「此処まで来れば、大丈夫かしらね……?」
巨大な爬虫類の視界から離脱した楯無。しかしながら似た様な存在が他にも居ないとは思えない為に、安全圏は何処にも無い。
「あれは……」
廊下の先には金属探知機と思われるゲートが2つ設置されていた。廊下の先に進むにはアレを潜る必要があるようだ。
「ISも機械だから引っ掛かるのよね。と言うか何故、あんなモノがあるのよ」
テロリスト組織の施設内に金属探知機を設置しているのか理解に苦しんだ。
——破壊して進んでも良いのだけど、さっきの生物兵器だか防衛装置が集団で来られても困るのよね……。
最初に遭遇したIS操縦者の纏うISもかなりの性能を持っていた。防衛装置や生物兵器も同等の存在と見て良い。それらが大挙として現れるのは大変宜しくない。
「……行くしか無いわね」
立ち止まっても仕方が無い。罠と言う可能性もあるのだが、此処は承知で進むしか無かった。一旦、専用機を量子変換で解除して電子探知機を潜る。その瞬間。
「む、むぅう⁉︎」
——な、何これ⁉︎ それから、お腹とお尻に何か圧迫感が……⁉︎
電子探知機を潜った直後。楯無自身に異変が生じた事を自覚した。目の前にはこれ見よがしに鏡の様に反射する壁が設置されており、自分の姿を見て驚愕したのだ。
ISスーツが完全に消え去り代わりにスクール水着を着せられ(ご丁寧に『たてなし』と書かれていた)、口にはボールギャグ、首には金属製の首輪。スクール水着の下には同色のパンツを履かされ、白いニーソックスを着けている。
そのニーソックスの先端から顔を覗かせているピンク色のローターの電源装置が挟み込まれ、そのコードの先には自身の胸の乳首に当てられていた。
腕は後ろに回され頑丈な手枷を嵌められ、足首にも足枷を嵌められ走る事も難しい状態だった。
その姿を見て実に屈辱的で滑稽な格好だと言わざるを得ないだろう。
「む、むぅう⁉︎」
——あ、ISが展開出来ない⁉︎ こ、こんな状態だと、マズいわ……‼︎
更に楯無は自身のISを展開する事が出来なくなっていた。敵地のど真ん中で変態的な格好で拘束されていると言う最悪の事態に陥ってしまった。
『あははっ。実に滑稽な姿になったわねぇ〜、良く似合っているわよ、暗部の当主サマ?』
「ッ‼︎」
噛まされているボールギャグを噛み砕かん勢いで噛みながら目の前に現れた真っ黒な空間投影ウィンドウを睨み付ける。見え見えの罠に引っ掛かって嘲笑いに来たのだろう。
「ッ‼︎ ムゥウ‼︎‼︎」
激しく動かして手枷の破壊を試みるがガチャガチャと言う音しか鳴らず、惨めさだけが残っていた。
『あっははは‼︎ 高々、国家代表の身体能力で簡単に壊れる代物を用意していないわよ? それからアンタの頼みの綱であるIS、そのコアは今は私の手元にあるわ』
「ッ⁉︎」
——なっ⁉︎ 一体、如何言う事なのよ⁉︎
ISを展開して無理やり拘束具の類を破壊しようとしても手元には無くあろう事か、テロリストの手に渡っていた。……ハッタリかも知れないのだが、事実、楯無は現在ISを展開する事が出来ない。
『さぁ、どうする? ISを奪われてノコノコ帰ったら、国家代表の面目は丸潰れ。かと言ってその状態で強行するのは無謀……困ったわねぇ?』
「ッ‼︎ッ‼︎⁉︎」
更に本気で煽られる。事実、その通りなのだから始末に負えない。水着ニーソ姿に拘束具と言うこの状態で死んだら末代まで恥でもある。
『それに此方も経過良好よ?』
『ッ♡ 〜〜ッ‼︎い、イクゥゥ‼︎ で、でちゃう、おっぱい♡ いっぱい、出るぅりゅうう‼︎』
『あっ、ああ〜ッ♡ もっと、もっと、ずぼずぼしてぇぇ〜‼︎ ずりずり膣をイジってぇ‼︎』
そして追加で展開される空間ウィンドウには四肢拘束された簪と小柄な少女の姿が映し出されていた。最初に見せられた時よりも状況が進行しており、秘所にはゴツいバイブが2本、交互に抜き差しされる形で稼働しており、曝け出された胸には半透明のカップが吸着され乳首から母乳が吹き出され搾乳されている光景が今も映し出されている。
膣内を扱かれて絶頂しているのか、涎を垂らしながらイき狂っているのが見て分かる。
『アンタの妹、搾乳奴隷としての素質があるんじゃないかしらねぇ? さっきからずっと母乳を出しているわ、雌牛として生まれてきたんじゃないかしらって位にね。
アンタ達が大好きで大好きで崇拝して止まない女尊男卑主義の所為で、酪農家の皆様方はもう商売上がったりよねぇ。物価は上がっているのに雄の家畜を『雄だから』と言う理由でISで虐殺する所為で、畜産業は大打撃も大打撃。生産数も激減して、乳製品を中心に余計に高騰した上にその原因を、生産家にぶつけて更なる2次被害を齎す負のループに陥っているの知っているかしら? 此の儘だと、高騰化の末に牛や豚、鶏が絶滅するのも時間の問題かしらねぇ……』
「……ッ‼︎⁉︎」
人間と言うのは専門業界以外の事になると疎くなるのは必然だ。楯無はIS界隈の状況は把握は出来るがそれ以外、生産業界隈の事になると知らない事の方が多いのは当然だった。
確かに最近の食料品を中心に物価高騰が嘆かれており、政府も対策を進めると言うニュースは(IS関連のニュースに埋もれつつ)少しは放送されていた。
『減っちゃったら出来るだけ繁殖させる他に無いわよねぇ?』
——ま、まさかッ⁉︎
『アンタの妹。雌牛にしちゃおうか。
ナノマシンって便利よねぇ。やり方次第では肉体改造も出来ちゃうんだもの。馬鹿な女達がズタズタにした生活基盤、ならば女が立て直して貰う他に無いわよね?
人間の体って意外と、丈夫だから牛とか豚は胎生だから、何とかなるでしょ? 実在は疑われるけど、馬と交尾した女も居るらしいし』
家畜の頭数が減少傾向にある。物価高に加えて雌雄の区別も付かない女尊男卑主義者が纏めて家畜を殺す。そうなれば必然と畜産業が衰退の一途を辿る。この現状を立て直すには頭数を増やすべきなのだが繁殖させるにも頭数が必要と言うジレンマ。ならば……人間の女を母体として使用して立て直しを試みると言う。その対象がの1人が簪と言われたのだ。
「ッ‼︎ッ‼︎」
ガチャガチャと音が鳴る。されど、枷は外れない。
『折角だからアンタも牛奴隷のセット販売で売り飛ばすのもアリかも知れないわねぇ。その姿じゃ、IS操縦者としては引退でしょうし』
——このッ‼︎
その直後に、展開されていた空間投影ウィンドウは全て掻き消された。煽るだけ煽って逃げられる始末。
——ぐぅう、この状態で如何にかなるかしら? ISも使えないし、逃げる訳にも行かない。何とかしないと……‼︎
楯無はこの光景が生中継されている事を知りません(笑)。