『成層圏』
対流圏や中間圏では高度とともに温度が低くなるのに対して、成層圏では逆に、高度とともに温度が上昇する。成層圏下部、対流圏上部に位置する対流圏界面付近では気温が約-56℃前後であるのに対して、中間圏との境の成層圏界面付近では-15℃から0℃になることがある。
ただ、確かに上空へ行くほど高温といっても成層圏の温度上昇率は一定ではない。
まず、対流圏界面の高さを地上から10kmここから上に20kmくらいまでの温度は対流圏界面とほぼ等温状態が保たれる。そこから約15kmくらいまでは温度がわずかに上昇する層があり、さらにそこから成層圏界面までは温度が急激に上昇する。
この温度の変化にはオゾン層が関係している。は、成層圏の中に存在するオゾン層が太陽からの紫外線を吸収するからである。オゾン濃度が一番高いのは高度約20 - 25km付近だが、実際に成層圏内で温度が一番高いのは高度約50km付近である。この理由は、オゾン濃度がどうであれ上部のオゾン層ほど濃度の高い紫外線を吸収することもでき、また、上層ほど空気密度が低いことから温度の上昇率も大きいためである。この理由から成層圏では実際のオゾン濃度が一番高い付近よりも上に温度が最大の場所がある。
よって、成層圏のどの高度であっても人体が活動するには危険極まりない事を意味する。下層部は−50℃、上層部は紫外線の影響を受ける可能性がある。
「……うふふ、やはり私達は蒼天の下で飛び回る方が性に合っているのでしょうね」
模擬戦が行われていたアリーナを防護するエネルギーバリアを打ち破った神楽は其の儘、急上昇し対流圏界面を突破し成層圏下層部にまで上昇した。眼下には疎に漂う雲が映り、非常に高い高度にある事を証明している。
そして眼上には青黒い宇宙空間が広がり遠い位置にある恒星の光が疎に見える。そして凍て刺す様な寒さが肌を撫でるが神楽は意に貸す事は無かった。
——さて、そろそろ織斑さんも到着して欲しいですわね。スペック上では白式は高速機動型とお見受けするのですが……。
「はぁ……はぁ……やっと、追いついた……‼︎」
「あら、漸く来ましたね」
「……ぐ、どう言うつもりなんだよ⁉︎」
「先程の言葉通りですわ」
凍てつく寒気、薄れた酸素濃度。
そんな環境の上に事前に複数回の攻撃を受けて一夏の纏う白式の残量エネルギーは既に3割を切っている。その上に本人は気付いて居ないが、−50℃の気温、そして高山病の要因となる低い酸素濃度によりシールドエネルギーが既に生命維持の方に回されてジリジリと削られていると言う事を。
「その前にお返し致しますわ。使って見ましたが、やはり私と相性が悪い様でして」
神楽は雪平弐型を一夏に向けて投げ付ける。急に返却され思わず驚いたが取り敢えず落とさずに受け止める事が出来た。
「此処では障害物も制限する壁も天井も、煩わしい観客も誰も居ませんわ。さぁ、第二ラウンドを始めましょう‼︎」
「ッ‼︎」
その言葉の直後、神楽に肉薄され反射的に雪平弐型を振るう。成層圏で鳴り響いた最初の音は金属同士が撓る音だった。
「ッ⁉︎」
今度は武装があり雪平弐型で反抗する様に打撃が出来た。しかし、それでも尚も此方が推し負け後退した。衝撃の力は相手の方が上手だった。
「ふふっ、思考する暇はありませんわッ‼︎」
追撃。だが、神楽の武器が
——くそッ‼︎ どうすりゃあ良いんだ⁉︎ セシリアの時と全然違う‼︎
一旦、距離を離そうにも神楽が直ぐに肉薄し見えない攻撃で追い詰める。白式の武装の都合上、接近戦がホームなのだが相手がより速い場合は押し負ける。
「れ、い、落白夜ァァァァァァァァァァァァァァアア‼︎‼︎」
一夏は叫び一撃必殺の『零落白夜』を起動させ振るう。その一撃を神楽は翻り自由落下の要領で回避、更に逆さ宙返りで一夏の背後を取る。報道されるISの試合でもこんな変態機動は早々お目に掛かれない。
——どんな動き方だよ⁉︎ そんな飛び方、ありか⁉︎
極限にまで余計なモノを排斥された神楽のISはその身しか被弾箇所が無い。他のISで言う装甲やスラスターと言った箇所に被弾する事が無い、存在しないのだから。
「ISは姿勢制御の都合上、良くて前傾姿勢の傾斜で飛行しますわ」
その解説の直後、一夏が反応するよりも先に背後から強烈な衝撃が見舞われ高速で水平に吹き飛ばされる。その速度、時速にして約160km。
凄まじいGが掛かりながら後方に向けて吹っ飛んで行く本当に何処までも飛んで行くんじゃないかと思う速度。一夏としてもこんな速度は初体験だった。徐々に吹き飛ぶ速度が減速して行き姿勢を立て直す。見やれば周りの景色は変わって居た、具体的に言えば下に雲海が広がって居たのだ。そう言えば日本本土は今日は雨だった。
「く、クソ……あの速度を如何にかッ⁉︎」
『思考する暇は無い』。眼前正面から眼下の雲海をモーゼの如く薙ぎ払い後方に光の粒子帯を引きながら高速で飛翔する神楽の姿が見えた、見えた瞬間に肉薄される。
——すれ違い様に攻撃するしか無ぇ⁉︎ そして、防戦一方じゃ勝ち目が無い‼︎
反射的に零落白夜を振るうが再び撓り、今度はすれ違う。高速かつ複雑な軌道で飛び回る相手に防戦一方では何れは競り負ける。それくらい一夏も理解していた。ならば、相手の速度に追いつき一撃だけでも加えねば話にならない。
「応えろ、白式ィィィィィィィィィィィィ‼︎‼︎」
その時、ガクンと身体が重くなるのを感じた。
「……え? ん゛ぁ、ば⁉︎」
そして頭に響く激痛と嘔吐、そして眩暈。視界が霞んで行く……それは急性高山病に近しい症状であった。
白式は対流圏界面域に到達した時点で既にシールドエネルギーは3割を切って居た。そして、この僅かな成層圏での戦闘行為により遂にシールドエネルギーが尽き、稼働出来なくなった白式はほぼ皆無に近いエネルギーを全て搭乗者の生命を保護する絶対防御に回した為、駆動系の機能を全て停止し自由落下で墜落して行く。
「あ、あ゛ぁ゛ぁ゛ッ⁉︎」
そして、雲海の中に墜落して行きその姿が見えなくなった。位置情報的に言えば日本の太平洋側の海へ墜落するであろう。
「我ながら少し興奮し過ぎてやり過ぎてしまいましたわね」
——流石にアリーナのシールドバリアを破壊して其の儘、成層圏に飛び出す行為は野暮過ぎたかも知れませんわねー。もう少しIS学園に適合した方が良いかも知れませんわ。反省反省、ですね。
神楽としては元々クラス代表に興味は無かった。クラス代表になればイベント事に駆り出されて時間を潰されてしまう。性癖と趣味に時間を割きたい神楽にとってデメリットしか無い。正直な所、代表候補生として素人丸出しの相手にわざと負けるのも今後においてもマイナスとなる。
かと言って千冬の強引さと傲慢さを目の当たりにして強引に事を進める事が推測された。故に荒っぽい真似をして不適合証明を行う事にしたのだ。
「……ですが
そう一人愚痴てある方向へと見上げる。其処には多数の人影が成層圏の上空に浮かんでいた。多種多様の機影、色は様々であるがその全てがISである事を神楽は知って居た。
それらは暫くすると何かをするまでもなく一斉にその場から飛び立って行く。その姿を見届けた神楽はIS学園に戻るべく錐揉み落下しつつ雲海の中への飛び込み、対流圏にまで降下しつつ飛翔して行った。
その日の夜7時頃。
「…………」
模擬戦の試合中、神楽と一夏がシールドバリアを破壊して上空、遥か上空へと飛び去った。その30分後に一夏が上空から墜落してアリーナに大きなクレーターを作った。その数分後に神楽が急降下して来て健在である事を知らしめて試合は終了した。試合結果は途中、場外戦闘となったが神楽の勝利。その後は神楽とセシリアの試合であった筈だが神楽は試合を棄権した。千冬としては余りにも無茶苦茶な真似をされた為にその申し出を苦虫を噛み潰しながら受諾し、今回の1組のクラス代表決定の模擬戦は幕を下ろした。
「……神楽、強かったな」
「お邪魔しますわね、簪さん」
「ッ⁉︎」
その言葉が漏れた瞬間、後方から声が掛けられた。整備室の入り口には制服姿の神楽が立っていた。
そろそろ再びエロ描写の方に入りたい。
気になる服装と言えば?
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エプロンドレス
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レオタードに網タイツ
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白衣に緋袴