「……やぁーと来たわね。アンタ達……いい加減、私も眠いんだけど?」
受付の場所では何時も通り、例のラバーメイド服を身に纏ったユリエが待ち疲れたみたいな態度で神楽と簪を出迎えた。
「ご無沙汰ですわ、ユリエさん」
「さっき会ったばっかだってのに。担当者が帰ったから私が代わりよ。兎も角、時間が無いからさっさと説明するわよ。
ウチの宿泊施設は普通の宿泊部屋と独房部屋の2種類あるのは知って居るわね?」
その辺の説明は此処に来る前のリムジン内で神楽から説明はして貰った。
「で、アンタ達の事だから独房でしょ?」
「はい♡ 白黒ボーダーの囚人服での収監を望みますわ」
神楽は何の躊躇いも無くそう言い放った。
「でしょうね、でドロシーも同じなんじゃない?」
「う、うん……‼︎」
——捕まって牢屋で過ごす……。うん、こう言うのを求めて居た……。出来れば、敗北から捕縛されて屈辱感に浸りながら投獄って言うシチュエーションが1番良いけれど。
抵抗するけど捕まり其の儘、辺境の捨てられた監獄に連れて行かれると言うシチュエーションは早々ない。
「それじゃ収監者2名と言う事で。あと、身体的の安全性や健康上の理由で独房では危険と判断された場合は直ぐに普通の宿泊部屋や場合によっては医療フロアに移送するから、其処は留意しておきなさい」
『安心して』とは言わない辺り、此処の利用者の神経はやはりズレているのだろう。
「その理由は独房ですので独房内でも拘束されますわ。流石に裸では風邪を引きますので風邪を引かない様に配慮はされますので」
簪は初めてなので神楽が追加補足の説明を付け加えた。独房なので拘束された状態で寝る事になるようだ。
——機械で睡姦されるのかな……寝て居る間に身体の調教されているのかも……。
「あ、そう言えば新しいコースがあったのよね。つい最近、追加された奴が」
「え、そ、そうなの……?」
「従来だと手枷での拘束コース」
手枷だけなのは余りキツい拘束や緊縛だと眠れない可能性があると言う理由からである。神楽としては『拘束が甘い』と言う認識だが、此処は施設の方針なので仕方ない。
「で、新しく追加されたのが首輪、手枷、足枷を追加したコース」
あくまで雰囲気である。宿泊施設は寝泊まりする事が目的の為に此処では然程、過激な内容は行われない。身体的に緩い拘束だけだ。
「何方も服装は指定出来るわ。
場合によっては拘束具の変更とか或いは縄で縛るか……独房だから囚人服とか拘束衣とかは基本となるわね。ああ、勿論その簡易スーツのままでも良いわよ。独房と言っても清潔にしてあるから。
中には『捕虜』らしく意図的に破れた衣装での収監を望むパターンもあるけど、其方は時間的都合で予約制よ。で、何方にする?」
「「後者のコースで」」
簪と神楽は2人同時にそう答えた。手枷だけの拘束では物足りないのである。どうせならば抵抗出来ない屈辱的な状態が欲しいのだ。
「即答ね。時間が押しているから今回は簡易スーツで首輪と手枷、足枷と言う形だから我慢なさい」
「其処の点は仕方ありませんわ。明日は本格的に縛られての投獄を頼みますわね」
「う、うん……明日は麻縄でキツく縛られて囚われたい……」
——機械姦フロアで手枷とかは試したけど、まだ緊縛はやってない。捕縛と言えばやはり縄。縄で縛られて囚われるのは外せない♡
「予約表に書いておくわ。それじゃ、こっちへいらっしゃいな」
ユリエの案内で隔離フロアのエントランスから右手の方へと案内される。左右で雰囲気が大きく異なり左側は普通の宿泊施設で右側は独房施設となっているとの事。
幾つかの扉を潜り抜けた後、見覚えのある配置の更衣室に通された。壁には身長を測る為の高さを示す数字が見える。
「見た事あるかしら? マグショット用の壁よ。と言っても時間無いから今回は無しよ。ほら、さっさと着けなさい」
ユリエは棚から手枷と足枷、そして首輪を取り出して簪と神楽に渡した。手枷や足枷は鎖の様なモノで繋がっており、ジャラジャラと音が鳴る。
——あ、機械姦フロアとはまた別みたい……。
まじまじと見ている簪を尻目に神楽は慣れた手付きで髪を掻き上げて首輪を着けた後に裸足の両足首に足枷を嵌めて行く。鎖の長さは歩く分には支障は無さそうだが走ろうと思うと躓きそうな程度の長さ。つまり、逃げられないと言うこ事を意味して居た。
——逃げようとも思わないけど……。
「ほら、ドロシーさんもお早く」
「う、うん」
手枷を着け終えた神楽がそう促す。足枷の鎖よりも手枷の鎖の方が短く殆ど動かせる余裕が無い。簪も同じ様に首輪、足枷、手枷の順番で身に着けて行く。着け終わるとユリエが持って居たリード代わりの鎖を首輪に付けられ数珠繋ぎの要領で繋げられた。
「じゃあ、アンタ達を入れる檻へと行くわよ」
そう言われて更衣室を抜けた先へと連行される形で歩き出す。更衣室を抜けた先に広がって居たのは、正しく監獄と言うべき光景。鉄格子に仕切られた小部屋、独房が並んで居る。
——正に監獄……だね。
「……Zzz」
——何、アレ?
その一角の独房の中に人影が見えた。利用者が多いのは聞かされて居たのだが、一目を惹いたのはその服装であった。
全体的に猫を彷彿させるグローブやブーツ、猫耳に加えて猫の尻尾が生えていて、ハイレグカットのスーツ(然も臍は丸出しな上に胸の部分も内側は露出しているタイプ)と言うかなり際どい衣装を着て猫の様に丸くなって寝て居た。首輪も相まってペットに見える。
「……えっと、ユリエ、さん?」
「アレ? フィウって言う職員の1人だけど、ああやって何処でも寝て居るわ。あの子が施設内に居るって事は、アイツ……帰って来たのね」
ユリエは特に興味を抱く事無く通り過ぎて行き、中に誰も居ない独房の前でユリエは立ち止まりその鉄格子の扉を開けた。
「さぁ、着いたわよ。独房だから1人だけよ」
首輪の鎖を外して独房の中に入る。神楽も別の独房へと収監された。手枷と足枷の鎖は其の儘である。2人が其々の独房内に入った後、鉄格子が施錠された。
——コレで私は虜囚の身。何となく身体がゾクゾクする……‼︎
独房内には簡易的なベッドと毛布だけであった。一応、手洗い場はあるが鉄格子なので外からは丸見えである。手枷に足枷と言う状況で脱獄する術は無い。
暫くすると証明が落とされて独房全体が暗くなった。時間も時間なので寝る時間と言える。
——……出来る事も無いし……もう、寝よう。
壁際にあるベットに横になって寝る姿勢になる。身動ぎする度に枷の鎖が鳴る。この音が否応無しに自身が捕虜や囚われの身である事を自覚させる。
「……ッ」
気付けば自身の指はハイレグの簡易スーツの切れ目、股間部に伸びていた。そして、スーツをズラして股間部に指を当てる。
「ん♡」
——……あの時しか、虐められて居ないから開発はまだだけど……。
牢獄の中で枷により自由を奪われると言う状況で興奮して自慰を始めてしまう。この状況で我慢しろと言われれば余計にしたくなってしまう。コレなら完全に拘束されてバイブやローターで扱かれた方が良かった。なまじ中途半端に自由だとついやってしまう。
学園の寮部屋だと相部屋故に自制は出来たが、此処では効かない。向かい部屋は神楽の独房だから尚更だった。
「あっ♡ 濡れ、て……来た」
僅かな水音が聞こえた。少ししか弄って居ないのに濡れ始めた。つまり、自分の体は求めているのだ。被虐や快楽と言う拘束を。
——か、返って生殺し……は、早く明日になって♡
明日になれば被虐的な目に遭える。拘束や緊縛が待っている……。そんな心境の中、夜は更けて行く……。
花粉症でやる気が減衰するって本当な模様。