※この作品はR-18です。

和風凌辱エロゲーの主人公兼ヒロインの兄に転生したんですが何か違う   作:ビシオ

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誤字報告やお気に入りに評価、誠にありがとうございます。
アーマードコア6が出たので嬉しさのあまり投稿。

3000字~5000字くらいといいながら、書いて行ったら楽しくなった上に、ここで切るとなんか中途半端だよな・・・って思ったので書いてこうなりました。反省


ルビコンの傭兵になるので頻度遅れると思います、ごめんね。


十八話  童話はちびっこ向けにやわらかい表現なのは当然ですよね

 

「さぁさぁ、ちびっ子達寄ってらっしゃい見てらっしゃい!愛に生きた帝のお話、この扶桑国が今日まで発展できたのは大昔のこのお方のおかげだよ~!紙芝居を見たかったら、どうかお菓子を買っておくれ!」

 

 演じ手の女性が呼び込みをしていた。興味があったので、僕は妹達の分を含めて五人分の水飴棒を買ってそれぞれに渡す。三姉妹は喜んで口に入れ、焔は大喜びであっという間に食べてしまった。僕の妹達と違って、焔の家が両親が殉職してゴタゴタしたせいで財産が余りないので、甘い物はまさに御馳走である。もっとも、僕がちょくちょく与えていたり、砂糖から作った手作り菓子を食べさせたりしてるのだが、逆に言えば僕が来た時だけだ。来ないときはひたすら質素な食事で我慢している。故に、僕がお菓子を持って来ると高速で振る尻尾を幻視してしまうほどに喜んで迎えに来てくれる。

 

 あっという間に舐めつくしてただの棒になったのを見て涙目を浮かべた焔が、可哀想で可愛いだったので苦笑しつつもう一本買って上げた。今度はゆっくり舐めるようにと言うとコクコク頷いてチロチロと舐め始める。

 

「やぁやぁ、これは美形なお兄さんだねぇ!妹さんが食べつくしてもまた買い与えるなんて粋だねぇ!!そんなお兄さんは最前列で見させてあげよう、周りのちびっ子達場所を空けておくれ!」

 

 演じ手がそう言うと、集まっていたちびっ子は言われた通り場所を空ける。ちょっと申し訳がないので、どうもどうもとペコペコ頭を下げながら空いた場所に座る。ちびっ子達は女の子が大半だった。男の子もいるにはいるのだが割合的に少ないし、その男の子にはすでに数人の女の子が周りを囲んでる。こんな小さい子でもすでに恋愛をしていて見ていてほっこりする。そして最前列に移動する際ちびっ子の、強いて言うなら女の子達が僕の顔を見て顔を赤くボーっとしてるのがちょっと気になったが、とりあえず空いた場所に座る。

 

 尚、座るとき一番でかい波羅が地べたに胡坐で座り、僕がその中に更に胡坐で座り、そして僕の胡坐の中に一番小さい焔が入り、とマトリョーシカ見たいな風に座った。服は余所行きの汚れてもいいような安い小袖なので大丈夫である。そして左右は沙羅と由羅が固める。どうやら、僕のそばに女の子が来るのを防いでいるようだ。周りのちびっ子たちも、妹達を恐れて近寄らないようにしている。こらこら威嚇しないの。ただ、僕も僕で波羅が背もたれになってくれるのはいいが、でかいおっぱいが当たっているし、波羅は僕の頭に顎を載せてさらには両腕を僕の体の前に持ってきて交差する、所謂後ろ抱きをするからとても恥ずかしくて顔が真っ赤になる。

 

 演じ手の女性は苦笑しつつも、声を上げて始まりの合図を始める。

 

「美形なお兄さんを守る妹達が美しいねぇ!さてさてちびっ子達、そのお兄さんに見惚れるのはいいけどどうか紙芝居に注目しておくれ!さぁさぁ、今から始まるは愛に生きて愛のためにその身を捧げた天子様のお話!このお方のおかげで、我が国は平和になったんだよ!それでは始まり始まり~!!」

 

 

 

 

 

「とても面白かったですね、兄様」

「そうだね」

「拙者、また紙芝居を見たいでござる!」

「なら、次は別のお話を見たいですね」

「そうですね、今度はどんなお話なのか楽しみですね」

 

 

 

 

 鑑賞した結果を言うならば、とても面白かったと感想をだす。紙芝居の内容はこうだ。

 

 

 

「むかしむかし、人と妖魔が争っている中、あるところに一人に男の子が生まれました。その人は、六番目の子となる皇子様でした」

 

 

 

 千年前の人妖大戦。人も妖魔も互いに争い、終わりが一向に見えないどころか激しさを増すばかり。そんな中、ある人が生まれた。

 

 その者は、何を隠そう皇子である。帝にいる三人の娘と三人の息子、六人兄弟の末っ子の第三皇子として生まれた。正室ではなく側室であるし、末っ子故に皇位継承も遠い。本人の力も凡庸なので、派閥争いに巻き込まれず本人も関わろうとせず気ままに暮らしていた。

 

 

 

「皇子様は、兄姉と違って力はありませんでしたが、頑張って勉強をして人々の役に立とうと奮起していました」

 

 

 

 気ままに、といっても遊び惚けてるわけではない。今は妖魔との戦争中、人との争いならば落としどころがあるが、妖魔側からの落としどころとは我ら人類が妖魔に家畜として飼われること。故に、落としどころなんてないようなもので、貴族だろうが皇族の末っ子だろうが関係なしに戦わなければならぬ。

 

 そんな中、第三皇子は学と術を学び極めようとした。

 術は本人の霊力が凡庸とはいえ、皇族ゆえに木っ端貴族より高いので戦力として数えられる。そして学は、万人が受けられるものだ。例え皇族だろうが、農民だろうが、学を修めれば学者になれる。学とは学べば学ぶほど本人の力になる。そこに身分の貴賤はない。それを第三皇子は理解したので、ひたすらに本を読み、術を学び、学者へと道を歩んでいった。

 

 月日と年月が過ぎていき、争いも比例して激しくなる。

 

 

 

「ですが、二人の兄と姉が妖魔との戦いで死んでしまいました。死ぬ直前に、自身の霊力を用いて自爆し妖魔に傷を与えました。残された皇子様は、仲の良かった兄弟が死んで大層嘆きました」

 

 

 

 妖魔との争いで、第一皇子と第二皇子が殉職した。子孫を残す前に戦死してしまった。

 

 更に、第一皇女と第二皇女が妖魔に捕まった。紙芝居故に、捕まって食べられる前に自爆して妖魔を巻き込んだという表現だった。尚、設定資料集だとバチクソに犯されたが、そのまま孕み袋になる前に自爆して打撃を与えたとある。そして、帝も一気に子供を四人も失った心労で崩御した。

 

 残った第三皇女は、当初はどこか有力な公家に輿入れする予定だったが、その有力な公家も次々に殉職してしまった。残った貴族もあるにはあるが家格も霊力も低い、下手をすると生まれる子が弱まってしまう。ならばと皇族の血と力を絶やさぬために、第三皇子と結ばれることになった。そして、皇位継承から一番遠かった第三皇子は帝となり、姉の第三皇女は皇后となった。

 

 

 

「残った姉である皇女様は、『皇族の血を絶やしてはならない』とし、皇子様と結婚しました。皇子様は最初は自分は相応しくないからと断りましたが、姉の皇女様は皇子様を説得して何とか首を縦に振らせました」

 

 

 

 母違いとはいえ実の姉と弟である。だが、血を絶やすよりかはマシだ。何より皇族は力もあるということを示すためにも、高い霊力を持つものと結ばなければならない。それらの打算と外面的問題もあり、そうして二人は結ばれ子も作った。

 

 設定資料集だと、内気で押しの弱い第三皇子に対して第三皇女は気が強く押しも強いので、ひたすらに引いて断る弟と、ひたすら押してどうにか首を縦に振らせようとする姉とのやり取りがあり、弟が首を縦に振らなかったら一服盛って逆レイプする予定だったとあった。かなりのブラコンな姉だったらしい。

 

 

 

「とても仲睦まじい夫婦で、帝も皇后も子供が生まれて幸せでした。ですが、鵺という恐ろしい妖魔が、二人の仲を引き裂きました。この妖魔は様々な姿に形を変え、人々を簡単に騙す恐ろしい妖魔でした」

 

 

 

 二人の仲はというと、姉弟故の仲の良さもあり悪くはなかった。子も産まれたため、後はそのまま過ごすだけかと思いきや、とても恐ろしい鵺という凶妖がやってきた。

 

 その鵺は、多種多様な存在に化けることができる。数多の変化で敵である人類を惑わせる強力な凶妖であり、空亡の右腕であった。鵺は僧侶に化けて活動を開始する。数多の妖魔を屠り貧弱な村々に結界を施すなどの活躍し、その活躍ぶりから帝の目に留まり謁見を許される。

 

 

 

「その鵺は道明という僧を名乗り、帝に謁見をし己の力を披露して、術者の学校である陰陽寮で働くことになりました。その後、大層な働きぶりにより陰陽寮の中でも学者が集まる理究衆、そこの教授となるほどでした」

 

 

 

 陰陽寮は、退魔師を中心とした陰陽衆、占星術を中心とし未来を占う占星衆、そしてこの世の原『理』を『究』明する学者が集まる理究衆の三つで構成されており。この三つの構成は四方の守護家のみならずそれなりの大きい大名でも効率がいいということで揃えているほどだ。

 

 陰陽衆は退魔師なので言わずもがな、占星衆は占星術で不幸な未来などを予想し回避するのが仕事、そして理究衆は言わば科学者集団である。

 

 科学者集団というと、僕らの世界の科学者を思い浮かべるだろうがそれで間違っていない。ただ理究衆は学者集団といわれるように、退魔師の側面を持ちながら科学を研究する集団だ。簡単に言うなら、僕らの世界の科学者が科学を追求しながらも呪術霊術を使い、更に科学や技術、霊術を磨くというものである。

 

 例えば僕らの世界での火は、赤い火と青い火は科学知識のない素人なら前者が見た目が綺麗だからこっちが熱いと思うだろう。だが、知識があるなら後者が熱いと理解できる。その科学的見地をもとに、霊術などを開発し、青い火を使う火遁などの術式を編み出し広める。という風に科学とオカルトを両方とも認めて考えるのが彼らなのだ。

 

 

 

「教授となった道明は、帝に提言できるほどとなり、様々な術を生み出しました。その中には、この都を守る結界もありました。ですが、その裏で道明は恐ろしいことをやっていたのです。それが、皇后を奪うことでした」

 

 

 

 そして、そこのトップに登り詰めた鵺は、表向きは有能な教授として働きつつも、密に都を陥落させるために色々と暗躍をした。そして、様々な中の一手が皇后に近づくことだった。

 

 

「皇后は戦う女性でもあったので、有能な退魔師の援護はとても役に立つものでした。故に、二人は行く先々の戦場で共に戦いました。ですが、皇后は道明から治療という名目で催眠をかけられてしまいました」

 

 

 道明こと鵺は、変幻自在の妖魔と言われるように多種多様な姿に変えることができる。男も女もどちらにもなれるのだ。それを利用し女性の望む姿に変身できる。そして、変身した姿はどれもこれもがイケメンであった。詰まるところサキュバスでありインキュバスでもある。エロゲーは男性向け故に、ヒロイン含めた女性陣を犯すために男性形態がほとんどだ。そして、鵺は有力な公家に貴族、そして皇后に近づきその魔性の外見で誑かして、女性達は次々と魔の手にかかっていった。

 

 余談だが、たまに余興として女性形態になって男を誑かす悪女として活躍したりするから油断できない。その女性形態も非常にエッチな上に、上手い具合に勝利すればエロシーンもしっかり用意している開発スタッフに感謝をささげるプレイヤーは多数いた。

 

 

 皇后も、最初は治療名目で按摩などをされて気を許したらそこから催眠をかけられ、次第に性的なことをされて、そして犯された。最初は抵抗していたものの、鵺は数々の女性を犯してきた性技、そして妖魔の体液は淫猥な効果があることや、帝以外に体を許したことによる後ろめたさなどを利用し、ついに堕とした。

 

 度々コンビで戦場に行くのが少し気になったものの、それでも戦場で功績を上げる二人だったので帝は功を上げるなら黙るしかないので、応援していた。

 

 

 

「そして、催眠をかけられた皇后は、正体を現した鵺により攫われてしまいました。帝はひどく嘆き悲しみました」

 

 

 

 その後、二人が率いる精鋭は凶妖が複数いる妖魔の大集団に襲われ全滅。全滅の報を受け取った帝は嘆くも、せめて遺体だけでも回収しようとしたが、配下の遺体はあっても皇后と道明の遺体は一向に見つからなかった。

 

 それからしばらくした後、帝の元にある式神がやってきた。その式神は記録水晶を持っていた。記録水晶とは文字通り、ビデオのように録画できるものである。式神に持たせて妖魔の集団を撮影する偵察目的などに使われるほか、貴族から貴族へのビデオメッセージのように使ったりもする。

 

 それで使われたのが、皇后のNTRハメ撮りだったのだから酷いものである。催眠をかけられ、感度上昇やら性欲増進などの術をかけられ、妖魔の公衆肉便器兼孕み袋となった姉の姿がそこにあった。

 

 紙芝居故に泣いたと言っているが、設定資料集だと文字通りの血涙を流し、奥歯を割り、あらんかぎりの呪詛を天に向けて叫んだ。

 

 道明もとい鵺の目的は内部崩壊であり、他の妖魔達からの協力もつけて、自作自演をしていたのだ。道明として討伐した妖魔は、妖魔側から見ても鼻つまみ者でそれでいて力も持っているから処分しにくい存在だった。故に、鵺の内部工作のために利用したのである。鵺からすれば力のある妖魔を討伐することで昇進してさらに内部に食い込むことができるし、妖魔側から見たら鼻つまみ者を合法的に処分できる上に何も知らない下っ端に人類に強い奴がいるから注意しろと、慢心しやすい妖魔を引き締めるのに役に立つし鵺の内部工作に利用できるからお互いwin-winであった。そしてそれは見事に実を結んだのが皇后NTRである。

 

 帝は死んだ兄姉と違って凡庸という評価があるが、腐っても鯛。扶桑国のトップの心を壊すことで、人類の結束を破壊する。何より、帝となった者は龍脈を管理するのだが、その管理には管理者となった者の心身が関係する。帝の心を壊せば、都を守る結界に綻びが出て都を今度こそ攻め落とすことが出来る。そう考えた上での鵺の内部工作だったし、多数の妖魔から協力を取り付けたので、鵺だけというより妖魔全体が団結して行った工作と言えよう。

 

 

 

「嘆いた帝は涙をぬぐうと、姉であり妻である皇后の仇を取るために、今まで学んだ知識をもとに自身の命を捧げてこの扶桑国全体に妖魔に対しての呪いを掛けました。その結果、妖魔達は力が出せなくなって多くの強い妖魔が討伐され、この国に平和が訪れました。なので皆さん、この都の中心にいる帝に感謝しましょう。これにておしまいおしまい~」

 

 

 

 演じ手の女性が締めを言うことで、僕らを含めたちびっ子から拍手が起きる。

 

 紙芝居故に優しい表現になっているが、設定資料集の一部を知ってる僕からしたらその裏で起きたことを思い出してあまり笑えない。

 

 確か、妖魔が子孫を残しにくくする呪いを掛けて死んだんだっけな。とうろ覚えだが思い出していた。主人公である波羅を含めた女性陣がひたすら犯され孕ませられるのも、偏に呪いで種の存続が出来なくなったので人間を犯すという風になっている。

 

 人間は妖魔に比べると弱いがその分繫殖力が高い。妖魔は強いが繁殖しにくい。そういう差があったのだが、帝の呪いで女性型の妖魔が子をほぼ産まなくなった。だから、男性型の妖魔が主体となり人間の雌を捕まえ孕み袋にする。だが、そこらの平民を犯しても生まれる子は母体に影響されてしまうのか弱い子になる。弱い子を産むと、退魔師に討伐されやすくなり、ただでさえ数が少ないのが殊更に減ってしまう。何より、妖魔を産んだ母体の平民は妖魔の出産に耐えられる者はいないし、耐えたとしても発狂して母体としての機能を損なう。だから、強い退魔師の女を捕まえて犯して孕ませる。

 

 人妖大戦の時は、人間を支配し管理するという目的だがそれには理由があった。妖魔という存在はうつろわざるものとして不変に近い存在だが非常に曖昧なものであった。その存在とは、人の認識によるものによって左右されている。

 

 僕が住んでいた世界では、幽霊や神などはいたという伝承がある。江戸時代の浮世絵などでも、各種の宗教でも神はいるなどの伝承で作られている。

 

 だが、伝承は伝承だ。確定的に確認されたわけではない。人が認識しなかったら、その存在を知らなかったら存在しないのである。要は童謡の「おばけなんてないさ」という奴だ。神も仏も幽霊も、その人がいるんじゃないかな……と思ったらその人の中にいる。だが、思わなかったら、知らなかったら認知されないから存在すら生まれない。そういう曖昧な存在故に、下手をすれば自然消滅することもあり得た。

 

 

 つまり、自分達妖魔の存続の確定のために、人類に自分たちの存在を強く認識してもらわなければならない。そのために人類を管理することは、自分達が生き延びることになる。それによる種の存続が、妖魔の目的であった。

 

 だが、人類側は妖魔に管理されるなど人間牧場をされるようなもので到底受け入れられない。だから、お互い自分たちの存続のために争う。

 

 そうした中で生まれた策が、鵺の皇后NTRであった。だが、マジギレした帝によって扶桑国に住む妖魔全ては呪いを浴び、ただでさえ子が出来づらくなってたのが殊更に出来なくなってしまい、女性型の妖魔は子を産むということがほぼ出来なくなったので存在意義を失った。女性型の妖魔は役立たずの烙印を押されて、男性型にDVもとい憂さ晴らしの道具になってしまった。耐えきれなくなった女性型は発狂して死ぬか、性転換の術を使って男になり種の存続のために人間の雌を捕まえ犯す。という裏事情が設定資料集にあったっけな。

 

 だから一部の敵なら性転換した妖魔なので、主人公の波羅を犯すことは精神的百合ですね、とは開発スタッフの言である。僕は百合は好みじゃないけど、ゲームでヒロインが犯されるのはとてもエッチだったしそういう設定があるとちょっとしたスパイスになってたくさん出たな。と下世話なことを思い出していた。

 

 

 

 紙芝居が終わってちびっ子達もそれぞれの帰路についていった。一部の女の子達が、僕に話しかけようとしたのだが

 

「下民共、兄様に軽々しく近寄るな!」

 

 と波羅が威嚇したことで蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。

 

「ちょっと大人気ないんじゃない?あんなに驚かさなくても……」

「兄様、女は野獣なのです。何より、兄様は大事な男故に軽々しく他の女に触れるべきではありません。何かされてからでは遅いのです」

 

 そう強く言われて、守る様にムギュッと抱かれると何も言えない。というか、守る様に抱かれることで妹の巨乳に顔が埋まって物理的に喋れなくなったのだ。タップして引きはがすようにしてもらう。

 

 その様子を見ていた演じ手の人が

 

「お兄さん、妹さんに愛されているねえ。大事にしなよ?」

 

 と茶化された。恥ずかしいので、とりあえず感想を言う。

 

「愛する妹ですので、大事にします。あと、紙芝居面白かったです」

「どういたしまして、私らがここらで芸をやる時、これをやるのが条件と言われてねぇ。仕方なくやってるのよ」

「条件、ですか?」

「ああ、朝廷の式目の一つみたいなもんさ。学のない平民に、天正帝の偉大さを教えること。そのためにこの紙芝居はやれ、と言われてねぇ。まぁ、やるだけで許可貰えるから安いもんだけどさ。いやはや、朝廷の教育は徹底してるねぇ」

 

 初耳だ。

 そんなの設定資料集になかった、はず…………。気になったので更に聞いてみた。

 

「あの、朝廷の教育とはどういうものでしょうか?」

「おや、お兄さんいいとこの坊ちゃんみたいなのに知らないのかい?朝廷は天正帝の代から寺子屋を作り、教育典範を作り、今に至るまでそれこそ平民から貴族まで教えてることがあるじゃないか。妖魔は滅ぼせ、捕まった男は潔く自決せよ。ってね」

 

 男は自決せよとは、かなり強い言い方だ。だが、帝が典範を作ってまで徹底してるのが気になった。

 

「自決せよ、とは?」

「あぁ、お兄さんは男だったね。すまないねえ、私の口からは言いにくいんだが……」

「構いません、どうか教えてください」

「……わかったよ。天正帝の呪いは妖魔に効いたが、こっち側も無傷とは行かなかったみたいでね。どうやら、こっちも男の数が段々と減って来たんだよ。そして、妖魔の男型は種なしになっちまって、こいつらは消滅したけど女型の妖魔は残ってね?そいつらが繁殖するために人間の男を攫っちまうのさ」

 

 頭を殴られた衝撃を受けた。

 

「み、帝の呪いは女性型の妖魔が妊娠できなくなるものだったのでは?」

「え?お兄さん、どこからそんな間違った情報教わったんだい?逆だよ逆、紙芝居はちびっこ向けだから話さなかったけどさ、男型の妖魔が種無しになったんだよ。だから妖魔は女しかいないし、男が捕まったら種馬になっちまう。男が種馬になったら沢山の妖魔を孕ませてしまうからね。だから、男は捕まったら種馬になる前に自決しろってのが天正帝の教えだよ」

 

 沢山生まれた妖魔が私達の敵になるんだからそりゃ自決しろっていうのもしょうがないよ。と、演じ手の女性が言ったが、ほとんど耳に入らなかった。

 

 目の前が明滅した。

 呼吸が段々と激しくなる。頭痛がして、吐き気もしてくる。そして、僕が見て見ぬふりをしていたのを突き付けられた事実を教えられたようで、足元が覚束なくなる。

 

「兄様、どうしました?」

 

 異変に気付いた波羅に支えてもらえなかったらその場に倒れていたかもしれない。演じ手の女性は、男に酷い内容を聞かせて済まないねと謝りながらそそくさと退散していった。

 

 僕が、このエロゲーの世界に転生して、ゲームの内容に近かったから、それに介入すればいいと思っていた。事実、いくつかの事象では回避できたことがあるから正しいと思ってた。だけど、ずっと違和感を感じていた。男の数が少なく、女の数が多く、それでいて体格も男が小さく女が大きくなっていることに。

 

 桃代姉さんを見ればわかっていたはずなのに、沙羅と由羅はゲームだと沙悟、由悟と男だったはずなのに、ずっと些細な事だと意図的に無視していた。…………否、自分自身に暗示を掛けていた。そうしないと、全て間違っていたと思い知らされそうで、その事実に弱い自分は耐えられそうにないと思ったから。

 

 だけど、全く関係ない人からこうもはっきりと言われると、もはや言い逃れが出来ない。この世界は、僕の知ってるゲーム世界と微妙に……いや、結構違っていることに。まさかと思って確定じゃないからと無視していたが、この世界は僕の知ってるエロゲーと貞操や諸々が違うのではないか、と。

 

 動悸が激しくなり、吐き気を催し冷や汗がひっきりなしに出て、足に力が入らなくなる。今まで自分のやってきたことは全て裏目に出たのではないか?という不安が襲ってくる。とんでもない間違いをしてしまったのではないかと、ひたすらにマイナス思考がやってきて、目の前が真っ暗になり、そのまま倒れるように崩れ落ちる。

 

 妹達が何か言うが、それすらも聞こえなくなってきて、瞼が落ちてそのまま意識が闇に──

 

 

「むぐっ?!」

 

 闇に落ちる直前に、口の中に液体が流し込まれた。それを飲むと、先ほどまでの倦怠感や吐き気に冷や汗が噓のように無くなり、活力がみなぎってくる。口に入れられているのは小瓶だということに気づいた。

 

「これでいいのか?」

「そうや、そのまま流し込むんや。この活力剤を飲めば一発やで」

「見知らぬ行商人、貴殿に感謝を」

「ありがとうございます」

「ありがとうございます」

「拙者も礼を申すでござる!」

「かまへんかまへん、同じ男として、男が倒れてるのを見て見ぬふりはできへんからな」

 

 

 妹の声と、男の声が聞こえる。話の内容から察するに、どうやら妹はこの男性と思しき人から薬か何かを貰い、それを僕に飲ませたようだ。落ちていた瞼を開けると────

 

 

「おっ、目が覚めたみたいやな。どや?気分は?」

「うひゃぁぁああ?!」

 

 

 僕の目の前に、筋肉モリモリマッチョマンの顔面ドアップが写り、あまりの衝撃に素っ頓狂な悲鳴を上げてしまった。




唐突な新キャラ。しかし筋肉モリモリマッチョマンって表現は本当に面白くてずるいと思います。
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