蔡歌に連れられて辿り着いた場所はいつぞやの電脳空間フロアを彷彿させる区画であった。
「電脳空間なら幾ら暴れても支障出ないからね。皆、暴れ出すと手が付けられないもの」
「た、確かにそうかも知れませんね……」
「壊れると直すのも手間だし〜(ーωー)」
「あの時、和奏君とレーキュ君の喧嘩は語種だもんね〜。2人とも本当に手が掛かる子だから」
——その光景、見たいような見たくない様な……。
大浴場での一夏と和奏の決闘騒ぎを思い出す。恐らく和奏は本気すら出しておらず、その片鱗しか見せていない。本気になった時、果たして立ち向かえる者は居るのだろうかと思う。
それで和奏とレーキュの大喧嘩は学院全体を巻き込む大災害だと言われている。其処まで酷かったのだろうか。
「それならば、電脳空間で好きなだけ暴れさせる方がまだ良心的……と、言いたいのだけどそれでもあの子達の場合、サーバーに負荷を掛け過ぎて酷い異音を響かせちゃう時が多々あるのよね」
——IS技術を惜しみ無く使っている筈の電脳空間でも確実にダメージ与えてくるって相当な暴れようじゃあ……。
そう考えるとこの学院の生徒達は従来のISに乗った場合、1時間後には見事な粗大ゴミと化すのでは無いかと思われる。それならば1から当人達の膂力に耐え得る設計を構築した方が有意義と言えるだろう。
「だから、るゔぃーとかは出禁〜(ーωー)」ゥー
「『ラビット・ハント』で大まかな負荷や効率的なバランス調整は完了したから、後は実際にIS同士の戦闘の負荷に耐え得るかテストプレイね」
「うにっ(・ω・)」チリン
そうこう話している内にアクセスする為の機材がある一室へと入ると、其処には先客がいた。
——あれ、あの人……見覚えがあるような……?
中性的な顔立ちに金色の短い髪。10月なので仮装の衣装としてはメイド服をその身に包んでいた。大食堂のユリエ達の所為で見慣れていたが、彼女の場合は胸元を開くタイプのメイド服だった。
「シャルロットちゃん。先に着いていたのね?」
「うん。これ以上、あの織斑に絡まれるのは面倒だったからさ。誰かは知らないけれど、あの変なイベントを開催してくれてラッキーだったよ」
——確か……フランス代表候補生だった人?でも、その時は……。
「……あれ? 其方の人は?」
「シャルロットちゃん。見せてあげた方が早いわ」
「ん、そうだね」
そう言いシャルロットはメイド服の胸元を広げ、北半球の上にある液体を垂らす。その肌に浮かび上がったのは簪も見覚えのあるバーコードであった。
「あ、人権放棄……」
「そう言う事だよ。君の事は名前と顔は知っている。お互いの過去の事情は興味は無いだろう?」
彼女、シャルロットは簪の事に関しては和奏から聞いていた。そして、お互いどんな事情で人権を放棄してこの五稜監獄学院の囚徒になったのかの過程は省こうと言った。
「うん……と言う事は貴方も?」
「……ボクとしてはこの学院の人達って変態しか居ないの? どんだけドMが多いのさ」
——あ、この人、ノーマルな人だ。私達みたいにマゾヒストじゃない。
簪の控えめな表現の質問に対してシャルロットは顔を顰める。彼女自身は被虐願望は持ち合わせては居ないらしい。……よくよく考えてみればそれが常人による当然の反応だと言えた。
「まぁまぁ、その内に不自由に快感を得られると思うわ」
「…………」
シャルロットはジト目で蔡歌を見やる。理解したくないと言った体であろう。
「あの、それで、貴方も今回のテストプレイに参加するの?」
「あ、うん。本音はISになんて関わりたくは無いんだけど、こんな世界でこんな学院だからさ。誰かの為じゃなくて自分の為ならば良いかってね。それにCPも貰えるんなら参加しない訳に行かないしさ」
シャルロットとしてはCPが目当ての様だ。貰えるのならば貰って置こうと言うのは当然の態度だと言える。
「さて、お喋りは其処までにしてそろそろ始めちゃいましょう。ほら、彼処のベッドチェアに横たわって頂戴」
「……毎回思うんだけど、何故全身拘束しなきゃ行けないのさ」
「そう言う設計だから……」
「開発した人の顔を見てみたいよ……‼︎」
そう言いながら簪とシャルロットはベッドチェアに横たわり、両手両足を拘束され肛門と膣内に管を挿入させられ身体を固定される。
「さて、今回のテストプレイの内容を説明するわね。電脳空間内で簪ちゃんとシャルロットちゃんの2人がペアでウィキちゃんが新たに開発したISを纏ったウィキちゃんと戦って貰うわ。
当初は自立思考……つまり無人機としての運用だったのだけど、搭乗可変式にしたそうなのよ。ま、突然の路線変更は良くある事ね」
「……つまり、普通に戦えば良いんですね?」
「ええ、そうよ。あ、もし2人が戦闘不能になったら……そうねぇ、お仕置きしちゃおうかしら?」
フフフ、と蔡歌は悪巧みな笑みを浮かべていた。
「それ、初耳なんだけど……」
「良いじゃない、学院だと良くある事よ」
その言葉にシャルロットは半ば諦めた。色んな意味で論理感が終わっているからだ、この学院の囚徒達は。
「ウィキちゃんは後でダイブするわ。それじゃあ、先に行ってらっしゃい」
その言葉の直後、意識が落下するかの様に落ちていき視界が暗くなった。
どんな機体が相手になる?
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鎮座
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渾然