「ダンジョンフロアって、具体的にどんな形になっているの? 希望に合わせた内容で生成されるとは聞いてはいるけれど……」
「はい。ダンジョンフロアは大別してマルチプレイの『共用』とユーザー毎に希望内容を生成した『個別』の2種類、存在しますわ」
早い話がマルチプレイとソロプレイ用は分かれて居るとの事。
「『共用』は運営側がコンセプトに合わせて週替わりで構築されたダンジョンを探索する内容ですわ。此方は不特定多数のユーザーが参加していますので、捕縛されても救助される可能性がありますわね」
最もミイラ取りがミイラになったり、或いは見捨てられたりするパターンもあるので信用は出来ないが……また、他のユーザーが捕縛される様子を見物する事も出来るとも言う。まぁ、其処は本人達の思想次第ではあるのだが。
「『個別』はユーザー本人の希望で生成されるダンジョンですわね。色々、細かく設定出来ますし、ホストやゲストと言う形で参加する事も可能ですわ」
「……成程、共用が野良パーティみたいに、個別は身内パーティみたいに出来ると言う事」
「平たく言えばそうなりますわね」
簡単な説明をして貰っている間に目的地たるダンジョンフロアの入り口付近に到達する。
「おや? 何やら騒がしいご様子ですわね?」
「え……?」
エントランスの一角。メインとなるダンジョンフロアへと通ずる入り口付近で人集りが出来ている。順番待ち……と言う訳では無さそうである。
「ちょっと、ヒナタ⁉︎ コレはどう言う意図のつもり?」
「えー、ちょこっとOSを弄っただけだよ〜。モノは試しと言う事で実装してみたの〜」
「発想が狂っているわ。運用中に処理落ちしないか不安なんだけど……ただでさえ容量がバカデカいって言うのに」
「…………Zzz」
——知っている人達……と言うか此処の職員の人達が居る。
簪の視線の先にはユリエ、ヒナタが揉めている。と言うかユリエが呆れ交じりに詰問している様にも見える。その近くで器用に立ったまま寝ている人が居た。良く良く見れば昨夜、牢獄の中で普通に寝ていたフィウと言う人だ。
3人とも電脳空間と言う事で施設内の服装とは違う衣装を身に纏っていた。
ユリエはIS学園の制服に良く似た白い学生服らしき服装をしている(細部が微妙に違う)。
ヒナタは後方の膝や二の足付近を大胆に切り取られた黒インナースーツの上に白と黒の業務用制服(スリット入り)を着用しており、高身長故に似合っている。
フィウはフリルの多いゴシック調の黒いドレス姿。胸元の錠が特に眼を惹いた。
「……あら、お三方。何か不具合が発生したのでしょうか?」
そんな状況であっても神楽は特に気にする事も無く声を掛けたのだった。
「……カグヤ。アンタ……その服装で来るとか、見せつけてくれるわね……‼︎ 喧嘩売っているのかしらねー?」
ユリエの目線はどう考えても神楽の胸へと向けられていた。扇情的なバニーガール姿故、胸を強調する服装な為に怨みがましい視線を向けている。その理由はユリエは小柄な体格な上に貧(此処から先は削除されました)
「夜更かしは天敵だよー? ユリエちゃんも早く寝ないと成長しないわよ〜?その小さくて可愛いお胸とか」
——あの、ヒナタさんが言うと挑発にしか聞こえない。
「あ゛ぁ゛⁉︎」
ギロリと猛獣もかくやと言わんばかりの眼光でユリエはヒナタを睨む。睨まれた当人はのほほんと微笑みを浮かべているだけであった。
「それよりも、君達早速こっちに来たんだね〜」
唸るユリエを尻目にヒナタは神楽と簪の方へと視線を向けた。神楽に案内して貰っている間に彼女もログインした様である。神楽の説明から彼女達はNPCとしてのログインでは無くユーザーとしてログインしている様である。
「ええ、やはりメインはダンジョンで敗北調教からの監禁プレイですので」
「……その、前に、案内して貰っていました」
取り敢えず経緯を説明した。その後、ヒナタがユリエに問い詰められていた理由を説明した。
「えーとね、『ストラトス・デザイア』は日本以外にも支部があるんだよ。アメリカとかフランス、ロシア、台湾とかにね。
そして『拘束フロア』、『機械姦フロア』、『電脳空間フロア』もある。当然この『仮想現実空間』も各支部にサーバーとして存在しているんだ」
各支部に仮想現実のサーバーが存在している。日本サーバーやフランスサーバーと言った具合だろう。然しサーバー統合すると処理が重くなる為に分離されているとの事。然しながら先程のシュミレーションの記録は世界ランキングとして表示はされるとの事。
「……で、この馬鹿はダンジョンフロアの中でランダム生成されるタイプの共用ダンジョンを試しに複数のサーバーから入場出来る様にしたらしいのよ……。
事前に説明されたと思うけど、この仮想現実空間の容量は凄まじく重たいわ。最新の技術やIS技術を惜しみ無く注ぎ込んであっても尚も容量は重たいと言えるのよ」
これまで『共用』のダンジョンは各サーバー内でのユーザーのみ参加出来た。要するに試験的に『共用』ダンジョンのみグローバルサーバー化したとの事。元々、この仮想現実空間の処理が重く(特にダンジョンフロアは仕様もあって更に容量が大きい)。その上に負荷が強くなりかねない事をユリエは懸念しているそうである。
「えー、一応。弟君から許可は貰っているし、サーバー強化もしているもん‼︎ 拒絶ばっかじゃ何も始まらないよー」
「だったらβ版くらい行ってから実装しなさいよ‼︎ 施設内の予算の経理担当するの誰だと思ってんのよ⁉︎ 稼働中にエラーとか吐きまくったり処理落ちとかどうすんのよ⁉︎」
何と言うかダメ姉貴としっかり妹みたいな構図と化している。その間でフィウは俄然とせずに眠り続けている。
「エラー中は一定周囲が全停止してその時ログアウトするかどうか表示される様にしているもん。と言うか現在は人数減らして有志ユーザーで試験運用しているよ〜。今後はサーバー内『共用』と『グローバル共用』で分けて運用するつもりだし」
「現在進行形でデバックを兼ねたβ版やっているって事ね。それを先に言いなさいよ……。負荷が重くなるんだから人数制限はしておきなさいよ」
「ふぁい……。あ、カグヤちゃん達、ごめんねー。身内同士の話になっちゃって。それで、個別用のダンジョンを生成するの? 本来なら私のAIに任せちゃうけど、今なら私が代わりにやってあげるねー」
——運営ユーザーって奴かな。ユーザーで参加しつつ実際の現場を見て動くやり方……。
「いえ、タイミングが悪かっただけですわ。そうですわね……その『グローバル共用』に枠は空いていますか? ドロシーさんはまだ初見ですので」
「……う、うん」
——最初はサラッと流すくらいに見て回りたい。
「うん、後2人くらいなら枠があるよー。参加する?」
「ええ、是非とも」
「私も、まだ分からないからそれでお願いします」
「……悪いわね、此方の都合に巻き込む形になっちゃって。β版だから拘束中でもダンジョンフロアからログアウトは出来る形になっているわよね?」
「うん、そうだよ〜。まだ試験運用中だからね。実装済みの内容は其の儘で新規追加内容は今は『グローバル共用』には反映していないよ」
2人からそんな言葉がかけられる。一応、試験運用中との事で本来なら捕縛された後は指定時間が経過するか他のユーザーに救助されない限り逃げられないが、今回は任意でダンジョンフロアからログアウト出来る仕様との事。初めてなのである意味、ありがたいかも知れない。
「後、試験運用中だからダンジョンフロア内での取得物は持ち帰れないからその辺は理解してね。後で参加報酬は配布するから」
「「はい」」
一応、β版参加のお礼の形はするらしい。そうこう話している間に眼前に聳えている門……ダンジョンフロアに通ずるゲートが開く。門の先は宇宙空間の様な星空の背景が広がっている。
そして、簪と神楽の2人の前に空間ウィンドウが開かれる。
「それじゃあ行ってらっしゃい。感想とか改善点や要望があれば後で聞かせてね」
ヒナタのその言葉を背に2人は門の中へと飛び込んで行った。
ダンジョンの構造イメージは?(同数の場合、1番上になります)
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シルゥワプリズン(森の監獄)
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エクレシアケイヴ(教会の洞窟)
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マッドファブリカ(狂った工場)