※この作品はR-18です。

ストラトス・デザイア   作:夢現図書館

149 / 196
耽溺 Ⅲ

 

 

 

 一夏は叫ぶがその幼女、ウィキリピアは気にしていない。ブンブンとそのノコギリを振っており、括り付けられている一夏も頭が揺れる事になる。

 

「うに〜(ーωー)ノシ」

 

「うぁぁあ⁉︎ 頭が割れるぅゥゥ‼︎」

 

 無邪気にノコギリを振り回す幼女を見て鈴音は一夏の心配もあるが、少し考える。状況を再確認すれば、先程のあのロールケーキを反対方向へ吹っ飛ばしたのは彼女である事に間違いは無い。

 だが、見た所、幼女がノコギリ(+一夏を巻き付けている)と言う点が異常なだけでそれ以外は不審な点が見当たらない。囚人服姿と言うだけの状態だ。鈴音やセシリアみたいに装甲やスラスター等を展開している訳では無い。

 

——……となると囚人服に見えるだけでコレが学院側のIS……だと言うの?

 

 それは荒唐無稽な予想。

 その見た目は服と同然。しかし実態はISと同等の構造……そんな技術、全世界を股に掛けて探しても実現していない。

 だが、そう考えなければ彼女は生身で収監棟の中空を飛びあのロールケーキをぶっ飛ばした事になってしまう。更に追加考察として見た目こそは幼女なのだが、実際はトンデモな怪力を持っていると考慮する事になる。

 

「あら〜、私達以外にもこの件を受注した人が居るのね〜」

 

「うにっ(っ・ω・)ノシ」ブンブン

 

——デカッ⁉︎ 千冬さんよりも高身長‼︎ そして胸もデカッ‼︎

 

 ウィキリピアの後方から長い黒髪でインナーカラーがピンク色と言う奇抜な髪を靡かせた長身の女性が声を掛けながら歩いてきた。目の前の幼女のインパクトが強すぎた為、今の今まで気付かなかった。

 彼女も囚人服姿なのだが、胸ベルトで締め付けられた巨乳とも言える胸部ははち切れそうなくらいに強調され、鈴音は心の中で血涙した。

 この学院の囚徒達は皆、発育が宜し過ぎる。胸も大きい上に可愛らしい顔立ちの者が非常に多い。

 

 彼女もその容姿にインパクトがあったが、何より目を引いたのは彼女が手に持っている得物……それは長柄に鉄塊……俗に言うフレイル型のモーニングスターと思われる武装だった。

 それは質量で叩き潰し撲殺する事を目的とした武器であり、昨今のIS界隈でも採用される事はまずないであろう野蛮性が非常に高い武器だ。

 

「鈴さん‼︎ と、其方の方々は……? もしかしてこの刑務作業に参加した方々でしょうか?」

 

 そのタイミングで鈴音の後方に構えていたセシリアが低空飛行で飛び鈴音の近くに降り立ち、新顔の2人の顔を見て問い掛ける。

 

「ええ、その通り。この子はウィキリピアちゃんで私は鴻 蔡歌よ。この子が受注してちょっと心配だったから私も後から参加したのよ」

 

 小さい幼女とお姉さんの凸凹コンビ。身長差が凄過ぎる2人組だった。見た所、この蔡歌がウィキリピアの面倒を見ているようだ。

 

「成程。その……ソレは?」

 

 其処でセシリアはノコギリに括り付けられた一夏を見て引き攣った顔を浮かべている。男性操縦者の彼へのアンマリな扱いにドン引きしている様だ。

 

「奇剣オリムラ〜(/・ω・)ノシ」ブンブン

 

「ぐぉあああ⁉︎ 止めろぉぉぉぉ‼︎⁉︎」

 

 どうやらこの武器の銘は『奇剣オリムラ』らしい……語呂が良いのか悪いのか。ノコギリに男性操縦者を取り付ける事で何が違うと言うのだろうか?

 

「それよりも、お二人は見た所……生身の様なのですが……?」

 

「大丈夫よ。お姉さん達は貴方達が思っている程、柔じゃないわ」

 

 セシリアも2人の状態を見て懸念した様だが、蔡歌は問題無いと答えた。初日での大食堂での騒動を見ればさもありなんと言った所だが、やはり不安になる。

 

「それよりも……まだ終わっていないわ」

 

 蔡歌のその言葉の直後、遠方にて倒壊した橋の残骸が爆ぜ飛び轟音と共に、砂塵が天井近くまで舞い上がる。

 

 それは、一言で言えば巨大なカップケーキか三段重ねのチョコホールケーキを思わせる姿だった。相応に大きかったロールケーキの姿から更に巨大化し、体高は天井スレスレ近くにまで達している。

 

「あ、アイツ⁉︎ 変身したとでも言うの⁉︎」

 

 2段目の段には黄色く光る2つの目と思われる物が覗いている。周囲にはフォーク、体にはポッキーらしきモノ、リボンが追加され宛らドレスを纏う淑女の様にも見える。

 頭頂部にはエレガントなハットを被っているのが分かる。あのロールケーキは背中方面に移動しており、両腕を拡げ聳える姿勢から何処となくリスを思わせる姿に変化していた。

 

『ごちそうしてあげます』

 

 片言であった口調からハッキリと聞き取れる口調へと変化していた。

 

「デッカ……。高々、デザートが此処まで巨大化するなんて学院側の生徒の意見としてどうなのよ?」

 

「うーん、小夜ちゃんの料理が自我を持つ事なんて日常茶飯事だからね〜……」

 

「料理が自我を持つ事自体が奇想天外ですわ……‼︎」

 

「それ以前に料理自体、姿形が変貌を遂げる事に関しても奇想天外よ‼︎」

 

 自我を持つデザート。その鎮圧の為にISが駆り出されるのだから、相当であった。

 

「ウィキちゃん。2人とも、来るわ‼︎」

 

『あまさこそしこうです』

 

 ロールケーキと言うよりも巨大なケーキは飴細工の腕を広げると同時に多数のポッキーを次々と射出して来る。それはもはや、鉄筋工か巨大な槍を彷彿させる程、ゴツい存在であり貫かれればタダでは済まないだろう。

 

「セシリア‼︎ やる事は変わらないわッ‼︎」

 

「ええ‼︎」

 

「なら、此方も好きにやらせて貰おうかしら」

 

「んっ‼︎」

 

 初対面同士。連携が取れるか怪しい。故に双方共に二手に分かれて攻める事を同時に選択するのだった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。