※この作品はR-18です。

ストラトス・デザイア   作:夢現図書館

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五稜監獄学院 Ⅵ

 

 

 

 

「成程……。前進したと言うべきか、問題が増えたと言うべきか」

 

 収監棟にて箒達と合流し、情報を共有した。箒と鈴音の方では『商業棟』と呼ばれる区画があると言う話を聞けた。何でもCPを使って買物等が出来る区画らしいが、まだCPを持ち合わせて居ない為に利用は出来ない。

 

「しっかし『情報』も商品、ねぇ……。アングラな雰囲気が出て来たわね」

 

「……うむ。やはり監獄だからか強かな奴が多いのやも知れんな。だが、他に手掛かりは無さそうだな」

 

 現状、乙音の持つ情報が唯一の手掛かり。その情報を買うにはCPが必要だ。

 

「で、幾ら掛かるの? CPは譲渡も認められるなら私達で割り勘でやれば多少は負担が減るでしょ?」

 

 最終目標はISの使用制限の許可ないし緩和だ。3ヶ月間の間、何もして居ないとなれば後で所属国からどんな文句を言われても言い返せない。

 

「えっと、その前にその方は何処かへ行ってしまいまして……」

 

「全然分からないんだよ……そもそも、情報料の相場で幾らぐらいなんだ?」

 

「全く……詰めが甘いじゃない。其処を押さえないとどれだけ稼がなきゃ行けないのか分からないじゃない‼︎ 普通に考えたら価値のある情報ほど高額になるわ……目標額が分からない以上、青天井になりかねないわよ?」

 

 鈴音の言う事も最もだ。価格が分からなければ時間の浪費を抑えられない。

 

「……仕方あるまい。明日、午前は授業とリモート授業を受けて午後はCPを稼ぐ為に刑務作業をする。で、どうだ? 何処かでその商人を見つければ良かろう」

 

「最後の方は雑な気がしますが……それが無難ですわね」

 

「両立は難しいでしょうけど、やるしか無いわね」

 

 箒の提案にセシリアと鈴音は同意する。両立させるには午前と午後で分けるしか無い。

 

「……ま、この状況で学力的に1番ヤバいのは一夏だけどね」

 

「ぐっ……」

 

 鈴音にジト目で言われて何も言い返せない。IS学園の生徒の中で1番遅れがちなのが一夏なのは言うまでも無い。それでも頑張って喰らい付いている状態だ。

 

「ま、まぁ、何だ‼︎ 分からなければ教えれば良かろう‼︎」

 

 箒は胸を張るが

 

「箒さん。ISを教えると言ってずっと剣道場に篭っていたとお聞きしましたが?」

 

「そ、それは過去の話だ‼︎」

 

 

 

 ギャーギャー騒ぐ2人を尻目に一夏は前途多難だと言う心境に浸り視線を外した。

 

——……え?

 

 収監棟の中階、落下を防止する為の強化防弾ガラス手摺の近くにて見覚えのある金色の髪と横顔が見えた。

 

「……シャル?」

 

 それは『臨島学校』でその正体が一夏にバレて、IS学園にもバレてしまい、本人の生死を賭けた実技訓練『セスルーム』にて不合格となり、IS学園を去ったシャルロットの姿が見えたのだ。制服でもある囚人服をその身に纏って歩いている様子が見えたのだ。

 

——い、生きていたのか⁉︎ いや、間違いない‼︎ アレはシャルだ‼︎

 

 本来ならば国際犯罪者としてフランス政府の命令で強制帰国させられ牢獄送りの末に死刑もあり得ると言う末路になる筈だった。助けられた筈なのに助けられなかった……。

 だが、そんな経緯はどうでも良かった。シャルロットが生きている……然も何かの偶然かこの五稜監獄学院に居た。それだけでも充分だと言えた。

 

「あれ? 一夏、何処に行くのよ⁉︎」

 

 鈴音の声が後ろから聞こえてくるが、それを無視して一夏は中階へ上がる階段を見つけて駆け上がる。中階へと駆け上がり、彼女の元へ行き一夏は叫んだ。

 

「シャル‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◯

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャル‼︎」

 

 再会と言うのは美談に例えられるが、必ずしも喜ばしいとは限らない。

 

 その言葉の意味をシャルロットは現在進行形で体感していた。

 目の前に現れたのは何時ぞやの織斑 一夏。助ける(・・・)とは言ったが、結局何も出来ずに終わった人だ。

 その点に関しては恨みは無い。男性操縦者だろうがそれは肩書に過ぎず、所詮は一般人でしか無いのだ。

 

——あっちゃあ……まさか、この棟だったとは。独房の引っ越しって結構、CP使うんだよね……。

 

 CPがあれば実現可能な事は凡そ出来る。割り当てられた独房の引っ越しも当然可能だ。しかし、好き好んで引越しをする奴はそうそう居ない。何故なら、囚徒達にとって独房は休む為であり、態々場所変えする理由が無いからだ。

 

「生きて、いたんだな……」

 

「うん」

 

——当時の状況じゃ、僕が生きている保証は全く無かった。当然だ、男性操縦者相手にスパイ行為なんて重罪も重罪。生かしておく理由は無い。

 

「良かった、本当に良かった……‼︎ でも、フランスに帰ったんじゃないのか?」

 

「色々あったんだよ。五稜監獄学院に拾われなければ、今頃は男性房の中で孕み袋としてヤリ捨てられていただろうね」

 

 思わず唇が歪んだ。

 ああ、やはり自分は此方側(・・・)なんだと実感する。でも、嫌な気分にはならない。

 彼方側の様に人の目を気にしたり、喧しい連中の機嫌や態度に注意を払ったりしなくて良いし、一層の事、感情に任せて暴れても良い。

 この世界は……居心地が良い。

 

「そ、そうなのか……」

 

「正直に言うとIS学園の時よりもこの五稜監獄学院の方がよっぽど居心地が良い」

 

 シャルロットはデュノアだった頃から体得して居た高速切替(ラピッド・スイッチ)でGlock 17を即時展開し速やかに発砲した。

 ガァンと言う発砲音が収監棟に響き渡る。

 

「え……?」

 

「この際、ハッキリ言わせてもらうよ。ボクは君が嫌いだ。

 断りもせずに身体を触ってきてさ……男性操縦者である事を良い事に、女の子を好き勝手に出来ると思って居たか? 女尊男卑とか抜きにして普通にセクハラだよ、織斑(・・)」

 

 ガァンとまた発砲するも敢えて外した。下階で銃声を聞いたのか悲鳴が聞こえてくるが関係無い。

 

「え⁉︎ え、いや。アレは、あの時は男同士だと思って……」

 

——あー、何かあったま来た。よし、此処で少しは理解して貰おうか。理由は逆恨みでも何でも良い。コイツを最低でも半殺しにしたい。

 

 シャルロットはGlock 17を構え銃口を一夏に向けつつ一歩歩く。対する一夏は一歩後退る。

 ISは拡張領域以外使用出来ない。その説明だと、ISが不敗神話を樹立させ得る為のシールドバリアも絶対防御も意味を成さない事を意味している。今の一夏には白式のシールドバリアも絶対防御も機能しない。

 

「しゃ、シャル……?」

 

 更に追加で、ある物を量子展開する。それは肉厚なノコギリであった。目が粗く、伐採と言った加工に使われるアレだ。

 

「知ってる? 半殺しにしてもお咎めが無い。この意味、分かるか?織斑」

 

 シャルロットはノコギリを左手に掴み一足飛びで一夏へと跳びかかり脳天目掛けて振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

逃げたデザートは?(同票以下略)

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