※この作品はR-18です。

堕落の空装武神   作:天木武

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敗北の予感

◇

 

 

「あ、あああああああーッ! おひり……おひりあぢゅいいいいいいいぃ!」

 

 獣のようなゆきかぜの咆哮が響く。薄暗くじめじめとした部屋の中で、彼女は代わる代わるオークに肛門を犯され続けていた。いや、そこは部屋と呼ぶのも正しいかわからない。肉壁ともいうべきグロテスクな床と壁。そしてそこからは触手が伸び、ゆきかぜの身体をがんじがらめにしていた。

 仰向けの状態で膝は胸の位置まで折り曲げられ、動けないようガチガチに縛り上げられている。亜人共のペニスをアナルに受け入れやすい姿勢を強要されており、腕も床に飲み込まれるように固定されて動かすことが出来ない。完全拘束でのアナルレイプという被虐を受けているにも関わらず、開発されきった身体には快感の衝動が渦巻き続けていた。

 

「そんなにケツマンコがいいのか、メス豚肉便器ちゃんよ」

「いいのぉ……! おひりガバガバになってぇ……!」

「彼氏に見られてるのにケツ穴犯されて恥ずかしくねえのか?」

 

 オークにそう言われ、一瞬ゆきかぜの顔に影が差す。その視線の先に、肉壁から伸びる触手に捕らわれ、声を出すことも許されない達郎の姿があった。目が合い、つらそうに顔を背けるが、直後オークに腸壁を小突かれるとその表情は途端に蕩けた。

 

「恥ずかしいけど……。ああぁん……。でも、達郎も私が犯されてるの見て興奮してるから……しょうがないのぉ……! だからぁ……あぁ……突いてぇ……! アナルもっとめちゃくちゃにしてえ!」

「ケツもいいけどよ、こっちにも欲しいんじゃねえのか?」

 

 腰を前後に揺さぶられながらそう言われた指の先にあったのは、ここまで1度も手をつけられていない女性器だった。ペニスを入れられることはおろか、文字通り全くの手付かずの状態。にもかかわらず、愛液は止め処なく流れ落ち、肛門絶頂を迎えた際には潮まで吹く有様だった。

 

「一言『チンポをください』ってねだれば、こっちにもぶち込んでやるぞ?」

「う、うぅ……」

 

 だがゆきかぜは辛そうに口を閉じただけだった。それだけは絶対に口にしてはいけない。その信念が彼女の中に強く根付いている結果であった。

 

「ケッ、強情だな。ならケツでイけよ、オラァ!」

 

 苛立った様子のオークが、一旦ペースを緩めていたアナルピストンを再開する。激しすぎる抽送に、ゆきかぜは目を見開いて声の限り叫んだ。

 

「お、おごおおおおおおおぉッ! こっ、こわれ……壊れりゅうううううううううぅ!」

「壊れちまえよ! どうせもうケツでこれだけアクメ極めちまったら、普通の身体には戻れねえんだ! さっさとマンコにもチンポねだって楽になっちまえ!」

「ダメ……それだけは何があってもダメ……! あ、ああああぁッ! おっ、犯したければ、勝手に犯せばいいわ!」

「その手には乗らねえよ。お前が心から屈服して自ら欲求の言葉を口にするまで、絶対にそこには手をつけないでやる。……おっと、そろそろ出そうだぜ!」

 

 折り曲げられた身体に亜人の体重がかけられ、より深く肛門が抉られる。一突きごとに腸内を引きずり出されるような感覚を覚えながらも、ゆきかぜは悶えて嬌声を上げていた。

 

「お、お、おおおおおおぉッ! おひり……おひりいいいぃッ!」

「なんだ、イッってんのか? じゃあ今とどめをくれてやる!」

「ら、らめえええええぇッ! 今らされたら……狂っひゃううううぅッ!」

「狂え! チンポのことしか考えられないメス豚になって、無様にイクとこを彼氏に見てもらえ!」

 

 彼氏、という言葉に思考が麻痺していた頭に達郎の存在を思い出す。だが絶頂への階段を駆け上がり始めた身体は、もう止めることが出来なかった。

 

「いや……やらぁ……! たつろぉ……見ないで、見ないでぇ……! あ、ああ! らめぇ……イク……! イクイクイクイイク、ケツマンコイッぐううううううううううぅッ!」

 

 腸内への熱い感覚と同時にゆきかぜも果てた。ガクガクと全身を痙攣させる様子が、その深さを物語っている。膣から吹いた潮が蕩けた顔へとかかり、薄れいく意識の中でゆきかぜは捕らわれの達郎へと視線を移していた。

 

「ご……めん……。ごめんね……たつろぉ……」

 

 恋人の哀れむような眼差しが胸を締め付ける。しかしそれ以上言葉を発することも、何かを考えることも出来ず、ゆきかぜの意識はそこで途絶えた。

 

 

 

◇

 

 

『強情だな。これほどまでとは、少々予想外だった』

 

 直後、耳元から機械を通して聞こえてきたリーアルの声に、ゆきかぜは身体を震わせて意識を取り戻す。同時に、やはり今のが仮想現実で行われた擬似凌辱だったと再認識し、本物の達郎に痴態を見られずに済んだということに僅かに安堵してもいた。

 

 この訓練が開始してから既に4日。繰り返し行われる仮想現実における擬似陵辱はゆきかぜの精神に大きなダメージを与えていた。どこまでが現実でどこからが虚構か。その線引きすら怪しくなりながらも、悪夢の中でただひたすら犯され続けた。

 時には今のように恋人が見ている前で。時には恋人が凜子や母などの信頼する人物に犯される様を見せ付けられて。時には言葉も何もなくただひたすら絶頂を迎えさせられる形で。

 通常の人間なら発狂してもおかしくない状況に何度も遭遇しつつも、対魔忍の精神力と凜子との約束を支えにここまでどうにか堪えてきた。しかしそれももう限界に近い。特に擬似凌辱であっても秘所に全く手をつけられず、肛虐だけが繰り返される生殺しのつらさの前に、身体も心も軋み始めていた。

 

『大抵の人間ならもう心が壊れているだろうが、よくもっているな。そこは賞賛に値する』

「はぁ……はぁ……。あんたに……褒められても……何も嬉しくない……」

 

 強がりを返しつつ、身体が小さく震えた。擬似凌辱の間中、股間から止め処なく溢れる愛液を吸収し、貞操帯代わりの生物が吐き出す媚薬の影響。膣内にそれを受けるだけで、現実世界の身体は容易に達してしまうほどになっていた。

 

『いいだろう。擬似凌辱訓練は終わりだ。あとは実践訓練……実際に奴隷娼婦となるための研修を残すのみとなる』

「何が……研修よ……。それが終われば……私を解放する……。それが約束でしょ……?」

『ああ、その通り。残りの期間の訓練に見事耐えられれば、約束どおりお前を解放してやる。しかしお前が堕ちれば、そのままここまでの訓練の成果を遺憾なく発揮して奴隷娼婦として働いてもらう』

「私は……負けない……。凜子先輩のためにも……待っててくれる達郎のためにも……この手でお母さんを捜し出すためにも……!」

 

 ほとんどうわ言のようにゆきかぜは言葉を紡いでいた。その様子からも、もう限界が近いことが容易に見て取れる。今返した彼女自身、もはや意地だけでそう言ったとわかっていた。

 

『まだまだ心は堕ちない、と言いたいか。まったくつくづく対魔忍とは面白い。とにかくこの訓練は終わりだ。ゆっくりさせてやる。久しぶりに身体を休めるといい』

 

 そう言われるなり、口の中に押し込まれて精液の臭いと味の媚薬入り栄養剤を流し込み続けていたチューブが引き抜かれた。ずっと口腔内を占めていた不快感から解放され、ゆきかぜは無味無臭の酸素を求めて咳き込む。さらに頭に覆い被さっていたヘルメット状の洗脳装置も離れていった。久しぶりに視認した光に目が慣れてくれない。

 

「なるほど。確かに目は死んでいないな」

 

 装置越しでなく久しぶりに聞くリーアルの声はやはり不快極まりないものだと思いつつ、まだ眩しさで開け切れない目で声の主を確認する。相変わらずの様子に、不快なのは声だけでなく姿もそうかと嘲笑するように軽く鼻で笑ってみせた。

 

「目『は』? ……私はどこも正常よ。拘束を解いてくれれば……あんたの脂肪だらけの胸板に腕を突き立てて……心臓を握り潰すことだって出来る」

「心は堕ちていないと言いたいわけか。強がるにしても随分と大きく出たな。……もっとも、それほど鼓舞させないといつ心が悲鳴を上げるかわからないと怖れているのかもしれないがな」

 

 図星だ、とゆきかぜは口を閉ざして視線を僅かに逸らした。仮に拘束を解かれても、著しく衰弱した今の体力では飛びかかることも出来ないだろう。もし出来たとして、キメラ微生体がある以上、自然防衛によってリーアルには手を上げることすら叶わない。

 

「だが今の物言いは気に入ったぞ。この訓練でお前が壊れるかもしれない、などと杞憂だったとよくわかった。最後の数日間、見ものだな」

 

 リーアルはさらに周囲にいた男に指示を出した。それに応じて機械が操作され、辺りに不気味な音が響く。また何か自分を苦しめる機械が現れるのではないかと不安になるゆきかぜだったが、その予想に反して次第に手足を拘束していた機械が緩んでいっていると感じていた。

 やがて四肢の拘束が完全に解けた。久しぶりに自分の足で立とうとして、だが、それが叶わずにゆきかぜは床に倒れこむ。腕を支えに立ち上がろうとするも、腕にもまともに力が入らず、再びその場に倒れ込んでしまった。

 

「おやおや、どうした。俺の心臓を握り潰せるんじゃなかったのか?」

「う……ぐっ……」

 

 強がりだとは自分でわかっていたが、これほどまでに身体が衰えているとは思わなかった。ここに連れて来られてからずっと磔状態にされていた反動で、腕も脚も言うことを聞いてくれない。しかも解放された安堵感からか、疲労が一気に押し寄せ身体まで重くなってきた。

 

「さっき言ったとおり少し休ませてやる。久しぶりに横になって眠るがいい。だが次に目を覚ました時。……その時がお前を淫獄の底へと堕落させる、最後の幕が上がる時だということを忘れるな」

 

 何かを言い返してやろうとゆきかぜは口を開いた。しかし意識が半分以上沈んでしまったために言葉を発せない。冷たい床であるにも関わらず、横になれる感覚が非常に心地よく、そのままゆきかぜの意識を運び去っていった。

 

 

 

◇

 

 

 夢を見ていた。これまで強制的に見せ付けられた卑猥な悪夢と全く違う、平和で暖かい夢。凌辱の舞台として何度も設定された逸刀流の道場で、幼い自分が同様に幼い達郎と凜子とじゃれあい、母に宥(なだ)められる夢だった。

 懐かしかった。あの頃より大きくなってしまったし、父も少し前に任務中に殉死してしまったが、またあの頃のように4人で顔を合わせて、他愛も無い会話を交わしたい。

 だがそんな懐かしい時間は脳の覚醒とともに終わった。ここしばらく、虚構の現実を早く終わってほしいと願っていたのに、どうしてこれはもっと長く続いてほしいと思っていても終わってしまうのだろうか。

 

 目尻に僅かに涙を浮かべながら、そんな考えとともにゆきかぜは目を開く。天井を見上げて眠れるのが、これほど快適だとは思わなかった。ベッドの感触も愛おしく、このまま再び目を閉じてずっと眠っていたいとも思える。

 

「起きろ。身体は十分に休まっただろう」

 

 聞こえてきたリーアルの声に、気だるそうに顔を動かす。部屋の中にいたのはリーアルと、悪夢の中で何度も犯されたゾクト。見たくなかった2人の顔に、身体を起こしながら嫌悪感を隠すことなく呟いた。

 

「せっかくいい夢を見てたのに……。邪魔しないでよ」

「それはすまなかった。だが夢よりいい現実がお前を待っているんでな。……お前に淫らに狂わせる、性の欲望に渦巻く現実が、な」

 

 ゆきかぜがいる部屋は凜子と同じ作りの部屋、つまり奴隷娼婦に与えられる個室兼客の相手をする部屋だった。さらに今彼女が身につけているのは対魔忍コスチュームを模した衣装。ここまでの訓練の間身につけていたのは胸と股間の部分が破れていたはずだがそれが無く、新しいのに着替えさせられたらしい。

 

「気分はどうだ? 久しぶりのベッドはいい眠り心地だっただろう?」

「……あんた達の気持ち悪い顔を見たら、このままずっと寝てたくなったわ」

「ふん、相変わらず口が減らないな。ここは奴隷娼婦となるお前のための部屋だ。今のうちに馴染んでおくといい」

「ならないって言ってるでしょ! あと何日間か知らないけど……もう数日もしたらここから出て行くんだから! 約束守りなさいよ!」

「しつこいぞ。お前達が賭けに勝ったら守ってやる、とずっと言っているだろう。……もっとも、この数日でお前は負けるのだがな」

 

 勝手なことを、とゆきかぜは鼻を鳴らす。ここまでの訓練は苛烈で苦しいものだった。だが一度ゆっくり休めたことで、体力はかなり回復し、すり減らされた心も戻ってきているように感じる。それでここまでより短い数日。それなら、乗り越えることが出来ると楽観視していた。

 

「休めたことで体力気力ともに戻ったようだな。それでいい。そうでなくては客を喜ばせられんからな」

「……客?」

 

 その単語の意味が分からない、という風にリーアルに尋ねる。それに対して娼館の主は特に何事も無い様子で、平然と告げた。

 

「訓練の最終段階、実践訓練だ。お前は研修中の奴隷娼婦見習いとして、最終日まで客を取ってもらう」

「な、なんですって!?」

「無論お前達との約束は守る。処女は奪わん。お前が懇願するまでな。挿入は口とアナルのみだ。そしてお前の記念すべき客第1号を、このゾクトが願い出てくれた」

 

 そこでようやく狡猾な奴隷商人がこの部屋にいる理由を察した。捕縛された後の移動中にいいように身体を嬲られ、さらに仮想現実の中にまで出てきて犯され続けた醜悪なこの男に、ついに現実でも犯されると思うと重い気分になる。

 

「……なるほどね。そうやって所詮小物なあんたは、権力者であるリーアルにへこへこしておこぼれをもらうことしか出来ないわけか」

「何だと!?」

「ゆきかぜ、今はまだいいが客にそんな口を利いたら即刻訓練失敗とみなすぞ。2週間膣への挿入をねだることなく訓練プログラムを消化すればお前達の勝ち、という条件のはずだ。つまり失敗とはお前達の敗北を意味する。いいな?」

「う、うぅ……」

 

 これまでの訓練は耐えればいいだけだった。だが今回はそうはいかない、ということらしい。

 

「仮にも奴隷娼婦見習いとしての訓練なのだからな。客の機嫌を損ねるようなことは禁じる」

「私はそんなのにならないって言ってるでしょ……!」

「だが元々お前に課したプログラムは奴隷娼婦になるための訓練プログラムだ。……かなりハイペースではあったがな。その中の一環として今回の実践がある、というわけだ。つまり……」

「あーもうわかったわよ! 要するに残りの期間は客を取って、相手を不快にさせず満足させればいいんでしょ! そのぐらいやってやるわよ!」

 

 元々気の短いのがゆきかぜだ。長ったらしい説明に嫌気が差し、一方的に切り上げた。本当は言うまでもなく嫌だが、これが最後と明言されている以上、あと数日耐えれば終わる。だったらくどくどと言われて余計に気を滅入らせる必要はないと割り切っていた。

 

「勇ましくていいな。ああ、基本的な作法だなんだは、ここまでの訓練期間中にお前に睡眠学習させておいた。凜子も経験済みで、効果は折り紙つきだぞ」

「なっ……! 凜子先輩に、またそんなひどいことを……!」

「早速その成果を試す意味でも、見せてもらうとしよう。最初の1回目だけは俺が監督するが、以後はお前に任せることになる。ちゃんとやれよ。……ではゾクト、始めていいぞ」

「へへへ! 待ってやした!」

 

 隻眼の魔族の男がずいっと前へ出る。ここまでの仮想現実のこともあって、ゆきかぜの顔には嫌悪の色しか浮かんでいなかった。

 

「……ほんと最低の下衆ね、あんた」

「何ィ!?」

「おい、ゆきかぜ」

 

 頭に血を上らせたゾクトと対照的、リーアルは冷たい声でゆきかぜの名を呼んだだけだった。それで何を言いたいのか察した彼女は、肩をすくめながら座っていたベッドから立ち上がり、次いで正座する。

 

「わかってるわよ。……やればいいんでしょ」

 

 凜子も経験したという睡眠学習の効果は確かだった。思いたくもないのに、頭の中に次々と知らないはずの知識が浮かんでくる。

 

(あと少しの辛抱よ……! 凜子先輩はこんなことをもうずっとやらされてしまっている……。でも、それなら私だって……!)

 

 休息を経たことで持ち直した心は、弱い方へは流れなかった。自分自身に言い聞かせながら、三つ指を着いて頭を下げ、脳内に浮かんだ言葉を口にする。

 

「……奴隷娼婦見習いの水城ゆきかぜです。現在、わけあってオマンコは使えませんが、口とアナルで一生懸命ご奉仕させていただきます。まだ研修中の見習いで至らない点もあるかと思いますが、どうかよろしくお願いいたします」

 

 恭しい態度に切り替わったゆきかぜに、しかしゾクトは少々不満げでもあった。

 

「なんだよ、凜子と違って初々しさが全然ねえじゃねえか。割り切っちまってるのか、それとも……こういうのには慣れてるのか?」

 

 挑発的な物言いと、凜子にも同様のことをしたと知り危うく罵声を投げかけるが、客に失礼な態度を取れば即訓練失敗、と言われている。ここまで来て自らチャンスをふいにする必要は無いとグッと気持ちを押さえ込んだ。

 

(こいつ……凜子先輩にもこんなことをしたの……? 許せない……! 後で殺す……。いつか必ず、絶対に殺してやるんだから……!)

 

 瞳に憎悪の色を滲ませながらも、それを気取られぬようにゆきかぜは頭を下げたままだった。それをあくまで娼婦として演じようとしているとゾクトは捉えたらしい。

 

「まあいいか。そうやって澄ました態度なんざすぐに取ってられないようにしてやるよ。おい、ベッドに来い」

 

 憎悪を越え、殺意さえ抱く心をどうにか抑えてゆきかぜはベッドへと上がる。だが直後、ゾクトによって強引に押し倒された。

 

「きゃっ……!」

「旦那、上の具合も確かめた方がいいんですかい?」

「好きにしろ。俺が一応監督しているとはいえ、今回のお前はあくまで客だ。性器への挿入以外なら、他の娼婦にやるのと同じように好きにやればいい」

「わかりやした! へへへ、じゃあ貧相な胸を揉んでお前の身体が出来上がったら、あとはひたすらケツ穴にハメてやるとするか!」

 

 気にしている胸のことを貶され、頭に血が上ったゆきかぜだったが――。

 

「ひゃあぁんっ!」

 

 直後、胸に走った痺れるような感覚に、嬌声が口を衝いて出ていた。

 

(な、何、今の……!? これ……仮想現実じゃなくて現実なのに……! なんでこんなに……!)

 

 擬似凌辱中は自分の意識と関係無く身体が淫らに色めき立つことばかりだった。だがそれは仮想現実の中だから起こったことだと思っていた。しかし今の身体の反応はまさにそれと同じ。そのことに愕然とする。

 

「なかなかかわいい声を出すじゃねえか。どれ、もっと聞かせてもらおうかな」

「い、いや……! やめて!」

 

 予想していなかった身体の異変に、ゆきかぜは狼狽する。しかし口ではそういったものの、もし明確に抵抗をすればリーアルの気を損ねかねない。

 

「どうした、急に弱気になりやがって? まさか自分の身体がいやらしくなってるわけが無い、とでも思ってたのか? 散々媚薬ローションを塗りこまれて、擬似的には犯され続けてたってのに」

「う、くうっ……」

 

 言われてみればそうだった。少し休めたことで疼きが一時的に収まりはしていたが、媚薬ローションを塗られていた間は淫らに感じさせられていたのだと思い出す。あの時の効果は一時的なものなどではなく、もう身体はその訓練を経て作り変えられてしまったのだと、否が応でも感じざるを得なかった。

 

「さてと、前に胸を弄った時はスーツ越しにしか触ってやらなかったからな。今度は直に触ってやるよ。それにお前のその格好……。あの露出も色気も無かった格好より随分と似合ってるじゃねえか」

 

 ギラつく隻眼を目にし、これまで小物と見くびってきた相手に対してゆきかぜは怯えていた。仮想現実の中で幾度もゾクトに犯された記憶がフラッシュバックし、その度に惨めな絶頂を迎えてしまった疑似体験を呼び起こす。だがその恐怖と同時に、自分を虐めて悦ばせてくれるのではないかという期待までもが生まれてしまい、戸惑いを隠せなかった。

 ゾクトの手がコスチュームにかかる。強度が無いに等しいまがい物の衣装はあっさりと引き裂かれ、小振りながらも可愛らしい乳房が露わとなった。

 

「ヘッ、凜子と比べたら全然揉み応えの無さそうな乳だな」

「う、うるさい!」

「うるさい? 違うだろ、ちゃんと睡眠学習で学んだとおりのことを言ってみろよ」

「ぐ、うぅ……」

 

 凜子もこんな屈辱を受けたのだろうかと思うと、やはり怒りがこみ上げる。しかし今はどうすることも出来ない。下唇を噛み締めてから、震える声と共にゆきかぜは口を開いた。

 

「わ、私のおっぱい……小さいですけど、感度は凄いんです……。こ、この乳首を……沢山弄くり回してください……」

「そうそう、それでいいんだよ。さっきみたいな涼しい顔を演じてるより、そうやって本音が見えたほうがそそられるってもんだ」

 

 勝手なことを言いつつ、ゾクトの手がゆきかぜの胸に伸びる。力任せに指を食い込まされ、痛みで勝気な表情が僅かに歪んだ。

 

「い、痛い!」

「本当に揉むところがねえな。じゃあここに来る時にやってやったのと同じく、乳首を重点的に虐めてやるよ」

 

 指の間にピンクの頂を挟み、捻るように抓り上げる。

 

「あ、あひゃああああああああぁんッ!」

 

 瞬間、全身に電気が流れたかのような衝撃が走った。目を見開き、強烈過ぎる快楽信号に耐えかねて口からは絶叫がこぼれていた。

 

「おやおや、本当に感度抜群だな。少し前とは別人だぜ。じゃあ優しく弄ってやらねえとな」

 

 一度指を離すと、先ほどの刺激はジンジンと甘い疼きとなって胸に広がっていた。今度は撫で上げるように摘まれ、そのギャップで過敏に反応してしまう。ほんの数度触られただけだというのに、ゆきかぜの乳首は早くもガチガチに勃起してしまっていた。

 

「う……あ……! ふうっ……」

「どうした? もう感じてんのか?」

「ち……がぅ……! そんなわけ……」

「そんなわけあるってのなあ!」

 

 プックリした乳輪をなぞっていた指が乳首を扱く。否定しようとした声は嬌声に変わり、奴隷刻印の刻まれた舌を突き出してゆきかぜはよがり狂った。

 

「あ、あ、ああああああッ! だ、だめええええっ! 乳首……そんなぁ……! ゴシゴシしちゃ……いやぁ……!」

「ダメじゃねえだろ、気持ちいいんだろ? ほら、胸だけでイかせてやるよ!」

 

 媚薬ローション漬けにされたせいで敏感すぎる性感帯となってしまった胸が執拗に擦り上げられる。気を抜けばすぐにでも達してしまいそうな快感を、ゆきかぜは懸命に押さえ込もうとしていた。

 

(イかない……! こんな奴に……胸だけなんかで……イかされてたまるもんですか……! あの悪夢の中じゃ好き放題されちゃったけど……現実じゃそうはならないんだから!)

 

 強い拒絶の心を持って声も噛み殺そうとする。それでも閉じた口の端からは抑え切れない声が漏れ、逆にそれがゾクトの嗜虐心をそそる姿となっていた。

 

「お、なんだ? 我慢してんのか? ギリギリまで耐えてからイク方が気持ちいいもんな?」

「そんなんじゃ……!」

「でもな、お前の無い胸で遊ぶのも段々飽きてきたんだよ。おら、とっととイッちまえ!」

 

 愛撫を続けた指が、暴力的な動きへと変わった。力いっぱい乳首を押し潰して捻り上げる。本来なら痛みを感じる暴虐であるはずが、今のゆきかぜはそれを強烈で絶頂へ向けての刺激としてしか捉えることが出来なかった。

 

「い、ぎいいいいいいいいぃッ! 痛いのに……なんで……! こ、こんなので……! あ、あ、い、イク……! イッちゃううううううううぅッ!」

 

 胸だけで屈辱のアクメを極めてしまい、強張ったゆきかぜの身体が力なくベッドに崩れ落ちた。軽く潮まで吹いてしまったらしく、股間から染み出る液体がベッドのシーツを汚していく。

 

「すげえ進歩だな。胸だけでこんなあっさりイクとはな。しかも潮まで吹いてよ」

 

 感心した様子のゾクトを補足するようにリーアルが口を開く。

 

「ここまでの訓練の賜物だ。ちゃんと全身が性感帯に、そしてどんな状況でもイける身体になった、というわけだ。そして……」

 

 ズクン、と身体の芯が炎で炙られたように熱くなる。突然のことに戸惑いながらも、それをきっかけとしたように熱が身体中へと広がっていき、快楽の波の中でゆきかぜは悶えた。

 

「な、何これ……! か、身体……熱いぃ……!」

「忘れたか? お前の股間には貞操帯として魔界生物が張り付いている。潮など吹いては、喜んで吸収してお前の身体に媚薬のお礼をしてくれるだろうな」

 

 女の体液を栄養として吸収し、人体にとって媚薬となる排泄物を身体に返す。数日前に受けたその説明を思い出し、ゆきかぜは理解すると同時に動揺した。これを張りつけられてから、ここまで明確に影響が出たと感じたのは初めてだった。

 

「それを装着してから、お前の意識は仮想現実中にいるのがほとんどだった。現実で効果を実感するのは今回が初めてになるのかな。……これから賭けの最終日、もしくは敗北を宣言するまで客を取り続ける間、お前はその媚薬で乱れ狂い続けるのだ」

 

 数日前にも聞いた内容をリーアルから再び聞かされ、ゆきかぜはその時より苦い気持ちになる。

 

(これ……まずい……。残りの期間、娼婦の真似事をして私が感じるたびにこいつは媚薬を吐き出してきて……。それでもあそこに刺激が与えられないなんて……狂っちゃうかもしれない……)

 

 快楽に耐え切れず敗北の屈服か、さもなくば心が壊れるかもしれないという絶望の板挟み。しばらく前に生まれた楽観視など完全に消え失せていた。

 

「いいぜいいぜ、その怯えた顔。ついさっきまでのが嘘みてえだ。じゃあ今度はその顔を蕩けさせて、快楽のことしか考えられねえようにしてやるよ」

 

 ゾクトが乱暴にコスチュームの股間部分を破る。秘穴には不気味な紫色の生物が張り付いて蠢いていた。

 

「ほほう、こいつがその貞操帯か。がっちり張り付いてるな。力づくじゃ取れそうにねえ。……それじゃあ、残ってるもう片方の穴を使わせてもらうしかねえわけだ」

 

 塞がれた秘所に並ぶ排泄の穴へと指が捻じ込まれる。本来なら異物感や抵抗感を感じるはずが、あっさりと醜悪な男の指を飲み込んでしまった。

 

「う……あぁ……!」

「すんなり入っていきやがったな。しかも入れた瞬間からエロい声出しやがって」

「そ……そんな声……」

「出してるじゃねえか。こんな風によ!」

 

 指を折り曲げられ、腸壁越しに膣側への刺激。

 

「ああっ……ひゃあああああああああああぁんッ!」

 

 それだけでゆきかぜは嬌声を上げて身悶えする。現実世界で媚薬ローションを塗りこまれ、仮想現実で幾度となく犯され続けた肛門は完全な性感帯へと開発されてしまっていた。その性感帯が無遠慮にグリグリと擦りあげられる。胸だけで昂りかけいた身体の芯にあっという間に火がつき、もはやゆきかぜの意思では止められない状況へと陥っていた。

 

「やっ、やめっ……! あぁっ……ああーッ! ああああぁッ!」

「いいぞ。もっと泣き喚きやがれ。そうやって悲鳴上げてる方が、態度がでけえお前にはお似合いだぜ!」

 

 アヌスを抉る指が1本追加され、より激しく動かされた。ますます切羽詰った声を上げ、小柄で華奢な体がビクビクと震えていく。

 

「いや……もういやぁ! あぐううぅっ……! お願い……お願いらから……もうやめれえええええええぇッ!」

「なんだ、やめてほしいのか? しょうがねえな」

 

 不意に、動かされていた指が止まって引き抜かれた。まさか自分の頼みが聞いてもらえるとは思えず、上がった息のまま意外そうな表情が浮かぶ。

 

「そんなにチンポが我慢できねえなら、すぐにぶち込んでやるよ」

「ち、ちがっ……! あ、ぎ、いいいいいいいいぃぃッ!」

 

 仰向けだった両足を纏めて抱えあげられ、そり立ったペニスが強引に押し込まれる。仮想現実では数え切れないほど犯された場所であるが、現実では初めてのことであった。

 

「おっと、そういやケツマンコは処女だったっけな。ありがたく俺がいただいてやったぜ」

 

 もっとも大切な場所ではないとはいえ、初めてを奪われたという事実に一瞬ゆきかぜの目に怒りの色が篭る。しかし次に怒張を根元まで押し込まれてから引き戻され、さらに腰を打ち付けられると、その顔には快感と苦痛の入り混じった表情が浮かんでいた。

 

「あああああーッ! あ、あ、ああああああッ! お尻……お尻壊れちゃううううぅ!」

「とか言いながら感じてんじゃねえかよ! もうケツが弱点になっちまってるじゃねえか、ええ!?」

 

 足を抱えられての屈曲位で、再度腸壁を深く抉られた瞬間、ゆきかぜの視界が一瞬白くかすんだ。だが再び強烈な快感によって意識が引き戻される。

 

(わ、私……もうイッちゃってる……! こんな奴に初めてを奪われたのに……。お尻でイッて……イくの止まらないよぉ……!)

 

 苛烈なアナルピストンにあわせて快楽信号が思考を支配し、断続的に絶頂を迎えて降りてくることが出来ない。しかしそんな状況にあってもこれまでの訓練で作り変えられた身体と心は、それを甘美なものとして捉えてしまう。

 

「あっ、あっ、ああああッ! い、イクの……止まらないぃ……! これ……おかしくなっちゃうよおぉ!」

「へっ、もう十分おかしいんだよ! 処女の癖にケツマンコであんあんよがってる時点でとんだ変態じゃねえか!」

「違うぅ……! 私……変態なんかじゃ……あ、あ、あああああっ!」

 

 否定しようとした言葉はまたしても訪れた絶頂の喘ぎに消えた。休むことのない肛虐は、やがてこれまで以上のオーガズムを呼び起こす予感を感じさせる。

 

(くる……もうすぐすごいのキちゃう……! もうずっとイッてるのに……頭おかしくなりそうなのに……もっと気持ちよくなりたいって思っちゃってる……!)

 

 官能の衝動を止めることが出来ない。ピストンのペースが速められ、制御不能の感覚が全身を駆け抜けた。

 

「ダメ……! イク……ああっ、イクうううぅッ! オマンコ処女なのにケツマンコズボズボされてイクイクイクイクイッちゃうううううううぅッ!」

 

 腸内に熱い精液を浴びると同時。ゆきかぜは目を見開き身体を痙攣させて壮絶なアナルアクメを迎えた。視点は定まらず、半開きになった口からは舌が覗いている。

 

「あ……あぁ……あへぁ……」

 

 これまでの分まで合わせて一気に反動が返って来たことでもう指一本動かす気力もない。時折身体を震わせ、肛門から精液を逆流させながら、巨大な絶頂の余波で小さなオーガズムがまだ襲ってきていた。

 

「立派にケツでイけたじゃねえか。十分奴隷娼婦としてやっていけると思うぜ。それにその蕩けた顔。随分といい顔をするようになったじゃねえか」

 

 片目が潰れた顔でゆきかぜを覗き込みながらそう蔑む。それでも脱力しきったゆきかぜは、何も言い返すことが出来なかった。

 

「俺好みの顔になった褒美をくれてやるよ」

 

 さらに顔を近づけ、唇が覆い被された。生臭い臭気が口腔内に広がり、それでもやはり抵抗も何も出来ずにただ己の唇と口内が蹂躙されるのを黙って見ていることしか出来ない。

 

(キス……されてる……。達郎ともしたことないのに……。私の初めて……また奪われちゃった……。ごめん……ごめんね、達郎……)

 

 働かない頭でそう考えると同時、涙が一筋頬を伝った。しかしそんな彼女の心など全く知ったことではないとばかりに。娼館の主は冷酷に、そして残酷に告げた。

 

「なかなかよかったぞ、ゆきかぜ。その様子なら十分客が取れるな。少し休ませてやるが、しばらくしたらお前とアナルセックスをしたいという客を連れてきてやる。今日と明日は丸々それで過ごしてもらおう」

 

 絶望が占めた心で、その宣告を聞いていた。それからリーアルとゾクトが部屋を後にしても、ゆきかぜは身動きすることすら出来ずに横たわったままだった。

 

(もう……ダメかもしれない……。こんな身体にされて、こんなことを続けられたら……私……)

 

 心に浮かぶ敗北の予感。力なくベッドの上にある少女の様子は、本来の活発で勝気な姿からはほど遠く、今にも消え去りそうな小さな炎のようにも見えた。

 

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