「何だ。知らなかったのか、この子は篠ノ之博士以外で唯一、ISコアを開発出来る娘だ。実質、第二の篠ノ之 束と言っても過言ではない」
「だ、第二の篠ノ之 束、だと……⁉︎」
「えへん(*´ω`*)」
七実の言葉に辛うじて反応出来たのは箒だった。セシリアと鈴音に至っては絶句している。
「……篠ノ之博士が隠居している中、現状でISコアを造り出せるのは彼女以外居ないだろう。それこそ、1つだけで億越えの取引が可能だ」
ISコアを欲する組織は数多い。ISが1機あるか無いかで国家戦力が変動するのは言うまでも無く、世の女性の象徴である。だが、その数には限りがありそれが供給されるのならば誰もが諸手を挙げて欲するだろう。この事実が発覚すれば全世界から彼女は最重要超VIP的な存在と見做されるのは想像に難くは無い。
「嘘でしょう……?」
「まぁ、ISコアは彼女しか造れんが、Dr.レーキュや姫舞議長の協力も仰げば機体製造の効率化は図れる」
「……いやそれでも、小っこいのにそんなに天才なの、この娘は⁉︎」
「その代わりソレ以外は軒並み幼児と大差なく倫理観も乏しい。事実、彼女1人で製造したISはピーキーを通り越したゲテモノばかりだ。30分乗り続けて、降りた時に立っていられたらノーベル賞を贈られても不思議では無い」
「其処まで言い切るのか……。ならばお前達の持つISは……」
「Dr.レーキュ、姫舞議長、ウィキリピアの3人による役割分担での開発だ。3人とも得意分野がバラバラだからこそ出来た」
「そ、それでも凄過ぎますわ……」
「……3人寄れば文殊の知恵とは良く言ったモノだな」
「それでもクセが強くピーキーな事に変わりは無い。正に本人しか使い熟せん代物しか無い」
それでも『ISコア』を製造出来ると言う点は誰もが見逃せない点と言えるだろう。そもそも機体では無く『ISコア』さえあれば各国でもISは製造は出来る。
「じ、じゃあ、彼女が購入したのは……‼︎」
「そう言う事だ。詳細は顧客情報管理故に明かせないし過程も企業秘密だ」
「「「…………」」」
「うにっ‼︎ Σ(o'д'o)」ピコーン
その時、ウィキリピアは何か思いついたのか、拡張領域からスケッチブックを取り出して何かメモを取り始めた。
「良い事、思いついた〜‼︎ うにーちゃんとうねーちゃんに許可貰おーッ‼︎ (/・ω・)/」ウニーッ‼︎
「あ、ちょっ、待って⁉︎」
ウィキリピアは突然、そう叫ぶや否やピョンピョンと跳ねてあっという間に何処かへ行ってしまった。
「あ、あっという間に行ってしまいましたわ……‼︎」
もう姿は見えず、完全に見失ってしまった……。
「ふむ……。どうやら、また何かしら良からぬ企てを思いついた様だな」
その様子を見届けた七実は呆れ混じりにそう言葉を呟いた。
「良からぬ企て、って……」
「ああなった以上は手遅れだ。近い内に、性質の悪い災害が来るだろう……。心構えだけはしておくと良い」
「災害って、本気で……言っているのでしょうねぇ」
ウィキリピアの行動を『災害』と揶揄する七実。篠ノ之 束も『天災』と呼ばれており、そう言う意味では類似点と言えるか。
「性質の悪い事に倫理観が終わっているDr.レーキュよりも悪質だ。内容にもよるが、……対象が並の人間であるのならば死人が出る事を覚悟した方が良いだろう」
「ほ、本気で言ってんの、ソレ⁉︎」
「言っただろう。第二の天災だと。幼いが故に倫理観が欠如している……そして彼女の好奇心が昂った時点で既に手遅れだ」
「と、言う事は……?」
「ウィキリピアがお目付役の蔡歌と一緒に居ないと言う事は誰かが代わりに見ている。今回は君達だった……」
目を離した瞬間、何を仕出かすか分からないと言われては居たが、目を離さずとも何か仕出かすとは思っても居なかった。
「「「…………」」」
「……さて、私はまだ仕事がある。此処に居たのもウィキリピアの取引の件があったからだ。時間が押して来たのでね、コレにて失礼させて貰おう」
ウィキリピアを完全に見失い、そして七実も仕事があるとの事で箒達の前から立ち去って行った。その後、蔡歌が用事を済ませて箒達の前に戻って来たが、事の顛末を聞いた後に
『残念だけど、今回はタダ働きね』
と、にべもなく言い切られた。刑務作業であるウィキリピアの面倒を見切れず、見失ってしまった為に報酬は無し。文字通りの時間だけ浪費する形となった。
「うにーっ(/・ω・)/」バーンッ‼︎
「おや、これは珍しい。ウィキが、来た」
『ミラ、いらっしゃい』
「うにーっ、ガイア様〜‼︎(>ヮ<)」/」
爆走したウィキリピアがやって来たのは学院長室であった。其処では、レーキュが学院長と談笑していた。その最中に割り込み、ウィキリピアはスケッチブックを2人に見せた。
『成程、良い案……』
「人体実験、もとい、篩に掛ける、のも、悪くはありません。志願制、に、するのが、宜しい、かと」
『ISを餌に実力向上を図る。時には理不尽も必要……。飴と鞭』
そう言うガイアだが、和奏に対しては割と頻繁に理不尽な無茶振りを吹っ掛けている。
「ルールは、明確、に。ルールが、あるから、こそ、合法、だ」
『じゃあ、フォールに通達。準備をさせよう……。題するなら……』
「『セレクト・スターズ』、うにーっ(/・ω・)/」ウニーッ‼︎
翌日、深夜0時頃。
「ちょ⁉︎ ガイア様⁉︎ 立て続けに無茶振りは本当に勘弁してくれませんかね⁉︎ 『ラビット・ハント』の後始末すらもまだ終わってないのに‼︎
今度は『セレクト・スターズ』⁉︎ 他にも世界征服ッ⁉︎ 別件同士の情報を纏めて寄越すとか、正気ですか⁉︎ 10月の衣装製作とか創造主の件も重なってるのに……‼︎ え? 『セレクト・スターズ』はレーキュとチミっ子がやる? だから日時だけで良い?……災厄の予感しかしませんよ、その組み合わせは‼︎ そもそもドイツもコイツも裏で暗躍し過ぎなんですよ‼︎ 黒幕思考の奴ばっかじゃないですか、この学院‼︎」