エンチャンターのパッシブスキル<シンクロ>が発動していた。
ボクはまるで他人の感覚を、自分のもののように感じていた。
「おっと」
それから目の前にいる彼女を、じっくりと観察する。
彼女の両手にはゴツゴツとした手錠が嵌っている。材質は石だろうか?
さらに、そこからは太い鎖が伸びている。
だが、その程度の拘束はこの世界において意味を成すとは思えなかった。
手のひらをこちらへ向ければマジックを放つことくらいなら容易に見えた。
事実、彼女は手のひらをこちらへ向け、攻撃の意思を見せていた。
にもかかわらず、そこからマジックが放たれることはなかった。
「なん、で……」
予兆であるエフェクト自体は何度も彼女の手から立ち上っていた。
しかし生まれる端から溶けるように消えていっていた。
まるで――石の手錠に吸収されるかのように。
「ムダムダァ、ムダだって言ってんだろォ? この『破魔の拘束具』があるかぎり、お前は魔法を使えねェよ」
その石材の効力にボクは心当たりがあった。
魔法攻撃を無効化、どころか吸収し回復せしめる魔物……『バジリスクの石像兵』のドロップアイテムを材料にして作った武器に現れる効果――『魔力吸収』だ。
おそらくあの手錠は、魔力が込められれば込められるほど頑丈になっていくのだろう。
ボクはひどく感心した。
(なるほど。システムに縛られていたゲーム時代とちがって、この世界では武器以外のモノも作れるのか)
にしても『破魔』とは……。
名付けたやつはかなり性格が歪んでいる。
それは本来、『煩悩を払う』という意味だったはずだ。
今、それはまったく真逆の目的で使われているが。
「ほら、どうしたァ! もっと暴れてみろよォ!
マジックが封じられたとなれば、あとは単なるSTRの問題だ。
しかし、年若い女子のような体格のエレナと屈強な大男では、レベルを見るまでもなく差は歴然。
「ひひひ……ほんと、いい身体じゃねェか。楽しませてくれそうだなァ、えぇオイ?」
きめ細やかな肌――背中をざらついた手のひらで撫で回す。
「ひっ!? も、もう……やめ……」
エレナがか細い悲鳴をこぼし、恐怖と屈辱に顔を歪める。
その身体は震えていた。
背中の中心から肩甲骨、そして次は肩。
(すごいな。どこもかしこも、触り心地が最高じゃないか!)
「い、イヤっ……」
エレナが怯えた声を漏らした。
じっくりと肩を撫で回したあとは、腕のほうへと滑らしていく。
縮こめられたそれを、二の腕、肘の裏、前腕、そして手の甲となぞっていく。
到達した彼女の手は、固く握りしめられていた。
それを弄ぶように、指を一本ずつ丁寧にさすってやった。
まだなにもしていないというのに、彼女の尊厳はもうボロボロだ。
まるで彼女の心の声が聞こえてきそうだ。
――早く終わって、と。
「くくくっ……」
ボクは腕を遡って背中まで戻すと、今度はそれを上へと移動させていく。
うなじを通って、まるで浅く絞めるかのように首を包み、そして頬へ。
頬に垂れていた髪に指を通した。
髪ひと房を持ち上げて、そこへ顔を寄せた。
「スゥ〜っ、んんっはァ〜。じつにイイ匂いだァ」
まるで花のミツのような香りがした。
「さらさらして、じつに俺好みだ。だからよォ、ついつい……こうしたくなっちまうなァ!」
「ぎいィあああッ……!? 痛ッ、やめ……!?」
手に掴んでいた髪を、思いっきり引っ張った。
エレナはまるでエビ反りのような体勢になる。
さらに投げ捨てるように振り回し、手を離した。
遠心力につられて、地面に引きずられるようにして彼女は転がった。
「きゃっ!?」
仰向けになったエレナは、その全面があらわになっていた。
破かれたそれはすでに服の機能を果たしておらず、すべてが丸見えだった。
「ぐぅぇっ!?」
ボクはその腹に身体を降ろし、真上からその姿を観察する。
じつにいい景色だった。エレナの泣き顔と乳房がよく見えた。
「イヤ……、見ない、でっ……!」
エレナが腕で大切な部分を隠そうとする。
しかし、ボクは鎖を引っ張りあげて、それを許さない。
手錠につられて、彼女の両手は強制的に頭の上へとあげさせられた。
しかし、エレナが感じる恐怖はここからが本番。
ボクが腰の鞘から剣を抜いた。その鈍い金属の輝きを、彼女もまた目撃する。
「ひぃっ!? い、やぁあああ! 殺さない、でっ……!」
ボクはニタァと笑みを濃くし、振り上げたそれを勢いよく突き刺した。
「ぎゃぁああああああッ!?」
――地面に。
「……あ、れ」
「く、くくッ!」
ボクの漏らした笑いに、エレナもからかわれたのだと気づいたようだった。
彼女のリアクションはいちいち大げさで、ついつい嗜虐欲がくすぐられてしまう。
しかし、突き刺した剣によって手錠の鎖が地面へと縫い留められていた。
「抜い、て……! どい、てッ……! 離してぇッ!」
暴れようとするが、ギギギとわずかに金属同士が擦れるだけでほとんど動けない。
これでボクは両手も自由に、心置きなく視姦することができるわけだ。
エレナの乳房はあまり大きくはない。エルフらしいスレンダーで慎ましやかなものだ。
だがそれはツンと上を向き、きちんと自己主張をしていた。
まるで花のような薄い桃色をしたその先端も、じつにかわいらしかった。
それこそ、今すぐ摘み取ってしまいたくなるほどだ。
だが、その魅力は胸で終わらない。
鎖骨から感じるのは、清純さと背徳さの二律背反。
両腕を上げさせられている今だからこそ見える、脇もいい。
今すぐ舌を這わせたくて溜まらなくなる魅力がある。
そしてなにより、エルフといえば――その優れたツラだ。
「まったくよォ、エルフってのは大したもんだなァ、オイ? 地面に引きずり倒して、悲壮感のある表情を浮かべさせてるとよォ……」
「――まるで、人間サマに犯されるためだけに生まれた種族、みてェじゃねェか!」
その言葉に、恐怖に歪んでいたエレナの瞳にはじめて、キッと力が込もった。