※この作品はR-18です。

ストラトス・デザイア   作:夢現図書館

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成果浪進

 

 

 名刀は知らない天井の下で目覚めた。

 シミ1つ無い、真っ白な天井。

 病院や研究施設を思わせる冷涼な大気が肌や鼻腔、耳朶を擽る中、ベッドの上で目覚めた。

 

——此処は……?

 

 上半身を起こす。身に纏っているのはもはや見慣れた拘束衣を彷彿させる囚人服。視界を動かせば体育館並の広さがある広場にて均等な間隔で同様のベッドが並んでおり、IS学園の生徒達が疑問符を浮かべながらベッドから起き上がって来ているのが見えた。

 

「……腕、ある」

 

 芹那と槐と合流し暫くあの部屋で籠城する姿勢だった。だが、唐突に電子音のブザーが鳴り響いたかと思えば夢から覚めたかの様な感覚で今、目覚めた。

 あの時、切断された方の腕は完全にくっ付いている。知らぬ間に修復されたのかと思ったが異なる点が見受けられたからだ。

 

「……何が何だか分からない」

 

「夢……だったの?」

 

 死んだ筈の《うさぎ》役だった生徒達が生きていると言う事である。確かに死んでいたし、死体も転がっていた。……アレは本当に夢だったのだろうか?

 

「……名刀さん。お目覚めですか?」

 

「あ、槐。うん」

 

 名刀の横たわっていたベッドに槐が歩いて来た。彼女もまた同様の囚人服姿。間違いない、此処は『現実』だ。

 

「皆さん、理解が追いつかない様です。かく言う私も同じです」

 

「……アレは夢だったのかな?」

 

「名刀。目が覚めたか……言いたい事は色々、分かるが……この状況を説明出来る奴に聞こうでは無いか」

 

 其処へ黎芽も名刀の元に来て、壁際にある扉へと示す。今や見慣れた囚人服。少なくとも此処は五稜監獄学院の中であろう、となれば……学院側が関与している事は明白だ。寧ろ納得出来よう。

 『防腐処理』の件と言い、宵咲 和奏の視認出来ないISと言い、既存とは隔絶した技術力を持っている。今更、何を出されても驚きはしない。

 

「そうだね。……確かな理由がある筈だ」

 

 大部屋の扉を開けた。廊下に出た。視界を動かすとその先にはコレまた大きな扉が開けっぱなしの状態で放置されていた。

 

「……他の連中も集まってんやな」

 

 泳が遅れて合流した。あの時は歩けないレベルの損傷を受けていたのだが、なんて事の無い平常の状態に戻っていた。

 廊下を抜け、開けっぴろげにされた扉の先には円形の大部屋が広がっていた。部屋の中央に巨大な地球儀を思わせる球体のホログラムが浮かんでいるのが分かる。

 その大広間にて他の生徒達も集まっている。

 

「此処は何の為の空間だ? ただの空き区画と言う訳ではあるまい」

 

 普段は使用されていない区域が存在する……と言うのは何処の組織でも有りがちな事だ。想定はされているが使用目的が限定的……と言う点である。

 

『はぁーい。みんな〜、集まっているかな〜?』

 

 暫く待っていると底抜けに明るい声と共に部屋の中央に鎮座していた地球儀のホログラムが乱れ1人の長身の少女の姿をしたホログラムが映し出された。

 

 ホログラム故に青白いが、デザインは異なるが拘束衣を彷彿させる囚人服をその身に纏っていた。身長が非常に高く2m近くはありまた、拘束衣の上からでも分かる程の巨乳だ。ロングヘアーも相俟って『お姉ちゃん』と言う第一印象が思い浮かぶ。

 

「……誰や? あんな目立つ奴、見たら覚えてそうなんやけどな」

 

「表に出て来ない奴やも知れんな……」

 

 名刀達も五稜監獄学院の主要囚徒を全員網羅している訳では無い。比較的、表に見えて知っているのはメイド長であるユリエくらいであり、その他で言えば宵咲 和奏だろうか。

 

『はいはーい。皆、『ラビット・ハント』、お疲れ様〜。無事にクリア出来た人はお姉ちゃん、褒めてあげるよ〜‼︎ えらいえらい‼︎』

 

「「「ッ‼︎」」」

 

 その言葉でこの場にいるIS学園の生徒達は皆、気付いた。『ラビット・ハント』を仕組んだのは五稜監獄学院であると。

 

「ど、どう言う事……⁉︎」

 

「アレは? 現実?でも、生きているし、何が何だか……?」

 

「……え、どうなっているの?」

 

 ザワザワと騒めき始める。何が何だか理解出来ていない様子である。かく言う名刀達も同じ意見だ。

 

『ふふ〜ん。分からないだろうから、説明してあげるね〜。『ラビット・ハント』の会場は〜、仮想現実空間で行われていたんだよ〜』

 

「はぁ? 仮想現実、空間……やと?」

 

『ISの操縦者保護神経バイプスから電脳世界へと仮想可視化させる……。もっと踏み込むと個人の意識をISの同調機能と各種ナノマシンの信号伝達で電脳世界に侵入させる。……その技術を応用したんだよ』

 

「何だと……⁉︎ そんな事まで出来るのか……?」

 

『何度もしているからね〜。後は空間設定と、各種パラメーターの定義だけで済むんだよ〜。量産型ISのデータは既にあるからね〜』

 

 黎芽の呟きに反応したような言葉が続く。詳しい話は分からなかったが、仮想現実空間で『ラビット・ハント』が行われていた事は理解した。

 仮想現実空間ならば身体が欠損しようが死のうが現実の肉体には影響は出て来ない……そう言う理屈か。

 

「せやけど……それをやる理由は何やったんやろーな?」

 

『ふふん、気になる?気になるでしょ? 『ラビット・ハント』を行った理由‼︎ ならば応えてあげましょう‼︎』

 

 

 

 

 

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