みやびのSM用品店内にある通路を通過して奥の扉を抜けると、何時ぞやで感じたの事ある冷涼な空気が漂って来る。白を基調とした壁や床の病院や研究施設を彷彿させる空間。
それは『ストラトス・デザイア』の機械姦フロアを思い出させる様な場所であった。
「……ああ、『娯楽棟』とはそう言う意味」
「ええ。『ストラトス・デザイア』で使われた機材や備品全てを此方に移したとの事ですわ」
「……」
基本的な構造は『ストラトス・デザイア』と変わらないらしい。大廊下があり、小部屋を通して調教部屋へと入れる構造が基本的な内容なのだろう。
「……あら、簪様と神楽様ではありませんか。此処、五稜監獄学院でお会いするのは初めてでしたね」
「……廻空さん?」
大廊下を歩いているとその途中で廻空と会った。相変わらずのメイド服姿ではあったが、『ストラトス・デザイア』と違い豪奢で重そうなクラシカルなメイド服を身に包んでいる。その姿は正統派かつ瀟洒なイメージを全面に押し出す邪推無き姿と言えた。
「……何方からかお聞きしたのでしょうから、この『娯楽棟』についてのご説明は省かせて頂きます」
——あれ? もしかして忙しい?
廻空の纏う雰囲気から何やらトラブルが発生したのだろうか……?
「……あの、もしかしてタイミングが悪かったりします……?」
「……少々込み入った状況になりまして、ご主人様がまた自己完結思考のワーカーホリックを発症して、学院長様に怒られまして……その為、メイド部隊総員、現在ご主人様を休ませる為にある一室に幽閉しようと奮闘中です」
「うわぁ……‼︎」
ドン引きした。
何せ、人1人を部屋に押し込む為にあの内乱マニアのメイド軍団総員で取り掛かっていると言う構図は素直にドン引きモノだった。色々とツッコむ所が多過ぎる。
「その後、山積する事となった決済処理を暇な方の応援込みで総員で対応するのですが、今度はレーキュ様が面……こほん、追加業務を発注しまして、その対応にも当たらなければならず、上へ下へと混乱状態です」
「えぇ……」
立て続けに今度はレーキュが何かやらかしたらしい。その為、『娯楽棟』も使用する必要があるのか、対応が出来ないと言われてしまった。
五稜監獄学院の運営は囚徒達に任せられている為、トラブル対応も全部自分でやらなければならない。ついでに言うならば学院運営の為の仕事の4割位は和奏1人で対応していたと言う。
「対応に当たる為、暫くの間は『娯楽棟』や『大食堂』は緊急停止となりました」
「そ、そうなんだ……」
「仕方ありませんわ。トラブルと言うのは大半が忘れた頃にやって来ますもの」
「御足労頂いた所、申し訳ありません」
「い、いえ……また、日を改めますね」
——コレだと勅使河原さんは気付いていなかったぽいな。
簪と神楽は状況が状況なので迷惑を掛けるのも悪いと考え、今日は諦めて収監棟へと引き返すのだった。
箒は慣れつつある独房の中で目覚めた。
「ん、んん……」
独房の中での目覚めなんて気持ちの良い目覚めとは言い難い。自分でもそうなのだから、鈴音やセシリアなんかもっとそうだろう。
比較的価値観の近いクラスメイトと言った一般生徒達も同様。学院側の囚徒達がズレているだけだと、何度も思う。
——……うーむ、昨日の夜……入浴時の記憶が綺麗さっぱり抜けているな……?
目覚めつつ独房の壁に掛けられていた囚人服に手を掛けつつ箒は頭を捻った。昨日の記憶の一部が綺麗に抜け落ちていた事に違和感を感じたからだ。他の事は覚えているが、大浴場での記憶だけが消えている。
——風呂で何か起こる事があるのか? 思い出せないのならば、考えても仕方ない。風呂場での記憶など然程、重要なものではあるまい。
そう考えて独房の格子扉を開けてセシリアと鈴音と合流した。
聞けば2人も風呂場での記憶だけ覚えていないと言う。しかし、2人とも風呂で何かあった訳とは言えない為、気にしない事にした。気にする事と言えば……単純にCPが枯渇気味だと言う事だった。昨日、乙音から情報を買う為に出し合って合算して結果、二束三文に等しい状態になったのだ。
CPはこの学院に於ける通貨だ。CPがあれば色々出来る。お金の存在の尊さは何処の社会でも変わらないと言う事だ。
「今日は刑務作業を優先しましょう」
セシリアの一言で今日の方針は決まった。
一夏は別の収監棟(男性操縦者と言う理由や乱闘好きの囚徒達の問題の兼ね合いから)だ。いつでも一緒に行動する必要は無い。
一夏の専用機の心配もあるが、自分達の懐具合も心配と言える。
刑務作業の受注は校舎棟の一角に存在する。其処は病院や市役所の受付の様な場所であり、付近の壁に展開された空間投影ウィンドウには現在、予定されている刑務作業の項目が並んでいる。刑務作業には幾つか種類訳されており、難しかったりするモノは高額のCPが支給される。逆に簡単なモノは安くなる傾向がある。
そして、人気=高額報酬の刑務作業はあっという間に定員となり締め切られる為、早い者勝ちだ。
「相変わらず人が多いな」
「CPがあれば、美味しいモノも食べられるしね」
「当然の光景ですわ。さて、早い所、受注しましょう」
学院側、学園側の囚徒達が入り乱れている受付前の広間を歩き、受注者達の行列に並ぶ。そして、順番が来て受付職員を担当する囚徒の顔が見えた。
「どもっす〜。今日はどんな作業をお求めっスか〜?」
今回の受付担当は水色髪で目に隈がある目付きが悪い少女だった。ただ寝不足なだけに感じる為、その口調に悪意は感じられない。
「そうねぇ〜……。って、コレ成功報酬4万CPじゃない⁉︎」
「何ですって⁉︎」
4万と聞いて鈴音は驚いた。
それは情報料として払った額分を粗方、取り返せる金額と言えた。高額も高額だ。日本の時給換算でも超高額と言える。
「あ〜、それっスか。実はメイドの小夜ちゃんの作ったデザートが逃げちゃいまして〜、捕獲なり抹殺なり何方でも良いんで、排除して欲しいと言う事で刑務作業と言う形で掲示してるっスわ」
何とも意味不明な刑務作業だった。
逃げ出したデザート(?)を生死問わずで何とかしろと言う内容らしい。
「パワーワードが過ぎるわ……意味分かんないんだけど」
「早い話がセシリアの料理の超悪化版と言えば良かろう。それが手に負えんから何とかしろと言う事だろう」
「成程、納得したわ」
「箒さん⁉︎ 鈴さんも納得なさらないでくださいまし‼︎」
「後、内容が内容っスからね。この刑務作業に従事中に限り、無条件でISの使用が許可されるっス」
「「‼︎」」
ISが使用可能。と聞いて鈴音とセシリアは『コレだ‼︎』と思い至る。内容もデザート?を倒せば良いと言う単純明快な内容。他に難しい条件も無い。そう言う意味では他の刑務作業よりもリターンが大きい。
「(防腐処理の話は聞いていますわ……‼︎)」
「(色々と未だに動揺するけれど、戦闘後の怪我問題に関しては言えば大きなアドバンテージよ……‼︎)」
『シールドバリア』や『絶対防御』に加えて『防腐処理』の三段構え。シールドバリアが貫通されようが腕が吹っ飛ぼうが脚がぶった斬られようが、完治出来る。
「コレですわ‼︎ コレを受けますわ‼︎」
「ええ‼︎ 私とセシリアでこの刑務作業をするわ‼︎」
鈴音とセシリアが名乗りをあげた。
「すまない。私は戦力にならないな……」
「気にしなくて良いわよ、箒。ほら、珍しく大食堂の刑務作業が来ているわよ。アンタの手料理は美味しいんだから、こちらで稼げるんじゃない?」
大食堂関連の刑務作業も掲載されていた。何でもメイド軍団が別件で対応しており大食堂にまで手が回らないらしい。基本的に搬入作業や日替わり定食と言った基本的な業務を行えば問題無いそうだ。
当然ながら料理が上手い囚徒しか受注出来ないが、箒は条件に見合う為、可能だ。
「む……そ、そうか。なら、私は此方を受注しよう」
「お決まりっスね〜。お二人さん、実はこの刑務作業にはもう1人、既に受注している人が居て〜既に向かったっスよ。
ソイツが最後に確認された場所を教えるんで、直ぐに向かって下さいっス。……既におっ始めて最悪、仕留めているかも知れないんで。そうなると……報酬は全部その人の総取りになっちゃっスんで」
「セシリア‼︎ 急ぐわよ‼︎」
「え、ええッ‼︎ 分かりましたわッ‼︎」
場所を聞いた鈴音とセシリアは急いでその場所へと向かう。受注したは良いが貢献出来なければ、報酬は無いに等しいからだ。
「……では、私も大食堂に向かうとしよう」
その後ろ姿を見た箒は其方の件は2人に任せて自分も刑務作業へと向かうのだった。
先に受注していたのは?【超茶番】
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(/・ω・)/ ウニー
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(」・w・)」 ムニー
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うに娘
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ウィキリピア顕現
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選択肢がない!(あるよ。一択なだけで)