※この作品はR-18です。

ストラトス・デザイア   作:夢現図書館

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ラビット・ハント Ⅳ

 

 

 

 

 《うさぎ》と《狩人》。

 両者の勝利条件は提示された。

 《うさぎ》は兎に角、時間いっぱい生き残れば勝ちだ。《狩人》は制限時間終了まで5人以上《うさぎ》を殺し尚且つ、生き残らなければならない。

 人数差、能動(・・)と言う点で言えばやはり《狩人》側が不利と言えるだろう。確かに《狩人》側には武器も、そして女尊男卑の象徴である『インフィニット・ストラトス』も提供されている。コレを有利と見るか、それとも不利と見るか当人達次第。

 

 何はともあれ、ゲームスタートだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

◯

 

 

 

 

 

 電子音と共に外界と遮断する大扉が自動的に開かれた。即ち、ゲームの開始を示す合図であった。

 だが、慎重な《うさぎ》達はその光景を前にして動かない、動けない。まだ、この状況に納得出来かねているからだ。

 五稜監獄学院での状況にも未だに納得が行かない者達が居る中、唐突に人の生死を厭わないデスゲーム沁みた状況に放り込まれた。だが、文句を言おうと何だろうと始まった以上、状況に置き去りにされた者から死ぬ、それが『時間』と言う存在だ。

 一応、助言の1つとしてこの最初の大広間に籠城するのは得策ではないと言われた。広いとは遮蔽物がほぼ無いこの大広間、《狩人》が1人とは限らず、またどんな武器が提供されているか分からない為、最悪の場合、一網打尽で甚大な被害を犠牲を出す可能性も否定出来ない。

 

 情報が、情報が必要だ。ならばその情報はどうやって入手する? 答えは簡単、危険を承知で相手に接触する他に無い。

 

 

 大扉が開いた先のエリアには巨大な迷路が広がっていた。精々、2、3人が横に並んで歩ける程度の幅の通路の迷路。見通しが良いとは言えない程に、曲がり角が多く見られる。直進の通路はほぼ無く、右へ左、更には十字路や丁字路も見受けられた。

 

「森の模造品やら巨大迷路と来たら、こりゃ何処ぞの廃園になったテーマパークとかを再利用したんやろか?」

 

「エコロジーと言うべきか、この場合は素直に有難迷惑と言うべきか……」

 

 名刀を始めとする3組面々は数人1チームに分かれて行動する事にした。この巨大迷路の前であると大人数は確かに動き辛いと言えるからだ。

 探索を進めると大凡、IS学園にあるアリーナ程の広さでは無いかと言う憶測が立って来た。

 正直な所、この広さでは迷路としては広大ではあるが《鬼ごっこ》かつ、生死を分けたデスゲーム、更には200人超えとなると狭過ぎる。

 つまり、逃げ隠れようが遅かれ早かれ《狩人》と接触する事は確実視された。

 

「……代表‼︎ こっちにこんなモノが」

 

 名刀のグループの1人が、巨大迷路の区画内に食糧や水、更にはシャワーやトイレと言った生活設備が備わっている部屋を発見した。

 

「食糧に水……。他にもシャワーやトイレ……」

 

 コレらの設備がこの《ラビット・ハント》の舞台内に存在している……この事実から推測される答え、それは——。

 

「……規定時間は明確にされていなかった。でも、この食糧の数や水……他にもシャワーやトイレ……」

 

「だ、代表……。まさか……?」

 

「うん……‼︎ この『ラビット・ハント』、1時間や2時間で終わる内容じゃない‼︎ 日を跨ぐ程の時間が設けられている……‼︎」

 

 当初、名刀はこの『ラビット・ハント』の所要時間は長くても3時間だと踏んでいた。だがこれらの設備を見た時、その予想は打ち砕かれた。食糧や水、更には生活設備も用意されている……人数と言う点もあるし、流石に此処だけでは無く他にも似たような設備が備わった部屋がある筈……それらを踏まえると数日以上、このデスゲームが続く可能性がある。

 それにこの部屋が安全地帯と言う保証は無い。

 

「一旦、ッ⁉︎」

 

 巨大迷路内に響く銃声。それは即ち《狩人》の到来を意味していた。

 

「《狩人》が、近くに居る……⁉︎」

 

 情報を得る。危険は承知。相手は武器を持っている可能性がある。それらは分かっていた。

 

「代表、如何するの⁉︎」

 

 此処は巨大迷路だ。死角は出来やすい中、《狩人》の不意を突く事は出来る。だが、運が悪ければ正面から出会す可能性もあるし、《狩人》も1人だけとは限らない。

 他の《狩人》に背後を取られる可能性もある。かと言ってこの場所に籠城も得策では無い。

 銃声が聞こえた以上、《狩人》は銃火器を所持している。距離を置けば丸腰の《うさぎ》は一方的に撃たれるだけ、ただでさえ走り難いヒールを履かされているのだ。

 

「……半ば賭けになるけど、《狩人》の背後を取って後ろから倒す」

 

 もうそれしか手段が無い。

 逃げ果たすと言う手段もあるにはある、が……逃げる先はどうしても最初の大広間となり、其処には3組以外、このゲームに消極的な態度である生徒達が能動的に動く事が出来ずに立ち往生している。この場で殺さず敢えて生かして道案内させると言う考えの《狩人》がいた場合、後はただの虐殺劇となり、誰も生き残れない。

 

「……武器を奪う事が出来れば、少しは渡り合えるかも知れない。いや、そうじゃないと一方的に殺される」

 

 《うさぎ》の人数が減れば相対的に生存率が下がっていく。《狩人》も生き残る為に《うさぎ》を殺さねばならない。恐らく死に物狂いで襲ってくる筈だ。

 ならば、此方からも《狩人》を排除出来なければ生存は見込めない。

 

「……行こう。背後にも注意して」

 

 巨大迷路は曲がり角が多い。逆に背後を取られてしまった場合、《狩人》の攻撃を躱す手段はほぼ無い。使用武器が銃火器である以上、弾丸が放たれた瞬間に躱すなんて該当、名刀を始め一般生徒達にはほぼ不可能だ。

 

——こう言う時、床の模造品の葉っぱやヒールは最悪だよ。

 

 足音を立たさずに移動なんて無理だった。巨大迷路にも目一杯、撒かれた模造品の木の葉。踏めば嫌でも音が鳴る。《狩人》の聴力は如何程かは想像の域を出ないが、もし聞き取れるのだとしたら瞬く間にバレてしまう。

 だが、そんな悪環境と言えど生き残るにはやるしかなかった。

 

 息を殺し、背後にも曲がり角の先を窺い注意しながら巨大迷路を進む。そして、見つけた。《狩人》を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 《狩人》の正体はIS(・・)だった。ISを纏ったIS操縦者だった。その手には殺害道具としては猟奇的と言えるノコギリと、《うさぎ》の狩猟と言う意味合いなのか猟銃のようなライフルを握っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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