※この作品はR-18です。

和風凌辱エロゲーの主人公兼ヒロインの兄に転生したんですが何か違う   作:ビシオ

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とても暑いですね、なんとか僕も生きてます。皆さんも大丈夫でしょうか?お体ご自愛下さい。

僕はというと休日がほとんど寝てばかりでゲームすらやる気起きない状態です。ですが、皆さんが評価感想お気に入りしてくれるおかげで小説の続きだけは頑張って書いております。

これからも応援のほどよろしくお願いいたします。


三十四話 貞操逆転オークションで巷で話題の貴公子が出たらどうなるか感想を述べよ(配点:100点)

 競売とは読んで字のごとく、一定の期日に人を集め、競争で値をつけて最高額を出したものに売る活動である。

 

「天網」では様々な物品が出される。それは、借金で首が回らなくなったので家宝として大切にしていた物だったり、朝廷や公家の荘園で出される貴重な代物だったり、奴婢として扱われる半妖だったりだ。

 

「さぁさぁ、この霊鉄に幾ら出しますか!」

「十両!」「十一両!」「十五両!」

 

 競売人の掛け声の下、値段がどんどん吊り上がっていく。既に提示されてる値段だけでも、大工職人の月給を軽く超えていっているから高い代物が出されているのがわかる。

 

 僕らが凛さんの引率の下やってきた時には既に始まっていた。

 

「来るのが遅かったですかね?」

「いや、ちょうどいいくらいやで。最初は大したものじゃないやつから売りに出されるからな」

「そうなんですか? あの霊鉄は良さそうに見えるんですが」

「あれよりもっといいのが後に出るで、それを落としたらどうや?」

「本当ですか? ならそっちを落としてみますね。ありがとうございます」

 

 僕は凛さんに礼をいう。貴重な霊鉄は武具作成に使うが、それよりいいものが後に出てくるとなるならば、やめておいて資金を節約しておいた方がいいだろう。

 

「凛さんは支配人だから、何を出されるかは知ってるんですね?」

「せやでぇ、管理するのも仕事やからな。というか、一応何が出されるかは目録用意してるから大丈夫やで、ほら」

 

 そう言うと、下人がサッと僕に目録を渡してくる。下人はお面で顔を隠しているが背が高くおっぱいが大きかった。そして目録を見たが様々な物品があったが、今回は奴婢はいなかったようだ。

 

「あ、本当だ、わざわざありがとうございます」

 

 下人に対して軽く礼を言うと驚いたように動き、そして慌てて頭を下げて後方に下がる。その様子を見て凛さんはニシシと笑い。

 

「ホンマ、頼君は優しいなぁ。たかが下人にまで礼を言うなんて」

「挨拶は重要ですからね、礼も同様ですよ」

 

 どこぞのマッポー忍殺みたいなことを言えば、相手も納得したようだ。続いて口を開く。

 

「ちなみに目録を見れるのは貴族のみの特権やで、平民はお楽しみにってところや。でもまぁ──」

 

 そう区切ると僕の方に体を横に傾ける。どたぷんっと擬音がするくらいの爆乳が揺れ頭にちょっと当たる。柔らかかった。

 

「──君が出す清酒やけどな。それに君がオマケをするって言うがそれ自体はウチもわからん、せやからどんなオマケをしてくれるのか楽しみにしてるでぇ?」

 

 凛さんと競売人に我が領地の最高級清酒を出すのは知らせてるものの、オマケの内容までは知らせてない。これは、僕のささやかなオマケとして考えているから秘密にしているのだ。

 

「ええ、是非とも楽しみにしていてください」

「うん、わかった。ただ、厨房を何に使うのかはわからんけど、何か作るんか?」

「それもまた、お楽しみですよ」

「ふーん、そか」

 

 そう言うと、手招きして僕らの座る場所を用意してくれた。貴賓席であるため、見晴らしがよく周りが見渡せる。僕の右隣りには波羅を筆頭とした一族が、左隣には、凛さん、久理子さん、マレノさん、為人殿と言った風に並ぶ。僕らは最前列で、後列には他の貴族が座っており

 

「あの男の子、あれが北土の貴公子ですわよ?」

「まぁ、なんて小さくて愛らしい。お顔が見れないのが残念ですわ」

「是非とも顔が見たいでおじゃる」

 

 そういうヒソヒソ声が後ろの方から聞こえたので、その方向に顔を向ける。話していた貴族は驚いた顔をした。そんな彼女達に、軽く手を振り会釈して挨拶をした。すると、顔を真っ赤にしながらも、彼女らも会釈を返してきた。

 

 そんな様子を見た久理子さんはニヤニヤ笑いながら

 

「頼よぉ、お前さん罪な男だなぁ? わざわざ顔を見せるなんてよ」

「そんな、大袈裟ですよ久理子さん」

「いいえ、そんなことありませんわ。男は女性にジロジロ見られるのを嫌がりますからね。わざわざ応えてくれるのは貴方だけかと思いますわ」

 

 寧ろ、頼君はやや無防備ですわよ? 

 と、改造巫女服なエロフであるマレノさんがそう窘めて言ってくるが、僕としては見たいと言ってたから見せただけだ。だが、貞操逆転で男の数が少なくなっている世界だと意味が変わるようだ。

 

 ……やはり未だに慣れない。自身にかけてた暗示のせいもあるが、僕の行動一つでそんな風に褒められたりするとむず痒くなってしまう。その暗示も大体解除されてるし、前世では控えめな行動をとる内気な人間だったこともあり、こう褒められることに慣れてないのだ。もっと言うなら自分が美少年になってることすら慣れてないのである。

 

 そう思っていると、次の競売品が出される。

 

「次に出されるのはこちら、妖刀「村正」です! 呪われているため、お買い上げになった方が死んでも当方は一切の責任を負いません。それでもかまわないのなら三十両から!」

「三十五!」「三十八!」「四十!」

 

 妖刀村正がここで出るとは思わなかった。ゲーム中でもかなり上位に食い込む刀である。切れ味は抜群だが持ち手の生命力を奪う欠点がある。これがゲームならば回復アイテムがぶ飲みすればいいが、この世界に転生した以上そのようなことが出来るはずもない。当たり前だがゲームと現実は違うからだ。

 

 何より、僕は槍を使うし刀は脇差みたいな小刀しか使わない。波羅ならば使うが、可愛い妹に呪われたアイテム持たせるなんて兄として出来ようはずもない。だから不要だ。

 

「頼君、あれはいらへんの?」

「僕は槍を使うので、あと呪われた道具なんて危ないから結構ですよ。妹に持たせるわけにもいきませんし」

 

 そう言うと納得したように凛さんは頷く。

 

 次に出てきたのは綺麗な勾玉だった。淡い藍色に輝いている

 

「さる貴族が借金の形に手放した霊験あらかたな勾玉です。名を「海藤の勾玉」と言います。お値段は三十五両から!」

「三十八!」「四十!」「七十両!!」

 

 今度は僕が声を出す。いきなり倍近い値段を出されて、他の人は声を出さない。結果、僕が落札することになった。値段で言うならばちょっとした商人の年収程の大金だが、当主代行且つ交易品で稼いだ金があるので楽に落札できる。

 

 僕が落札したのを見て、久理子さんがニヤつきながら声を掛けてきた。

 

「頼よぉ、いきなり倍の値段で落札するなんて剛毅じゃねえか」

「とても綺麗でいい物だったので、これは僕の嫁である姉さんに贈ります」

「ははは、嫁に対する贈り物とはいい男だなぁ? あたしでも惚れちまうぜぇ」

 

 久理子さんが豪快に言うが、これを落札したのには訳がある。

 

 この「海藤の勾玉」は水属性のお守りで、敵からの状態異常を抑える効果がある。病弱な桃代姉さんにピッタリな代物だ。姉さんに投与してる薬と合わせれば姉さんの活動時間を増やすことが出来るだろう。それなりなレアアイテムがこうして出てくるのは僥倖であった、なので落札したのだ。

 

 こんな感じで、時には見過ごし、時には落札して時間が過ぎていく。妹達も、欲しい物があったら声を出して落札しようとしたが、やはり強者が揃う中で中々落札できず、結果僕が落札して妹達にプレゼント、という形になった。

 

「頼君はほんまに金持ちやなぁ、妹ちゃん達が欲しい物全部落札したやん」

「交易品のおかげで稼ぎましたからね。ただ、凛さんには劣りますよ」

「はっはっは、ウチは牛馬で物流を担ってるからな。経済には自信あるし頼君には負けへんでぇ」

 

 西方守護は牛馬の名産地で馬車や牛車を率いる牛馬はここから手に入れると言っても過言ではなく、それによる物流事業を担っている。故に、経済が巨大なのだ。余談だが、都を中心としてそれぞれ東西南で東都、西都、南都、と言われるほどの巨大都市を築き上げている。

 

 それだけ東西南の経済事業が巨大だから作り上げれたのだが、逆に北都と呼ばれる場所がないのは発展が遅いからだ。一応ゲームの主人公たる波羅の出身地で僕の家である綾絶家が北都と言えなくもないが、それを呼ばれるようにするには事業を展開して経済を加熱させ人民を沢山呼ばなければならない。それで人口が増えたら漸く「北都」の称号を貰って実績解除という風になるのだ。

 

 東西南北中央の都が出来れば経済が更に加速して、金回りも一気によくなるのでそれを狙っている。金回りを良くして、寒村を根絶して藤原御殿にダメージを与えつつ、税収と人口を右肩上がりにするのが僕の目的だ。そうすれば、妹が当主になる時彼女が楽になるからだ。全ては可愛い妹のためである。お兄ちゃんがんばるぞい、という思いを胸に発展を目指している。

 

 閑話休題

 

 あと五品目くらいで終わりとなる。最後は僕の清酒だ。そのための準備に取り掛かる。

 

「では皆様、僕は商品の準備に取り掛かるので失礼します。凛さん、厨房をお借りしますね」

「あら? 厨房を借りるだなんて、頼君は何をするつもりなのですか?」

「それはお楽しみにって奴ですよ、マレノさん」

 

 ニッコリと笑って言うと、マレノさんは顔を赤らめる。美人なエルフがそのような表情をすると非常に絵になる。飾ってもいいくらいだ。照れ隠しをするように体を揺らすとその爆乳が揺れて大変ちんぽに宜しくないので僕も顔をそむけてしまう。

 

 だが、それをするよりこっちが重要だ。僕は下人の案内を受けて厨房に向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 頼が席を外しても競売品は変わらず流れていく。そこまでは予定通りであった。

 

 そして、大トリをつとめるのは頼の清酒である。黒子の手によって台の上に置かれたその清酒は一見すれば何の変哲もない酒瓶だ。

 

「え~皆様、こちらの酒瓶には今巷で話題沸騰たる、北土の清酒が入っております。中でもこれは最高級と言える代物だそうで、一瓶五両ととてもお高い。ですが、それに見合った味を保証すると、製造者から言付かっております」

 

 すると、競売人の下に別の黒子がやってきて、耳打ちと水晶玉を渡してきた。

 

 なんだなんだ? と観客がざわつき、競売人の女性も一筋の汗を流す。

 

「なんや? 何があったんや?」

「世玖芭殿、貴方は御存じないのですか」

 

 波羅の質問に凛は頭を振る。

 

「いや全然、競売人があんな風に固まるのは初めてや。もしかすると、頼君が関係してるかもしれん。あの清酒は彼の作ったものやしな。波羅ちゃんは、お兄ちゃんから何か聞いてないんか?」

「いえ、私も何も聞いておりません」

「私達が尋ねてみても」

「兄上ははぐらかすばかりでした」

「楽しみにしておいてね、と言っていただけでござる!」

 

 凛の質問に、妹達は淀みなく答える。その反応からして妹達にも話していないというのは凛にも理解できたし、彼女達が嘘を言ってないのもわかった。

 

 固まっていた競売人が、受け取った水晶玉を、清酒瓶の横に置く。すると、そこから後ろの天幕に向かって映像が流れ始めた。

 

 その映像では、ある男性の背中姿が映されている。

 

 背格好は十五〇センチだ。だが男性が良く着る小袖に割烹着を通している。背中姿から見ると、手料理を作っているようだ。そして、鍋の吸い物を小皿にとって軽く飲んで味見をする。

 

 その横顔はとても美しく絵になるほどであり、この場にいた女性達はその美少年にため息をついたほどだ。

 

 昔ながらの主夫、料理を作り味見をし、トントンと耳心地のよい包丁のテンポをまな板の上で刻ませながら材料を切る。そして、体を動かすたびに見れる、首筋のうなじが大変美しい。その姿に欲情を覚えない女性はいなかった。

 

 そうなると自然に、あの少年は誰だと声があがりざわつきが起こる。

 

 一方で、その少年の存在を知ってる者たちから見れば、ピシリと固まった。それは、美しさもそうであるが、何故そこにいる、何故手料理を作っているという困惑の比重が大きかった。

 

 競売人は汗をかきながらも説明を続ける。

 

「今、皆様がご覧になられている美少年は、この最高級清酒「白雪」を作り、砂糖を生み出し「北土の貴公子」と呼ばれている今をときめく人物、綾絶頼殿でございます。その綾絶殿が、なんとこの清酒を落札した人には酒の肴として手料理を振舞うとのことです」

 

 ざわつきが、シン…………と静まり返った。

 

「綾絶殿曰く、今作っている手料理を振舞い、更には御酌までしてくれるとのことでございます。そして、その権利として落札してほしいと言っております」

 

 ブワリと殺気じみた威圧が女性陣達から湧き上がる、先ほどは皆楽しく競売品を見ていたが、この競売品は大トリを飾るだけあって一味違った。皆が皆、この競売品を是が非でも落札してやろうという意気込みが威圧感として競売会場を支配する。

 

「お値段は綾絶殿曰く、酒代が五両、御酌代が五両の合わせて十両からですが、今回初めての競売出品とのことでご奉仕価格として一両からとのことです。さぁ、どなたが落札なさいますか!?」

 

 酒代五両とは最高級の花魁との一晩と同額だ。花魁に出会うのは、貴族でもきちんとした身なりと身元でないと会えないと言われている。そして、五両払ったとしても花魁が気に入らなければ袖にされるし、気に入ったとしても複数回会って関係を深めないといけないという面倒臭い仕来りがある

 

 それだけ最高級清酒「白雪」が絶品の仕上がりになっていると言うのもあるが、それから御酌代を合わせても九両の値引きだ。これは頼自身がいつもの謙遜によって「まあまあな値段になればええやろ」という自身の特産品の砂糖より甘っちょろい考えでやらかしてしまったのもある。

 

 更には彼は北方守護総代であり当主代行を務める身で男である。話をして、関係を深め、あわよくば自身か自身の娘を差し出し婚姻関係を結びたい、そう考える女性は朝廷や公家達の間で話題沸騰である。

 

 そんな花魁よりも人気な美少年が作った手料理に御酌までついてくる。しかも、花魁の様に関係を深める必要もなく一発でお話出来るのだ。この差し出されたチャンスに食いつかない女性達はいなかった。

 

「百両!」「百十両!」「百五十両!」

 

 貴族を中心にどんどんと声が上がっていく。

 

 いきなり初っ端から百倍の値が付きどんどん吊り上がっていることを、厨房で肴を作っている頼は知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

 嘗てここまで値段が吊り上がったことはないだろうと、司会進行役の競売人は思う。それほどまでに白熱した吊り上げが行われていた。

 

「二百!」「二百三十!」「二百五十!!」

 

 そんな中で、競売人は東西南方守護当主が話し合っているのを見た。会話の内容はわからぬが、お互い頷きあっていることから、何か企んでいるというのは察することが出来る。

 

 既に出されてる二百五十両という大金ですら、出席している木っ端の貴族や大商人、平民すらから見ても眩暈がするほどの大金だ。大き目の開拓村を作り上げるのに必要な人員と装備を含めた額がこれくらいだと言われてるほどだからその大きさがわかるだろう。

 

 その白熱した吊り上げに、とうとう痺れを切らしたのか大金の槌が振るわれる。

 

 

 

「五百両でどうじゃ!!」

 

 

 

 声を上げるのは、頼達がいた後方で話し合ってた三人の貴族女性である。三人が同時に立席して意思表示をしている。先ほどの最大額の二百五十の倍の値段に会場が静まり返る。

 

「天網」が出来上がった歴史の中で現状二番目の落札価格だ。朝廷が管理する禁足地にある霊樹から百年に一度出来ると言われ、万病を治し寿命を延ばすと言われる黄金桃が歴代一位の八百両の落札だったことを考えれば五百両という大きさがわかるだろう。

 

 その歴代二位の価格を叩きだした三人の貴族……一条家、二瓶家、三矢家の公家三家は席を立ち値段を出した。

 

 固まった競売人も慌てて再起動し、声を出す。

 

「え~、五百両! 五百両が出ました!! ところで、その五百両は三名のうちどなたが出されるのでしょうか?」

 

 競売において、値段の意図した吊り上げ及び持ち合わせた額に見合わない金額の提示は御法度である。その場合、罰金や罰則もさることながら最悪出禁までされる重い処分が下される。

 

 五百両となると高級遊男の身請け、大臣級の年俸額、村どころか小さな町一つ作り上げることが出来るほどとなる大金である。一条家、二瓶家、三矢家の三家は大臣を輩出した経験もある名門の公家であるが、だからと言ってそれほどの大金を持ってるかどうかはまた別だ。

 

 貴族は収入が多いが支出もとんでもなく多い。平民と違って人同士の付き合いが重要かつ賄賂なども必要であるし、身分に見合った上等な服も用意しなければならない。宴会や茶会、和歌会などの出席すら金が要るほどだ。

 

 三家は石高数で言うなれば五百石はあろうが、京極雅の実家のように使用人への俸禄や光熱費等の雑費で半分以上は引かれる手取りは三から四割残ればいいくらいだ。故に、一気に五百両も払えるかどうかが微妙と言える。

 

「この五百両は、我等三家で出し合う額じゃ」

 

 それを三家は御法度の穴を突くことで突き通そうとした。

 

 前代未聞である。

 

 基本的に競売は一人の人間が金額を出すもので、協力もとい割り勘で出すようなことは想定していない。それを、そのような文面が無いことを理由に三家で割り勘して出すとして立ち上がったのだ。

 

「どうじゃ? 麿の知る限りでは、天網の決まりに「複数人が協力して落札額を出してはならない」とは書いてないはずじゃが?」

 

 一条家の貴族がフフンとドヤ顔で答える。競売人はルールを熟知した人間が割り当てられるので、そのような些末な事でも対応できるようになっている。故に、前代未聞の事柄ではあるが、一条家の者が言うようにそのような決まりもないので競売人は答えを出す。

 

「た、確かに仰る通りでございます。天網の決まりにそのようなことは書いておりません」

 

 汗を拭きながら答えると、ざわつきが広がり始める。

 

 それはそうだ、割り勘で落札なんて初めてのことだし、それが名門貴族であるなら猶の事。そして、そのやり方が問題ないのならば自分達も出来る。そう思って、他の貴族や大商人は手を組むかどうかと話し合いを始め喧々諤々のざわめきが広がる。

 

 だが時間がない。

 

 いきなり規約の穴を突いた行為をしてきたのだ、それに割り勘にしたとしても誰が優先して彼と話すかなどの問題も付きまとう。そういう意味では、三家はそれぞれ付き合いのある家且つ話し合いもスムーズに終わったため出来たことであった。そのため、このまま三家の合同落札になるかと誰もが思った。

 

 

 

 今までならば

 

 

 

 その三家に対抗すべく立ち上がった存在が現れた。まさかの、東西南方守護当主である。

 

 新たな対抗馬にどよめきが起き、公家三家は動揺する。まさか、仲がいいとは言えない守護当主が立ち上がるとは思わなかったからだ。

 

 東西南方守護当主は表面上は仲が良い様に振舞っているが、それは表面上だけで水面下では火花を散らしているというのは貴族間の中では公然の秘密である。

 

 

 

 西方守護は、良質な飼葉が平野に広がることで牛馬の名産地となっており、牛車と馬車はここからの馬でないと効率が悪いと言われるほどだ。つまり地上における物流を握っているのだが、それが東方と南方守護からは良く思われてない。

 

 南方守護は、漁業と塩田による生産を一手に引き受けており、更には海上交通や輸送すらも握っているので西方守護と折り合いが悪いし、東方守護からは塩を握られているので気に食わない。

 

 東方守護は、肥沃な黒土による食糧生産が自他共に認める名産地であるが、それ故に南方と西方の胃袋を握っているようなものなので、双方からは好かれていない。

 

 

 

 このような感じで、それぞれには利点と欠点があり、それによる揚げ足取りをしているからだ。

 

 そんな守護当主が同時に立ち上がる。これから何を言うのか、期待半分恐怖半分と言った感じで、競売会場の一同は見守る。

 

 代表として、天網を仕切る長として世玖芭 凛が口を開く。

 

「この天網を取り仕切るもんとして言わせてもらうならば、一条はんの言う通りそのような決まりはない。それだけは断言できるし、三家が共同落札しても問題ないことは明言するでぇ」

 

 次に口を開くのは、鎗麻 久理子。

 

「だったら、あたしらが共同で落札しても問題ないわけだなぁ?」

 

 最後に、江瑠柁 マレノが締める。

 

「というわけですので、わたくし達は共同で彼との御酌の権利を落札したいと思いますわ」

 

 競売人が震える声で尋ねる。

 

「で、では幾ら出すのでしょうか?」

「フフフ、ウチらで出す金額はなぁ──」

 

 天網の主、世玖芭 凛が言い渡した落札の金額とは────

 

 

 

 

 

 

 

 

 料理を作り終えた僕は、下人達と共に向かう。下人は僕の者と凛さんの者だ。酒瓶やら手料理やらをお盆に載せて、目的地である部屋に入った。

 

 凛さんの下人から案内された部屋は、高級な客室であった。客室であるがゆえに、部屋に大きい机や座布団やらはあるが、襖で仕切られた隣の部屋は布団が三つ置いてある。

 

「えっと、ここでいいんですか?」

「はい」

 

 凛さんの下人はお面をつけているから表情はわからないが、ここでというのなら間違いないのだろう。布団が三つあるのは、恐らくだが三人の守護当主がこの部屋で寝泊まりするからかな? と勝手な想像をした。もしかしたら、仲がいいのかもしれないと思った。

 

 そう思っている中、下人達はテキパキと手料理と酒瓶や御猪口やらを机の上に並べていく。四角い机で、酒瓶が三方に置かれ、残った場所は置かれない。其処は僕が座る場所だからだ。そして、僕は三人が来るまで座布団に座って待っておく。

 

 

 何故、三人の守護当主が落札したのかを知ってるかと言うと、普通に知らされたからだ。作り終わったあたりで、凛さんの下人から連絡がきた。

 

「頼様、貴方様の清酒が三人の守護当主様方によって落札されました」

「……そうか、三人か」

 

 まぁ、ある意味予想できていた。

 

 原作ゲームでは、西方守護は主人公を金の力で抱こうとしてた。南方守護も、塩や魚介類を融通することを条件に抱こうとしてた。東方守護もシンプルに食糧問題で協力する代わりに抱こうとしてた。

 

 それが、貞操逆転したこの世界じゃ僕になってしまったからこうなった。ある意味当然の帰結とも言える。

 

 だがしかし、僕はまだ油断も安心もしていない。何故なら三方守護は性転換などしているが、綾小路道玄と薫や左大臣殿は原作ゲーム通り男だからだ。その方面も残っていることに違和感を感じている。最初から全て性転換してたのなら、ある意味安心と余裕が持てるのだが、一部が原作ゲーム通りなのでその安心と余裕がない。

 

 気になった落札額を凛さんの下人に聞いてみる。

 

「で、御酌代として幾らで落札されたのかな?」

「はっ、そのことについては凛様から自分の口から言うと言われております。楽しみに待っておいてくれ、だそうです」

「そうですか、凛さんに楽しみに待っております。と伝えておいてください」

「ははっ」

 

 そう言われたら、待つしかない。

 

 

 そして、現在に至る。

 

 来るまで時間があるので、調度品やらを色々と見て回る。

 

 見た感じが和風スイートルームであり、座布団ですら絹で作られているほどだ。畳もよく手入れされており、ほのかに香る草の香りが鼻腔を擽る。

 

 掛け軸の絵と、置かれてある壺も見るからに高級そうだ。これ割ったり破ったりしたら幾ら賠償になるんだろと、平民感覚で考えてしまうのはご愛嬌というもの。

 

 

 そうこうして、歩きまわって見ていると襖が開かれた。

 

 

「おー、中々立派な料理やん♪」

 

 凛さんを筆頭に、久理子さん、マレノさんが入って来る。下人が襖を閉めると、襖が僅かに光った。その光が気になったが、とりあえず落札した三人を持て成さなければならない。

 

「いらっしゃいませ。僕の清酒を落札してくださって、ありがとうございます」

 

 深々と頭を下げる。

 

「おう、お前さんとの御酌代として、随分と散財したぜ」

「ええ、あんなに出費したのは農場拡張以来ですわ」

 

 何やら不穏な単語が流れてきた。僕との御酌代が農場拡張と同格……? 

 

 いやいや、まさかねぇと思っていたところ。凛さんら三人が、僕の傍に寄って来て距離を詰めてくる。マレノさんが左、久理子さんが背中、凛さんが右という風に、三人とも胸が当たるほどまでに近づいてきた。ちょっとどころか大層股間に悪いので、必死に霊力を股間に送って鎮める。

 

「あ、あの、御三方の座る場所はそちらですので」

「まぁまぁ、その前に頼君の清酒もとい御酌代が幾らで落札されたか知りたいやろ?」

「え、ええ、それはまぁ」

「じゃあ、当ててみぃ?」

 

 そう言われたので、顎に手をやり思考する。そして答えを出してみた。

 

「十両ですか?」

「…………なんでそう思ったんだ?」

 

 自身の後頭部から久理子さんからやや不満げに言われた

 

「最初に提示したのが、御酌代五両、酒代五両と合わせて十両でしたので。まぁ、ご奉仕価格ということで一両から始めることをお願いしましたが」

 

 そう言うと、左隣マレノさん額に手をやって頭を振った。

 

「やれやれ……凛さんから聞いてましたが、頼君は自分を謙遜しすぎですわ。貴方はそんなに安い男じゃありませんことよ?」

「ええと、じゃあ幾らで落札したんです? 三人で協力して出し合ったとまでは聞いておりますが」

 

 凛さんの下人から三人で落札したとまでは聞いたが、幾らかとまでは答えてくれなかった。なので聞いてみたら、凛さんがニンマリと口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

千両や」

 

 

 

 

 

 

 

 は? 

 

 

 

 

 

 

 

「だからぁ、千両やで?」

 

 ちょ、ちょっと待って

 

「千両って、ほ、本当ですか?」

 

 千両ともなれば、今僕の領地にいる寒村を全てグレードアップできるほどの大金である。序盤で手に入っていい額ではない。まだ原作ゲームはスタートされてないのだ。

 

 僕も砂糖と清酒の交易で稼いだが、それでも千両には遠く届かないと言えばその額の巨大さが分かるだろう。

 

 まるで、最高級花魁の身請けみたいな金額を言われ、僕はフリーズした。

 

「本当やで。ちなみに内訳やけど、久理子はんとマレノはんが三百三十三両、ウチが三百三十四両とウチだけがちょっと多いんやで」

 

 西、三百三十四両、うっ頭が

 

 そんな見当違いな頭痛を覚えてる僕に対して、凛さんはグリグリとほっぺたに指を突っついてくる。痛くはないが恥ずかしい。

 

「だぁかぁらぁ…………。沢山支払ったんやから、それなりのご褒美欲しいなぁって♪」

 

 今度は反対側からほっぺたに指を突っつかれる。

 

「ですので、わたくし達に嬉しいことをして欲しいですわねぇ?」

 

 最後に、あすなろ抱きで後頭部に爆乳が押し付けられる。

 

「頼よぉ、お前さんの魅力をあたし達は沢山味わいたいんだ。だから、な?」

 

 とりあえず、決まってることは御酌だ。

 

 三方から恋人みたいに近寄られて悪い気はしないがこの場を乗り切る方法はこれしかない。

 

「と、とりあえず御酌しますね」

 

 僕はそう言うので精一杯だった。

 

 そう言うと、三人は離れてそれぞれの席に座る。僕は下人のように、酒瓶を持って御酌をする。

 

「では、ウチらが頼君を落札したことを祝ってかんぱーい!」

「「かんぱーい!」」

「か、乾杯?」

 

 僕は水だが、場の空気を読んで一緒に乾杯した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのまま四人の酒盛りは進む。

 

 頼は、小間使いのようにちょこちょこと歩きまわりながら、空になった御猪口に御酌をする。

 

 三人は頼の手料理を食べて口々に感想を言いあう。

 

「この煮付け甘くて美味しいですわね」

「酒によく合うな」

「にしてもこの酒は最高やな! 頼君の清酒は飲んだ事あるけど、これは最高級って言うのもよくわかりでぇ!」

 

 酒に酔ってハイテンションになる三人。

 

「ウフフ、美男子の手料理を食べれるなんてまるで御伽噺みたいですわ」

「それが北土の貴公子なんだからよう、事実は小説より奇なりって奴だな」

「頼君が料理も出来るなんて凄いわぁ、ウチの娘の婿になって欲しいくらいやでぇ?」

「あはは……まぁ前向きに検討いたします」

 

 酒が廻ると婚姻にまで話が絡んでくるも頼は検討するというだけで逸らそうとする。

 

 そのまま食べ終わり、酒も飲み終わると、遊ぶことになった。

 

「頼君、頼君、麻雀は知ってるか?」

「え? 一応は」

 

 前世の友達との遊びで嗜む程度だが、ある程度のルールは知っていたので答える。

 

「なら、花街で脱衣麻雀っていうのが流行してるのは知ってるか?」

「えっ? そんなのが流行ってるんですか?」

 

 久理子の言葉に仰天する頼。それを補足するかのようにマレノが答える。

 

「なんでも、お互い脱衣をすることで本気度を高めるようですわよ。遊男も金を賭けるより必死になるそうですわ」

「へ、へぇ~…………」

 

 頼は顔を引きつらせながら答えるしかない。そこまで言われたら自分がそれをやることになるからだ。

 

「ま、まさか僕にそれをやれと?」

「嫌って言うなら嫌って言ってもええで? でもなぁ~~千両やからなぁ~~」

「うぐっ」

 

 千両という大金で酒と御酌代を落札された身、その大金がどれほどのものか領地経営してる身からしたら痛いほどにわかる。そしてそれを出されると押しに弱い彼は

 

「わ、わかりました……」

「「「よっしゃー!!」」」

 

 と流されて脱衣麻雀をやる羽目になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、凛が用意した麻雀牌をジャラジャラと流して、

 

「ちなみに、三千点ごとに一枚脱ごうぜ」

 

 という風にルールが決められ、ハコにされたら問答無用で身包み剝がされるということになった。

 

「わ、わかりました。その規則で大丈夫です」

 

 最終的に頼が認めたため、脱衣麻雀が始まることになる。

 

 彼は知らなかった、彼女達が念話通信のチャンネルを統一して会話していたことを。

 

 

 よって、東一局頼が親且つ手札が

 

 一萬一萬一萬二萬三萬四萬五萬六萬七萬八萬九萬九萬九萬 中牌

 

 と、親のダブリー状態に持ち込めたとしても

 

「リーチ!」

 

「「「ロン!!!」」」

 

 

「大三元」

「四暗刻単騎」

「国士無双」

 

「嘘でしょ…………」

 

 

 このようにイカサマで相手をハコにすることなど造作もないことであった。

 

 

「「脱~げ、脱~げ!」」

「ほら頼君、ハコにされたんやから全部脱がないとあかんでぇ?」

「わ、わかりました…………」

 

 シュルシュルと服をゆっくりと脱いでいく。

 

「おおおおぉ…………」

 

 一枚一枚、また一枚とゆっくりと丁寧に、それでいて顔を赤らめて恥じらいながら脱ぐ様はストリップショー。三人の雌虎はその様を見て発情し、既に片手を股間にやって弄っているほどだ。

 

 頼もその様子を見て、股間をいじっているのを知っていてもそれを咎めることなどできない。何故ならば、自分は麻雀で負けたからだ。

 

 そして、最後の褌一丁になる。

 

「ほらほらぁ、褌まで脱がないとあかんでぇ?」

「ううぅ…………」

 

 頼は恥ずかしがりながらも、ゆっくりと褌を解いていく。そして、遂にそのブツが美女三人の目の前に出た。

 

 ブルンと擬音を立てて飛び出すは天を衝く一物。それなりの大きさかつ硬度を保っているのは見ただけでわかる。

 

 何より、自分達に見られていることで勃起しているという事実に三人は驚きを隠せない。彼女らが夫や妾を抱いた時なぞ、じっくり時間を掛けるか、薬を飲ませるかであり、最悪相手の気分が乗らず立たなかったりすることなぞザラであった。

 

 だというのに、目の前の美少年は見事に勃起している。これの意味が分からぬ女などいない。

 

 久理子が海女として勇気をもって声を出す。

 

「な、なぁ頼よ、お前さんもしかして、あたしらで勃起してるのか?」

「は、はい…………」

 

 その返事に、股間を触る手の速度が上がる。

 

「頼君? あのですね、わたくし達はですね、もっとも~っとあなたと親しくなりたいんですけどぉ?」

 

 そう言いながらもハァハァと荒い息を吐きながら、視線は勃起した頼のちんぽに釘付けになるマレノ。

 

「だからな? ウチらに君を抱かせてくれへんか? なぁ? ええやろ? ここまで全裸になってお預けなんて酷いと思わへんか?」

 

 ド直球に凛は聞いてくる。

 

「で、出来ません。脱衣麻雀は脱衣までですよ…………」

 

 弱々しくも拒否する頼。だが、ここまでは三人の予想通りである。

 

「だったらぁ、ウチらが君の領地開発に協力するっていう条件はどうや?」

「えっ?」

 

 押して駄目なら引いてみろ、と言わんばかりに別方向からの提案をする。

 

「君が交易品で稼いだ金を溜めずに放出して経済を加速し、寒村を根絶させようとしてるのはウチらも把握しているんや。それを手伝ってやろうかと思ってなぁ?」

 

 そう言いながらゆっくりと、股間を濡らしながら近づく凛。

 

「お前さんが、牛車を大量購入したのは知ってるぜ。あれは、凛と同じことをしようとしてるんだろ?」

 

 久理子も頼の思惑を当てながら近づく。

 

「ですが、それだけで物事が上手くいくはずがありませんことよ? 先達たる凛さんから技術や経験(ノウハウ)を学び護衛の編成なども考えなければなりませんわ。そこのところまで理解していますか?」

「い、いえ」

「だから、ウチらが君の考えてる経済活動に一枚噛ませて欲しいんや。ウチからは技術と経験を、久理子はんからは塩や魚介類の援助、マレノはんからは食料と木材の援助をするさかい、見返りとして体を抱かせて欲しいなあ?」

 

 顔をずずいと近づけ、荒い息を、それでいて甘美な匂いのする吐息を吹きかけられ頼のちんぽは柔らかくなることを知らない。

 

 もう一押しが必要か? と三人の守護大名は思う。

 

 

 

 傍目から見れば、自分たちの経済物産を餌に体を強請る悪徳商人であるが、裏では切羽詰まった実情があった。

 

 

 

 牛車は空間術を用いているので大量輸送が可能だ、それによる陸上交通を握っているのが西方守護だ。だが、それらの輸送団が北土に来たことはない。理由は単純、儲からないからだ。だが、頼が交易品を生み出してからは輸送団を送り込もうかと家臣団と話し合っていた。

 

 しかし、検討していたところにまさか北方守護当主代行が西方守護と同じやり方で輸送団を編成しようとしてるとは思いもしなかった。それが出来るほどの大金を稼いでいたと知らず、更には西方守護は北土の交通権を持っていない──金目のものが無く、漸くそれらしいのが出たものの通常通りの輸送でも十分であったため不必要と判断していた──のもあり、牛車輸送団による交通権益は北方守護が守ることになるだろう。

 

 金に目敏い西方守護からすれば一生の不覚であり、敗北でもあった。

 

 そして、それは西方守護ならず南方守護と東方守護も言えることであった。

 

 交通権は南方と東方は高い金を払いながらも西方守護に牛車輸送団で一任しており、それによる流通網で経済を回している。その代金代わりとして、南方の塩や魚介類、東方の食糧を格安で売るという通商条約を結んでいる。

 

 央土たる都の朝廷に対しては、三角貿易の一角になってる故に放っておけば勝手に税収が入って来るので、東西南方守護が通商条約を結んでも、自分達に利益を齎しているから黙認していた。どちらにせよ、交通の要衝たる中央を通る上にに献上品や税として物産が入って来るのだからさもありなん。

 

 だが、北土は貧しい土地だったのでそれはなかった。当然だ、旨味が無い土地にわざわざ利益を持っていくことなどできないし、開発しようにも北土人は気性が荒いから話がまとまりにくいことがあった。

 

 

 しかし、北土の貴公子がそれを変えてしまった。あっという間に交易品を生み出して経済を加速させ、多くの商人を無税で呼び寄せて土地を開発していくなど想像もつかないことをし始めた。

 

 

 そうなると、三方守護からしたら面白くない。交易品を生み出すのは良いが、自分達に利益が来ないからだ。一方的な財の流出は認められないのは経済の常識である。北土の開発が進めば北土のみで自活できるようになるだろうが、そうなると自分達の特産品を売りつけることが出来なくなる。必需品たる塩や食糧に木材も、北土で自活できたら利益が目減りするだろうことは明白であった。

 

 故に、裏で北土を村八分にする方法を取り、贅沢品を締め出すという案も出たが左大臣から却下された。何故ならば、砂糖と清酒の出来が思った以上に非常に良く、それが上級貴族に気に入られているので、締め出すとなると三方守護が責められる立場になるからだ。

 

 基本的にこの世界は上意下達、所謂トップダウンである。

 

 上級貴族が連盟して三方守護を責めるとなると、朝廷にまで話が及び、交易権利の見直しまで行ってしまう恐れがある。

 

 つまり、自分達で上手く回していた経済が下手すると朝廷の手により平等になるよう下知が下される。そうなると交易権利や今までの取り決めがご破算となる。

 

 ご破算となったらどうなるか? 唯一通商条約を結んでいない北方守護が濡れ手で粟で自分たちの交易圏の中にスルリと入る。

 

 度重なる交渉事で机の下で足蹴りしながらも、手を結んだ東西南方通商条約。それらの中に、何の見返りもなしに北方守護が入ってくるなど理解できても納得できない。

 

 朝廷に訴えたとしても却下されるだろう。

 

 朝廷からすれば、門戸解放で平等に交易圏を作り上げそれによる税収で潤えばいいのだ。四方守護の諍いなど知ったことかと一蹴するに決まっている。

 

 故に、どうにかして北方守護から見返りを頂く必要がある。経済とは相互的に儲けあうもの、今の北土への財貨の流出はいずれ問題が起きるであろうことは、経済に詳しい彼女達守護代表は理解していた。

 

 

 順当な一手としてこちらからの経済協力をしようと考えていたが、彼が牛車輸送団を編成しようとしていることでご破算となる。このままだと、北方守護は西方守護の手を借りずに輸送団で輸出入をし、南方と東方に砂糖と清酒を売りつけるだけに終わる。

 

 南方と東方からはいつも通り魚介類と塩、そして食料や木材を買い付けるだけだ。だが、北土がどんどん開発されていくと、それらの買い付けも減る。そうなると、経済協力のけの字もない、頼自身が作り上げた輸送団と北土の経済圏で完結してしまう。

 

 

 なんとか自分達が頼と協力しているという体を作らないと、自分達が作り上げた経済圏が歪んでしまう。どうにかしてそれを防ぎたかったのだが、いい案が出なかった。

 

 

 頼が最高級清酒を競売に出し、自身との御酌をする権利を出すまでは。

 

 

 その権利を自分達が高値を出して落札することで、頼に一気に近づき話を持っていく。人を見る目に長けた雅の人物評を信じれば押しに弱いとのこと。だから、千両という大金で押し通せばやりやすいだろうと目論み、それは成功しつつある。

 

 そして、目の前の彼の美しい裸体とそそり立つちんぽを見て、更なる名案が浮かび上がる。

 

 彼の体を餌にして、自分達が思いっきり支援する。そういう体にすれば、自分たちが作り上げた経済圏も守れるし、北方守護から一方的に搾取されず開発協力や食糧支援名目で北土の経済に食い込むことが可能だ。

 

 そして、それは今美味い具合に進んでいる。

 

「あ、あのですね…………僕がそれを拒否したらどうなりますか?」

 

 頼が赤面し、体をくねらせながらもそう言ってくる。それに対する答えなど決まっていた。

 

「そうやなぁ、ウチの地域で()()()()()()牛馬が沢山生まれないで高値になるかもしれんなぁ?」

「そうだな、あたしのところも()()()()()()不漁になって塩の値段も上がるかもなぁ?」

「そうですわねぇ、わたくしのところも()()()()()()飢饉になってしまって値上がりしますかねぇ?」

「うぅ…………」

 

 明確な脅しであることを一瞬で理解できた、だがしかし、千両という大金で御酌の権利を払って貰った身。更には彼女達は自分が抱かせれば経済協力してくれるというオマケが付いてくる。

 

 頼自身は、上記のような東西南方守護大名が考えてるような経済の裏事情など全く知らなかったし、考えもつかなかった。精々、ゲームみたいに牛車輸送団を編成すればええやろ程度の緩い考えだったのである。

 

 そんな風に気楽に考えていたところで、三人の守護当主にこのように詰め寄られ、大金を支払われ、更には脅しまでされる。ここまでされては押しに弱い頼は断ることは出来なかった。

 

 

 だが、彼は勇気を出して声を出す。

 

「も…………」

「「「も?」」」

 

 

 

 

 

 

 

「もう一声、お願いします…………」

 

 

 

 

 

 その言葉の意味を理解するのに時間が必要であったが、すぐさま三人の美女は算盤を弾いて答えを出した。

 

「な、ならウチは牛馬を数十頭贈り物にするでぇ!」

「あたしからは、船を何艘かやろう!」

「わたくしからは、種子を贈り物としてお渡ししますわ!!」

 

 花魁であったのならば「もうやめてください!」と断られてもいいくらいの酷い脅しであったし、三人もちょっとやりすぎたかな? と思っていたほどだ。それがまさか、もう一声と言うとは思ってもいなかった。

 

 そしてついに、北土の貴公子と呼ばれる美少年を抱ける!! ならば、更なる出費など惜しくもない、寧ろ安いくらいだ。

 三人の追加の支援により、千両どころか千数百両という付加価値がついてくることになった。

 

 頼も、自分が体を売ることで北土が潤うならば、そして彼女達の脅しを実現させないためにも妹達や嫁である桃代に心の中で謝罪しつつも行動に移す。

 

「じゃ、じゃあそれでいいので──」

 

 彼は立ち上がり、襖を開いて隣の布団が三つ敷いてある部屋に入り、三つ指つけて土下座をし。

 

「──今宵の相手、不肖の身ながら勤めさせて頂きます」

 

 その宣言に、野獣は辛抱たまらずと言った状態で美少年に抱き着きにかかった。

 

 

 

 

 尚、後で知ったのだが、下人が襖を閉めた際に見えた光、あれは防音札を張ったのだと頼は後で教えられた。

 

 




ちなみに四方守護の土地はスターデューバレーを参考に

東方:スタンダード、農業が盛ん
西方:メドウランズ牧場 、動物たちが好きな牧草があるので牛馬の名産地
南方:ビーチの牧場、釣りと海上交易が盛ん
北方:ヒルトップ、鉱石堀に最適だが農場に向かない。
中央:四コーナー、龍脈の起点であるため非常に豊か

みたいな感じになってます。
尚、素人発想故に途中で編集して書き直すことがあるかもしれません、ご了承ください。


どうにかしてエロシーンに持ち込みたいなぁ……でもこのペースだと遅くなるなぁ……。せや!なら、二話分を一話にまとめればええんや!!!脱衣麻雀は真面目に描くと面倒やからキンクリであのアニメのシーン入れたろ!

ってまた頭の悪い発想で長くしてしまいましたごめんなさい。色々とネタ入れたりしたので、それについても感想で言ってくれると嬉しいです。次でエロの予定です。


皆様の感想評価お気に入りここすきのおかげで僕があります。頑張って続き書きますので、応援のほどお願い申し上げます。
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