学園襲撃事件の描写はオールカットしました。書いている途中で『不要』と判断した為です。その描写に関して感想下さった方々、申し訳ありません。
「贔屓目に言わせて頂きますと……装甲関連はフル換装となりますね」
「そ、そんな……⁉︎」
粗方、打鉄弐式を見たレーキュの容赦の無い一言に簪は愕然とした。製造途中の機体ではあるのだが、装甲全てが運用に耐えられる代物では無いのが理由。搭乗者の安全云々以前の問題であった。
「他にも動力バランスとか、全部が私視点から見て頑張った方だけどエラーを吐き捲って陸に機能しないでしょう」
「そ、そんなに……⁉︎」
「或いは単に貴方に対して嫌がらせの類でシステム面を出鱈目にしたのかも知れませんね……何か恨みを買いましたか?」
「…………」
「兎も角、この状態で進めるのは非推奨。
かと言って想定上の認識で言わせて貰うと貴方の個人的資産範囲で換装する際の費用はとても賄える金額では無いでしょう」
ISの製造は億単位の金額が掛かる。それが特定個人にチェーンアップされた専用機となると更に膨れ上がり、10億は祐に届く。そも、専用機とは言うがその実態は
「もし、貴方自身が納得するのであれば私が戯れで開発したパーツに換装して組み立てましょうか」
「……え?」
「無論、この場合において想定する私の構想する機体構想と貴方自身の求める機体構想は違うでしょう。槍を扱った事のない筆の名人に槍を持たせるのと同じ愚の骨頂。極力、貴方の意見を尊重し類似するか新たに製造して想定する形状に持っていきましょう。……如何でしょう?」
「い、良いの……?」
「装備を造ったは良いのですが、使い手が居なければただ分解を待つだけです」
レーキュとしても装備品を造ったのは良いのだが、搭載するべき機体の予備が無い。そんな時に簪が現れたのは渡りに船だと言う。技術者あるあるで、調子に乗って造りまくって無駄になると言うケースである。
「……相談したのは、私だけど……それだと貴方に何の利益が……あるんですか?」
「……諾々では無くて何よりです。無論、対価は求めます。施工費代わりにそのISの稼働データを求めます。ISコアは貴方自身のモノですから、データだけで充分です」
ISコアの所有権は基本的に国家、企業に帰属するが例外が無い訳では無い。元々、打鉄弐式のISコアは倉持技研に帰属していたのだが、男性操縦者の件で、示談で済ませる為にそのコアは違約金代わりに簪へ譲渡された。つまる所、手放したと言う事だ。更識 簪だけのISコアである。
「じ、じゃあ……お願い、します。私も、自分の機体だから自分で極力、調整したいから」
他にアテがある訳では無い。それに相手が提示した条件も、開発者(と言うのは語弊があるが)側から見ても当然の判断とも言える。
「良い心掛け、気に入りましたよ。そうですね、メインは更識さんに、私はサポートに回る形の方が良さそうですね。私は昼間は寝たい為に徹夜作業となりますが宜しいですか?」
「う、うん……‼︎」
「結構。その前に、フル換装するに辺り希望する好きなパーツ類を選んで下さい。流石に打鉄の様なパーツは私の趣味では無いのでありませんがね」
レーキュはそう言い、簪の目の前に空間投影型のウィンドウを複数展開させる。種類別に用意されており、その種類は凄まじく多い。正統派なモノからヘンテコなモノまで何でもありだった。
「す、凄い。これ、全部1人で……?」
「そう言う類は元々専門ですからね。ウィキリピアや十蔵寺に負けてはいられませんからね。
さ、時間は有限ですので極力早めに決定して下さいね。貴方の理想……期待していますよ」
そう言われて簪は複数の空間投影型ウィンドウをざっと見ていく。イメージ画像や細かいデータ等が細かく記載されており、全部見るだけでも朝日を迎えそうである。
——……私の自分だけの専用機……。つまり、私の理想。
打鉄の後継機かつ発展型が想定されて
搭乗者が機体のコンセプトに合わせて行く……コレが現行専用機体のフォーマットであった。詰まる所、専用機の想定戦法に合致する人間が専用機として扱えると言う事である。
倉持技研の製造していた機体の求めたコンセプトは量産機『打鉄』の次世代発展系であった。だから『打鉄弐式』と言う名称だったのだ。
複数の項目を見ている中で、簪の中である答えが浮かび上がりそうであった……。