「ヒナタ。経過は順調かしら?」
「あ、弟くーん。うん、大丈夫だよ〜。件の人権放棄した娘達を使ってて、デバック作業は順調に進んでいるよ〜。想定通りに動いてくれて凄く助かるよ〜」
電脳空間フロアのメインフロア。天球儀の麓にて作業を継続しているヒナタの下にリーリスが訪れていた。
「……何度も言っているでしょう? 今の私相手にその呼び名は止めなさい、と。他に人が居たら誤解されてしまうでしょう?」
「えー、弟君は弟君だもーん。聞かれたとしても記憶を消しちゃえば無問題だもん‼︎」
「……ステルス任務で敵に見られたけど即座に殺しちゃえば実質、ステルスだと言い張る奴と同じ理論よ、ヒナタ」
暴論に対して冷ややかな視線を送るリーリス。彼女の思考は相変わらずの様だ。
「チミっ子は?」
「ウィキちゃんなら、サヨちゃん達と遊んでいるわ。近くでミソラちゃんが見ているから悪戯はしないと思うよ〜」
ウィキッドが居ない場合は何かしら悪戯している可能性がある為、誰かが見ていないと不安になる。今回はミソラが見ている様だ。
「なら安心ね。ちょっと目を離すと災害を引き起こすのだから……」
「……所で弟君。誰かとセックスしたの?」
「何故、いきなりそんな話題が出て来るのよ……」
「えーと、ガイア様から〜『フォールはまだ誰かを抱いていないの?』って言う暗号通信が突然、来たんだよ〜。いや、びっくりしたよ〜。ガイア様って弟君にしか連絡入れないから、本当にびっくり〜」
「ガイア様。何処で何の知識を拾って来たんですか……」
「順番的にリデアちゃんが最初かな〜と思っていたんだけど、その様子だとまだ誰もやってないの?」
「…………ノーコメントで」
「もう、据え膳してるんだから残さず食べるんだよ。と言うか痺れを切らしたレーキュちゃんが『また』やらかすと思うよ?」
「……」
その言葉を聞いてリーリスは無言になった。その可能性を完全に失念していたからだ。忘れた頃にやって来る災害、和奏はソレをレーキュと呼ぶ。
「彼奴は愉快犯な所があるからな……。9割以上の確率でロクな事をやらん」
「弟君、口調、口調」
「おっと……全く嫌になるわね。この情勢」
「もう少しの辛抱だよ〜。そうすれば……『世界』が変わるから」
耕作作業が終わった時は何時もならば地下牢に戻されて拘束し直されて翌日まで休息を取れる。しかし、今回に限ってはそうはならなかった。
「んんッ‼︎」
耕作車から外された後、首輪の鎖を引かれて連れて行かれた先には馬車が鎮座していた。本来、馬が居るべき場所に繋がれる。馬の代わりに自分がこの車をひく事となった。
「ん、んん〜……‼︎」
足枷の嵌められた足を動かして歩き出す。視界の隅には自分と同じように車を引くオニールとファニールの姿が見えた。先程までは遠目でよく見えなかったが距離が近い為に胸元の奴隷の文字が見えた。
「ッ‼︎」
ガランガランと言う車輪が動く音に紛れて風を切る音と共に鞭が振るわれ背中を強打される。遅かったり足を止めると鞭が振るわれるのは変わらない。振り向こうとしても鞭は振るわれる。ただただ、前へ向かって歩けば良いのだ。
「フー、フー……♡」
自分達が入って来た城門とは別の城門を潜り抜けた先には城下町と言うべきかファンタジー風の街並みが広がっている。石畳が敷かれた大通りの道路を歩いていく。
——……どうやら『服』だけの存在がこのダンジョンにとっては普通の設定みたい……。
大通りの道路を歩く傍らで周囲を見れば様々な種類の『服』だけが浮遊している群衆が目に入る。当然、肉体と呼べる概念は存在せず服だけが動いている。
ただメイド服と違って『観られている』気がするのは何故だろうか? あの服達もいわゆるNPCだと思われるのに……好奇の視線に晒されているみたいな気分になる。
「ん……?」
道路を歩いていくと街中の大きな広場らしき場所が見えて来た。其処には木造の舞台の上に晒し台と思わしき構造物が3つ並んでいた。開いている穴は垂直では無く水平に開いているタイプだ。足元にも脚を繋げるための枷があるのも見えた。
つまり、あの晒し台に拘束されれば胸元の奴隷の文字は丸見えと言う構図になる。
——あ、彼処へ向かっている……。私達、あの場所で晒し刑にされるんだ……♡
視線を感じる中での羞恥心を掻き立てる刑罰。今までではあり得なかったシチュエーションに思わず興奮してしまった。
仮想現実空間の設定、実際は?
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現実での拘束描写の方が良い
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仮想現実の方が妄想しやすい