※この作品はR-18です。

今宵の月は   作:Fulikake

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第32話

「ん"ん"っ」

『ふぁ〜プロデューサーさんおはようございます〜』

「お、おはよう...」

『なんやえらい喉辛そうですね』

「うん...喉痛くて声出ない...」

『昨日の夜凄かったですもんね、...声』

 

喉を人差し指でなぞられる

 

「んっ」

『かわいい...』

 

奈緒ちゃんが近付いてくる

 

「...ごほっ」

 

左手で奈緒ちゃんの口元を抑えながら下を向いて咳払いをする

 

「ごめ...ちゅーなしで」

『む〜』

 

 

 

 

 

遊園地でのロケも無事に終わり、最後に一つだけ遊具に乗れる事になった

 

『なぁ〜プロデューサーさん、一緒にメリーゴーランド乗ろ〜や』

 

私の腕を掴んで走る奈緒ちゃん

 

「わ、わかったからもうちょっとゆっくり...!」

 

 

 

 

『これ、乗りましょ』

 

奈緒ちゃんが指をさしたのはかぼちゃの馬車だった

 

「意外な所いくね、王道な馬に乗りたいのかと思ってた」

『馬はさっきレポで乗りましたし、馬車なら2人っきりで乗れるやん』

『周り誰もおらんし、好きなだけキスもできますよ』

 

「…まだ今朝のこと怒ってるの?」

『やって私、プロデューサーさんとちゅーしたかったんやもん』

「そんなに?」

『今やって、ずっとしたいです』

 

ぐっと体を前のめりにする奈緒ちゃん

 

『なんやお預け食らってる気分やわ』

「ご、ごめ...」

『このメリーゴーランド回ってる間に私、プロデューサーさんからキスさせるんで』

「っ!」

 

堂々とそう宣言をした奈緒ちゃんに体が強ばる

早く回転終わってほしいな、と思った

 

「ん"っ」

『喉まだ辛いん?』

「うん...声聞き取りにくくてごめんね」

『私、アメちゃん持ってるんで食べます?』

「あ、もらおうかな」

『ちゃんとのど飴持ってんねん〜』

 

飴舐めてたら少しは喉もマシになりそうだなぁ...と

手のひらの上に置かれた飴を受け取ろうと手を伸ばしたらそのまま自分の口へ飴玉を投げ込む奈緒ちゃん

 

「えっ」

『はい、どーぞ』

 

口の中にある飴をキスで取れ、ということか...

 

「奈緒ちゃんずるい...」

『ん〜?』

 

いくら外から見えないとはいえ、こんな公共の場でキスなんて...出来ない

 

『はよ取らへんとなくなりますよ?』

「あ...」

 

でも、でも……今日はのど飴をただもらうだけだから...いいかな、喉痛いし仕方ないよね、

 

一瞬!一瞬だけだから!と、誰に聞かせる訳でもない言い訳を心で唱えつつ奈緒ちゃんの肩に手を置く

 

そっと唇を近付けると、ガリっと音が聞こえた

 

ガリッボリボリ

「えっ、ちょっと...」

『プロデューサーさんが遅すぎて待てへんかった』

「ひ、ひどい...」

 

やっと勇気を出した所だったのに...

 

『大丈夫まだ残ってますよ、ほら』

 

噛み砕かれた飴が奈緒ちゃんの舌に残っている

 

は、早く取らないと無くなる...!

 

奈緒ちゃんの顔を両手で挟み、口を付ける

 

同時に奈緒ちゃんも待ってましたとばかりに私の顔を挟み、舌が私に覆い被さってくる

 

「んっ」

 

飴の破片が舌に置かれたと同時に鼻からミントの香りが抜ける

 

「んん...」ゴクッ

 

思わず唾液を飲み込むと喉がすーっと楽になり、ずっとキスをしていたくなった

せめて、舌の上の飴が溶けてなくなるまでは……

 

なんてそんな願いも儚く、すぐに唇が離される

 

『作戦成功や』

 

ニヤリと笑う奈緒ちゃんを見て我に返る

 

「わ、忘れてた...」

 

ガタンっと機械の動きが止まる

 

『プロデューサーさん、楽しかったですね』

「うん...」

 

正直キスに必死すぎて楽しむ、なんて余裕なかったけど...

口の中にほのかに残るミントの香りを感じながら、もっとメリーゴーランド動いててほしかったな、と思った

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