※この作品はR-18です。

ストラトス・デザイア   作:夢現図書館

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注文の多い城 Ⅲ

 

 

 簪が目を覚ますと、独房の中だった。

 

 正面に黒い鉄格子の扉と仕切り、外からこの独房の中身は丸見えだ。オナニーしていれば確実にバレる、独房にプライバシー云々求めるのはどうかと思うが取り敢えず丸見えの空間だった。

 

「……ん」

 

 身体を起こす。独房の冷たい床に横になっていた。と言うか無造作に転がされていたと言うべきか。

 そして、その身に纏っている服装もまたその光景に相応しいモノを見に纏っていた。即ち、囚人服だ。

 然も、唯の囚人服では無い。

 白と黒のボーダーと言うイメージに削ぐわないがその形状は特異の一言に尽きる。肌が露出しているのは首から上、顔付近と髪くらいで首から下は全身に至るまで身体のラインを浮き彫りにするぴっちりと肌に張り付くボディスーツ状の囚人服だ。ついでに言うなら胸の乳首も勃てば丸分かりになるし、秘所の割れ目も丸分かりになってしまう程の締め付け具合である。

 

「…………」

 

 誰がどう見てもエロい女囚姿の簪は徐に胸元と臍の下付近を摩る。昨日の夜に一生、消える事のない人間未満の証を刻まれた。それは平時では浮かび上がる事は無い。

 

「ん……♡」

 

 昨日の事を思い出して勃った乳首を摘む。昨日搾られぷっくりと浮かび上がった乳首から母乳は出て来なかった。本当に一時的にしか効力は無かったらしい。いや、流石に平時から母乳が垂れ流しになるのは簪自身としても困るのだが……少し残念な気持ちにもなる。

 その後、職員がやって来て独房の外に出され朝風呂らしく洗浄されて(ついでに簡易スーツを着替えさせられ)釈放された。

 その脚で朝食を取る為に大食堂へ行き、軽く食事をした後、昨日の続きをする為に総合案内係の職員に『電脳空間フロア』へと連行して貰った。

 

 

 

 

◯

 

 

 

 

 

 

 

『ユーザーデータ確認中。暫くお待ちください』

 

『ユーザーデータ確認完了。『ラースキャッスル』のデータをロード中。暫くお待ちください』

 

 暫くシステムメッセージが流れた後、ロードが完了したのか、視界が真っ白になった。

 

 

 

 

 

「……ん」

 

 視界が戻る。前回中断した、西洋風の部屋としては些か場違いな光景のあの部屋に簪は立っていた。そして、当然の如くメイド服をその身に纏っていた。簪の纏うメイド服は白と黒が魅力的でフリルが多めの長いスカートと言うクラシカルスタイル。

 

「…………2人はまだみたい」

 

 ログインし同期するまでの時間は個人差がある。その間に確認するべき事をしておく。近くにメニュー画面の空間投影ウィンドウを展開する。そして、自身の現在のステータスの項目に目を通す。

 

 其処にはダンジョンフロアや仮想戦闘シミュレーションにおいてHPの代わりとなるシールドエネルギーの残量のメーターと共にダンジョンフロア特有の状態変化の項目が表示されている。其処には『淫紋(解除不可)』と言う項目が追加されていた。

 

 現実ではアニメや漫画みたいに感度が高くなると言う催淫の効果があるとされている事は多いが現実では見てくれに過ぎない。だが、仮想現実空間ならば『再現』と言う形で実現可能だ。

 

「……えーと、効果は」

 

 ある種の期待を込めてその効果の確認をする。

 

『感度上昇。拘束時に確率で行動不能』

 

 と言う簡素な説明文が表示された。意訳すれば感度が上がり嫌なタイミングで身体が疼いて動けなくなると言う効果らしい。まるで狙い撃ちして来るような感覚と言える。

 

「あ、ドロシーさん。早いですねっ」

 

「おはよう。ドロシーさん、待たせちゃった?」

 

 項目を見終えたそのタイミングでファニールとオニールの姉妹がログインして来てメンバーが揃う。揃った所で昨日入って来た扉とは反対側の扉から出て奥へと進む。

 扉を抜けた先は又しても廊下が続いて居た。突き当たりはT字路のように左右に分かれているのが分かる。

 

「また、分かれ道かぁ……」

 

 ファニールが呆れた様な様子で呟く。そろそろ、罠なり辱めるイベントが欲しいと言った所だろう。

 

「……2人とも、ちょっと待って」

 

「ドロシーさん。どうしたの?」

 

 先へ進もうとした2人を静止させる簪。悲しいかな元暗部の令嬢であったと言う経歴か、或いは単純に群衆の孤独の最中であったかは考えないが……何かが来る。そんな予感がしたからだ。

 電脳空間で自分達以外……となれば消去法で徘徊しているエナミーとなる。城の中と言うシチュエーションで徘徊しているとなれば……。

 

「何か……来る」

 

 T字路の左から服が見えた。黒いスカートに白いフリル……メイド服だ。しかし、纏っている者の姿が見えない。いや、違う、メイド服自体が宙に浮き、眼前を横切って行った。その様子はまるで透明人間がメイド服を纏っていたかのようだった。

 

「な、何……今の……?」

 

 軽いホラーのような光景を前にファニールは思わず簪の後ろに隠れた。かく言うオニールも同じように引っ付いていた。

 

「多分……メイド服自体が動いていると言う設定のエナミー、だと思う」

 

 そう考えるのが妥当と言える。取り敢えず、このダンジョンのエナミーの姿は確認出来た。

 

——戦えなくも無いけど、場所が悪過ぎる。

 

 別に逃げ回らず正面から殴り倒しても構わないのだが、場所は広いとは言い難い幅の廊下であり長柄武器の簪は取り回し辛い、ファニールは銃器で跳弾でフレンドリーファイアの可能性もある。

 

「左から右へ行っちゃったね……?」

 

「……」

 

 向かった先の部屋が広ければ良いのだが狭い部屋だとやり辛い。この城内の構造は分からないからだ。

 

「どうする?」

 

「戦うにしても場所が悪いし……。左へ行ってみましょ」

 

 メイド服の向かう先の反対側へと続く廊下を進んだ。その廊下の先にも扉があった。また、張り紙なりあるのではと思ったがそんなモノは無く、ドアノブを掴むと扉はすんなり開いてくれた。

 

「……食堂、みたいな部屋ね」

 

 広い部屋に出た。

 中央には長方形の大型のテーブルが置かれている。椅子は片側には3脚、それが両サイドにあり、頂点の場所に2脚、合計で8脚置かれている。机上にはテーブルクロス、その上に大皿も置かれているとなれば食堂で決まりだろう。

 コレくらいの広さなら敵に遭遇してもやりようはある。

 

「ドロシーさん。彼方に張り紙があるよ?」

 

 ファニールの視線の先には張り紙とまた別の扉が見えた。この張り紙の通りの事をしなければ開かない構図なのだろう。

 

「張り紙を見なくても、何をすれば良いのか分かり切っているわね……これ」

 

 その扉を挟むようにして設置されたオブジェが左右に置かれていた。それは食堂にとっては余りにも場違いとも言える代物だ。

 十字架を模しているが、左側にはその十字架に人の青銅像が架けられている事からコレは西洋風の磔架である事が分かる。そして、右側には像は無かった。

 

「つまり、3人の内……誰かがこの十字架に磔にされなきゃいけないって事だね……」

 

 左右対称となっていないオブジェ。揃えなければ扉は開かないと言う分かりやすい謎解き。となれば、誰がそうされるのかとなった。

 

 

 

 

 

 

 

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