※この作品はR-18です。

和風凌辱エロゲーの主人公兼ヒロインの兄に転生したんですが何か違う   作:ビシオ

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何時も感想閲覧評価ありがとうございます。なんとか今月も無事書くことが出来ました。
後書きに拙作でお目汚し失礼いたしますが新たなイラスト描いたので、リンク踏んで閲覧して頂けると嬉しいです


四十三話 ラストエリクサー症候群ってあるよね

 僕のいる松の間、その応接室に値する所に万太とペットのマンタ(オニイトマキエイ)がいる。マンタは万太という巨漢を載せるくらいだから結構大きい存在だ、それがふよふよと浮きながら部屋の中にいる。空に浮いてるから無音なので、こうして蓬莱亭の屋上にある僕の部屋に万太も窓から忍び込むことが出来たわけだ。

 

 巨大なペットを難なく応接室に入れれるくらいの広さがあるのは、流石は一等部屋というところだろう。入れた理由は、外に出したままだと夜の帳が降りて見難くなってるとはいえ衆目の目に晒すことになってしまうからだ。後は、もうじき冬に差し掛かるので寒いから、ペットであるマンタを外に出したままなのも可哀想だからという理由も込みで入れて置いた。その理由が気に入ったからか、マンタは長い尻尾を僕にくるくると巻き付けたりしてくる。万太曰く、気に入った人物にはこうやって絡むのだとか。なお雌らしい。

 

 突如として来訪してきた客人を持て成すために、僕は黒茶(コーヒー)を入れた。普通の客人なら緑茶だが、万太は重要な人物であるためそれを示すために貴重な黒茶を入れる。

 

「粗茶ですが」

「おう、頂くでぇ」

 

 蓬莱亭の松の間には簡易的な台所がある。これは、僕の前世の現代日本でもあったようなホテルの部屋に置いてある電気ケトルと同じだ。んで、スイートルームなので自分で、もしくは側仕えに酒の肴を作らせる場合があるために用意されている。

 

 勿論、命じて食堂から持って行かせることも可能だ。寧ろ大半はそれでやらせるのが普通であるが、偶に自分の手でお茶が飲みたい時や部屋に客を招いて側仕えも外して一対一(サシ)で重要な話をするときに部屋主が客人に振舞うために茶を用意する時がある。そういう時の為に簡易的なキッチンもとい台所がある。その簡易台所に側仕えが茶を作り、主人と客人に持って行くようにする。

 

 今回は万太が僕の部屋に忍び込んだ形になるので、側仕えも家人も下人も使わずに僕の手で入れる。何故ならば、如何に万太の存在が大黒天様と言えどもそれを知ってるのは僕程度のもの。他の者からすれば単なる巨漢な行商人に過ぎないので、見つかったら普通に打ち首待ったなしである。故に、隠密性の為にも万太を守るという意味でも僕が手ずから入れるというわけだ。

 

 コンロに値する小さな竈、ここに火炎札を入れると簡易コンロになる。火炎札は長時間燃える火種となるし、オンオフは術者の指先一つで切り替えられる。退魔師からしたら基本のきとも言えるものだ。それで、お湯を沸かし凛さんの所で買った黒茶(コーヒー)を入れる。紙フィルターはないので茶漉しで代用だ。紙フィルターのアイデアはいずれ出そうと思う。

 

 ドリップ珈琲の入れ方は前世と変わらない、単に紙フィルターが茶漉しになっただけだ。それで、お湯を入れてゆっくりと蒸らし、注いで抽出する。黒茶の芳醇な香りが部屋の中に充満し、それぞれの湯呑に注ぐ。注ぎ終わったのを万太に差し出し、互いに湯呑を持ち上げて挨拶をしゆっくりと飲む。うん苦い、でも美味しい。万太も同じことを思ったのか、感想を述べた。

 

「いい豆使ってるのぅ」

「はい、世玖芭凛さんの所で買いましたので」

「ほう、あの嬢ちゃんの所か。なら品質は保証出来るなぁ」

 

 ガハハと笑いながら黒茶(コーヒー)を飲み干す、僕も同じく飲み干す。しかし、凛さんを嬢ちゃん呼ばわりとか、やはり上位存在なんだなぁと思いつつ飲み干した。

 

 そして、互いに飲み干した後僕が口火を開く。

 

「では、万太さん。貴方が急に伺った理由をもう一度お聞きします」

 

 いきなり窓からやって来たので吃驚したものだ。親方! 窓から謎の行商人(破壊神)が!! と、どこぞの有名な冒険活劇アニメ映画の主人公と似た台詞を心中で言ったほどである。

 

 福の神であり大黒天様である好々爺とした笑みを浮かべた目の前の巨漢は、徐に懐に手を入れて一つの徳利を取り出した。

 

 その徳利は、どこにでもある白いありふれた奴であり特別な入れ物ではない。だがしかし、万太がコルク蓋をキュポンと音を立てながら抜き机の上に置く。すると、その口からはキラキラと輝きが漏れ出た。まるで、アニメの表現のようなキラキラが目の前で3Dアニメのように目に映っている。そして、蓋を開けた瞬間に神々しさが出てきた。言わずともわかる、これが例のブツだと。

 

「これを手に入れたからな、注文通り持ってきたでぇ。これこそが、神の庭にある『建木の雫』や」

 

 それを補完するかのように、万太の口から答えが出てきた。レアアイテムの中でも一番上のLR(レジェンドレア)に位置する代物だ、あらゆる万病を治し体力や霊力を回復し、ステータスをバフさせる効果を持つ。

 

 実際に目の当たりにすると、その神々しさが徳利の口から漏れ出てるので自然と身が竦む。対する万太は僕のことをしっかりと見ながら、これの説明をする。

 

「これの効能は御伽草子に出てたようなのと同じと思ってええで、あらゆる万病を治すだけでなく怪我にも効くし死の淵にいる重病人さえも文字通り黄泉帰らせることができる代物や。但し、大陸の皇帝が求めたような不老不死の効果はないからの。そこだけは気ぃつけぇや」

 

 大体御伽草子に書かれていたことと同じではあるものの、大陸の皇帝が求めたような不老不死はないらしい。だがそれでも、万病に効く特効薬というだけでも破格の代物である。

 

『現世の波羅姫』を作ったゲーム会社の出す作品すべてに登場する、他のゲームで言うならラストエリクサーとも言うべきもの、それが『建木の雫』である。ゲームをプレイしていた時は唯の書面のデータではあるが、こうしてゲーム世界に転生した身となった今ではその神々しさに圧倒されてしまう。

 

「お前さんも、伊予や道玄そして一刀斎と関わりを持ってくれたからの。お前さんが約束を守るんならそれに応えなきゃな」

 

 そう、万太が桐箱と一緒にくれた紙面には伊予さんに道玄師匠、一刀斎師匠、そしてあと一人の人物とかかわりを持ち、一人で出会うことが記されていたのだ。だから僕は紙面を貰った時驚いたのである、こちらの思惑を見透かしていたから当然だ。

 

 だがしかし、あと一人とはかかわりを持っていない。否、正確には持ったが紙面に記されたように一人で出向かうという条件を満たしていないのだ。

 

「ありがとうございます。ですが、万太さんのくれた紙面通りの条件を完璧に満たしたとは言い難いです。それに、為人殿とは関わりを持ちましたが一人で出会うという条件は満たしておりません。一人で出会ったのは伊予さんと道玄師匠で、剣聖様と為人殿は一人ではありませんでした。なので、これを貰っていいのかという疑問がつきます」

 

 最後の一人とは僕が今言ったように夜鳥為人殿と関りを持ち、彼の所に一人で出向かうと記されていた。なので、すべての条件を達成したとは言い難いのである。それ以前に剣聖様と出会う時も一人じゃなくて複数人で向かったからそれも引っかかるだろう、そのことを正直に言うと鷹揚に頷き

 

「うむ、お前さんの言うことも尤もやな。まぁ、一人で出会うってことに関してはあくまで努力目標や。それをお前さんは四人中二人は達成したからそれで良しとしたるで。あと、左大臣に関してはこの後出向かう予定なんやろ? それで条件達成ということにしといてやるで」

「そこまでお見通しでしたか……」

 

 左大臣殿には、大手門で並ぶ際に順番を飛ばしてくれた礼もあるし、これから帝に謁見する際の礼儀作法などを学ばなければならないために出向かう必要がある。礼儀作法はある程度は叔父上から学んだものの、やはり殿上人であり要職に付いてる為人殿から学ぶのとでは鮮度と確度が違う。

 

 僕自身、前世ではそんな偉い人と関わりなかったし、今生で初めての皇族に会うわけなので無礼があってはならない。立場的には代行とはいえ当主である、つまり僕の行動如何によって北土の今後が決まると言っても決して過言ではない。故に、殿上人どころか雲上人に無礼なく万全を期すために学ぶ必要があるのだ。

 

 ただ、左大臣殿は原作ゲーム通りならボスキャラである鵺である。変幻自在に変化でき、術者としても超一流とも言える相手の懐に入ることになるのが懸念だ。しかし、原作開始前のチュートリアル通りなら会うことはあってもそれだけで、深い関係にはならなかった。深い関係になるのはもっと上洛して、朝廷との関係を強めてからになるからまだ安心…………な筈である。

 

 尤も、原作ゲーム通りから色々と変わってる所があるし、僕という存在で微妙に歯車が違ってたりしている。何より、貞操逆転しているのだ。前提からして変わってることにも留意せねばならない。

 

 

 だがしかし、左大臣殿は男の姿であった。

 

 

 貞操逆転な価値観になってるのはわかるのだが、それならば全員が性転換していないとおかしい。だというのに一部の竿役、左大臣殿に剣聖様、そして綾小路道玄といった男達は原作通りに男であった。

 

 そのことを考えれば、波羅が犯される可能性があるものの、逆に僕が彼らから犯されることにはならないはずだ。そう信じている。

 

 とりあえず、これから向かうだけで貰えるというのならば、有難く頂戴することにしよう。僕はそう考えて、深々と頭を下げて礼を言う。

 

「ありがとうございます。それならば、有難く頂戴いたします」

 

 そう言って、机の上に置かれた徳利に手を伸ばして手中に収める。手に持つだけならば酒か液体が入った徳利でしかない。だが中身は激レアどころか超レアアイテムだ、小心者且つ臆病で小市民な僕は自然と手が震える。うっかり割ったりしたらパーになるから猶更である。なので、手を伸ばしてそれを掴んだ時点で僕は緊張と恐怖のあまり石像のように固まってしまった。

 

 万太も僕の心中を理解してるのか、苦笑しながら

 

「大丈夫か? 手ぇ震えてるでぇ?」

「はい、いえ、あの、やっぱり怖いですね。これだけの貴重な物を割ったりしたらと思うと恐怖を感じます」

 

 正直に心情を吐露する。すると、万太は手を伸ばして固まってる僕の両手の上から覆い被さるように自身の手を置いてきた。筋肉モリモリマッチョマンらしいゴツゴツとしながらも巨大な手に包まれると暖かさを感じる、さながら福の神のようなぬくもりだ。というか破壊神ではあるものの福の神でもあったなと思った。

 

 万太は、大黒天の笑みを浮かべながら僕に語り掛ける。

 

「怖いと正直に言えるのは美徳や、お前さんもそれの価値を知ってるし、それをこれからどう使うのかというのもわかる。その上で言わせてもらうでぇ」

 

 すると、笑みから真顔になり

 

 

「これを使う時、お前さん自身が後悔しない選択を選べ」

 

 

 気迫を感じる台詞であった、思わず尻込みするほどに。

 

 だけども、後悔しない選択肢とは何だろうか? それが気になり、尋ねようとすると彼は両手を離す。菩薩の如き両手の抱擁を受けたせいか、固まっていた両手が凝り解されたように動く。それを割らないように僕は万太の桐箱に入れる。しっかり入れたのを確認し、尋ねる。

 

「あの、後悔しない選択とはなんでしょうか?」

「そのまんまの意味や、これから先に起こることでそれを使うことがあるかもしれん。その時お前さんは選択を迫られるやろう、どの選択を選んでもワイは決して文句は言わんしお前さんの選択を尊重する。その上で敢えて言うんや、後悔しないようにな」

「は、はぁ…………」

 

 イマイチ要領が得ないものの、選択肢を選ぶ事件か何かが起こるということだろうか? 尤も、これは桃代姉さんに使う以外の選択が思い浮かばない。最初からその予定だったからだ、それを言おうとしたところ、万太は扉の方を向く。僕も向くとなんだか慌ただしい音が聞こえてきた、どうやら階下で騒ぎが起きてるようだ。

 

「さてと、ワイは目的のブツは渡したしこれでお暇させてもらうで。次に会う時はわからんが、また会おうな」

 

 そう言うと、部屋に浮いてるペットのマンタに乗り、そのまま窓から飛び去って行った。余りにも素早い行動に呆気にとられる。慌てて窓に乗り出すようにすると、マンタは結構な速度で飛ぶのか、ゆったりとした動きながらも鳥のような素早さでもう遠くまで行ってしまった。

 

 呆然と見送っていると部屋が急遽開き、妹達が入って来た。

 

「兄様、火急の事にて失礼します。…………む? どなたかいらっしゃったのですか?」

 

 流石に万太がやって来たと言うといけないかなと思い、嘘をつく。窓の傍にいるから月を見ていたと言えば騙せるだろう。

 

「え? ああ、ええと、窓から月を見ていただけさ」

「兄様嘘を仰いますな、湯呑が二つありますよ」

「ここには兄上しかいないのに」

「湯呑が二つもあるのはおかしいです」

「頼兄さま、誰が来てたんでござるか? 曲者なら成敗しないといけないでござる!」

 

 妹達はぞろぞろとやって来て、まるで警察の鑑識のように周囲を調べ、特に湯呑を調べ始める。

 

「しかも黒茶の匂いがしていますね……、高級な豆であるのをわざわざ使うとは兄様にとって重要人物と見ました」

「湯呑はまだ温いですね」

「つまり飲み干してまだ時間が経っていないということ」

「ということは、出ていって間もないということでござる!!」

 

 

 騙せるだろうと思ったら即座に見破られたでござるの巻。しかも、どこぞの少年探偵団みたいに情報を分析させられて詳しく詰められる。バレたので正直に言う。

 

「行商人万太さんがやってきたんだよ、僕に渡したいものがあるって言ってね」

 

 そう言って、桐箱から『建木の雫』が入った徳利を出して見せる。対する妹達はというと、

 

「唯の徳利ではありませんか」

「あの商人もしかして」

「兄上を騙したのでは」

「大好きな頼兄さまを騙して唯の徳利を渡すとは許せないでござる!」

 

 しまった、蓋を開けないとわからないのだった。僕は目の前で蓋をあけられて、そこから漏れ出る神々しさで理解できたが、今妹達に見せてる状態は唯の蓋をした徳利である。故に、妹達から見ればありふれたものにしか見えないのだろう。

 

「いや、蓋を開けたらわかるんだよ。ほらこうやって──」

 

 そうやって、蓋を開けて教えようとしたところ、女中がやってきて中断させられた。

 

「失礼します、頼様。頼様のお客と申す半妖の女がやってきております」

「客? 名前は?」

「はっ、翠と申しております。何でも火急の要件で「孤児の子が危篤」と伝えてくれと。追い払いましょうか?」

「!! いや、追い払わないでくれ。ここまで通して欲しい」

「はっ、えっ?! 薄汚い半妖の者ですよ?」

 

 僕の通して欲しいという言葉に、頭を下げてた女中は思わずと言った風に下げてた頭を上げて驚きの声を出した。だがこれは失礼ではない、寧ろこの世界の住人からすれば当然とも言える反応だ。

 

 千年前以上前から続く人と妖魔の争い、そして決着とも言える人妖大戦で妖魔への感情は天元突破するほどの憎しみが高まった。其処から価値観も憎しみも時間が経てば雪解け水のように溶けていくものなのだが、天正帝の定めた教育典範によって固定されて止めを刺された。

 

 天正帝が崩御しても教育典範は残り、それからは妖魔と見れば見敵必殺と言えるほどに殺意があった。教育は大事だということを典範は教えてくれ、千年経っても憎しみが続いている程である。

 

 なので、女中が驚きの声を上げるのも、妖魔や半妖は見下すべき忌むべき存在として見ているように教育されてそういう価値観があるからである。寧ろ、そういう風に見ていない僕の方が異端者(イレギュラー)なのである。

 

 その女中の驚きを受け止めつつも僕は返す。

 

「その者は、僕が出向いた孤児院の者だ。それと同時に、鍛冶場の親方の娘でもある。僕の領地発展のための関係者であるから問題はない」

「そうだったのですか、兄様の名を軽々しく出すものだから打ち首にしようと思ってましたが」

「同じく」

「同じく」

「頼兄さまを利用する賤しい者だと思ってたでござる」

 

 危なかった。妹達が僕のことを愛してくれてるのは理解しているが、これは流石に物騒である。

 

「僕が一人で鍛冶場に向かったでしょ? その時に繋がりを作った人がその半妖なんだよ」

「そうなのですか、しかし相手は女です。兄様はその外見上狙われやすいのでご注意ください」

「しかも半妖とはいえ相手は賤しい妖魔」

「私達から見て薄汚い存在です」

「頼兄さまは、あまり近づかない方がいいと思うでござる」

「わかったわかった」

 

 妹達が諫言してくるが、それを怒ったりせず受け止める。女中の反応もそうだが、先ほど説明したように彼女達のように見下す反応が普通なのだ。

 

 天正帝の命を使った呪いによって、妖魔側の敗北が必定となり千年経って殊更に確定的となった今の時代辺りになると、朝廷と帝も勝利確定だからか、融和政策という名の不平等条約を妖魔側に押し付けて金と物資を搾り取る形に持って行く。

 

 その融和政策のおかげで妖魔側も生き延びる目が出来たのはそうだが、言うなればトランプの大富豪で大貧民が大富豪に強い手札を二枚献上しなければならない規則(ルール)で生き残ってるような物。生き延びたというよりも、生かしてもらってるという表現が正しい。

 

 そこを突破するには、強い子を産み次世代の存在が革命を起こして朝廷と帝を打倒するというのが妖魔側の目標である。そのために、優秀な母体である原作ゲーム主人公の波羅がそれにあたり、ゲームの仕様上彼女は狙われ続けて孕まされる。といったのが原作ゲームの主なストーリーというか妖魔側の目的である。

 

 そう、原作ゲームでは、という但し書きがつく。だが、ご存じの通り僕という異端者(イレギュラー)がいる。そして既に貞操逆転という前提からして変わっている状態だ。

 

 なので、彼女達は男である僕を守るためにこう言ってくれるのであるが、翠さんの火急の要件が気になるのでこの場に通す。いや、僕から出向く。何故なら嫌な予感がしたからだ。

 

「女中さん、件の半妖は玄関にいるのかい?」

「はい、護衛の者が入れないように止めております」

「なら出向こう、案内してくれ」

「えっ?! わ、わかりました」

「兄様?!」

 

 女中は下の立場であるため困惑するも、僕の命令に従い案内しようとする。対して波羅は僕が自ら出向くことに驚愕したのか、思わずと言った風に声を上げた。

 

「波羅、先ほど言ったけど鍛冶場の親方の娘さんなんだ。これから君たちに良質な武具を作ってもらうためにも無碍にはできないんだよ」

「……わかりました」

「ですが兄上」

「危険かもしれないので」

「護衛のために拙者達も一緒について行くでござる!!」

「まぁ、構わないよ」

 

 僕の有無を言わさぬ強い言い方に、妹達もこれ以上言っても無駄だとわかったのか引き下がる。だが、護衛の為に付いてくるといった。それくらいなら別に構わないので許可する。

 

 玄関に行くと、下人に取り押さえられた翠さんがいた。爆乳が地面に押さえつけられてムニュンと形が崩れて大変エッチであるものの、それを見ている場合ではない。取り押さえられた時に殴られたのか、頬も腫れていた。

 

「下人共、その者を放しなさい。僕の大事な客だ」

「えっ?! はっ、ははっ!!」

 

 先ほどの女中と同じように困惑しながらも、上位者である僕の命令に従い彼女を解放する。強く抑えられていたせいか、腕を抑えながらも立ち上がった翠さんに僕は近づき話しかける。傍によると波羅より背が若干高いので、彼女の爆乳がちょうど僕の頭の位置に来る。近づきすぎると視線が爆乳で遮られるのでそれをしない位置にまで近づき

 

「翠さん、部下が失礼しました。火急の要件があるとのことですがどうしたんですか?」

「頼の旦那、話を聞いてくれて感謝するでやんす。孤児院の祝福の子達が危篤状態に陥ったので、それを報告するためにこうして押しかけてきたでやんす」

 

 改めて聞くと、あの祝福の子達が危篤状態だと言う。わざわざこうして言いに来るほどだから嘘ではないのだろう。理解した僕は頷き

 

「わかりました、では約束を守るために向かいましょう。ですがその前に──」

 

 僕は、回復の術を用いて翠さんの怪我を治し始めた。青く内出血した腕や、赤くはれた頬に手を添えて癒していく。

 

「はい、これで治りましたよ。重ねて言いますが部下が失礼しました」

「な、治してくれてありがとうでやんす……」

 

 僕が治したのが意外だったのか、驚いた表情をしそして顔を真っ赤にしながらも礼を言った。

 

「では向かいましょう、案内してくれますか?」

「はい、ところで後ろのお嬢さん方はどちら様でやんすか?」

「この者たちは僕の妹です」

「兄様一人で向かわせるなど危険だから護衛のために私達もついて行く、拒否はさせんぞ」

「は、はい。わかったでやんす」

 

 有無を言わさぬ波羅の口調に圧倒されながらも翠さんは頷く、そして翠さんの案内の下、僕らは孤児院まで向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、僕は祝福の子達()()()()()()()()()()()()()

 

「そ、そんな、こんなことがあっていいのか……」

 

()()を見た僕は思わずと言った風に声を漏らす。

 

 何故ならば、祝福の子達は最初に見た時はまだ人の形をしていた。それが今は()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 




今回も読んでくださり感謝申し上げます。切りがいいところで切ったら、1500文字ほど少ないことを謝罪します、ゴミン。

お目汚し失礼しますが、今度は西方守護当主の世玖芭凛さんを描きました。桃代ねーちゃんが大急ぎ且つちょっと雑に描いてしまったので反省して頑張って綺麗に描きました。

https://x.com/bishio360/status/1937887217269239905

なお、pixivの方に差分はありますが眼鏡を真っ白にしたら目が隠れてちょっと怪しい雰囲気になるよね、って感じの差分なので桃代ねーちゃんみたいなエッチ差分はないです、ごめんちゃい。それでも見て評価してくださると嬉しいです
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