その頃のIS学園。
新学期を迎えて4月の最後の週。この土日が過ぎれば5月に差し掛かる。数多くの生徒、取り分け日本人の生徒からすれば5月の始めの週は大型連休となるゴールデンウィークを控えているのでその連休中に何をするのかで賑わっている事だろう。
だが……此処はIS学園。
生徒達、特に今年入学した新一年生は憧れのエリート校であるIS学園に入学し、ISに触れ更に卒業後は安泰のIS関連企業や代表候補生等に入れると言う希望ある未来を思い描いているのだろう。だが……その大半の生徒は知らない……『IS学園』が故の現実を……。
そして、その『現実』が故にIS学園には表沙汰にされる事の無いあるシステムが密かに運用されていると言う事を……。
「えーと、此方で合っているのよね?」
その日の午前中。IS学園の地下の廊下を1人の生徒が歩いていた。今年の新一年生で3組の女子生徒だ。自己認識では平々凡々と言った成績だと自認している。
土曜日である今日、特にする事も無く寮部屋でダラダラと過ごしていた時、1年1組の副担任である山田先生から『個人面談がありますので、指定した場所に来て下さい』と言われ指定された場所に向かっていた。IS学園の地下はIS格納庫と言ったモノが併設されており、整備課の生徒が時折足を運んでいる為、一部区画は一般生徒に解放はされている。
「やまぴー、こんな所で個人面談って何するんだろう? あ、此処だ」
何も知らされていない為に疑問符が浮かびながら指定された部屋の扉を開ける。その部屋はある種のIS部品のパーツ類が保管されている部屋では山田先生が待っていた。
「お待ちしていましたよ」
「やまぴー、個人面談って何ですかー?」
「はい、貴方の
その直後、首筋に強烈な電撃が迸り、全身に襲い掛かり悲鳴を上げる事なく意識が切断された。意識が途切れる直前、目の前の真耶は恍惚に似た表情を浮かべていた。
「……ん……? あれ、私……? えっ⁉︎ な、何これ⁉︎」
意識が醒めた時、状況は一変していた。気が付けばベッドの様なモノに寝かせられX字状に枷で拘束されていた。然も見える限り全裸であり、隠すべき場所は全て丸見えの状態であった。
見渡す限りこの場所も見た事も無い部屋であり此処は本当にIS学園なのか、混乱していた。照明は拘束された自分を照らす箇所のみ。それ以外は暗くて良く分からない。
「おや、漸く目が覚めましたか? 早く起きないと躾が足りないと思われてしまいますよ?」
限りなく無音に近い状態で、コツコツと跫音を響かせながら暗がりから真耶が現れた。
「や、やまぴー⁉︎ こ、これはどう言う事なんですかッ⁉︎」
「混乱しますよね〜? じゃあ、説明しましょうか〜」
微笑みながらこの異常な状況を意に貸す事なく真耶は言葉を続ける。彼女は何故、この状況を見て何も思わないのか。
「……簡単に言いましょう。貴方は昨日付けで放学処分となりました。つまり貴方は現時点でIS学園の生徒じゃありませんし、そもそも入学した記録すらも、もうありませんよ」
「え……な、何を言って? ほ、放学……?」
真耶から言われた言葉に理解が及ばない元女子生徒。
「IS学園はIS操縦者やその関連の職務に携わる人間を育成する機関です。で、す、が……IS関連企業って言うのは数える程しかありません。企業にとってもIS操縦者なんて1人や2人居れば充分です。そもそもISコア自体、少ないのですから当然です。
整備課の場合でも首席から上位30名程ですね。ああ、学園では教えませんがIS関連企業は面接とかはありません。学園内のイベント等で来賓の方々がお越しになって見込みのある生徒を物色して気に入った生徒に事前に内定を出す……スカウト制で採用しています」
IS学園では年に何回か『トーナメント』と言った形式で実際にISに搭乗しての試合イベントが行われる。
その際に来賓としてIS企業のスカウトマン、或いは企業上層部の人間や政府要人が来校して将来有望そうな者を物色するのである。
故に学園のイベントの場はIS学園の生徒達にとっての『面接会場』となるのである。そのシステムに気付いている生徒は必死になって操縦技術等の自己PRを来賓達に向かって行うのである。その為、イベント等の機会で要人の目に留まらず内定を逃すと基本的に『IS操縦者』の道は閉ざされる事になる。
「その為、イベントで成績を残せなかった生徒にはIS関連企業の就職先はありませんので、それ以外の道を進む事になります。ですが、それ以外となるとIS学園卒業生の就職率も下から数えた方が早い程に低いんですよ」
「え……ど、どうして?」
「簡単な事です。『IS学園卒』と言う文字はIS関連企業以外にとっては大きなマイナスイメージが付き纏っています。
女尊男卑の世の中となり女性達の横暴が横行して数多くの企業が赤字になり財政破綻、過剰な損失を被り果ては倒産に追い込まれたケースも少なくありません。
民間の企業様からIS学園卒の就職者の苦情案件として学園に寄せられた例として『IS』と言う存在を傘に『女尊男卑思考』を持って企業内で男性を勝手に免職、追放同然の扱いをして結果的に人手を潰して生産性を下落させたり、過剰な値下げを横行させ小売店を潰したりとやりたい放題な行為をしてしまいました。
そんな諸々の苦情が学園に大量に寄せられた時は本当に涙が出ました。何回も何回も謝りましたよ。IS学園から大学等に進学しても履歴書にはIS学園卒の文字がありますから、其処からでも言われますよ。
そんなイメージが付いてしまえば情報社会でもありますから一気に拡散してしまいましたね。その為、IS学園を卒業してからの民間企業への就職先はもうほぼありませんよ?」
それほどまでに『女尊男卑』思考と言うのは経営陣や現場の人間にとって大きなマイナス要素なのだ。
「……そ、それと、私に何の関係が?」
「其方は余談です。一応、説明として聞いておいた方が良いと思いまして……では、話を戻しましょう。
IS学園では各月末で学年毎に総合成績が
「……ッ⁉︎」
今月の一年生、つまり最初の放学処分者は彼女であったと言う事である。来月、5月末にも1年生の内、また1人放学処分となるのだ。
「此の儘、卒業してもどの道貴方は何処のIS関連企業からもスカウトされず『IS学園卒』である為に何処の民間企業からも見放されバイトすらも敬遠されワーキングプアにすらなれないでしょう。
そんな未来が確定して見えます……何故なら実例が溢れ返る程にありますから、ね?」
「そ、そんな……‼︎ じ、じゃあ、どうして裸にされて拘束されるの⁉︎ 退学なら退学で、IS学園から出すんじゃないの⁉︎」
暴れるもガチャガチャと虚しい音が響くだけであった。そんな悲しい抵抗を見て真耶は口元に手を当てて微笑むだけ。
「……知らない訳ではありませんよね?IS学園が発行し生徒各自に配布する参考書。その内容は機密事項が満載です。内容自体が戦略級の情報に該当します。そんな情報を知った
「……ッッ‼︎」
恍惚の笑みを浮かべながら真耶は近付く、その表情は何処か恐ろしく感じられ身が竦んだ。
「ですがご安心ください。そんな何の役にも立てない元生徒でもちゃあんと
その直後、暗がりで良く見えなかったが複数のブルーカラーのモニターが次々と表示された。其処に映って居るのは男性達ばかりであった。幾重にも映るモニターに映る男性陣は全裸で拘束された彼女を品定めするかの如く見ている。身体を舐め回す様なその視線に寒気が走る。
女尊男卑故にIS学園では男の姿を見た事が無く女子校だけ通って来てIS学園に入学した生徒も少なくない、彼女も父親以外の男性を陸に見た事が無かった。
「貴方がこれから性奴隷かペットかそれとも肉便器になるのか、コレからオークションを始めます」
「お、オークション……⁉︎」
「はい。IS学園の採用基準には『容姿』もあるのですよ。こう言う結果を残せなくても容姿が良ければ愛玩ペットや性奴隷とかの商品価値はありますからね」
「そ、そんな事……⁉︎」
「あ、放学処分者に対しては自動的に戸籍も国籍も人権も剥奪されています。つまり……貴方を守るモノは何もありません」
追い討ちとして彼女は既に存在しない存在。つまり、人権すらも無い事を通告されたのだ。
「貴方が落札された際のお金はIS学園の運営の為に大切に使わせて貰いますから安心して下さい。もし、誰も落札しなかった場合……何処か遠い国のスラム街での公衆肉便所になりますから、全力で媚びて下さいね?
では、長らくお待たせしましたバイヤーの皆様方‼︎ 今月のオークションを開催致しますので是非ともご参加の程を……それでは最初の金額は20万円から‼︎」
真耶に告げられた現実を前にオークションとして掛けられた元生徒は来る未来に絶望するのであった。
ダンジョンの構造イメージは?(同数の場合、1番上になります)
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シルゥワプリズン(森の監獄)
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エクレシアケイヴ(教会の洞窟)
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マッドファブリカ(狂った工場)