和風凌辱エロゲーの主人公兼ヒロインの兄に転生したんですが何か違う 作:ビシオ
返信したりしなかったりで申し訳ありませんが、目を通してしっかり読ませてもらってます。
とりあえずアーマードコア6を1週できました。面白かったです。ダブルショットガン強すぎて笑った。
強いッッ!! とてつもなくッッッ!!!
目の前の男から出された圧力は、私達にそう感じさせるのに充分であった。
兄様を守るために思わず立ち上がり、得物に手を伸ばそうとしたところ兄様が片手を挙げて制した。
「お前たち座りなさい」
「ですが兄様ッ! この男は危険です!」
「座りなさい、この人が敵に回ったら僕たちは絶対に勝てないから。抵抗するだけ無駄だよ」
兄様はというと、警戒する私達と違って堂々と座ったままだ。そして、お茶とお菓子を食べながらも私達に語り掛ける。その胆力には驚くしかない。
そして…………、悔しいが兄様の言う通りだ。私達では、この男に勝てない。この圧力は大妖どころか凶妖か桃代姉様と同等…………、否、桃代姉様すら超えるだろう。それほどまでに圧倒的な強者としての貫禄があった。
その男、行商人万太はというと微笑を浮かべ
「ほう、中々の胆力だな」
「いいえ、瘦せ我慢ですよ」
「だとしてもだ、お前のその剛胆さに敬意を表そう」
そう言うと、行商人万太は机の上で両手を組み、それを自分の顔の前に持っていく。先ほど見せた微笑は組まれた両手で隠れ表情がわかりづらくなる。
「さて、もう一度聞こう。どこでそれを知った?」
「教えても構いませんが、知った後どうするのです?」
「内容による、とだけ言おう」
言い終わるとゴウッ! と圧力が増した。その鋭い眼光は、まるで嘘を言わせないという風に強い。私達はその圧力にビリビリと肌を震わせる。抵抗しようにも、相手の存在が強大過ぎてこうして意識を保っているだけでやっとだ。だがいざとなれば、私は自分の身を呈して兄様を守る気でいる。左右に目配せすると、妹達も理解したようだ。
兄様は、そんな相手にも臆せず堂々としている。
私達より弱いはずの兄様が、この時はとても強く見えた。
お茶とお菓子を食べ終えた兄様は口を拭うと話し始める。
「万太さん、まず初めに僕の嫁について話しましょう。僕の嫁は、
「ほう、あれか」
行商人も、桃代姉様の病について知っているようだ。
子継病。
この病に罹った者は、労咳に似たような酷い症状に悩まされ、そしてその病名の通り子に受け継がれる。実に安直な命名ではあるが、他人に感染せず女性のみに感染し、それが子に受け継がれるという非常に特異な病のため、これ以上の表現方法がないということでこの名がついた。
男性に罹ったことはなく、子継病の女性を抱いても男性に感染しないことは今までの記録で判明している。だが、その子継病は生まれてくる子に業を背負わせるようなものなので、子継病の女性を抱こうとする人はいない。当然だ、子が生まれたらその子は必ず子継病を患うことになるからだ。
生まれてすぐというわけではないが、ある程度体が出来た幼児頃に必ず発病するのが今までの記録で確認されてるほどだ。ならばいっそのこと子を作らない方がある種の救いなのだ。子供の時からこれに罹る人は桃代姉様のようにお腹の中にいた時に母体がそれに罹って伝染する、ということがほとんどらしい。一部はそれでもやはり子が欲しくて病の体を押して作る人もいたが、やはり幸福にはならなかったと伝聞で聞かされた。
女としての立場が失われてしまう上に、治す方法は存在せず高価な薬である程度抑えることしかできない。故に、子継病になった女性は迷惑をかける前に自害する人が多い。桃代姉様も、兄様がいなければ自害していたとは本人の言だ。
そこから兄は経緯を説明した。不治の病に罹った従姉の姉。誰も引き取り手がおらず子も作れないので、自分が嫁にしたと。その姉であり嫁であるその人を救う手段を探していた時に、伝承で見たのだと。
「まぁ、伝承というと聞こえはいいですがようは御伽噺です」
ある御伽噺で大陸の皇帝は、不老不死のために財を惜しまずあらゆる伝説の物を取り寄せようとした。その御伽噺にある、あらゆる病を治す薬として『建木の雫』があると。
「それで知ったわけか」
「はい」
「だが、お前は自分がやってることがわかっているのか?」
「何をでしょう?」
「御伽噺の代物を頼むという行為だ。空想上の存在かもしれないものを頼むなど、馬鹿馬鹿しいと思わないのか?」
行商人のいう言葉に、私は心中で同意した。
確かにそうだ、言われてみれば御伽噺の代物を求めるなど愚かな行為だ。その御伽噺の皇帝は、伝説の物を取り寄せようとして結局失敗した。それと同じ行為を兄様はやろうとしている。
そう思っていると、兄様はくつくつと笑い始めた。
「何が可笑しい?」
「失礼。貴方がそれを言うのかと思いましてね」
「どういう意味だ?」
「言葉通りの意味ですよ。先ほど僕達の目の前で奇怪な事をして道具を取り出した。道具の大きさと袋の大きさが合わないことを、不思議で済ませられるわけがないでしょう。迷い家の力を利用した牛車と似てますが、貴方のそれはどう見ても違う。それに────」
そう言うと喉が渇いたのか、お茶を一口飲み
「僕からすればこの世界そのものが御伽噺みたいなものですよ。色々と説明がつかないしつきにくいことが多い。そして万太さん、貴方のような人が…………いや、
行商人は眉をピクリと動かす。
兄様の言ってる意味がさっぱりわからない。相手はとても強いのはわかる、だが行商人だ。身分で言えば私達より下だ。だというのに兄様は、まるで目上の人のように接する。これは単に相手が年上だから、という理由ではない。まるで、自分より身分や存在が上のように接している。それをするのが理解できない。もしかすると、兄様の言うようにこの男はただの行商人ではないのでは?
そう思っていた矢先に相手が口を開く。
「最後に一つだけ聞こう」
「なんでしょうか?」
「御伽噺の代物を求める愚かな行為。それをすることにお前からは何の後悔も疑問も感じない。そこまで駆り立てる理由はなんだ?」
「愛しているからです」
即答だった。その相手が誰なのかは言うまでもない。少し私の胸が痛くなる。
「愛でそこまで動くのか?」
「はい。それに僕は、自分の幸せを求めていません」
「何故だ?」
「幸せになるのは、女子供だけでいい。偉大な先人からそう教わりました。ならば、愛する女性が病に侵されてるならば、それを救うためにありとあらゆる手段を講じることに何の躊躇いがありましょうや。例え御伽噺の代物であろうとそれを求め、結果財を無くし後ろ指を指されて笑われようとも、恥もしなければ後悔もしません。故に────」
言う途中で兄様は座布団から降りてそれを脇に置き、改めて正座をし────
「────『建木の雫』の取り寄せ依頼、伏してお願い申し上げます」
────―見事なまでの土下座をした。
美しさすら感じる微塵も隙の無い土下座。兄様は当主代行として動くとき、中々動かない連中にこうして頭を下げる。改めてみると、無駄のない所作でありながらもこちらに拒否することをさせぬほどだ。だが、相手は得体の知れないがとても強い行商人だ。そいつに兄様の土下座が通用するかどうかはわからない。何より、行商人の強い圧力の前でここまで堂々とした土下座を敢行する兄様の覚悟が眩しい。それと同時に、私の胸が痛くなる。そこまで兄様の愛を貰っている桃代姉様に激しく嫉妬をする。今晩激しく抱きたいなと思ってしまうほどだ。
この二人の間に挟むことも声を出すことも出来ず、しばらく待っていると────―
「は────っはっはっはっはっはっは!!!」
────―突如、大声を上げて笑い始めた。あまりの突然の哄笑にビクッと震えてしまう。
その呵呵大笑が終わると、おどけたように両手を挙げて。
「いや~まいった参った! ワイの事を知りながらそこまで言ってくる奴はアイツを入れて二人目や!!」
心底可笑しいという風に笑いながらも、先ほどから発していた強者の威圧は雲散霧消していた。ピリピリしていた雰囲気が和らぎ、私もだが妹達もホッとしている。
「ふぅ…………ええで、気に入った! 頭を上げぇや」
緊張していたのか、顔を上げた兄様はたくさん汗をかいていた。それもそうだろう。私達ですら、意識を保つだけでやっとだったのだ。私達より弱い兄様は、真正面から受けてたわけだからその圧は凄まじいだろう。寧ろ、今までまともに受け答えしてたのに驚くくらいだ。だが、その汗をかいた姿が大変スケベだったので、桃代姉様への嫉妬もあり、今晩激しく舐めて綺麗にしようと思った。
そして、どうやら兄様のことを行商人は気に入ってくれたようだ。最初に出会ったときのような暑苦しい笑みをして話し始める。
「久々に漢を見たわ。お前の覚悟しかと受け取ったで!! 取り寄せ依頼受けてやるわ!」
「ありがとうございます」
「さて、前払いやが注文する品物はかなりの貴重なブツやからな、銭はいらんが別の物を貰うで」
「なんでしょう?」
「それはな────―」
だが、行商人が言った内容に、私達は石のように固まった。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖あぁぁぁぁぁあああぁぁい!!!!!
まるでギャグマンガのような絶叫を内心で叫んでいた。もしこの絶叫を実際に出していたならば、都から我が家へ届かせるほどの声量になると思う。それくらいに怖い。ちょっと褌が湿ってしまったよ‥‥‥。それでも妹達に兄として堂々と振舞わないといけないんだからお兄ちゃんは辛ぇわ。
しかし、『建木の雫』の話を出した途端に雰囲気が変わったのは本当に焦ったし怖かった。このアイテムは神の庭にあると言われ現世にまず出てこないと言われるほどの
桃代姉さんという公式チートな武力キャラを、運が良ければ万太と出会ってこれを即ゲットして治して戦線加入することができるほどなので、冗談抜きなマジモンのレアである。それだけでなく、他にも難病と称するものを必ず治すと言われるくらいのブツだ。桃代姉さんに限らず、難病に侵されてる有能キャラを復帰させるのにも重宝するし、戦闘中に使うとHPやMPが完全回復し防御結界やオート回復、ALLステータスUPなど考えられるバフが全てかかってある種の無敵モードになるブツ。所謂ラストエリクサーとも言えるものが『建木の雫』なのである。
だが、先ほど言ったように伝説の品物。だからこれの名前を出して、万太が警戒するのも無理はないだろう。
なんてったって、相手はまさに神の化身ともいうべき存在だ。万太の説明の世界最強の商人というのは伊達や誇張ではない。そしてその強さは、人として練り上げられた物でも、ましてや妖魔として作り上げられたものでもない。
なぜならば、万太の格好は大黒天様とクリソツではあるが、これはコスプレではない。本当に大黒天様なのだ。
神の庭にあるものを、何故知ってるのかというだけで警戒に値する。場合によっては世界の調和を乱すと見なされて文字通り破壊させられる恐れもあるのだ。なので、大黒天もとい万太がああやって本気モードになったのは僕のことを値踏みする必要があった。内容による、と言ったのも、下手なことを言うと文字通り滅せられるから小便ちびりました。
もともと大黒天とはマハーカーラという、ヒンズー教のシヴァ神の異名である。日本では紆余曲折あって七福神として受け入れられてるが、本質は破壊の神だ。
万太がゲーム会社のすべての作品に出るというのも、スターシステムを思わせるが実際はマハーカーラとしてシヴァ神として存在し、時間、幻力、創造と破壊、力を持っているからこそ、時を越えて作品を越えて現れる。というのが設定資料集に書いてある。
実はこの設定資料集が出るまでは、神の設定は後付けであった。最初期のころは社長とかプロデューサーを擬人化してゲームに登場させるといったオマケのようなものだった。だが、作品が増え設定が練られると上記のような神設定が追加されたというわけだ。まぁ、社長もプロデューサーもゲーム作品では神みたいなものだから間違ってはいない。
この設定資料集が出るまでは、それまでのゲームで出た資料集には万太の存在は最強の商人としか書かれておらず、現状最新作のこのゲームの設定資料集でようやくこの設定になったようだ。
実は万太の存在が、神じゃね? って考察したプレイヤーはそこそこいるのだ。
ゲーム中の技や魔法などは、敵専用の技とか味方専用の技がある。だが、万太の使う技はそのどちらにも当てはまらない彼専用の技なのだ。しかも、別作品でもその技を当然のように使うしべらぼうに強い。敵味方双方とも関係しない第三者の技を使うし大黒天な恰好だし、作品を越えて参上するし、こいつ大黒天なんじゃね? って考察をしたプレイヤーがいて、笑い話だったのが本当であったというオチである。
大黒天様が持つ福袋もそうだが、もう一つの打ち出の小槌はこちらも振れば様々なものが出てくる伝説通りの代物となっている。
この小槌は様々な伝説や歴史家の解釈をふんだんに含んだものになっている。一寸法師のように対象物を大きくさせたり小さくさせたりするほか、美味な料理を出す、金銀財宝が出る。と言ったものだ。
だが、その解釈の中には説明文である世界最強の商人という文が絡んでくる。
ある学者の解釈では、大黒天がガネーシャと習合して出来るうち本来ガネーシャが持っている武器が言い伝えによって変わったのではないかという説を出した。ガネーシャは斧を持っていたが、古代の斧は石器時代の石斧だが、見立てによっては石斧は槌にも見える。その槌とは、雷神トールの「ミョルニル」ではないか? と。それを採用したスタッフが、この打ち出の小槌を単なるアイテム等を出すだけの代物にせず、万太の武器として設定したのだ。
結果、福袋の説明は
「あらゆるブツを、文字通り無限に出す伝説のアイテム。どこぞの青タヌキを思わせる」
とギャグ調になっているのに対して、打ち出の小槌は。
「金銀財宝や料理などを出す伝説のアイテム。それだけでなく、万太を象徴する武器である。敵対したり泥棒したりすると、雷を纏う槌と化し相手を消し炭にする」
とギャグ調から一転して真面目な説明になっている。
そして、泥棒をしたり、彼の持つブツを目当てに襲って返り討ちにあうのが一種の様式美となっているほどだ。かなり強く設定しているのは開発スタッフ曰く
「スーファミの伝説的ローグライク、あれをそれぞれ参考にしました」
とのこと。
話が逸れたがとりあえず、神の化身としてべらぼうに強いのが行商人万太なのである。なので、妹達が先ほど立ち上がって得物に手をかけようとしたときは本気で焦った。
木曜洋画劇場の主人公のような理不尽且つ最強の存在に対して勝てるビジョンが浮かばない。なんとか僕が抑えることができたからよかったが、あの場で戦っていたら…………まず消し炭になってたことだろう。そう考えると本当に震えるし怖かった。
とりあえずハッタリで押し切ったが、なんとか受け入れられたようでよかった。ただ、桃代姉さんを救うことについては嘘じゃない。格好をつけたが本心だ。今でも妹達みたいな女子供が幸せになってるのを見るだけでも嬉しいし守りたいと思ってる。だから桃代姉さんも救いたい。無論、姉さんが強くてゲームで有用キャラだったという理由もなくはない。だが、初めての嫁だからというほうが強かった。その格好をつけた本心も、どうやら理解してくれたようで何よりである。
ただ、僕を入れて二人目というのが気になるが────―
「さて、前払いやが注文する品物はかなりの貴重なブツやからな、銭はいらんが別の物を貰うで」
「なんでしょう?」
────―考えてる最中にそう言われて慌てて返事をした。今それを考えても仕方がないだろう。だが、銭はいらんと言われると困惑する。一体何を請求されるのか?
「それはな────―お前さんの体で払って貰おうかのう?」
「────―えっ?」
言われて体が固まる。
僕の体で何をするというのか、もしかして…………アッチの方なのか?!?!!
そう思った瞬間、冷や汗がドッと出てきた。
そういえばここはエロゲーの世界だった、ならこういうことも考えてしかるべきだ。思わぬ提示に思いっきり焦ったせいか顔に出してしまったようで、相手は僕の顔を見て手を振り
「ああ、安心しぃ。ワイは男色の趣味はないけぇの」
「そ、そうですか、よ、よかったぁ~~……」
ホッとした。いや本当に。
妹達からも安心したのか溜息が出たようだ。よかった、こっちの処女散らすことにならなくて。
「実はな、お前さんにこの中に入れてる紙に書いた複数の人物と関係を持って欲しいんや。但し、会う時は一人で会いに行くんやで。じゃないと依頼はナシや」
そう言ってちょっとした小包を渡された。視線で中を開けろと言われたので、開けて中を見る。その中には、お守りのようなものと紙があり、そこに書かれた内容と名前一覧に驚く。
だが、関係を持つという言い方が気になる。
「あの、関係を持つというのはどういう意味でしょうか?」
「そのままの意味や、まあそいつらにあって話をすればええで。それにお前さんも、そいつらに用があるみたいやしなぁ?」
ニヤリと笑いながら言う彼に、内心を見透かされてドキッとする。戸惑っていると、相手は立ち上がり
「まぁ、お前さんはこれから大変なことになるやろうからな。それに関して、ワイも他人事じゃないからのう。じゃ、ここらで失礼するでぇ! バイナラ!!」
そう言って万太は指を鳴らすと、その場で旋風が起こり彼の姿が一瞬で消えた。
「い、今のは?」
「恐らくだけど、移動術かな?」
「なんと、あの一瞬で」
「やはり只者ではなかったですね」
波羅の疑問に僕が答えると、双子が納得したようだ。術に明るい二人からしたら、あの一瞬で転移することがどれほどの上位の術式かわかるらしい。
「頼兄さまぁぁぁ!! 怖かったでござるぅぅぅううう!!」
「おーよしよし、怖かったね。ほら、おいで」
「う゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ええええん!!」
焔が僕の体に泣きべそかきながら抱き着いてきた。それの頭を撫でて優しく抱いて慰める。
うん、そりゃ怖いよ。だってあの人マジモンの神だし。今まで相手をした妖魔なんかクソ雑魚ナメクジみたいに思えるほどに絶対に強いし敵に回してはいけない存在だもん。
だが、設定資料的に考えるとホンマモンの神だから勝てないんじゃね? と思いがちだが、ゲーム的にはびっくりすることに勝ちの目がほんの少しだけあるのである。これは、ゲーム会社のポリシーのようなもので、倒せない敵はないと宣言しているほどだ。
但し、行商人万太は裏ボス中の裏ボスとも言える存在。それこそ、一周一個の激レアアイテムを二桁は用意し、全てのキャラをほぼ上限まで成長させ、出し惜しみはなしとばかりに思いっきりレアアイテムを使いまくってようやく、と言う位のレベルである。正直言ってキツイ。
だが、万太を倒すと
「参った! 降参や! 褒美にこれをやるで!」
と言って打ち出の小槌と福袋をくれるのだが、これは本当に公式チートとも言うべきもので、これを手に入れたら所持金とアイテムが無限表記になるのだ。
さらには打ち出の小槌は槌分類ではあるが誰でも装備できる上に使える技が全体攻撃の「神の雷」という技なので、はっきり言って一振りするだけで大妖も凶妖も等しく消し炭にする。
「神の雷」を防げるのは鵺や九尾のような術に特化したボスだ。だがしかし、武器として振るうだけでも普通に火力が高い上に、投げるとブーメランのように戻る唯一無二の特性があるのだが、それがまた極悪なのである。
全ての武器は投げたら拾わなければならない。当然だ、万物の理である。だが、打ち出の小槌は所有者の手に必ず戻るという特性がある。これを利用し、相手に向けて投げたらどのタイミングでも手に戻すことが出来、これで火力の高い小槌を何度も投げれば防御の硬い敵もあっという間に倒してしまう。
酷いのは、例え避けたとしても小槌を手元に呼び戻せるアクションをすると、それに巻き込んでダメージを与えることが出来る。この時、完全な背後から且つ不意打ち属性となるので多めのダメージとなるのだ。ちなみにこれは万太と戦う時相手がしょっちゅう投げては戻すをしてくるので、万太と戦ったプレイヤーはこれの恐ろしさを良く知っている。
そんな理不尽な存在が威圧を掛けてきたのだから、まだ凶妖と出会ってない焔からしたら恐怖そのものだろう。こうして泣きじゃくるのも無理はない。
涙と鼻水を垂らして顔を擦り付ける従妹をひたすらあやして慰める。すると、妹達も僕に抱き着いてきた。
「兄様が無事でよかったです…………。正直言って勝ちの目が見えませんでした」
「ええ本当に」
「あの人、桃代姉上より強いと思います」
「うん、そうだね」
妹達も怖かったのか、体がわずかに震えていた。それを宥めるように落ち着くまでそれぞれ頭を撫でる。妹達からしても、凶妖どころか桃代姉さんを超える存在に当たったわけだからそりゃ怖いだろう。
ようやく落ち着いたころに引き剝がし、茶屋を出て次の目的地へと向かった。
店を出ると、意を決したように波羅が話しかけてきた。
「兄様、先ほどの行商人は兄様の依頼を受けましたが、あれは信頼できるのですか? 何せ、兄様の依頼の品物は伝説の物。兄様を騙している可能性があるのでは?」
なるほど、妹の疑問は実に尤もだ。だが、その心配はいらないだろう。何故ならば、彼が神の化身というだけではなく、彼の言動そのものにあった。
「その心配はないかな。万太さんの言った事そのものが実在してるってことの証明だし」
「?? 頼兄さま、よくわからないでござる??」
「騙すつもりなら、金だけ取って終わってるよ。御伽噺の皇帝だって、大金を払っても結果が出なかったでしょ?」
「それはまぁ…………」
「後、万太さんは他の人と違って僕の依頼を決して馬鹿にしなかったからね。これが他の商人なら視線で小馬鹿にしてたよ。でも、あの人の視線や威圧、あれが馬鹿にしてるように思えたかい?」
「……いいえ」
あれほどの圧を掛けて馬鹿にしてるというのはあり得ない。さっきも言ったが、騙すだけなら金を貰ってとんずらすればいいだけだ。
しかし、万太はそれをしなかったし存在を否定すらしなかった。だから、彼の言動がそのブツがあると言っていることの裏返しである。
イマイチ納得していない妹だったがこれ以上は理解しにくいのか、話を変えてきた。
「兄様、あの行商人が渡したものは何だったんです? 紙のほかにお守りなどもありましたが」
「ああ、それはまぁ…………秘密だよ」
波羅から尋ねられたがはぐらかした。あの紙に書いてあった名前は、これから会う人物達だったからだ。しかもわざわざ一人で会いに行くのが条件と来たのだから、ここから先は妹達とは別行動である。
「じゃあ、僕はこれから万太さんのお願いのために人に会いに行くから。悪いけど宿に帰ってくれないか?」
「むぅ…………。仕方ないですね。兄様を出来れば一人にしたくないのですが」
「何かあったら式神を飛ばしてくださいね?」
「もし、お泊りになるのでしたら連絡をくださいね?」
「危なくなったら拙者が駆け付けるでござる!」
「ありがとう。じゃあ行ってくるよ」
やや寂しく思いながらも、僕が持っていた手荷物を手に次の目的地の一つへと向かう。
次の場所は、商業区画から少し離れた所。具体的には鍛冶場である。そこにいる、人間に鞍替えした大狸の鍛冶師に用があった。
この世界が貞操逆転してると気付くと、男一人は結構危険だが、万太からはそれを対策するかのような物も渡してくれたから猶更にあの人怖いってなる。
これからどうなるかの不安を胸に、僕はゲームで波羅を犯して孕ませて嫁にするエロシーンが用意されてる大狸の鍛冶師の下へと歩いて行った。
お読みいただきありがとうございます。
ゲンドウスタイルの表現がうまくいってるかどうか不安ですが、わかってくれたのなら嬉しいです。
ゲンドウスタイルで圧迫面接するマジモンの神。妹達は意識を保つだけでやっとに対してお兄ちゃんは痩せ我慢とはいえ敢然と立ち向かいました。
愛、愛ですよ愛。
打ち出の小槌が手に戻るのはGOWのリヴァイアサンのアレです。僕はGOW(2018)がシリーズ初プレイですがめっちゃ面白いですね。クレイトスさんが不器用な父親やってて可愛い。
太字やら文字を揺らす機能とか凄いですね。これを使いこなせる作者様は凄いなって思います。
中々エロシーン行きたいのに行けなくて読者様もそうですが僕自身もやきもきしてます。ごめんね。
でも料理は仕込みで決まるって偉い人が言ってたので・・・
これからもお付き合いのほどお願いします