「実験、開始。
一夏を見送った後、レーキュは無表情のまま瞑目しながら北叟笑む。
盤面は広げた、役者は揃えた、設備は整えた。
残すは事の成り行きを見守るのみ。
『防腐処理』の存在故に、余程大きなヘマをしなければ許容範囲内と言うのは精神的にも大変喜ばしい条件だ。
「人の、感情は、かくも、素晴らしい。私に、は、到底、手に入らない、モノだ。そうだと、思わないか? 和奏」
「……人の軟禁部屋に押し入ってテメェは何を言っているんだ?」
レーキュは和奏が強制休暇を取らされて押し込められている部屋に乗り込んでそう告げた。その様子を見て和奏はもはや呆れの言葉しか出てこない。
「つーか、人の苦労をフイにして何が楽しいんだ……。その果てに何を見せようって言うんだよ?」
「何、ゲーム、ばかり、つまらない、だろう? それに、君も、良い加減に、彼女達、を、性的に教育した、方が、良いだろう?」
レーキュは押し入るなり、TVを占拠して、何かしらの機材を取り付ける。見た感じ中継する為の機材の様だ。
「……テメェに言われる筋合は無ぇんだが」
「「……」」ジー
左右からジト目を向けられるが無視。
「放置、し過ぎるのも、問題。放置と、放任は、違う……。そもそも、君は、こう言う事に、免疫、無いのが、そもそも、大問題」
「この流れで説教されんの、俺⁉︎」
「だから、生で、リアルな、生放送を、用意、した。議長、も、その点、心配、していた、から、手を、借りた。君が、仕事を、していると、確実に、バレる、から……一旦、隔離が、必要だった」
「その為だけに、人の苦労とかフイにしやがるわ、IS学園の生徒会長を不法侵入させたのかよ⁉︎」
実にくだらない理由で変な騒動が起きている。IS学園の生徒会長まで巻き添えにして。更には1組も巻き込んでいるし、織斑 一夏も巻き込んでいる。何て奴だ。
「『防腐処理』があるから、織斑 一夏は大丈夫……」
「マスター、生徒会長と言っても何れは『商品』に加工されます。その時期が早まっただけで無問題です」
「え⁉︎ 何、まさか知らなかったの俺だけ⁉︎」
「まぁ、この、生放送を、見て……彼女達、の、教育の、仕方を、学ぶ、と、良い。
何なら、大型の、道具の、手配して、も、良い」
「大きなお世話だ、馬鹿野郎‼︎ つか、その生中継放送の何処を見て何を学べと言うんだ、このイカれマッド野郎‼︎」
「黙れ。性教育教科、の評点、0の男」
「ア゛ぁ゛ぁ⁉︎」
レーキュに煽られ青筋が浮かぶ。和奏は普段は冷静なのだが何故かレーキュが相手だとメチャクチャ沸点が低くなる上に煽り耐性がガバガバになる傾向があった。そして、戦争に発展するのがお決まりであった。
「和奏君。ソレ、事実だよ」
「ん……マスターはまず、簡単な縛り方の講座から始めた方が良いと思います」
「……何でだよ」
其処へリデアとフィウの援護射撃が来てしまう。事実であるが故に反論要素が無い為、言い返せない。
「あぁ、ガイア様、からも、その点に、関して、問題視、して、いた、から。次の、考査で、見る、って、言って、いた。しかも、ガイア様が、直々に、見る、と。赤点だったら、執務禁止で、補習……だって」
「ウッソだろ、おーい……」
挙げ句の果てに学院長直々に見ると言う仕打ちまでくっ付いて来た。学院長まで噛んでいるとなるともはや、何も言えない。残るは羞恥染みた追い討ちだけだ。
「また違った雰囲気の場所に出たわね……」
必ずやこの五稜学院を壊滅させると誓った楯無は奥へと進んでいた。そして、最初の区画を通過して別の区画へと到達した。
——全体的に無機質な感じは変わらないけど、着実に深部へと進んでいる筈。
研究施設を思わせる白い廊下。幅が広いのは相変わらずの様であった。
「兎に角、急がないと……‼︎ 簪ちゃんが大変な事になっちゃう……‼︎」
ISを完全展開して低空飛行して一気に駆け抜ける。あの映像の様子だと、言葉にしたくは無いが妹が機械により調教されて行く様子が映し出されていた。何が何でも阻止しなければ。
『……透明な世界』
——ッ⁉︎
ハイパーセンサーにより拾われた音声。その音声の直後、楯無は前のめりで大廊下に墜落し加速していた事もあり勢いが付いたその状態で廊下の床を擦る様にすっ飛んで行き、惰性で進んだ後、丁字路の壁に激突して漸く止まった。
「くっ……⁉︎」
——何⁉︎ 何が起きたって言うの⁉︎ 一瞬だけ、ISのシステムが一斉にダウンした⁉︎
飛行中に一瞬でも
——……ISの制御が一瞬だけ奪われた? つまり、誰かがジャミングやハッキングをしたって言う事?
ISは機密情報かつ様々なデータを蓄積している。当然システム面でもプログラミングする必要がある為に、ハッキングの可能性も警戒しなければならない。
だが、基本的に高度なプロテクトを搭載(主に専用機)している為、介入し完全に掌握するのは難しいとされている。
——気配が、……⁉︎
楯無から見て丁字路の右側、其処にソレはいた。
『……』
マンモスの牙を彷彿させる巨大な牙と湾曲した鋭利な刃の様な双角を備えがっしりとした前傾姿勢の雄大な四足歩行の爬虫類を思わせる生物が我が物顔で歩いていた。
その甲殻や角にはまるで凍ったかの様に結晶化している。
——この組織……。生物兵器まで造っているとでも言うの⁉︎ 放置は本当に危険だわ、あんなのが地上に放たれでもしたら大混乱は間違いないわ‼︎
先程の奇妙な存在もそうだが、生物兵器まで開発しているとしたら、非常に危険な組織だと言わざるを得ない。そもそも生物兵器は国際的にも人道的にも禁じられている、いや……裏社会の組織ならばそんな事考慮しないだろう。
『……呼吸の停止』
——喋った⁉︎ いや、AI搭載の爬虫類型防衛装置と考えるのが自然ね‼︎
そう考えると同時に身体を跳ねて距離を取る。その直後、楯無が倒れていた場所が瞬間冷凍されるが如く巨大な氷塊に覆われた。
「冷凍能力⁉︎ 原理は分からないけれど、厄介ね……‼︎」
楯無の専用機はナノマシンを介して『水』を操作する能力を備えている。だが、目の前の巨大な氷トカゲは凍結させる能力を備えている。相性は最悪と言えた。
——放置するのは危険。だけど、此処で時間を浪費するのも得策じゃないわ……‼︎
あの氷トカゲは恐らく防衛装置の一種だろう。原動力は分からないし、あんなのを放置するのも危険ではあったが、やはり自身の妹の安全を優先したい。
「ッ‼︎」
身を翻して丁字路の反対側へと飛ぶ。何より優先事項は簪の安全確保。アレの存在は気掛かりだが、今は後回しにするしかない。
——あんなのが他にも沢山あるのだとしたら、最悪にも程があるわッ‼︎
『コンジェレイション』
怪の災害類がLXIV。
中央に金色の歯車が光る氷晶の様な姿をしており、下部には湾曲した鋭利な双角や刃を彷彿させる突起物が付随している。
この状態でも普通に喋れる、どうやって発声しているのか気になる所。
進化適応するとマンモスの牙を彷彿させる巨大な牙と湾曲した鋭利な刃の様な双角を備えたがっしりとした前傾姿勢の雄大なドラゴンへと変化する。甲殻や角には凍ったかの様に結晶化している。尚、適応前の氷晶は背後に回っている(しっかり角(?)部分は消えている)。
モンスターハンターシリーズに牙竜種として登場しても全く違和感が無い。
と言うかバックストーリーや本人(本竜?)の台詞から思いっきり狩るか狩られるか、狩人とか狩猟とか言っちゃっている。
淡々とした口調で喋り、見た目とは裏腹に余り多くは語らず寡黙な性格の模様。一人称は『我』。
黙々と相対者を完全に沈黙させる眠りの死者や融けぬ氷を自称している。只々、絶対的な冷気により凍結させ生命の活動を終わらせる。
その理由は不明だが、存在其の物が災害級。
解跡超ディザスター級。挑戦するには痕跡が必要。
ギミックはダメージとワームとハッキング。何も頻出する為、全対応には苦慮するが、一先ずダメージを最優先。ハッキングも頻繁にして来る為、次点で対策(ハッキング無効持ちが無しでも勝てない事はない)。
道中無しで開幕からボス戦となる。出現するギミックパネルの量は尋常では無いが、個数制限がある為、大量に割れば何れは無くなる。
残り体力の割合によって大まかに行動は決まっているが、全体ハッキングがやや面倒か。基本は1回の単体攻撃。
効果解除や即死行動は無いのでスキルやアビリティによるステータス上昇がかなり有効。地味に防御力もあるので、防御無視や防御0にする等の対策は用意した方が良いだろう。(ワンパン出来る火力を用意出来るならばハッキングは不要だったりする)
種族はドラゴンとアニマル。意外にもアニマル持ち。