和風凌辱エロゲーの主人公兼ヒロインの兄に転生したんですが何か違う 作:ビシオ
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何時も読んでいただきありがとうございます。誤字報告や評価も嬉しいです。
後書きに今後の活動について書きます。
左大臣邸は、都に住まう平民すら場所を知ってるくらいに有名な場所だ。
御所のすぐ近くにある上級貴族や公家の住まう区画、現代風に言うなら高級住宅街といった場所にそれはある。厳しい試験を乗り越えて見事官僚となったものには──朝廷から官僚宿舎として用意されたものだが体裁を保つために──皇主から邸宅を下賜される。
官僚という朝廷に仕える上級職業であることと、皇主から邸宅を下賜されること。それらの名誉はとても高く、そこに住まうということは臣民にとって一種のステータスとなり自慢できるのだ。官僚試験は平民すら受けられる故に、多くの者達が成り上がることを目指して有能な人材が朝廷に入るという寸法である。
外庭は普通の石庭やら庭園があってたまに公開して民衆を楽しませたりする。入場料は取るが、その設定は邸宅の持ち主が好きに決めれるのだ。高く設定して民衆から絞る大臣もいれば、低く設定して多くの民衆の心の癒しを与える大臣も今までにいて千差万別だった。左大臣は後者に当たる。
都という閉じた領域に公家屋敷がそんなにたくさんあると領域不足になる、と思うだろう。しかし、ゲーム世界の機能である迷い家の権能を沢山使い、圧縮空間によって狭そうに見えて中身は広いという方式で領域不足を解消していると設定資料集に書いてあった。
邸宅自体の大きさは中世日本の武家屋敷や公家屋敷と似たような感じだ。外観を見れば、江戸時代や戦国時代にあったような屋敷と同じにしか見えない。だがしかし、屋敷の内部に入ると違う。
中庭と外庭は普通の広さで、そちらは庭園を造って癒しの空間としている。しかし、屋敷のそれぞれの部屋一つ一つは迷い家から取った核を使ってその権能で広くしている。そして、広くなった部屋をどうするかというと、床上に机を置いて工場のように鉢を並べて野菜を作っている。つまり、屋内栽培によって食料を得ているのだ。
出来た食料は売りに出して財を増やしたり、貯蓄して飢饉が来た時に飢えないためという理由もある。屋内栽培の為に外の天候に左右されることなく安定した供給を約束してくれるので、自分達の一族を食糧難から解放してくれるのだ。
大臣級の部屋の広さは全て合わせると東京ドームに匹敵か優に越し、そこから序列が下がっていくにつれて狭くなっていくという方式らしい。つまり、序列が上がるという事は大きな屋敷を貰える。すると、部屋の数も増えて屋内栽培できる数も増える。なので、朝廷に仕える文官武官は懸命に働き、ランクが上の屋敷を貰い、部屋を増やして家庭菜園をして生産物を増やして財を蓄える。
正に、農業シミュレーションゲームのようなことをすることで官僚の懐を広くし豊かにする、その結果経済が廻って朝廷に税が入り朝廷も潤う、という方式で経済活動に一役買っているシステムになっている。
屋内栽培する際、水は中庭外庭の井戸から汲んで持って来るのは残念ながら原始的だ。天候もとい照明問題はどうするの? という疑問についてだが、これは僕が伊予さんの孤児院で使ったような照明の術式を書いたお札を使うことで解決している。
僕の前世の現代日本の工場屋内栽培に比べれば効率は落ちるものの、それでもこの戦国~江戸時代のような世界観で屋内栽培という未来の方式が使えるのは、中興の祖である天正帝が作り方ややり方をまとめた本を作り、それを秘匿せず公開したのだ。故に、世界観に比べて未来的な屋内栽培が可能なのである。
と、僕と妹の波羅は左大臣に使える案内の家人から移動の暇つぶしとして話を聞かされた。中々勉強になるところがあり、僕も波羅も新たな知見を得ることが出来た。僕の場合は設定資料集である程度知ってるってのもあるが、それを補完するかのような知識を教えてくれたからありがたい。
その家人は、僕らを正門で案内してくれた家人と同一人物であった。服の仕立ても良いことからそこそこ高い地位にいるのだろうと予想される。そして、身長とおっぱいとお尻がデカイ。いや、この世界の女性の平均といえばそうなのだが、前世の記憶がどうしてもちらつくのでデカいなあと毎回思うのだ。眼福ではあるが、貞操逆転してる世界である故気をつけなければならない。
左大臣殿には正門での順番飛ばしの礼をしたいので、その旨を認めた文を下人に持たせて行かせた所返事が来て、一週間後に来て欲しいと言われた。その時来ていいのは僕と波羅だけだと指定された。
何故指定するのか? という疑問に対しての理由も返信の文に記されている。僕は当主代行、妹の波羅は次期当主、つまり上に立つ者である。故に、上に立つ者としての振舞などを教えるためだと書いてあった。
実に尤もな理由であった故に、双子と焔も渋々とだが納得した。三人にはお土産持って来るから許してね、と言うと抱き着いてきて。
「左大臣殿は高い地位におります」
「故に、出される食事も美味なるものだと予想されます」
「なので、甘味などが出るならそれが欲しいでござる!」
と言われた。現金だなと思いつつ、そこが可愛いのでそれぞれ頭を撫でた。
そして、左大臣邸に来たのだが裏門ではなく表門で出迎えられたことにホッとする。裏門は文字通りひっそりと、表向きに出来ない用事がある時に入るからだ。まぁ、今回は事前に連絡してるし、裏門から入る理由がないので表門から出迎えられるのはある意味当然の帰結とも言えるが。
当然の帰結と言えば帰結なのだが──
「「「「「「ようこそお二方、心から歓迎いたします」」」」」」
──このように派手に出迎えられるとは思わなかったでござるの巻。
表門から屋敷の玄関口までの一直線の石畳、その通りの左右には家人、女中、下人達が一斉に並んで頭を下げていた。
家人は前列、女中は中列、下人は後列と言った風に綺麗に区分され、綺麗にお辞儀の角度まで統一されていた。家人は敬礼、女中は最敬礼、下人は土下座平伏だった。
家人は貴族に仕える家臣・従者等である。平民より高い地位におり、僕の前世日本の戦国から江戸時代のような御家人旗本と同じで名家や武士などの家臣だ。この世界だと、貴族の子女なども教育の一環として家人扱いで送られて教育させられたりするらしい。
女中は御存知の通り、住み込みで働く女性だ。多くは平民などを雇い入れるが、商家や上層農家の子女を受け入れ結婚前の教育の一環として働くこともあるらしい。
下人は、下男下女をまとめた総称だ。農家の次男三男次女三女といった継げない者達が就職のためにやってきてそれを雇う、というのは僕の前世世界の過去と変わらない。
尤も、この貞操逆転した世界だと男と女の割合は良くて六対四、悪くて三対七の中間程らしい。男もいるにはいるが、やはり千年前から緩やかに出生比率が崩れているのでこうなっているそうだ。
比率が崩れているので、列に並ぶ家人、女中、下人達も、女性の方が多い。だが、仕事としての役割はあんまり変わらないようだ。
そんな風に思い思考しながら、一斉歓待に僕と波羅は驚きながらも家人について行く。左右見ても綺麗にお辞儀の確度まで統一されていて隙が無い。マスゲームしたら面白そうだなとちょっと現実逃避しながら玄関に入る。
そして、玄関に入ると──
「ようこそおいでくださいました、頼様、波羅様」
──割烹着和風メイドといった女性達が玄関の取次に横に並んで立っていた。
それだけならば、特段不思議なところはない。だが明確に違うところは立っている女性達の中でひときわ存在感を放つ存在がいる。それが、真ん中に立っている身長目測で二メートル二十センチの女性だ。
左右に並んでる和風メイド達が二メートルから百九十センチが平均に対して文字通り頭一つ抜けていると言っていい。髪の毛もまた変わっており綺麗な深緑色だった。耳もエルフのように尖っている。何よりも、巨大な臀部のところからハートマークの尻尾が見えていた。
言わなくてもわかる、彼女は妖魔だ。
僕も波羅も敵対種族である妖魔が出迎えたことにぎょっとするが、驚く僕らを尻目に案内してきた家人さんが彼女の前に立って頭を下げて。
「家宰様、お二方をお連れしました」
「ご苦労様です。後はこちらが引き継ぎますので、別の仕事をお願いします」
「かしこまりました」
そうやり取りをして、案内した人はそのまま別の場所へと行ってしまった。家宰様と呼ばれた目の前の美人巨女はこちらに振り向き
「我が主人、夜鳥様の屋敷へようこそ。
そう挨拶すると、優雅な動きでカーテシーをした。左右に並ぶ配下の和風メイド達も息がピッタリな動きでカーテシーをする。素晴らしく洗練され統一された動きだったので、思わず見惚れてしまった。決して美人たちの爆乳と巨尻が揺れたのに目が行ってしまったからではない、多分。
中でもイヴさんと名乗った家宰のおっぱいの大きさは凄まじいものだった、何故ならばカーテシーでメイド達はどぷん! と揺れたのだが、イヴさんはどたぷん!! といった感じなのだ。鼻が伸びそうになるから気を付けて顔を引き締める。
相手が丁寧に挨拶をして来たのならば返礼しなければ不作法というもの、なので僕も波羅も挨拶をし返す。古事記にもそう書いてあるしね。
「お初にお目にかかります、僕は北方守護当主代行を務める綾絶頼です」
「お初にお目にかかります、私は北方守護次期当主の予定の綾絶波羅です」
立場的には家宰と当主代行並びに次期当主ではこちらの方が格上だ、しかし相手は左大臣の家宰を務める家老である。なので、丁寧に接することに決めた。波羅も僕が最初に丁寧に挨拶したことの意を汲んで続いてくれたのでありがたい。
「ご丁寧に痛み入ります、では応接室に案内しますので私に付いてきてください」
互いに挨拶は済んだので、イヴさんの先導の下に僕らはついて行く。イヴさんが先頭で、後ろに僕と波羅、更にその後ろにイヴさんの部下と思しき和風メイド達がぞろぞろとついて行く感じだ。イヴさんの巨尻が割烹着のスカートの上から見えるくらい揺れてるので目に悪い。
目に悪いので目を逸らす形で横を見ると、中庭が見えた。どうやら中庭を通る廊下を歩いていたようだ。
中庭は冬に差し掛かるからか、松の木や広葉樹は枯れてしまっているものの、その枯れ葉などが舞い落ちる様は儚げで美しいものがある。石庭も綺麗に円を描かれていて、石であるはずなのに池を思わせる美しさがある。その美しさに見惚れて、思わず足を止めて見ていたせいか
「気に入りましたか?」
と、イヴさんに声を掛けられてはっとした
「ええ、はい。思わず見とれました。見事な庭ですね」
「ありがとうございます、後で庭師にも報告しておきますね。頼様がお褒めになってくださったと」
そう言うと前に進むのを再開する。
応接室と襖の上に掲げられた札の前へと案内され、イヴさんが丁寧に襖を開ける。すると、既に中に左大臣殿が待っていた。
その事実に僕と波羅は驚くが、当の本人は至って普通に座っており
「ご主人様、ご両人を連れてまいりました」
「家宰、ご苦労様です。貴方は後の準備をお願いします」
「はい、了解しました」
そう言って、イヴさんは部下のメイド達を引き連れて去っていった。僕らはそのまま突っ立っているわけにも行かないので、応接室に入り、机を挟んで左大臣殿の対面に座る。
まずは手始めに挨拶をした
「左大臣殿、この度は僕と妹の訪問に厚い歓待をしてくれたことにまず感謝申し上げます」
「なんの、貴方は当主代行、波羅さんは次期当主。なればこそ、それにふさわしい歓待というものをすべきでしょう」
お互いに頭を下げて挨拶を終えると本題の一つに入る。
「ではまず、正門で順番飛ばしをしてくださった礼をさせていただきます」
まずは、文にも書いた通り順番飛ばしの礼をする。僕は懐に入れて置いた万太の桐箱を取り出し、中から清酒「白雪」や砂糖、他にも北土の特産品を並べて差し出した。
「これは素晴らしい。わかりました、有難く頂戴いたします」
そう言って、左大臣殿はポンポンと手を叩くと襖が開いてイヴさんと配下の和風メイド達がやって来た。イヴさんはお茶を持っており、机の上にお茶をそれぞれ置いて行く。配下の和風メイド達は、僕の持ってきたお土産品を持って退出していく。
次の本題として、伊予さん並びに妖魔の扱いに関してを聞きに来た。これはどちらかというと僕よりも波羅の方が聞きたがってるようだ。
「左大臣殿、工房区画にある孤児院ですがあそこを運営してる院長は半妖と言いながらその実妖魔でした。これはどういうことなんでしょうか?」
「波羅さん、これには深い理由があります」
そう言って、孤児院建立の理由を津々浦々と話す。
天正帝の呪いが蔓延る前から、妖魔と人間の混血は歴代朝廷の頭痛の種であった。
妖魔に犯された女性は低級や中級を孕む、そして出産する際形が人間とは違うために出産できず、かと言って帝王切開術が確立されたわけでもない。ならばどうなるかというと、腹ボテチェストバスターとなって出てくるのだ。
母体を安全に且つ無事に出産させるためには、霊力で子宮を傷つけないようにして膜を生成し赤子を包んで出産させる。もしくは、赤子を中絶するの二択であった。そして、それらが出来るのも退魔師しか出来ないので、被害者や退魔師を一か所に集中して施術するという場所が必要になる。つまり、今の孤児院は元を正せば妖魔に犯された人間の保養所であったという。
そして混血となって生まれた半妖は、妖魔と母体の因子を取り込んで生まれるのだが基本的には妖魔の因子が強い。なので、人類側からすれば即座に殺処分が妥当であった。妖魔側から見ても半端モノなので使い捨ての駒扱いが精々なのだ。
だがしかし、大妖や凶妖に犯された退魔師が産む子は両方の因子を持って生まれる。いいとこどりな半妖の子はある種の特別枠とも言えた、よってそれが生まれた場合は有用な手駒として育成する。妖魔側からしても両方の因子を持つならば、一族に迎え入れるのもやぶさかでなかった。
ある種のダービースタリオンというわけである。基本的には人類側は犯されるのを防ぎ、妖魔側は享楽の一種で犯したりする。だがしかし、妖魔側にも女子は存在し、人間の男が妖魔を犯すということもある。中には子宝に恵まれずかと言って微妙な力しか持たない女子を妖魔もしくは人間に犯されるように仕向けて半妖を意図的に出産させた、という実験を双方行ったこともあったらしい。そこはかとなく闇を感じる所業だ。
但し、これらはあくまでも副産物。保養所で生まれた半妖は大体が人間より力を持ってるので、それを教育して躾をすれば人類側にとって役に立つ存在と成り得る。そのまま駒にして戦力増強しても良し、半妖であるがゆえに妖魔側へと送り込んで
保養所がやがて養成所となるのはそう難しいことではなかった。
養成所となったここで、教育を受けた半妖は鍛えられる。上手くいけば市民権を得て都に住まわせることを条件に働かせるのだ。大半は志半ばで散っていったものの、中には達成して居を構えることを許可された半妖もいた。
そして、天正帝の呪いによって人類と妖魔の争いに決着が着いた後、戦災孤児などが問題となった。その戦災孤児を一か所に集めて監視しやすくし、ついでに賤民扱いの半妖もまとめて置けばさらに効率がいい。
こうして養成所は孤児院へと変貌した。
孤児院を運営するには、院長は半妖か連なる者であるのが望ましい。何故ならば人間だと粗末に扱うのが目に見えているからだ。そこで、白羽の矢が立ったのが伊予である。彼女は朝廷側に降った妖魔であるので指示に従うだろうし半妖を粗末に扱うことはない。何より、妖魔であるため長生きできる。この場合、代を重ねるよりも一人の人物が長く治めたほうがいいだろう。
そして、彼女が妖魔ということは、妖魔側との外交窓口としてもうってつけだ。
既に決着がついて、あとは時間が経てば妖魔は滅びるまでになった。それを証明するかのように、妖魔側から交渉という名の降伏がされ始めた。
人類側としても、雑多な中妖以下の存在はこちらで駆除すればいいだけなので、厄介な大妖以上の存在は妖魔側が手綱を握っておいた方がいい。滅ぼせばそれはそれでまた厄介ごとが増えてしまう。なので、妖魔側は自分達にしか作れない特産品を献上し、その見返りとして人間の男を頂き種馬として大事に扱うという物々交換がなされることになった。
そして、その外交窓口として伊予が妖魔であるのに半妖と偽り存在を許されている。今では伊予のみならず、他の妖魔もこちらに降って人類に貢献していることは公然の秘密となった。尤も、天正帝の教育典範があるため大っぴらに妖魔だと明かすことが出来ないので半妖と偽り雇っているのが現状である。
「我が家の家宰が妖魔なのも、彼女が有能であることとこちらに降った妖魔であるため有効活用しているのです」
「「成程…………」」
僕はある程度設定資料集からの知識があったため、まぁそうだろうなという意識で納得できた。波羅にとってはそういう歴史があったことは知らなかったので、何故妖魔が存在しているのか、半妖と偽っているのかという理由を知れて納得できたようだ。
「反乱の恐れはないのですか?」
「ありません、術で縛っていますから」
波羅の質問に淀みなく答える左大臣殿。
そりゃそうだ、都に妖魔という敵対種族を入れる以上反乱防止のために術で縛るのは当然の帰結と言える。なので、あの家宰の人も堂々と存在できるのだろう。
しかし、そう考えると伊予さんはどうなんだ? という疑問が沸く。伊予さんは僕を逆レイプしてきた、それは違反しないんだろうか? という疑問だ。
「左大臣殿、反乱防止の術は強姦に対してはどうなんでしょうか?」
「ううむ、難しいですね。相手が本気で嫌がっていたのなら発動しますが快楽で負けたとなると受け入れたと術が判定して発動しない恐れがあります」
腕を組んで悩ましいという表情で、左大臣殿は答えてくれた。
つまり、僕があの時本気で嫌がってたのなら発動していたわけか。だが、発動しなかったということはつまり僕が負けたのが原因だった。
僕の質問の意味に気づいた波羅が顔を向けて
「兄様…………」
「うん、心配しないで。大丈夫だから」
妹も、僕が犯されたのは僕が快楽に弱かったからというのを理解したようで、苦虫を嚙み潰したような顔をする。
すると、家宰さんが入って来て。
「失礼します、ご主人様。お客様がやって来たようです」
「ああ、そういえば来る予定でしたね」
「おや、左大臣殿のお客様ですか? ならば、僕らはここらで失礼した方がいいでしょうかね」
「いえ、貴方方もまだいてください。お二人にとっても重要なことです」
「えっ?」
僕らは大体聞きたいことと礼をしたという目的は達成したし、左大臣殿に更なる客が来た以上長居するのは邪魔だろうと思って退出しようとしたのだが、それに待ったをかけられた。
「私がお呼びしたのは貴族や公家の方々です。頼君と波羅さんが来るということなので、顔合わせに丁度いいと思って呼んだのですよ」
事前に顔合わせすれば、円滑になるでしょう? といたずらが成功したみたいに言う夜鳥殿。意外とお茶目だなと思った。
だが、申し出としては有難いのは確かだ。何も知らないより知っておいた方がスムーズなのは確かである。故に、夜鳥さんの案内に従って貴族や公家の方々と顔合わせをすることになった。
「「「あっ、頼殿♡」」」
「ほほう、其方が頼殿か。成程美しい
「私の娘と契ったようですねぇ♡」
「それに関しての礼を言わねばならぬな」
まさか、貴族達の中に一条家、二瓶家、三ツ矢家がいたとは思わなかったのである。謝罪の為に訪れようと思っていたのが向こうから来たので手間が省けたとは言えるが一波乱起きるかなと思った。
時は少し戻り、孤児院。
頼達が帰った後、伊予と翠は祝福の子達の部屋へと向かった。遺体の回収と供養をするためだ。
そして、部屋に入ると
「ううぅ……ぐぅ……!」
「ふーっ……ふーっ……!」
疑問に思った二人は、近くの子を抱きかかえると、呻いて動いている。ということは、まだ生きている…………?
机に目をやると、徳利が
だとするなら、彼は…………、綾絶頼は
その疑問に対する答えは──
「「「「「「…………ぃぃぃぃいいいいああああああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!!!!!! 」」」」」」
──祝福の子達の容態で判明した。
「ど、どうしたでヤンスか?!」
「わからないわ! でもまだ死んでない!! 生きてる!!」
「ぐあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ゔゔゔゔゔぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
「い゙い゙い゙い゙い゙痛い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙!!!!!!」
「苦じい゙い゙い゙い゙い゙い゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!」
「だずげでぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙!!!!!」
「み、みんな大丈夫でヤンスか?!?!」
「一体何が…………ッ!? これは?!」
娘の翠が想定外の事にオロオロしてるのに対し、伊予は冷静に物事を見始めた。
否、伊予も驚いているのだ。何故ならば、祝福の子達は
だが一家の長として冷静に周りを、そして子らを見た。すると、驚くべきことに気づいた。
「あ゙あ゙っあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」
ゴキッ! ゴギッ! ベギぃっ!! ゴキャゴギャっ!!!
耳に聞こえるのは不愉快な音だ、まるで骨が折れたかのような音が祝福の子達から聞こえる。よく見ると、彼女達の
シューシューと蒸気が祝福の子達である肉芋虫から出てくる。すると、骨がまず生えてきて、次に筋肉がボコボコと音を立てて接着されていく、その次に血管や神経なども生えてきて腕と足をそれぞれ作っていく。肌も髪の毛も爪も、まるでビデオテープを巻き戻しするかのように生えてきている。
ここまで来て、二人は気づいた。祝福の子達は
「頑張って!! 意思を強く持って!!! 呪いの苦しみを味わった貴方達なら耐えられるわ!!」
「皆! 頑張るでヤンス!! 今、あんたらの身体が治っているでヤンス!! だから…………負けないで!!」
二人は応援し始めた。出来ることはこれしかない、だが声を掛ければ意思は繋がる! 諦めずに只管声を掛けて──
「「「「「「ゔゔゔあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっっっ!!!」」」」」」
────部屋の中は、祝福の子達の身体から発せられた蒸気でムワッと蒸し暑い。その蒸気漂う中に、少女達が居た。
二度と見えないと思っていた景色が視れた。
空気漂う匂いも感じることが出来た。
足が無く歩くことも叶わなかった今では二本の脚で立っている。
物を掴むことのできる腕と手もある。
周囲の空気に触れるだけで痛かったむき出しの身体には、触れると暖かさを感じる綺麗な肌がある。
──そう、少女達は、祝福の子達は死の淵から黄泉帰ったのだ!!
一人の少女が、声を震わせながら伊予に尋ねる。
「伊予おばさま……私達はどうなったのでしょうか……?」
まだこの現実が受け入れられぬといった様子の少女を、伊予は近づき膝をついて優しく抱きしめる。
「大丈夫、貴方達は復活したのよ…………!! もう苦しむことなんてないわ…………!!」
そう言って、伊予は涙を流しながら強く抱きしめる。
抱きしめられた少女も、漸く理解が来たのか涙を流し始めた。
その少女と伊予に向かって、翠や他の子達も集まり、一塊になって抱き合い始めた。皆が皆、今起きた奇跡に対して感動し涙や嗚咽を漏らす。
そして、少女の一人が泣き止んで問う。
「伊予おばさま…………、私達が黄泉帰ったのはあの人のおかげですね?」
あの人、とは言わずともわかる。肉芋虫となった少女達に優しく触れたあの少年だ。
「ええ、そうよ。彼は神の庭にしかない貴重な物を使って、貴方達を復活させたのよ」
「私達はどうすればいいんですか? どうすればこの大きすぎる恩を返せるのですか?」
神の品を惜しげもなく使ったことに、死ぬ運命だった自分達を運命を捻じ曲げて復活させてくれたということに、少女達は喜びと困惑が混ざり合う。
伊予は、少女の肩を使って真っすぐ見る。そして
「貴方達が彼に恩を返すことは出来るわ、文字通り貴方達の全てを彼に捧げるの。そして、貴方達と彼が力を合わせて、それぞれの呪いを貴方達の手で終わらせるのよ…………! 」
「──ご主人様、文です」
「うん、ありがとう」
イヴから文を貰った為人は、それを開いて読む。その内容を理解した彼は、信頼する家宰に
「賭けは私達の負けのようです」
「そうですか、目出度いですね」
そう漏らすと、イヴは柔らかく微笑む。
神との賭けに私達は敗北した。あの神の品があれば、私達は呪いに打ち克つことが出来たかもしれないがそれは負けたことで叶わなくなった。
しかし、別方向での希望が見えてきた。慶事である、故に同志達にも急いで伝えねばならない。早速筆をとって文を
大きなうねりがあるという確信があった。
全ては私達の、否、我等「ヒト」が生き残るために。
というわけで、ネクストコナ◯ズヒント:どろろ、な話でもありました。
最後まで読んでいただきありがとうございます。これからも頑張るので応援よろしくお願いします。
多分次の次あたりでエロの予定です。次でアンケート取る予定でもあります、その時は御協力お願いします。
ファンボックス開設しました。詳細内容とかなんで開設したのかなどはこちらに書いてあるので是非とも一読お願いします。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=331782&uid=197933