※この作品はR-18です。

ストラトス・デザイア   作:夢現図書館

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 投稿時におけるアンケートの回答内訳……悪意が強い件について。


Astral Call Ⅰ

 

 

 

 IS学園ではISを用いての試合等はアリーナを使用する事が義務付けられている。間違っても校舎内や敷地内での場外乱闘は認められていない。だが、五稜監獄学院ではアリーナと言う広めの場所は用意されておらず大浴場を使用するに辺り、ピットと言った当然ながら存在しない。当然、IS学園のアリーナの様に観客席を保護する為のバリアシールドなぞある筈が無い。

 見る側も当然、流れ弾に気を付けねばならない事を意味していた。

 

「全くもう……‼︎ いきなり許可をくれだなんて、唐突過ぎるよ、弟くーん‼︎」

 

 大浴場の浴槽の縁の一角にて一際、身長の高い娘が『怒ってます』アピールの如く両腕を縦にブンブン振っている。高身長で柔和なお姉さんみたいな印象なのに中身は子供っぽい……姫舞であった。

 

「悪い悪い、話の流れ的にせざるを得なかったんだよ……」

 

「それは絶対に悪いと思って居ないよー‼︎」

 

 和奏の謝罪に姫舞はウガーと言う擬音が随伴する勢いで怒る。余り怖くは無かったが、許可を捥ぎ取るのに精神的な意味では断腸の思いをした和奏にとって其方の意味では内心、怖かった。

 

——『1週間執事スタイルで目一杯甘やかして欲しい』……か。あ、コレ……確約された入院コースだ。

 

 悲報、入院確定と言う事実に全く見当違いな理由で一夏を恨みたくなった和奏であった。

 

「言っておくけど、そんなに時間は取れないよ? 持って……うーんと、8分くらいかな」

 

「分かった」

 

 最後に姫舞はそう忠告した。許可は得たは良いが、時間制限付き。たったの8分しか許可は許されなかった(コレは一夏も同様)。

 時間内に決着が付かなければ引き分けとなる。

 

 コレでも姫舞はかなり譲歩した方である。その点は和奏も重々承知している。

 

「……奴は遅刻か? 地形に慣れていないんだろうな」

 

 和奏は浴槽の水面に脚をつけた。沈まない(・・・・)。

 大浴場の浴槽の深さは膝くらいの深さはある。だが和奏は水面の上に立って歩いて行く。

 その光景に驚いているのはIS学園の囚徒達。驚く事はしないのが五稜監獄学院の囚徒達。反応で何方の勢力か直ぐに分かる。

 

——さて、時間制限があるからさっさと面を見せて欲しいんだがな。

 

 大浴場の浴槽は学院の構造上、弧を描く様な形になっており内側と外側の双方に脱衣所と出入り口がある構造になっている。

 その双方から見て幅がほぼ中央の位置に値する場所にて和奏は立ち止まる。その数秒後、外側の方で物見として集まっているIS学園の囚徒達を掻き分けて一夏が1番前に出て来た。

 

「……ほう、来たか。尻尾巻いて逃げたかと思ったぞ」

 

 軽く挑発を入れておく。

 

「へっ、逃げる訳無いだろ‼︎ お前こそ、逃げたかと思ったぜ‼︎」

 

 如何やら相手も同じ考えだったようだ。

 

「それにお前みたいなセコい手段ばっか使う卑怯者を前に逃げちゃ男が廃る‼︎ お前に勝って、シャルを返して貰うぞ‼︎」

 

「」

 

 その刹那、和奏は自身の全ての爪先が凍り付く感覚を覚えた。

 芯まで凍った。骨の髄まで凍った。それこそ時間が経てば心臓が停まるんじゃないかと思った程だ。

 『防腐処理』で血は体外に排出されれば白いモコモコと化すが、それが無ければ全身の凡ゆる穴と言う穴から血を絞り出されてスッカスカに血抜きされる様に体が冷えて行く。

 

 空気が、塗り潰される。

 それは紛れもない『殺意』の空気。

 『感じる』と『感じない』とでは意味が大きく異なる。IS学園の囚徒達は気付かない。気付く筈がない。本当に危険なのは『何も感じない』事だ。3方向から感じた、1つは背後からもう1つは少し角度がズレる。そしてもう1つは分からないが存在している。

 と言うか今頃、乙音辺りは賭けのオッズに『魚の開き』とか追加しているだろ、絶対。

 

「君らは邪魔するな。誰一人として介入するな‼︎」

 

「えーッ‼︎ 折角の入り乱れて超決戦が出来ると思ったのに‼︎」

「ええぇ⁉︎ 折角、公認で不慣れなメイド達に包丁の使い方をレクチャー出来ると期待していたのに⁉︎」

「ズルイズルい‼︎ 私達も交ぜてよ‼︎」

「マスター、今直ぐに其処の肉袋を消去させてください」

「殺させろ」

 

 学院側の囚徒達からブーイングが飛んで来る。と言うか其処に居たのか。

 

 五稜監獄学院での戦争は大体が

 

 誰かが争う→乱入者共が割り込む→乱闘範囲が広がる→以降ループ

 

 して行き規模がその場にいる全員を巻き込むまで雪だるま式に拡大して行くのが特徴だった。つまり、今回の件でも他の囚徒が勇んで割り込んで来るのは至極自然な事であり日常的風景だ。しかし、今回に限りそれは認められない為に和奏は静止の声を叫んだ。

 聞き分けが良かったのか、取り敢えず乱入される事は無いだろう……約3名を除いて。

 

「……さて、仕切り直しだ。男性操縦者、使用許可は出された」

 

 和奏は視線を戻して一夏へと見やる。危うく、今回の戦争に便乗して即興で企てた和奏の目論見(・・・)が潰える所であった。

 

——……まぁ、たった今、本当に今回限りの許可になっちまったがな。

 

「首輪を付けたままでも完全展開は可能だ。……一応、聞くが引き退るなら今の内だぞ?」

 

「へ、誰が逃げるかよ‼︎ 皆、ちょっと退がってくれ。来い、 『白式』‼︎」

 

 一夏は周りにいた学園側の囚徒達を少し下がらせて場所を取った後、自身の専用機の名を呼んだ。その直後、眩い光が一夏を包み込み白を基調とした機体を纏った一夏が、その場を飛び立ち浴槽の中空を維持する形で和奏を見下ろす位置を取った。それは昨日の位置を逆転させた様な構図に映る。今度は一夏が和奏を見下ろすと言う意味で。

 

 この大浴場は広さもさる事ながら天井もかなり高く取られている為に多少の低空飛行が可能なスペースと言える。

 

——そうか。お前の意志は良く分かった。

 

「お前も早くISを展開しろよ‼︎ お前もISを持っているのは分かっているんだ‼︎」

 

 一夏から見て今の和奏は水面の上に立っている様に見えるだろう。しかし、一夏の常識でもあるISの姿が見えない。故に一夏は和奏はまだISを完全展開していないと判断した。

 

「3分だ」

 

 和奏は一夏の声を無視して告げる。

 

「は?」

 

「今から3分間、俺は一切自分から攻撃しない。俺を倒すと言ったな?やってみろ」

 

 重ねての挑発、指を動かして掛かってこいと言うジェスチャー付きだ。

 

「ふ、巫山戯るなァァァァァァァァ‼︎‼︎」

 

 その言葉は一夏からすれば完全に舐めていると言う事と同義であった。故にその言動に一夏は咆哮し、自身の唯一の武装でもある雪片弐型を振りかぶり水面の上に立っている和奏へと肉薄した。

 

 

 

 

 

 

 





 因みに今回のサブタイトルの元ネタ
 『Astral Call』はクラッシュフィーバーに登場する災害類ユニットのディザスター級のボス戦の音楽。

賭けるなら?【茶番】

  • 両腕
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  • 損壊無し
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