和風凌辱エロゲーの主人公兼ヒロインの兄に転生したんですが何か違う 作:ビシオ
知識もガバですが、どうにかこうにか頑張るので応援よろしくお願いします。
「
開発したのはエロゲー会社で有名なところで、その手のストーリーものに一定の評価のある所だった。そこが作ったこのゲームは最初からエロゲーではなく、一般向けマルチアクションゲームとして作られたことも話題を呼んだ。そして、どこから開発費捻りだしたのか?回収できるんか?とでも言うべき豪華声優と美麗なスチル画、そしてたくさん分岐のあるストーリーのおかげで、様々なエンディングが見られるのも人気の理由だった。
世界観は和風ファンタジーと言うべきものでゲームもそれを宣伝していたが、ファンタジーというよりダークファンタジーと言った方が正しい。緩い世界観を醸し出して宣伝し、プレイした人達を鬱にたたきこんだのは数知れない。
中世日本をモデルにした皇国が舞台で、江戸時代から戦国時代や室町、鎌倉時代のような日本をモデルにして開発したそうだ。
但し、中世ヨーロッパダークファンタジーなゲームではゴブリンだのドラゴンだのそういったクリーチャーが出るが、このゲームでは妖魔達がそれらの代わりにおり、大昔から人と妖魔とで争いまくって割かし世紀末である。そういった連中を専門に退治していき、皇国をまとめた朝廷から役目を与えられ、各地の守護の任につくのが退魔の一族たちである。
そのゲームの主人公は、北方守護の任に着き、北から果ては海を越えてやってくる大陸からの妖魔を退治する名門である
名門である故に、先祖代々から受け継がれた血と、彼女自身の持つ異能によって北方守護大名として、周辺の名家を束ねる存在として頭角を現していく。
心優しくも、主人公補正とも言うべきスペックの高さと、後はプレイヤー達の育成努力のおかげで、北方の妖達をガンガン蹴散らしつつ自分の領地を発展させ、都からも朝廷からも覚えが良くなり、褒章や高い官位を貰ったりして、最終的には辺境の大名でありながら、帝から求婚され正室となってハッピーエンド。男性向けゲームなのに、女性プレイヤーの夢見るような乙女ゲーのような立身出世街道を走るのも特徴の一つで、その宣伝のおかげで数は少ないが女性プレイヤーの獲得もしている。
僕も友人から是非ともプレイしてくれ!と薦められて、実際にプレイしてエロゲー会社が作った一般向けなんて大したものじゃないだろ、と小馬鹿にしてたがストーリーの出来の良さに感動すると共にバッドエンドの鬱さに後悔したものの総じて名作であると言える。イラストは有名なイラストレーターに注文したらしいのでキャライラストの出来が良いだけでなく、背景や戦闘描写も非常に凝っており、設定資料集のラフ画の量も多く、それだけでオタク界隈では大満足だ。
そして、最初から一般向けに開発されたというのに、冒頭で凌辱鬱エロマルチアクションゲームなんて紹介をしたのは、このゲームが世に出てしばらくし売れ行きが好調だったところ、ディレクターズカット版としてがっつりエロを入れた成人版が発売されたのだ。その内容は非常にパワーアップしており、通常版の不満点の改善だけでなく、アクション以外にも政治などを盛り込み、領地経営がオマケ程度だったのがそちらにも力を入れ、アクションが好きな人はこちらを、そうじゃない人は政治や領地経営を頑張ればクリアできるように設計したという、贅沢な出来となり、こちらが本編と言ってもいいので、そう紹介をしたのである。
だがしかし、これは凌辱エロゲーである。ストーリーや戦闘などのシステムに感嘆の声が止まらないが、基本的には鬱である。特に、主人公である波羅は、女主人公であるからか、バッドエンドルートになったら妖魔達の孕み袋直行である。それだけでなくても、数々の所にエロだけでなくグロイベントが盛りだくさんで、多くのプレイヤーのSAN値を削ったものだ。
特にエロシーンは容赦がない。
この世界の妖達は、ゲーム序盤の小妖や中妖、ボスレベルの大妖となるとそこそこ歯ごたえある敵だ。だが、初見殺しの能力が多すぎて簡単にゲームオーバーからの凌辱シーンに突入する。
特に、主人公たちは最初からそこそこ能力あるし鍛えていればサクサク敵を倒せるから気にならないが、退魔師達はレアな存在であり、大半のモブ達からすれば、主人公からすればスライムレベルの雑魚の小妖でも簡単に死んでしまうのだ。
街道を歩く親子連れが、談笑している最中に急に父親の頭が弾け飛び、息子は丸のみにされ、妻は犯され孕まされる。なんてのは朝食を食べるのと同じくらい当たり前に起きるマッポーな世界だ。もちろん、主要街道は警邏や退魔師が巡回してるのでそういうことは起きないが、主要街道から外れた場所では度々起きるのである。
そんなわけだから、ネームドキャラもあっさり死んだり凌辱シーンに突入したりする。特に、妖達の性欲はすさまじく、女性キャラはほとんどが孕み袋になるし、最悪の場合利用し尽して、これ以上利用できないとなったらトドメとばかりの映画エイリアンよろしくのハラボテチェストバスターなんてのは女性キャラに起きるほうが普通といっても過言ではない。
じゃあ、敵である妖魔達に気を付ければいいんじゃ?と思ったそこのあなた、甘い。前門の虎が妖魔達なら、後門の狼は味方陣営なのだ。権力闘争による暗殺謀略裏切りなど当たり前みたいに起きてしまい、それによってラスボスをワンパン撃破できるほど鍛えた主人公が、予期せぬ裏切りからあっさりやられて孕み袋エンドに突入してしまい、その動画を流していた実況プレイヤーがガチ泣きしていたのは有名だ。
そんなわけだから、鍛えればOKというわけでなく、関係各所に対する政治なども必要で、外交なども駆使しなければならない。但し、外交政治オンリーの道を突き進んでハッピーエンドを迎えたルートもあるので、戦闘が苦手なプレイヤーにも救いはある。尤も、女性主人公だから、最悪朝廷の左大臣や右大臣といった上位連中だけでなく、大納言や参議みたいな朝廷連中からの共通孕み袋エンドもあったりするのでそちらが楽というわけではない。場合によっては朝廷がすでに妖達の浸透工作を受け、朝廷主要人物達が全て妖魔化し都は知らないうちに陥落し皇国が妖魔国家に変貌。主人公は能力高いから妖魔達の国母となり、不老不死処理を施され出産の日々を送る……なんて最高にヤバイルートもある。
主人公は女性だから、負けるとレイプが当たり前。場合によっては領民を人質に取られたり、水源に毒を流すと脅されたりし、それを回避するために自ら体を差し出すシーンも存在する。そして、エロシーン回収のためにそれを狙ってわざと負けると、段々と闇堕ちゲージが溜まっていき、最終的には闇堕ち主人公として覚醒し、妖魔達を率いて人間を滅ぼし都を陥落させるルートも存在する。といった具合に、色んな方向にフラグがあるのだ。そして、エロゲー故に、簡単にエロに突入するのもお約束だ。尤も、和姦なんて2割以下で大半が凌辱出産であるが。
そういうわけなので、この世界では簡単にエロシーンに突入するのである。
(尤も、そんな最悪と凌辱を煮詰めた世界で、僕は単なるモブみたいなものなんだけどな……)
屋敷の一角にある和室で、僕は難しい顔をしながら上座から辺りを睥睨していた。
その和室では、主人公一家の関係者達が集まり、会議をしている。ここで気づいた読者のために説明するが、僕は当主代行である。
「『大妖』になりかけの人狼とは、近頃の妖達は簡単に強くなっておらんか?」
僕から見て左右に家臣と親戚や分家が並ぶ中、左列から声が上がる。
その声に反対するような声が右列から出る。
「いや、代行の報告によれば、武芸者を食らっていたとのこと。ならば、それによって中妖から大妖になりかけになったと考えてよろしいでしょう」
「なんとそういうことだったのか、代行、間違いございませんな?」
最初に疑問を呈した老人が、僕に尋ね、一同の視線が僕に集まる。
この場は、名門綾絶家の重鎮達が揃っているので、部屋に籠る霊力の高さも相当なものだ。代行である僕からすれば、彼らの霊力の高さが羨ましいと思うと同時に、高い霊力で吐き気を催すがそれをどうにか耐え、顔にも出そうとせず難しい表情をしながら。
「はい、間違いないです。私が向かったときには既に食われていました」
普通ならば、当主代行の出した報告に簡単に疑問を呈するなど無礼と言うしかない。だが、この場で霊力が最下位である僕の立場は弱いので、不満を出さずにそう言うしかない。
「そうですか。しかし、人狼を退治したのはいいとして、その後死体処理をしなかったのは頂けませんな」
「然り、死体を食らった妖が強化されるなど常識中の常識。代行、詰めが甘かったのではありませんか?」
「それだけに留まらず、退治に向かったときに下人と同じ服装をしていたそうではありませんか。貴方は我ら綾絶家の当主代行、ならば、それに相応しい服装をしなければ、我らの沽券に関わりますぞ?」
粗探しするような親戚一同からの重箱の隅を楊枝でほじくる攻撃が始まる。最初と次に関しては言い訳があまりできないが、最後に関しては、わざわざ敵に頭を教えるなんてリスクの高いことをしたくないだけだ。僕は合理を求めて退治に向かっただけである。それだけでも言い訳しようと口を開こうとすると――
「無礼な」
親戚一同は口を閉じ、冷や汗をかく霊力がやってくる。その言葉には言霊術を交えているので、一層言葉が響いた。
その声と霊力の元は、僕の右隣りに座っている少女。この世界のゲームの主人公であり、僕の妹になる綾絶波羅が放っていた。
「兄様は妖退治に向かう時、合理を求めています。下人の服装をするのも、妖に頭目の存在を教えないため。それらの合理を求めた活動により、我らの被害を抑え、下人の消耗も抑えています。まさか知らぬとは言いますまいな?」
「ぬう、しかしですな――」
そこから始まる、妹と親戚たちの口論を横目で見ながら軽く目を閉じて現実逃避した。
この世界の、主人公である彼女の兄として生まれた僕は、それはもう絶望した。ゲームでは綾絶家は三人の子供がおり、一人が長女であり主人公の綾絶波羅。そして、残り二人は腹違いの双子の弟達で三人しかいない。そこに、僕というイレギュラーが生まれた。しかも長男で、男である。普通に考えて当主であるが、当主代行とさっきから言われているのは、父が病に臥せっているから代行してるのもそうだが、最大の理由が僕の霊力が凡庸で、僕も凡人だからなのだ。
このゲームは友人に薦められてプレイした口だが、面白くて設定資料やスピンオフ小説や外伝も買って、完璧とは言えないがそこそこ覚えている。だが、そんな中でも主人公に兄なんて存在はいない。二次創作でなら、霊力を主人公以上にもつのはたくさんいたが、公式で兄は存在しない。
そして、もっと最悪に拍車をかけてるのがお家騒動だ。このゲームのお家騒動はあるにはあるが基本的に他家の出来事であり、主人公一族はほぼない。あったとしても分家とかのクーデターなどで、主人公の主家にはない。理由は言わずもがな、主人公が強く霊力が高く、長女故の跡取りだからである。それ故に、彼女が引っ張っていったので、分家や親戚の裏切りなどはあれど、分裂するということはあまりなく、あってもすぐ鎮圧できるような感じだ。双子の弟達は、彼女と比べて明確に劣る上に、弟達自身は最初から姉を支えようと頑張っているからバックにつく連中がいない。
もちろん、ルートによってはお家騒動ルートは確かに存在するが、割と普通に抑えられるので、そこから内紛に突入するってことが起きにくい。弟達が妖魔の洗脳を受けて主人公を裏切るルートはあるが、それは内紛とは違うし。
ダークファンタジーな凌辱ゲーではあるが、これでお家騒動あったらクリア不可能だな。というのは、RTAしてた有名プレイヤーの名言だ。そのプレイヤーのチャートなどを見てたがぎっしり詰まっていたので、説得力が非常にあった。
それなのに、何の因果か知らないが、僕はこの世界に転生してしまった。長男として。しかも、僕自身自覚してるし、転生前なんかただのパンピーだったから理解してるが、カリスマなんてものはない。顔がエロゲー特有のイケメン……とは口が裂けても言わないが、基本的に竿男優みたいなキモい奴以外はモブであっても普通に整った顔であるので、前世の締まらない顔からすればちょっとは見れるかな?程度にまで美形になった。だが、父や他のネームドキャラのような分かりやすいイケメンではないし、覇気などもない、凡庸な存在だ。極めつけは、妹より能力が劣っていること。
これで僕が顔やカリスマが凡庸でも、霊力が高いのならば、跡取りとしての存在は許された。だが現実は非情である。
明確に兄より優れた妹、それに対して兄は長男だからという理由で、病に臥せってる父親に代わって当主代行。どう見てもお家騒動の火種です本当にありがとうございました。
親戚が僕のことを名前でも様付けでも呼ばず代行と呼んでるのも、お前に当主の座は相応しくない。と暗に言ってるのだ。実にねちっこい、悔しいけど反論できないし僕自身もそう思ってる。
そこで、今も終わらぬ口論の内容を、全く聞いていなかったが、流石にもう部屋に帰りたくなったので止めるために――
「各々方」
――妹がやったように、凡庸な霊力に言霊術を込めて、目一杯力を込めて言葉を放つ。
流石に見下してはいるが当主代行というこの会議のトップであるためか、口論がピタリと止まり、一同の視線が僕に集中する。
全員に見られるという苦行を受けつつも、顔に出さずそれをじっくりと睥睨しつつ口を開く。
「私に対して思うことがあるのは重々承知、先ほどまでのありがたいお言葉も全て受け止めた上で言います」
一拍を置いて、はっきりと言う。
「私はあくまで、当主代行であります」
妹がしかめ面をし、親戚一同も何言ってんだこいつみたいな顔で見る。
気持ちはわかる、さっきの妹がやった見事な言霊術と霊力に対して、僕は遥かに劣ってる状態で使っている。
子供が調子乗ってるようなものにしか見えないだろう、わかってるからそれ以上の視線はやめてくれ僕に効く。
「心配しなくとも、波羅が一人前になればこの子に当主の座を譲ります。それまでは私が、父から一時的に預かった当主です」
お家騒動なんかまっぴらごめんだし、僕は妹を支えて双子の弟達を守れればそれでいいのだ。これ以上の面倒は御免である。
「ですが、私は非力故に、各々方の力を借りねばならない。そうしなければ、この北方守護大名である綾絶家を守ることができません。故に――」
上座からではあるし、胡坐をかいたままであるが。左右に握りこぶしを付けて深く頭を下げる。
「どうか、私のためではなく、綾絶家のために、各々方の力を貸してくだされ」
代行とはいえ、当主が軽々しく頭を下げてはならない。とは代行を指名された父から教わったが、無茶を言うな。僕は唯の凡人だ。使えるものはなんでも使う努力はするし、頭を下げて問題解決できるならいくらでも下げてやる。
何よりも、前世で兄妹はいなかったが、この転生した世界では僕は長男なのだ、兄貴なのだ。ならば、妹を守ることをしなければならない。僕と違って妹達は優秀だ、当主となる妹が一人前になるまでは僕が頑張って地ならしをするしかない。兄としてやらねばならないのだ。何より、エロゲー世界だとわかったら猶のこと守らなければならない。妹が目の前で犯されるとか常識的に考えて許容できるはずもない。
「……」
僕が頭を下げたことで、一同静まり返る。流石に重鎮達といえど、当主が頭を下げた以上、それにあれこれ言うのはいくら何でも不敬を通り越して処罰を喰らっても文句は言えない。当主の下げる頭は重いのだ、僕は軽々しく下げるけども。
流れが変わったので、僕は当主代行として今後の仕事についての話を始めることにした。
「……では、今後は周辺の警戒と結界の強化、並びに冬が来るのでそれの備えを宜しくお願い致します。尚、三カ月後私は波羅と沙羅と由羅を連れて都に挨拶に向かいます。冬が来る前に向かわねば、帰りが大変になりますので。勿論、皆様方にもご協力をお願い致します」
僕の決定に誰も文句は言わない、言ってることがもっともだからだ。北方守護という辺境を守るのは名誉ではあるし、与えられる土地も他の三方に比べて大きいが、冬が非常に厳しく、早めに備えないと簡単に餓死や凍死が起こる。この世界の平民の命は軽いが、僕は当主として、いくらでも沸くと言われる平民と言えども死者を抑える努力をしている。なぜなら税が下がるし労働力が減るからだ。
そして、都に挨拶に行くというのは。一年か半年に一度は最低でも挨拶に行き、守護大名としての報告やら、契約の更新やら色々せねばならない。他にも、帝や朝廷に捧げる供物の選定などもあるので忙しくなる。これに文句を言える人間は誰一人としていない、なぜなら非常に面倒だからだ。これに文句をつけると「じゃあお前が代わりに行ってくれ」と返されてしまうので、いつもは厭味を言う一部の重鎮も、都関係は普通かそれ以上に手伝ってくれる。まぁ、手伝う代わりにお前がやれよ当主代行だからな、と言いたいんだろうが。
場を解散させると、重鎮達は静かに離れていく。にしてもおばあさんやおばさんが多いなあというか、ほぼ女やんけ。男が僕含めて片手で数える程しかいないのは悲しい。原作だと重鎮としか描写されないから男女の比率なんて知らんけど。
当主である僕は最後に出るようにしてる。こういう場合は、トップが先に出るのだが、重鎮達の最後に出るということは、当主代行とはいえ貴方たちを見縊ってませんよ、現に僕が最後だからわきまえてますよ、というメッセージだ。
尤も、僕はその場で重鎮達の動きを観察して何があるのかを知る、という意味もあるが。急いで出るなら何かあったと見て、配下に調べさせたりして対処したりするのも当主の仕事だ。トップは辛いよ、誰か変わってくれ、というか妹がトップなるわ。でもあと数年待たないといけないから悪いやっぱ辛ぇわ。
「兄様」
色々と考えてたら、横から水を差されたのでゆっくりと顔を向ける。ゲーム主人公故に納得の、凛々しい美少女が、僕の顔を強く睨んでいた。
ジャンルのファンタジーはともかくホラーはあってるのかどうか自信がないのです。
もしヤンデレ出したらホラーになるのかなぁ