこにいたのは・・・・・・、
「やっほ〜!」
「ちぇ、チェルシー・・・・脅かさないでよ。お風呂に行ったんじゃなかったの?」
「うん、これから行くところだよ。のび太たちはどこかに行くの?」
「い、いや・・・・・・」
のび太は慌てて視線をジャイアンとスネ夫に向ける。
「あ〜、俺たちはちょっとフロントの自動販売機に飲み物を買いに来ただけなんだ。ちぇ、チェルシーちゃんはお風呂に行って来なよ。」
「うん、そうするね。」
「あはは。チェルシーが出ないと、僕たち、入れないからさ・・・・」
のび太は、慌ててチェルシーの手を振りほどいた。
「ん〜、それもそうだね。じゃ、大至急、入ってくるね。」
チェルシーは微笑んで、大浴場へと向かって行った。
「ふう・・・・・・」
「焦ったなぁ。」
「ふふふ。これで、覗きポイントに行っても、誰も入ってなくてガッカリ、という憂き目にはあわずに済みそうだな・・・・・・・」
この二人は、どこまでポジティブシンキングなんだ・・・・・・。
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