※この作品はR-18です。

和風凌辱エロゲーの主人公兼ヒロインの兄に転生したんですが何か違う   作:ビシオ

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 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 相変わらずの遅筆ですが、なんとか描き上げることが出来ました。若干短いですごめんなさい。


三十八話 強い人には弟子入りしないといけないよね……ってこれ前も言ったなって思った

 天地 一刀斎(あまち いっとうさい)

 

 原作ゲームに出てくる武士キャラで、過去には最強武士として名を馳せていた。全盛期であれば桃代姉さんを上回ると言われてるほどで、扶桑国の歴史上で剣聖の称号を持つ武士は数多いたがその中でも最強と言われてる。

 

 生まれは普通の武家であり、名前も「天地刀祢」という名前であった。霊力も平凡であるため、簡易な術なら行使できるが、上級術は厳しいので退魔師としても平凡だと両親は思っていた。

 

 だがしかし、稽古の一環として竹刀を持たせたら話が変わった。

 

 鳶が鷹を産むかの如く幼少期から刀の才能を発揮し、すぐさま師範代をのしてしまった。その後、刀のみならず槍や弓矢と言った武具を持たせるとそちらの才能も発揮し、免許皆伝で花札が出来ると言わしめたほどである。

 

 実戦に赴くと、それはもう大活躍した。

 

 多くの妖魔を切り伏せ、向かうところ敵無しと言われるほどであった。中でも斬撃を飛ばして山を切り谷を作り、槍捌きでは雑魚を蹴散らし凶妖の首を切り落とし、それはもう浮世絵や歌舞伎の千両役者の如くの活躍であった。

 

 その後、独自の剣術を編み出し苗字を使った流派「天地流」を産み出した。その時代に否、歴史上右に出る者無しの稀代の天才と言われ、当然ながら朝廷の耳に入る。そして、剣聖という称号と一刀斎という名前と最上大業物の三つを二代前の春蘭帝から賜り、天地一刀斎と名乗ることになったほどである。

 

 そう、二代前だ。

 

 つまるところ、齢百数十を軽く超えている怪物爺である。何故そんなに長生きできるのかと言うと、霊力による老化抑制をしているからだ。要は綾小路道玄と同じである。

 

 道玄の場合は、退魔師であるため高い霊力を保持しているので百も二百も生きられる。だが、武士である彼の場合はどうやって老化を抑制しているかというと、最上大業物「妖刀:彼岸花」を持っているからだ。

 

 この妖刀は、切った相手の妖力のみならず霊力を吸い、持ち手に還元するという特性を持っている。これにより、切った張ったで妖魔や罪人に反乱者を切り伏せて力を吸い上げて自身の老化を抑制しているのだ。

 

 若かりし頃、一刀斎と道玄の二人は互いに背中を預け合い妖魔を蹴散らし、歌舞伎の脚本や浮世絵にもその様子が乗るほどの人気者であり、英雄であり戦友でもあった。

 

 その二人の活躍ぶりはまさしく阿吽の呼吸とも言うべきものであり、攻めてきた妖魔達を震え上がらせたほどである。事実、多くの名立たる凶妖級が二人の前に斃れていった。だが、寄る年波には勝てず、霊力を使って長生きをしてももうそろそろ限界が来ているというところまで来ている。この点も道玄と同じであった。

 

 道玄の場合は、水は放置すれば蒸発するように霊力も段々と老化と共に目減りしていく。これは全ての退魔師共通だから仕方がない。年を取れば筋力が衰えるのと同じことで、万物に通じる理論なのだ。

 

 対して、一刀斎の場合はそれ以上に切り伏せる相手がいなくなってしまったというのが理由の一つに上げられる。

 

 彼岸花は妖刀の類であり、切り伏せた相手から妖力や霊力を吸い上げて持ち手に霊力を与える。つまり、切る相手がいないと唯の刀だ。尤も、最上大業物なので切れ味については言う必要はない。だがしかし、その霊力を与えるという特性、そして霊力で老化を抑制するという技。この二つが合わさると持ち手は長生きできるというわけだ。

 

 だが、逆を言えば切り伏せる相手がいないならば霊力還元も起きないので唯の切れ味のいい業物としかならない。故に、この彼岸花の歴代の持ち手は自身を長生きさせるため、そして強さを求めるために修羅へと堕ちていき、その多くが犠牲を払いながらも討伐されていった曰くつきの妖刀である。

 

 さて、一刀斎の場合はどうかというと、修羅に落ちないように一応は自制出来ている。だが、彼の場合不治の病に罹っているからという理由が大きい。

 

 例え不老長寿の術が生まれても、子継病の様に不治の病に罹っている場合はどうしようもないのだ。

 

 つまり、長生きすればするほど苦しむわけだからこれ以上長生きする必要がないので隠居生活を送りながらも後進育成に精を出し道場を開いている。

 

 だがしかし、道玄の秘術が完成するとなると話が別になる。

 

 霊力による老化抑制自体は、妖魔が長生きできるのと同じで人類側も編み出した。しかし、それらは各家毎に術式が違ったりしてそれにより寿命の長さと家系の長さも変わる。長寿になるのはある意味各家毎の秘術とも言えたので、当然と言えば当然であった。

 

 だが、中興の祖にして人妖大戦にて終止符を打ち歴史に名を馳せた天正帝が、更に効率よくする技を編み出しなんと一般公開してしまったのである。

 

 これ以降、人類の死亡率が減り長寿率が伸びたのは言うまでもない。

 

 その結果、霊力を持つ退魔師一族は道玄や一刀斎みたいに百数十まで長生きできるようになった。

 

 だが、長生き出来たことと平和であることは同じではない。長寿になったからといって痴呆が始まらないわけではなく、それによる老害化も比例して増え身内による幽閉や毒殺といった悍ましい内部争いも増えた。

 

 道玄の秘術は肉体を新しく作り替えるもので、単なる若返りより上の物だ。若く、逞しく、それでいて不老長寿という風に作り替える代物なので、天正帝の編み出した術式を使うのではなく()()()()()()()()というのが大きい。

 

 老化抑制の術式は、使うのが基本だ。だがしかし、使う以上は燃料となる霊力を消費する。そして術式というものを使うわけなので手間がかかる。印を結び神字をや御経を書きこむことは出来るが手間と言えば手間である。

 

 それが、最初から埋め込まれていたらどうなるか? 答えは簡単、手間が省けるわけなので、余計な事に気を回さなくていいのである。

 

 そして術式を使う以上、術の発動というものをするわけなのだが、これが退魔師にとっては大事な反面面倒な点もある。術を発動すると言うことは即ち、他の術を発動する際に邪魔になるのだ。

 

 例えば、三つ同時発動できることが出来る退魔師がいるとしよう。

 

 若い時ならば、三枠をそれぞれ攻撃、補助、防御、などと言った風に割り振ることが出来る。これは退魔師の基本ともいえる物だ。尤も、三枠同時発動できるという時点で一流だ。基本は一枠、中級で二枠、上級は三枠、一流はそれ以上同時発動できる。

 

 だが、年を取るのならば老化抑制の術を発動することになる。

 

 つまり、三枠ある内の一枠がそれで埋まってしまうわけなのだ。長生きできるが手数が一枚減るのは地味に痛い。老境に差し掛かった退魔師が強いのは強いが手数に劣る面があるのはこの術式の枠が埋まってしまうからとも言える。

 

 だが、道玄の秘術はその老化抑制の術式を体内に埋め込んでいる状態になる。これは即ち、術式の枠が埋まる必要がないということに他ならない。

 

 一刀斎は不治の病に罹っている。だがしかし、剣術の冴えは老いても尚健在。否、益々磨きが掛かり更なる秘伝を編み出したほどだ。

 

 然れども、やはり長生きしてもっと剣術を磨きたい、そして子孫を残したいという思いがあるのだ。

 

 一刀斎は当然ながら名家と結婚し、子を設けた。だが、凶妖の悪辣な罠に掛かって妻子を失ってしまったのである。当時、彼は秘伝を生み出そうとしていたが、あと一歩というところで出来なかった。だが、妻子を失った事による失意と憤怒が一刀斎に力を与え、その結果秘伝を生み出す事ができたのは皮肉と言えよう。

 

 子孫を残したいというのは、彼の血を受け継ぐ者がいなくなってしまったからである。先ほど述べたように、妻子は凶妖の罠に掛かって喰われてしまった。子を作ろうにも既に老境に差し掛かってしまったため、愚息が勃たなくなったのである。

 

 道玄の様に性欲が強く、老いても尚スケベなことを考えており女ととっ散らかして食うほどの性豪であればよかったのだが、一刀斎は妻一筋であった。その最愛の妻を亡くしてしまった故に、どうしても他の女で満足できそうもないし、何より一刀斎の御眼鏡に叶うような妻の様に強い女性がいないのだ。

 

 一刀斎の妻は名家の家の娘だが、三女であったため仏門に入り僧兵となった。僧兵は、この原作ゲームでも有用ユニットとして活躍できる。連中は僕らが想像してるような、お経を唱えている貧弱なモヤシなお坊さんなイメージではない。寧ろ逆で、素手で妖魔を屠れるように鍛えているのだ。

 

 一刀斎の妻は、女だからと言って後方で術支援をするのではなく、前線で戦うことに才能があった。それで、武術が強いので一刀斎の御眼鏡に叶い、互いに惹かれあった故に結ばれた。

 

 しかし、一刀斎が妖魔退治に出払った時に事件は起きた。

 

 彼女が子供達と共に輸送団の護衛をし、彼女なりに子供達に実戦形式を学ばせる教育をしていた。その輸送団は基本一体の凶妖が、複数連携して襲撃という事件に巻き込まれる形で殉死した。彼女も一刀斎も、安全には気を使い妖魔達が襲っても大丈夫なように息子らを鍛え上げた。そして一刀斎の妻子だとわかると人質に取られる恐れもあるため、自分らの情報を秘匿して護衛任務にあたり息子らの経験を積ませるようにしてた。

 

 だが、その輸送団は規模が大きい存在だったため、そして妖魔王たる空亡の戦略の一環である補給路を断つ作戦で凶妖を一匹ではなく複数投入して潰すということに嵌まり、結果として奮戦するも力及ばず殉死した。

 

 まったくの運命の悪戯であった。まるで、そうなることが決まっていたかのように。

 

 結果、一刀斎は悲憤と激情により秘伝を編み出して、その妻子を偶然犯し殺した妖魔達に復讐を果たした。

 

 そして燃え尽き症候群になった一刀斎は、拒否していた弟子を取り始め、道場を開いた。

 なぜ拒否していたかというと、天地流は独自かつ秘伝の類なので、一刀斎は自身の血縁のみに継がせるとし、帝は惜しみながらも了承したのだ。

 

 だが、継がせるべき子が全て死んでしまった。これから子孫を作ろうにも肝心な自分の愚息は加齢により勃起しないから無理だ。そこから、子がいない代わりに弟子達に継がせようと決意したのだった。

 

 叔父上が弟子になれたことが出来たのも、こういう理由があるからである。もし、妻子が生きてたのなら道場を開き、直弟子を取ることもなかっただろうと言われている。尤も、叔父上に刀の才能があったからというのも大きいが。

 

 尚、この世界はエロゲーである。そして、天地一刀斎はなんと名前ありの竿男優になっている。

 

 なんで道玄と同じヨボヨボ老人なのに、道玄と違ってちんぽが勃起しないのに、竿男優として選ばれているのか? そう思ったプレイヤー諸君は全く持って正しく僕もそう思った。そこで、関わって来るのが道玄の若返りの秘術である。

 

 若返りで肉体の全盛期を取り戻した一刀斎は、その強さを求めるため、そして子孫を残すために主人公である波羅を孕み袋として選ぶのだ。原作ゲームだと、単に道場に弟子入り出来てちんぽも勃起しないし大丈夫やろ。と思ったプレイヤーは多く、そして油断を誘った。

 

 強くなるために一刀斎に弟子入りした後、しばらくは修行だし道玄みたいな老人がエロいことをやってくるようなイベントもないし単純に強化してくれるキャラなんだろうと思っていたプレイヤーは沢山いたし僕もそうだった。

 

 その後、道玄の秘術が完成し若返って不治の病が治ると子孫を残したいという思いが出て、一番弟子となってる波羅を強い子袋と認めて犯しにかかってくるのである。当然ながら大多数のプレイヤーは抵抗した、だが肉体の全盛期を取り戻した一刀斎は裏ボスや隠しボスと言われるほどに強いのである。

 

 全盛期であるなら桃代姉さんを超えるというのだからさもありなん、そういうわけで多くのプレイヤーが抵抗しても勝てずに波羅が犯されて子を産まされるというルートを辿っていった。

 

 その後、度々子種を仕込みに来るだけでなく、道場の弟子達も調子に乗って波羅を犯しにくるのだ。その結果、最初は一刀斎の子を産むのだが、後半になって道場の弟子達から犯されるようになると、誰の子かわかりづらくなるというイベントすら用意されている。

 

 その様は、まさしく凌辱エロゲー特有の凌辱描写と言えよう。

 

 一方で、味方ユニットとしては上位に食い込むレベルなので有用なのだ。老人状態でも桃代姉さんより少し弱い程度だが、若返ると最強となる。不治の病に罹っているものの、桃代姉さんと叔父上のような関係性があるユニットでもないので、死ぬまで使い潰すことが出来る。

 

 要は、彼を手に入れるために主人公の処女を捧げて強力ユニットを手に入れるようなものである。更に言うなら上記に書いたように道場の弟子達もユニットとして使うことが出来るので戦力補充という意味では悪くないのだ。処女を捧げて肉便器にならねばならないのに目を瞑れば、であるが。

 

 しかし、強力ユニットではあるが敵に回ることもある。それは、道玄の秘術が完成するのが主人公の手を借りて出来たか、妖魔の手を借りて出来たか、の違いによってルートが変わるのだ。

 

 道玄の秘術を完成させるには、貴重なアイテムが沢山必要なのだがそれを期日までに用意できないと道玄は妖魔の囁きによってそちらの手を取り完成させてしまう。その結果、二人は若返って妖魔側へと寝返り、そして主人公たちに襲い掛かってくるようになるのだ。

 

 なので、裏切り天秤が傾かないようにする必要がある。妖魔側に寝返ると、妖魔の力で完成した道玄の秘術で若返ると一刀斎と道玄は半妖になるのだ。そして、その二人に犯されるということは妖魔に犯されるのと同じなので、半妖の子を孕むことになるのである。

 

 だから、妹を守るためにも僕は剣聖様を見極めなければならない。妖魔側に寝返るようならば、色々と手を尽くして抹殺するような手を取る必要もある。その覚悟は出来ている。

 

 

 

 これからその剣聖様の所に向かうのだが、彼がどういう状態なのかも把握しなければならない。一応、道玄もとい師匠の秘術は僕が援助して完成させる予定だから妖魔側に寝返ることはないだろうと思う。

 

 そうこう思いながら、酒屋にやってきた。

 

 酒屋「占守」は凛さんが経営してる系列の酒屋である。商業区画でも一等地に置かれたそこには多種多様な酒が造られるだけでなく、他所からの酒も輸入し流通してる起点でもある。なので、扶桑国の地方の酒も高値を払えば手に入れることも可能だ。

 

 そこに、大名行列の如く僕らはやって来た。

 

 最初は丁稚奉公が対応しようとしたが、規模が大きいため慌てて番頭さんがやって来る。おっぱいを揺らしながらやって来るので目に悪い。

 

「先ほど凛様から連絡を受けました。綾絶家の方々ですね? 剣聖様はこの奥にいらっしゃいます」

 

 頭を下げた番頭さんについて行くと、奥まった部屋へと案内される。そしてそこには、一組の男女がいた。どうやら、互いに酒盛りをしているようで、机の上には沢山の酒瓶や肴が置かれてある。

 

 

 

 男性の方は、長身の老人であった。

 

 枯れ枝のような体躯ながらも、身に付いた筋肉はまだまだ動ける証左でもある。そして、髭を生やし、白髪の髪を纏め上げてるその様は誠に侍と言った風だ。

 

 だが、この老人から出す覇気は尋常ではない。歴戦の猛者が醸し出すその覇気は、まさに剣聖の称号に相応しいだろう。畳に置かれてある刀からは、妖気とも言えるものが出ている。

 

 

 

 一方の女性はというと、老人より長身な若い女性であった。

 

 顔は侍のようにキリっとしながらも、ピンク色の唇がぷるんとしている。とても美人な女性だ、尤も何度も言う様にエロゲー世界だからかブスな女性がモブを含めていないのもあるが。

 

 肌は白く、髪の毛は銀髪とも言うべき色であった。だが、前髪の一部分だけが黒くなっておりそこだけは異常とも言えた。

 

 頭頂部からは、ケモ耳とも言える大きな耳が生えているから人間じゃないのが理解できる。彼女が一緒にいるって言ってた半妖の人なのだろう。腰辺りからは尻尾生えておりモフモフしている。

 

 そして、座ってるだけなのに、巨尻と爆乳が目を引く。

 

 着物は侍が着る着物なのに、出てる所がしっかりと出ているので、エロさが半端ない。そして尻からは狼のようなモフモフ尻尾が生えているのもまた可愛いと思った。

 

 但し、彼女も彼女で強者としての覇気を纏っている。剣聖様と思しき男性には劣るが、十分な強さを感じ取ることは出来る。

 

 二人は、襖を開けてやってきた僕らを見た。見定めるように。

 

「はて、どちら様かのう?」

 

 老人がそう言った。僕達もとい綾絶家に連なる者は一同座敷に上がって、その場で平伏して挨拶する。挨拶は僕の役割なので、僕から話すことになる。

 

「剣聖、天地一刀斎様ですね? 僕は北方守護当主代行、綾絶頼と申します。突然の訪問になりますが、貴方様にお願いがあって突如参りました。ご無礼なほどご容赦くださいませ」

「ほほう、北土の貴公子と言われておる小僧か」

 

 グビリ、と御猪口の酒を飲む一刀斎。

 

「して、儂のような者に一体なんの用かのう?」

「僕達は武芸を修めています、ですが強くなるためには師と呼ばれる方に師事するほうがよい。その中で師とするならば、剣聖様だと思いこうしてやって参りました」

「儂にお主らを弟子として取れと?」

「はい、ですがタダとは言いません。こちら、拙作ではありますが酒を用意しました。どうぞご査収ください」

 

 そう言うと、僕は万太の桐箱から最上級清酒「白雪」を出す。匂いで分かったのか、一刀斎は喜色を露わにした。

 

「匂いでわかるぞ、それはよい酒じゃのう」

「剣聖様はお酒が好きとお聞きしましたので、我が領地で作る清酒で最上級の物をお持ちしました。どうぞ、ご賞味ください」

「わかった、ではありがたく頂こう」

 

 そう言って机の上に置くと、弟子と思われる半妖の女性が徳利を取り、剣聖の御猪口に注ぐ。やはり師弟関係なのだろうかと僕は思いつつ、それを当たり前のように受け取る剣聖。御猪口を注ぐ際に腕が見えたが、彼女は腕は細いどころか筋肉で太かった。そして、剣聖は御猪口に注がれた酒を飲み──

 

「かぁ~~っ!! 美味いッッッ!!!」

 

 ──と、最大級の賛辞を出した。その言葉が嬉しくもあり、僕はその場で礼の意味で頭を下げる。

 

「私達の師となってくれるのならば、この清酒を一定量供給いたします。勿論タダでございます」

「師匠、出来れば私の甥っ子の頼みを聞いてくれないでしょうか? 私からもお願いします」

「おお、左門か。そうか、お主が綾絶家の者なのはわかっておったが、小僧と親戚だったとはな」

 

 嘗ての弟子である叔父上も頭を下げて一緒に頼み込んだ、ありがたい援護である。その場で腕を組み黙考すると、パシンと膝を叩き。

 

「よかろう、暇を持て余していたところじゃしな」

 

 即決してくれた。その場で、更に平伏する僕と叔父上。

 

「それに、こやつにも妹弟子がいると励みになることだしのう」

 

 そう言って示すのは、剣聖の対面に座る長身爆乳爆尻美人半妖女性。静かな顔をしながら、彼女も白雪を自身の御猪口に注いで飲む。剣聖様と違って、表情を動かさない。だが、長いケモ耳と尻尾が揺れ動き。

 

「美味い」

 

 とだけ言った。静かな人だな、というのが僕の第一印象だった。

 

「弟子よ、弟妹弟子達に自己紹介せよ」

 

 剣聖の言葉に促され、こちらに顔を向けた。静かで鉄面皮を思わせるその目線は僕らを見て

 

(ぎん)だ、宜しく」

 

 とだけ言った。

 

 とりあえず、原作ゲームだと弟子は取っておらず一番弟子は原作通りなら妹がなるはずだ。チュートリアルとなる上洛では剣聖に会えるしその場で弟子入りも出来、高名な武芸者に弟子入りする際のメリットデメリットが説明される。剣聖の場合、酒好きなので酒を用意しないと指導を打ち切られるというデメリットがある。

 

 だが、目の前にいる女性は弟子と言った。しかも、見てわかる様に人間ではなく半妖である。

 

 それが気になったので、僕は剣聖様に質問した。

 

「剣聖様、こちらの銀殿はどのようにして知り合ったのですか? 半妖のようですが剣聖様が半妖を弟子に取るのが珍しいと思ったので」

「うむ、儂自身も珍しいと思っておる。だがのう、こやつと切り結んだところ悪くないものを感じ取ったのじゃ。それにいい女だしのう、目の保養として置いておるのよ」

 

 ガハハと笑って答える剣聖、話した内容のそれはセクハラ親父である。それに対して銀と呼ばれた姉弟子は静かな表情で御猪口から酒を飲んでいる。

 

「して、どのような出会いがあったのですか?」

「うむ、半妖の剣士がいるから敵か味方かを判別するため様子を見てきて欲しいという依頼があってのう。酒代稼ぎのためにもやってみたところ、こやつがいたのじゃ。そして、話すよりも切り結んだほうが理解できると思ってな。互いに刀を交えたのじゃ」

 

 頭が脳筋すぎるでしょ、と僕は思ったが口に出さなかった。

 

「結果、儂が首に刀を置いたことで勝った。そして、こやつから色々と聞いてみた所なんでも自分は元は狼の大妖であったが武芸者を喰らったところ人間の形になった。そして、その武芸者の記憶と自身を殺した男を探しているというのでな。面白いから生かして、そして剣筋も死んだ弟子と似てる所があるから武芸者が持ってたという刀を見せてもらったところ、儂の弟子の物だったのじゃ」

 

 何でも、大妖から人間に変化したようだ。その場合、半妖なのかわからないが言葉のやり取りが出来る以上は半妖扱いなのだろう。

 

 そして、武芸者は剣聖の過去の弟子の者であった。それを喰らい半妖の人間形態となった銀を討伐するか迷ったものの、剣筋や所作は死んだ弟子と似てるため殺すのが惜しいと思ったので、生かして弟子にした。と、剣聖様は言った。

 

 とりあえず、銀髪が綺麗なので褒める。

 

「御髪が綺麗ですが少々変わっておりますね」

「そうじゃろう、だが前髪の黒髪部分は儂の弟子の髪の毛じゃ。最初は黒と銀が入り混じっておったのだがしばらくすると、前髪部分が残る様になったのじゃ。そういうところもあって、殺すのは惜しいと思ったのよ」

 

 仇ではあるが、ある意味生まれ変わりだとも剣聖様はつづけた。

 

「それにじゃ、もう帝が半妖に対しての融和政策を出したからの。偶には人間ではなく半妖の弟子を取るのも悪くないと思ったのじゃ。こやつも、強くなりたいと言っておったしのう」

 

 そう言って、酒を呷る。

 

 融和政策? 初耳だ、原作ゲームでも存在はしていたが、それが出されるのは中盤以降だったはずだ。それが序盤であるこの年代で出るのはおかしい。原作からかけ離れているのだろうか?

 

 平伏しながら頭を張り巡らせていた所、急に影が出来る。それが気になったので頭を上げると、目の前に銀さんが立っていた。下から見上げると爆乳のせいで顔がほとんど見えない。それも相手はわかっているのか、その場で正座し僕と顔を向き合う様にした。

 

 相対するとデカさがわかる、桃代姉さんと同等に見上げるようにデカい、背丈もおっぱいも色々と。

 

 何にせよ挨拶は重要だ、古事記にもそう書かれてある、なので僕は挨拶することにした。

 

「銀さんですね? これから貴方の弟弟子となる頼と申します。後ろにいる妹達共々よろしくお願いします」

「ああ」

 

 短い返事だ。

 

「頼と言ったか、一つ頼みがある」

「なんでしょう?」

「匂いを嗅がせてくれ」

 

 いきなりな事に、平伏していた後方の妹達が顔を上げる。驚きと若干の怒りを滲ませて。

 僕は妹達に顔を向け

 

「四人とも、失礼だよ下がりなさい」

「ですが兄様、匂いを嗅がせろとは無礼では?」

 

 波羅の言うことも尤もだ、だけどもそれくらいなら別にいいかなって思う自分がいる。

 

「とりあえず、匂いを嗅ぐと何かわかるのでしょうか?」

「私は狼の半妖だ、匂いで大体のことを理解できる」

 

 それだけ簡潔に言うと、妹達も理解したようだ。犬が匂いで判別するように、彼女も匂いでわかるのだろう。

 

「わかりました、僕で宜しければ」

「ありがとう、では失礼する」

 

 匂いを嗅ぐっていうことだから、僕の髪の毛とかの匂いを嗅ぐのかな~と思っていたところ、脇の下から手を入れられてひょいと持ち上げられた。そして、彼女に抱きしめられる。

 

 突然の出来事に頭の理解が追い付かない、爆乳に顔を埋められて、背中に手を回されてがっちりと抱きしめられる。そしてその状態から、頭に鼻を押し付けすぅぅぅう~~~っと彼女は匂いを嗅いだ。恥ずかしい、そして気持ちいい。

 

 爆乳の感触と彼女から出される女性の良い匂いを嗅いで、そして異性から抱きしめられるということで勃起しそうになるので、慌てて霊力を股間に送って鎮めるようにする。

 

 匂いを嗅ぎ終わったのか、彼女はぎゅうっと抱きしめるのを辞めて、僕を抱っこしたまま僕の顔に近づいて。

 

「漸く見つけたぞ」

 

 そう言うと、僕に急に接吻をしてきたのであった。




新キャラを急に出す。
片方は老人男性ですがもう片方は半妖ケモミミ長身筋肉爆乳爆尻美女です。

実は既に過去話で出てるんですよねこの女性、わかってくれた人は嬉しいです。

二月も頑張って書き上げる予定ですが、別の予定が立て込んでいるのでどうなるかわかりませんががんばる所存です。

ここまで読んでいただきありがとうございます。感想評価よろしくお願いします。
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