※この作品はR-18です。

和風凌辱エロゲーの主人公兼ヒロインの兄に転生したんですが何か違う   作:ビシオ

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皆様へお詫び申し上げます。
前話で西方守護の名前を出しましたが、ちょっと納得いかないな~と思ったので変更しました。ご理解の程よろしくお願いします。申し訳ありません。

ただ、変更した名前は自分でも気に入っています

お気に入りが9000件突破、評価してくれた方が450人突破と、僕の拙作に過分なご評価、誠にありがとうございます。皆さまの評価お気に入り感想のおかげで今があることを、心よりお礼申し上げます。


三十一話 悪徳商人は性欲強いってのはある種のお約束だよね

 カポカポとゆっくり動く牛車の前の御簾を開けて、前方にある目的地を見る、その建物の荘厳さと大きさに、僕を含めた一同は感嘆の息をほうと漏らす。中でも、叔父上は久しぶりな感じでうんうんと頷いている。

 

「久しぶりに来たけど、やはりいつ見ても大きいねえ」

「僕は初めてですが、叔父上は数回利用したんでしたっけ?」

「うん、君に頼まれていた物の落札などにね」

「その節はお世話になりました」

「構わないよ、あの時の君は元服もしてない子供だったしね。それにこちらとしても、君が作った砂糖と清酒を印象付けることが出来たし、とても売れたからね。我が家の財政が助かったのも君のおかげだよ」 

 

 上げた御簾を戻し、所定の位置に戻り中止していた昼食を再開する。牛車内で昼食を食べながら、僕らは歓談する。

 

 我が家の牛車は上から数えた方が早い檳榔毛車(びろうげのくるま)である。唐廂車(からびさしのくるま)よりワンランクは劣るが、それでも上位貴族が乗る代物に変わりはない。四方護家という位置にあるから当然とも言えるが。

 

 尤も、他の三方護家は檳榔毛車を複数所持しているし、率いる不死の霊牛も数頭なのに対して我が家はボンビーだから一台一頭しかない。これもそれも北方という寒冷地が悪い、おのれ寒冷地め、必ずや僕の頑張りで発展させて妹達に楽させてやる、と再度誓う。

 

 牛車は一応当主の物となっているので、当主の部屋つまり僕の部屋で昼食を食べながら今後について話していた。僕と妹達叔父上が部屋の中心にいて食事をとっており、御付の家人が数人傍に控えており空いた皿を片付けたりお茶くみをしたりしている。空間術を施しているため、外見とは裏腹に屋敷のような快適さがある。

 

 食事最後のデザートとして、僕が厨房の料理人に教えた物を持ってきてもらった。

 

「おや、べっこう飴だね」

「はい。我が家の砂糖を使って、こうして料理人に頼んで作ってもらいました」

「君が砂糖を生み出すまでは高級品だったのに、こうして気軽に食べられる…………とても感謝しているよ」

「「「兄様(あにさま)(兄上)ありがとうございます」」」

「頼にいさま、拙者も感謝するでござる!」

 

 べっこう飴は高級品だ。もっと言うなら砂糖自体が高級品である。大体の甘味と言えば麦や米から作る水飴が中心であり、砂糖は貴族が食べるような高級品だ。他の三方守護ならば我が家より裕福だから出るだろうが、その貴族の中でも綾絶家はこうして食後にお菓子が出てくるなど本来なら祝い事など特別な日しか出なかった。我が家は寒冷地故に余り裕福ではなかったというのが原因だ。

 

 だがしかし、僕が砂糖と清酒、そして楽市楽座の真似事で経済を加速して大金を稼いでからは一気に風向きが変わった。財政が火の車から左扇となり、親戚一同も余裕が出来たほどだ。更に僕は、一か月に一度は領民達をねぎらう為に、妹達や部下に振舞う過程で失敗したべっこう飴を勿体ないからと振舞ったりしている。

 

 失敗品の中には清酒なども含まれている。現代日本のような工場製作なら失敗品は抑えられるだろうが、戦国か江戸時代みたいなこの世界だと家内制手工業や問屋制などが中心だ。平たく言えば現代日本と違って失敗品はそこそこ出るのだ。

 

 親戚一同からは、高級品である砂糖を平民如きに使うなんてと陰口を叩かれるも、砂糖を生み出したのが僕だから表立って言うことはない。それで供給を断たれたら困るからだ。そして、べっこう飴自体は失敗品だが、それでも甘味であることに変わりはなく食べた領民は皆笑顔。更には副次効果として、領民の士気が上がって働きが良くなった。

 

 我が家の荘園の生産量が高いという目に見える石高数も相俟って、今では他の親戚一同も飴と鞭を使い分けるのが重要だと理解した。おかげで、裏ではこっそりべっこう飴や清酒の失敗作を譲ってくれと言われて僕はそれを二つ返事で快く譲っている。何故譲るかと言うと、失敗作とはいえ在庫になるからだ。それを領民に振舞って機嫌を取れるなら安い物、何より失敗品をリサイクルできるので無駄を無くすことが出来回転効率があがるのである。それもこれも、特産品とそこから生み出される大金のおかげである。金は正義、はっきりわかんだね。

 

 欲を言えば、工場制手工業にして生産量を上げたいのだが砂糖と清酒は我が家の特産物故に情報流出を抑えるために家内制、よくて問屋制にするしかない。それも兵士の警備付きなのでコストもかかる。工場制にするのは大分先になりそうかな~と思いながらデザートのべっこう飴と茶を食べた。

 

 一人五枚のべっこう飴だが、僕は一枚だけ食べると残り四枚は妹達に分け与える。調理場で色々試作品を作ったりしてその過程で食べるので正直そこまで欲しいとは思わないのだ。料理を作った人がその過程で腹が満たされるようなものと同じである。妹達が大喜びだ、その笑顔を見るだけでお兄ちゃん嬉しいよ。

 

「このべっこう飴もそうですが、色々と産物を売りたいものですね」

「そうだね。ただ君が最上級清酒をあんな風に売るのはちょっと関心しないなあ……」

「え? 兄様は何かするのですか?」

「えっとまぁ、そうだね。何をするかはちょっとお楽しみに、だよ」

「よくわからないけどわかったでござる!」

 

 三者三様な反応を見せる。

 妹達に話さないのは却下されるのが目に見えてるからだ。だが、せっかくの最上級清酒が出来上がり、剣聖様に振舞う分や帝に献上品として差し出す分や諸々を差し引いて少し余ったのである。その最上級清酒を高く売りつけるために、僕がこれからやることを叔父上に話した。

 

 当然叔父上からもあまり宜しくない反応で却下を喰らう。だが、牛車大量購入と量産依頼で金が大量に吹っ飛んだ。勿論これから売る砂糖と清酒で補填できるが、元が平民な僕からしたら少しでも元を取りたいという貧乏性が発動した。

 

 結果、僕自身を使って競売会場で売り込むということをすることで、損失補填を図る。更には、これからのブランドとしての確立のためにもここは折れて欲しいと叔父上に訴え渋々認めてもらった形だ。

 

 本来ならば、あまりこういうことをする必要はなかった。しかし、自分自身に掛けた暗示が解けたことと、この世界が貞操逆転してることが分かったこと、そして何より可愛い妹である波羅に地位を譲るためにも領地開発のための金が必要だ。だから、自分を売り込もうとしたのだ。まぁ、僕自身周りの美形に比べたら劣るけど顔はまぁまぁ悪くないし、男が少ないから行けるだろうというふんわりした考えでやっている。売り込むと言っても、あることをするだけだ。

 

 そうこうしてるうちに、牛車が止まる。目的地にたどり着いたからだ。

 

 

 

 

 

 競売会場「天網」

 

 牛車屋『絹道』と同じ商業区画にあるのだが、その立地はまさに一等地と言っても良い。何故ならば、商業区画の中央にあり且つ最も目立つ建物だからだ。更に言うなら、商業区画は他の区画同様碁盤目になっているが、「天網」への道は東西南北の主要道路の中心にある形なので、どこからでも入れるようになっている。

 

 商業区画はその特性上商店街のようになっており、東西南北のメインストリートとも言うべきエリアはあらゆる商店が立ち並ぶ。脇に逸れると、様々な商店がありこちらも大通りの大店には劣るものの悪くない商品を並べているが、裏路地とも言うべき場所は闇市とも言える場所になっており注意が必要だ。僕が最初市場に向かった時も、メインストリートを歩いたのちに裏路地の店に入ったりして商品を探していいレア物をゲット出来た。

 

 だが、それらの大店、小店と違い「天網」は中心部に君臨している。更には貴族や公家が住まう上級区画の入り口の道路と簡便に行き来出来るようになっている。つまり、貴族らも即座にアクセスできるような立地にしていると言うことである。ゲーム中でも、大名行列の如く貴族や公家が馬車と牛車を率いてゆっくりと見せつけるようにメインストリートを歩き、そして「天網」に入る様子を描写してたりした。貴族や公家からしても、自身の存在を見せつけるためにも、そして直ぐに入れるように商業区画と上級区画をメインストリート同士で繋げているのである。

 

「天網」という屋号は諺から取っているが、元は「悪人や悪事を逃がさないように 天が張り巡らした網」という意味だ。だが『現世の波羅姫』ではそれをもじって「あらゆる物品を取り扱う天すらも取り込む網」という意味で「天網」という屋号にしたと設定資料集に書いてあった。

 

 実際、低確率だがSSR(スーパースペシャルレア)UR(ウルトラレア)などの物品が出品されるし、超低確率でLR(レジェンドレア)すらも出てくる。LRアイテムは凶妖級を倒さないといけないものは流石に出ないが、禁足地にあるような代物や僕が万太に依頼した「建木の雫」のようなものは出てくる。MODで凶妖級を倒さないと出ないやつを出せるようなチートMODもあったが、それは割愛させていただく。

 

 禁足地の物は大体朝廷が管理しておりこのような競売会場でポンと出るような代物ではない。ならば何故出ているのか? というと表向きは世玖芭家が管理してるが裏は朝廷が扱っている物だからだ。何故四方守護の一角に任せているかというと、世玖芭家が四方護家の中で一番金に詳しいからだ。

 

 餅は餅屋ということで、出納帳簿や運営などの管理も任せており、競売会場からでる莫大な利益は朝廷と世玖芭家の財政に貢献している。だがしかし、利益の割合は朝廷が七割、世玖芭家が三割となっている。ほぼ全て任せている割に世玖芭家が三割しか貰えてないのは、金の力で反乱を起こされると困るというのもあるし、何より禁足地という朝廷の荘園の物品を扱う以上朝廷の物だということを示すためでもある。金は持っても実際の地位と権力は御上が上だと示すと言うことだ。故に、七割も取るということで存在感を示していた。

 

 だが一方で、金にがめつい世玖芭家は三割で満足してるのかと言われると満足している。それどころか二割でもいい方だ、と設定資料集に書かれてあった。

 

 その理由は、競売会場という場所そのものにある。

 

 競売会場という以上多数の人員が出入りするが、それを把握して観察し情報を得る。この情報こそが、世玖芭家が欲するものだ。例えば、ある物品を落札した貴族にその物品に関連するものを売りつける。落札したいが、金がない公家に金を貸す。今まで頻繁に落札していた貴族が急に来なくなったら何かあるということが分かる、等々────

 

 それらの情報こそが、商売で最も重要なものだ。その情報の為に朝廷に半分以上利益を取られても、そこから元を取るどころかそれ以上の金が入る。情報の鮮度と確度こそが、世玖芭家にとって欲しい物だった。だからこそ、朝廷に七割取られてもニコニコな笑顔でいられる。

 

 更に言うなら、「天網」を取り仕切る立場として、商売に携わる者としての勉強になるのだ。これは代々世玖芭家当主のみならず親類縁者すらも従業員として働き知見を深め、そして貴族や公家の観察をする。それらの勉強をする場として「天網」は最適なのである。

 

「損して得取れ」という諺があるが、まさにその通りと言えよう。「天網」の利益比から見たらほぼ損であろう。何故ならば、「天網」の運営や経理など全てやらされているのに七割も取られてしまうからだ。残りの三割は運営や管理費、貴族や公家への接待交際費や人件費などで吹っ飛び手元に残るのは雀の涙と言われている。

 

 だがしかし、情報の鮮度と確度、家族や部下の育成成長の場としてこれ以上の場所を探すのは難しい。それらの成長を促進させること、経験を積ませること、これらばかりは如何に大金を積もうとも得られぬものである。将来の大益になる経験と知見を「天網」という場で得られるのだから世玖芭家からすれば七割取られても安いものであった。

 

 

 

 

 ──以上が、世玖芭家が「天網」をほぼ利益無しで運営する理由は大体こういうことだと設定資料集に書いてあった。だが、僕からしたら世玖芭家は妹達の貞操を狙う注意すべき商人そのものと言える。

 

 西方守護であり大商人でもある世玖芭家の当主は世玖芭李(よくば りー)といい、「欲張り」という名前を当て字にした創作ならではな名前だ。李という名前から大陸人かと思いきやちゃんとした扶桑国人だと資料集に書いてあった。

 

 外見は金に糸目を付けぬほどのいい食べ物を食べている……有体に言えばデブ体形の竿男優種付けおじさんだ。それでいて、金に関わるなら誰とでも取引するほどであり、更に言うなら女好きである。特に金と女では女好きのほうが比率が高く、いい女を手に入れるならば妖魔とすら取引するほどで、女性型妖魔すら買って犯して孕ませるほどだ。

 

 まさしくそれはもう、エロ同人みたいに女を手籠めにして孕ませるのが趣味と公言してるくらいだ。美女とわかれば節操無しに粉をかけ、そして孕ませて寝取りをかますキャラなので寝取られ好きからはテンプレすぎる悪徳商人な汚っさんだと言われている。

 

 ゲームでの関わりは、商売関係上必ず関わると言ってもいいキャラで、主人公が領地開発やら特産品やらをする際主人公の美貌を気に入り関係を持とうとする。そこでどう関わるかはプレイヤー次第なのだが、これが結構厄介なのである。

 

 金にがめつくドスケベ親父な李は、主人公もといプレイヤーと関係を持とうとするが、ここで受け入れるかあしらうかを選ぶことが出来る。受け入れると言ってもまだ肉体関係までやるわけではなく純粋な取引関係だ。相手は豪商人で四方守護の一角であるため、取引関係を持つことは悪いことではない。多くのプレイヤーがここで受け入れるを選ぶことになる。

 

 あしらうことも出来るが、その場合今後の取引が少し厳しいことになったりする。主人公の商売スキルが高いならば問題ないが、低いと足元見られることが多々あるのだ。そこから友好度が中立ならば問題ないが、低いと商売関係で嫌がらせを行ってくるほどの厄介さを持つ。終盤はともかく金に厳しい序盤だと結構難易度が上がってしまうのである。贈り物攻勢で何とか中立と裏切り天秤を維持出来るが、その贈り物は他のキャラクターとの関係にも使ったりするので結構痛い。金にがめついだけでなく審美眼も高いので、要求される贈り物も高価且つレアじゃないと意味がないのが難点なのだ。

 

 だが、あしらうと肉体目当ての李との関係を断つことが出来るので処女を維持したい場合は重要でもある。受け入れても処女を維持出来るが、その場合彼の厄介な搦め手を捌き続けなければならない。

 

 様々な贈り物を送ってプレイヤーの欲するものを用意するだけでなく、資金援助もとい借金などもさせてくれるので、李の援助を受け入れるプレイヤーは数多だった。序盤での領地開発が一気にスムーズになるのでRTAでも役に立つ人物でもある。

 

 一方で、ドスケベ親父なので体目当てな発言やら行動を少しずつしてくる。最初は別にいいが、段々と資金援助と贈り物を受け入れ続けているとどんどん求めるのが激しくなってくる。交渉スキルなどがあるなら捌けるが、相手は豪商人であるため多くのプレイヤーがセーブしてリセマラすることになった。

 

 捌けないと、肉体関係を結ぶことになる他、最悪彼の子を産む羽目になってしまう。これだけならまだいいが、贈り物を沢山もらってる状態で捌くのに失敗し拒絶すると一気に友好度が地に落ちて裏切り天秤も妖魔側に傾き、妖魔に売り飛ばされるというバッドエンドすらあるほどだ。この場合、どんなにこちらから贈り物の返礼品や金品を渡そうとしても拒否されてしまい、完全に友好的でなくなってしまう。

 

 贈り物や金品を送るのは、ある意味売春というかパパ活みたいなもので送ってくるのだ。それをプレイヤーは捌けるかどうかの話になるのだが、拒絶すると裏切られたと思い憎悪を抱くようになる。僕の前世でもパパ活で搾り取ってた女性が刺される事件があったりしたがあのようなのと同じだ。尤も、ホストに入れ込んだ女性がキレてホストを刺す事件もあるから、要するに痴情のもつれのようなものである。

 

 

 そして、僕は見極めなければならない。

 

 

 相手が原作ゲーム通りの男なのか、それとも貞操逆転みたいに入れ替わってるのか。

 

 

 これが、最初から最後まで全部変わってるなら楽だった。だがしかし、叔父上や綾小路道玄と薫が原作ゲーム通りの男であったためにいちいち確認しないと安心して眠れないのである。女に変わったら変わったで僕の貞操がヤバくなるが、僕より可愛い妹を守る方が先決だ。

 

 全ては妹達を守るためお兄ちゃん頑張るぞいの勢いで、僕はフンスと鼻息を荒くし心を決めて、皆に声を掛ける。

 

「ではそろそろ出ましょうか」

「そうだね、ここは車庫だから歩きで受付会場に向かおうか」

「はい。では妹達、必要なものを持って──」

「頼にいさま! なんだか外が騒がしいでござる!」

「えっ?」

 

 牛車の側面には物見という引き戸の窓がついてあり、そこから外を覗ける。本来の牛車ならば中身が人一人くらいしか入らないので座ったまま覗けるが、空間術を施したこの世界の牛車だと中身は普通に部屋で立ち上がらないと見れない。

 

 焔は、この中で一番背が低いので、脚立を使って見ていた。可愛い。

 

 その可愛い従妹が外が騒がしいというので、僕も焔の後ろから覗くように見る。ちょうど焔の背中と僕のお腹がくっつく形だ。

 

「本当だ、誰か来るみたいだね」

「あの、頼にいさま、近いでござる……」

「あ、ごめん。離れようか」

「いえ、すいません! 抱きしめて欲しいでござる」

「? まぁ、いいけど」

 

 近すぎて離れた方がいいのかと思いきや、今度は抱き着いて欲しいというからよくわからん。でも可愛いくて小さな従妹の頼みだから、所謂あすなろ抱きという形で抱きしめながら物見を覗く。脚立の天辺に焔、一段下に僕が乗ってる形で見てるので、ちょうど彼女の頭が僕の顎に来ることになる。ちょうどいいので頭に顎を載せながら撫でる。

 

「誰が来るんだろう…………? 支配人かな?」

「ふにゃぁ~~拙者は別の物が来そうでござるぅ~~♡」

「ちょ、ちょっと焔動かないで──うわっ!」

 

 焔が脚立の上で足をムズムズと動かしたものだから、狭い脚立の上という場所でバランスが取れず背中から倒れるように落ちていく。背中を強打しそうになるのを予想し、可愛い焔は怪我させないという思いと共に彼女を抱きしめて守ろうとする。

 

「兄様っ!! ぐっ!!」

 

 波羅の声が聞こえ、背中が畳とキスするかと思ったら柔らかい物の上に落ちた。

 

 どうやら、畳の上に落ちる前に波羅が滑り込んで彼女の上に落ちたようだ。そして、僕の背中は彼女の巨乳の上に載ってしまっている。僕は慌てて焔と共に波羅の上から降りて彼女の安否を確認する。

 

「波羅、大丈夫かい?!」

「ええ、私は丈夫ですので。兄様に怪我がなくて良かった…………」

 

 立ち上がった波羅は焔に顔を向け怒鳴る。

 

「焔! 貴様が危ないことをしたから危うく兄様が怪我するところだったのだぞ!?」

「うぅ……申し訳ないでござる…………」

「戯け! 謝る相手が違うだろう!」

「頼にいさま、本当に申し訳ございません……」

 

 叱られた猫みたいなしおしお顔で謝る従妹、これはこれで可愛い。

 だが先ほどのは愛する妹が言うようにこの子が危ない行動をしたから、こうなったのだ。茶化さず真摯に受け止める。

 

「謝罪を受け取ろう、その上で許すよ。波羅が庇ってくれたおかげで怪我がないしね」

 

 よしよしと頭を撫でると、しおしお顔が段々と水を得た花のように花開いて行く。可愛い。

 

「兄様、庇って上げたのだから私も褒めて欲しいです」

「ああ、そうだね。ありがとう、波羅。僕の愛する妹」

 

 ほら、おいで。と両腕を開くとそこに飛び込むように抱き着き、僕をむぎゅ~~と抱きしめてくる。体格差があるため仕方がないのだが、彼女は僕に褒められるときこうやって抱き着くのが好きだからしょうがない。おっぱいに顔が埋まって息が苦しい。勃起しないように霊力を股間に集中するのがまた辛い。兄である僕が腹違いとはいえ実の妹に欲情するわけにはいかないから、お兄ちゃんは辛ぇわ。

 

 助け船を出してくれたのは叔父上だった。

 

「二人とも、そろそろ止めて外に出ようか。どうやら重要な人が来たみたいだよ」

 

 年上の保護者から言われたらやめるほかない。波羅は渋々と言った感じで僕から離れ、そして僕らは外に出る準備をし、外に出た。すると、牛車から出た所で一人の大柄な女性が多数の人員を引き連れてやってきた。

 

 

 まるで、大名行列のように店員や下人を引き連れているその女性は、一言で言うなら金満な格好であった。

 

 

 そろそろ秋から冬になろうとしてる季節だからか、防寒対策のためにファー付き外套を身に纏う。その外套の下は所謂チャイナドレスであった。それだけで、周りが和服の中で大陸風の服なのでとても目立つ。

 

 スリットは太腿どころか腰より上にあり、褌すらつけてないのでは? と思えるほどの切れ込みが大変スケベ過ぎる。更には、歩くたびにどたぷん、と擬音が出るほどの爆乳を揺らし、スリットからはみ出る太くて柔らかそうな太腿と巨尻がはみ出て動いている。更に更に、生足美脚も一歩一歩動くたびに見えてしまい、僕はそれを見ただけでも勃起しかかる。それでいて腰は細いので、ボンキュッボンな擬音そのままな体形と言える。

 

 顔はというと、これまた美人だ。

 

 柔らかでありながら人を観察するのに長けたたれ目と、すらっとした鼻立ち。それに、人妻の色香を思わせるような口紅が妖艶さを増している。眼鏡もかけており、とても似合っていた。

 

 髪の毛は和風ファンタジーエロゲー宜しくな、現実でありえない濃い紫色の髪の毛だった。長い長髪をアップスタイルで上げたポニーテールなのだが、そのポニーテールは真珠の紐で縛っている。髪留めには金箔をふんだんに使った簪を使っており、蝋燭の照明に照らされて煌めいていた。

 

 その簪も、真珠の紐も、爆乳と共に揺れる金の首飾り、両手につけた宝石の指輪の数々、どれもこれもが高価な宝飾品だというのは素人でもわかる。片手に持つ煙管も、持ちての部分が蒔絵で彩られ金属部分は純金な煙管なので目に見えて財力を誇示する様は正に貴族と言えよう。

 

 その謎の人物が、ぞろぞろと家来を引き連れてあろうことか僕たちの前まで来た。

 

 僕が代表、叔父上が副代表のためそれぞれ綾絶家一団の先頭に立ち、彼女が僕ら二人の目の前で立ち止まり相対することになる。

 

 叔父上も僕も、この世界の男だからか背は低い。僕は百六十五、叔父上ですら百六十八センチくらいしかない。戦国時代や江戸時代の平均身長で考えるなら普通の身長と言える。

 

 それに対して、この世界の女性は体形が良すぎる美人ばかりだからか、目の前にいるチャイナドレスの爆乳美人は二メートルを超えている。

 

 彼女は開口一番に、叔父上に挨拶した。

 

「久しぶりやなぁ、実光はん」

「ええ、お久しぶりです。世玖芭殿」

 

 叔父上が頭を下げるのを見て、からからと笑いながら手を振る。

 

「よしぃや実光はん、ウチのことは凛ちゃんって呼んでええって言うたろ?」

「御冗談を、そのようなご無礼は出来ませんよ」

「ウチは無礼とは思わへんけどなぁ、立場的に北方守護と西方守護は同等なわけやしのう」

 

 話を聞くに、相手は西方守護の者で世玖芭 凛という名前のようだ。なんだろう? もしかして世玖芭 李の妻かな? と思っていると、彼女がこちらに視線を向ける。

 

「んで、このおチビちゃんが実光はんが話してた子か?」

「ええ、自慢の甥子ですよ」

「ほほ~」

 

 そう言いながら、両手を腰に当てるとそのまま上半身を前に倒す。どたぷんという擬音と共に揺れる爆乳は正に圧巻。上半身をそのまま前に倒しても体幹が崩れないさまも美しい。それでいて、高身長美人さんが僕の顔をまじまじと覗き込んでくるので、それはもう僕は赤面した。

 

 凛という女性はニヤリと笑うと。

 

「中々可愛い子やんけ♪」

 

 そう言って、笑顔を向けながら優しく頭を撫でてきた。ふわっとした香料が鼻に入っていい気分がする。それに、美人さんに笑顔で撫でられて悪い気分はしなかった。

 

「んで、後ろのカワイ子ちゃん達も姪子ってわけやな」

「はい、頼君の異母姉妹に当たりますね」

「ほほ~、退魔師として中々筋がいいようやな。武士(もののふ)としても鍛錬を積んでるのはわかるでぇ」

 

 後ろに顔を向けると、凛さんに対して眦を吊り上げながら会釈する妹達。流石に初対面の方に対して厳しい視線をしてるのは頂けないので、体ごと向けると僕は注意する。

 

「妹達、そんな厳しい視線を初対面の方に向けるのはやめなさい。無礼だよ」

「…………はい、すいません兄様」

 

 波羅が代表して頭を下げ、双子と焔がそれに続く。

 

 すると、僕の両肩に手を置かれ、更には後頭部に柔らかい二つの物体が当たった。これはもしかしなくてもおっぱいだということに気づき、僕はいきなりな出来事に硬直する。思わず情けない声を上げてしまった。

 

「ひょえっ?!」

「頼君言うたか? 余り妹ちゃん達を怒らんといてーな。あの子達はな、ウチというお邪魔虫に対して怒ってるんや。つまり君の為を思うてるんやでぇ? ほら、あの足運びもウチに対していつでも掴みかかれるようにしてるんや。君を守ろうとする、出来た妹ちゃん達やでぇ」

 

 柔らかな猫撫で声で僕の耳元で囁く凛さん。近すぎておっぱいが更にむにゅぅぅうと頭に食い込んでくる。体に付けた香料の香りも大変良く、腰が砕けそうだった。初対面の相手に対してエライ近すぎではないか? と思ったが、貞操逆転だと男に対して色目を使うようなものだと納得する。

 

 だが、納得しても理解が追い付かない状況で、僕はどうしようかと赤面硬直しながら悩んでいたのを助けてくれたのは叔父上だった。

 

「世玖芭殿、どうかそこまでにしてくれませんか。頼君が困っています」

「おやおや失礼したなぁ、いきなり馴れ馴れしくして堪忍な。余りにも君が可愛いもんやからついからかってしもうたわ」

 

 叔父上に窘められて、両手を上げておどけた感じで離れる。

 

 ようやく、止まっていた時が動き始めたように僕は深呼吸を始めた。美人さんにいきなり後頭部におっぱい当てられた衝撃で呼吸まで止まっていたようだった。

 

「さて、改めて紹介しようか。ウチの名前は世玖芭凛(よくば りん)言うんや。西方守護の当主やさかい、これからもよろしゅうな」

 

 ──呼吸が再度止まった。

 

 今先ほど西方守護当主と言ったか? 原作ゲーム通りならば、男であり世玖芭李という名前だった。それが女性に変わってる。どういうことだと思い、荒い呼吸をしながらも尋ねる。

 

「あ、あの、西方守護の当主とは本当ですか?」

「ん? せやで、代々女が務めてるんや」

「そ、そうですか。てっきり我が家みたいに男がやってるものかなと思いまして…………」

「ああ、それは君ん家が特殊事例ってだけやで。大体貴族の当主は強く逞しい女が務めて、か弱く美しい男は女を裏から支えるもんや。ただ、君ん家みたいに妻が愛する夫を立てるために当主に就かせる例もあるにはあるが少数やなあ」

 

 言われて納得した。貞操逆転して、立場も逆転してしまってるからこんなにも女性が強い存在なのかと。だから、周りの女性は皆体格が素晴らしいのに対して男は小さいのだと。

 

「そうなんですか……僕は当主代行となった身ですが、父上が当主だった故にずっと男がやるものだと」

「あ~、君が代行とはいえ二代連続っていうのはホンマに珍しいで。だから君ん家は話題やったんや。それに、長生きするのは大体女やさかい、夫は妻を置いて早死にするからせめてもの情けって奴で当主に就かせるんや」

 

 早死にというと、男が種馬になっているということだろうか。あまり考えたくないがエロゲー世界ということを考えると十分あり得るだろう、ましてや貞操逆転してるわけだし。波羅のポジションが僕かもしれない。

 

 だが、まだ決まったわけではない。更なる情報が必要だ、故に踏み込んだことを聞いてみる。

 

「そうだったんですか…………僕は当主代行として、そして男として三方守護の夫の方々に挨拶しようと思ってましたが……」

「ああ、男同士で仲良くするっていう気持ちはよくわかるがすまんなぁ、ウチの旦那は死んでしまったんや。挨拶するんなら墓前に手合わせしてくれるだけで十分やで」

 

 酷くあっさりとした感じで言ってきた。旦那は既に死んでいる? どういうことだろうか……。

 

 原作ゲームだと、李の妻は息子を産んだ後産後の肥立ちが悪く死んだと書いてたっけな。この世界だとどうなってるんだろう。刑部の雄太郎が存在せず伊予さんになってたことを考えると、彼女の場合は入れ替わったのか性転換したのか。

 

 確認のために、旦那さんの名前を聞くことにした。

 

「そうですか、ご供養しますので名前を教えてもらって宜しいですか?」

「ええで、ウチの旦那の名前は(りー)っちゅうんや。手合わせ、あんじょう頼んまっさ」

 

 原作ゲームだと旦那は生きてて奥さんは死んでる、対してこの世界だと旦那は死んでて奥さんは生きてる。立場的には入れ替わりになるんだろうか…………。だが、これはこれでいい。何故ならば、妹達が抱かれる心配が一つ減ったからだ。まだまだ男か女か確認すべきことがあるが、その中の一つが減っただけでもいいだろう。

 

 だがしかし──

 

「ん? どないしたん?」

「いえ、何でもありません。ところで、わざわざお出迎えしてくれたことに感謝します。宜しければ天網の各施設の案内をご教授お願い致します」

「お安い御用やで、そのためにあんさんらの元に出向いたんや。尤も、頼君の可愛い顔を見に来たっつったほうが正しいがなぁ?」

 

 ニシシと笑いながらも、此方についてこいと言わんばかりに背を向けて歩き出す。叔父上は僕らに視線を流して付いてくるように言ったので、それについて行く。

 

 ──もしかしたら、僕が抱かれることになるかもしれないのかな…………と思いながらも、歩くたびに腰を揺らし、巨尻を震わせる彼女を見て前かがみになってしまう。彼女の肢体を見て勃起しそうになる男の本能が恨めしかった。

 

 




過眠症で辛いですが、皆様の評価や感想のおかげで頑張れます。
感想はなるべく返信しますが、あくまでなるべく且つ、ネタバレになりそうなのは出来なかったりするのでご了承くださいませ。


感想と評価のところを緩和しました、宜しければ入れてくださると嬉しいです。
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