※この作品はR-18です。

ストラトス・デザイア   作:夢現図書館

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正犠の鐘明

 

 

 

 

 一夏は白い天井を見ながら目覚めた。

 

「痛っつ……‼︎」

 

 頭が痛い。何と言うか寝過ぎとかそう言う類で発する痛さだった。腕も脚も、それこそ身体の節々が鈍い痛みがあった。

 

「……俺は、ダメだ……全然思い出せない」

 

——レーキュって奴に白式の修理を頼んで……それから、さっぱり覚えていない。と言うか何故、病室で寝ているんだ? 知らない間に病院送りになる程の怪我をしたのか?

 

 病室に放り込まれていたのだとしたらそうなのだろう。だが、鈍い痛みがある事以外は不調は無い。腕もあるし脚もある。怪我らしい怪我は無かった。そう言えば『防腐処理』と言う俄かに信じ難い技術が使われているらしいが……未だに実感が持てない。

 

 徐に壁に架けられていた時計を見る。時刻は既に昼頃を指していた。

 

「ゲッ……もう昼になっているじゃねぇかよ……」

 

——千冬姉が居たら、絶対に出席簿で殴られていたぞ……。

 

 此処がIS学園ならば実姉の雷が容赦なく降っていたであろう。

 一夏はベットから降りて、近くにある制服に腕を通して病室を出た。起きたらさっさと退室しても構わないと言うフリーと言うべきか良い加減と言うべきか……そんなルーズなスタンスのこの学院の在り方に呆れの感情を抱きつつも、医療棟の中を歩いて行く。

 すれ違う囚徒達は白衣を羽織っていたりクラシカルな雰囲気のナース服を身に纏っていた。医療関係もまた囚徒達の手に委ねられている様だ……医療免許の不安が常に付き纏ってくるのが心配だが。

 

 

「事ある毎に問題を起こさねば気が済まぬ性質なのか?」

 

「人聞きが、悪い」

 

「まぁ良いさ。この学院で問題児じゃない奴を探す方が難しいからな。要望の奴は既に手配しておいた……全く、貴様の趣味は悪趣味だな」

 

「誉め言葉、と、受け取っておく」

 

 

 廊下を歩いていると開けたフロアにてシェニーとレーキュと言う組み合わせの2人が言葉を交わしていた。その後、シェニーは呆れた様子のまま、レーキュの前から立ち去って行った。

 

「ん、ああ、居たの?」

 

「ど、どうも……」

 

 其処でレーキュは一夏の存在に気付いて、その近くに歩いて来た。

 

「探す、手間が、省けた。聞けば、随分と、ヤンチャな、目に、あった、そうな」

 

「……何故、病室で目覚めたのかさっぱりで」

 

「そう、なら、知らぬ方が、良い事もある」

 

 知らない方が幸せな事もままある事だ。知らぬが仏、知ってしまえば不幸になる事もある。

 

「それよりも、探していた……ってのは?」

 

「……言わずとも、分かろう。君の、ISの件、だよ」

 

「え、ま、まさか……もう、修理出来たって言うのか⁉︎」

 

 レーキュは白式の件を切り出すと一夏は驚愕した。

 

「……ISの、製造に、12、時間、以上、掛かって、いる、よう、では、基礎、中、の、基礎、から、生まれ、直して、出直し、た、方が、良い。そう、言う、意味、では……IS、企業は、軒並み、低レベル。三流、未満。生かす、価値、は、無い」

 

——マジ、かよ……‼︎ 素人でも、ISの製造には半年から1年以上は掛かるって分かるのに、この人は半日あれば足りるって言うのかよ⁉︎ 束さん並に天才じゃねぇのか……⁉︎

 

 剰え、世界中の技術者を全員扱き下ろした。それが、彼にとっての現実だからだ。余りにも容赦が無く、そう言う意味ではレーキュは篠ノ之 束と同類なのでは無いかと一夏は口には出さないがそう考えてしまった。あの人もあの人で興味が無いモノには眼中に無しと言う態度だからだ。

 

「……はい」

 

 レーキュは拡張領域から赫み掛かった白く発光する『白式』のISコアを一夏に手渡した。

 『首輪』の影響下にある為に、完全展開は愚か雪片弐型の展開すらもままならないのだが。

 

「俺の、白式……‼︎ まさか、こんな早く、直るなんて思ってもいなかった……。本当にありがとう‼︎」

 

「契約は、契約。約束、もまた、尊ぶモノ。口に出した、モノは、還らず。政治家、の様に、忘れた、り、しない」

 

 確かに政治家の大半がアテにならないのは言うまでも無いがこんな所で聞きたくなかった。

 

「……あの、和奏(バカ)に、喧嘩を、売るのは、止めた、方が、良い。仮に、奴の両腕、両脚を、捥いでも、勝ち目、は、無い」

 

「其処まで、言うのかよ……‼︎」

 

「過去に、喧嘩した、時、実際、やりやがった、から。その時、の、奴は……正に災害」

 

 レーキュは和奏と過去に喧嘩した事があるらしく、その時、和奏は両腕両脚を欠損させられた状態でも戦ったらしい。色々な意味で想像し難い光景だ。

 そう考えるとあの時は全く本気を出していなかった。

 

「さて、余談は、終い。修理したて、だが、ちゃんと、動く、保証は、無い」

 

「でも、『首輪』の所為で、自由に使えないんだろ?」

 

「問題ない……刑務作業で、丁度良いのが、あるから」

 

「え?」

 

「数十分、前に、学院内に、不法目的の、侵入者が、現れた。生死は、問わない、ISの使用も、無制限……」

 

 さらっと五稜監獄学院に侵入者が現れたと言われた。更にはその対処に囚徒が宛てがわれるのもまた普通にイカれていると言えた。

 

「侵入者迎撃……。刑務作業の一種、だから、当然、成功報酬、として、CPも、支給される」

 

「…………」

 

「無論、受けるか、どうかは、君の、自由。恐らく、掲示、されれば、直ぐに他の戦闘狂が、受注、するだろう」

 

 ISの試運転も出来るし、何よりCPも貰える。箒達に任せっきりではいられない。まるで箒達が頑張って彼女達に守って貰っている様な有様だ。それは織斑 一夏のあるべき姿じゃない。

 白式も戻って来た、ならばこそ自分が皆を守る側に再び立てるのだ。

 

「やる‼︎ その刑務作業をやらせてくれ‼︎ 侵入者って事は敵なんだろ? 俺が皆を守ってやる‼︎」

 

 

 

 

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