某所。
「アレ? 面白そうな事してる〜? 電脳空間で皆、集まってるの?」
「むにーっ‼︎ 私を除け者にして遊ぶなんてずーるーいーっ‼︎」
「じゃあ……ちょっと、イタズラしちゃおっと」
無邪気で狂気に染まった声音が静かに響き渡る……。
『ユーザーデータ確認中。暫くお待ちください』
『グローバル共用ダンジョンへようこそ。本ダンジョンは現在β版となっています。正規実装時とは仕様が異なる場合がありますのでご留意下さいますようお願いします』
門に飛び込んだ後、頭の中にその様な人工音声が飛び込んで来る。現在、ロード中の様だ。
——やっぱり、ワイヤーフレームの様な空間を落ちていく様な感覚……‼︎
『現在ロード中。現在、β版のグローバル共用ダンジョンは『マッド・ファブリカ』となっています。β版ではダンジョン内での取得物はユーザーデータには反映されません』
グローバル共用ダンジョンの名称の説明と注意事項の説明が行われる。ダンジョンのロケーションとしては機械系の工場みたいな空間らしい。
——……と、なると……登場するエナミーはロボットや機械が中心なのかな? トラップは機械姦、かな?
『機械姦フロア』と被りそうではあるがリアルと仮想現実では違う内容である事を期待する。暫くすると白い光が見え始め視界が真っ白になった。
「……ん? 此処は……?」
全体的に白い空間に簪は立っていた。流線型が特徴的なネオンラインの大部屋であり床には円形の模様があるのが見えた。
——転送装置、つまりダンジョンフロアの入り口……と言う事なのかな?
「……β版だからでしょうか? 今回は無事に開始地点にダイブ出来ましたわね」
「あ、カグヤ。それはどう言う意味……?」
気付けば隣に神楽が立って居た。近未来的で無機質な空間でバニーガール姿は場違い過ぎる為に否応無しに目立つ。
「複数人のチームで共用ダンジョンに突入する時に時々、1人だけ全く違う場所に飛ばされてしまうアクシデントが発生するんですの。
所謂、某狩ゲーのランダムスタートの様なモノでして、その場合は大概がエナミー集団のど真ん中ですのでほぼ間違いなく不意打ちを受けてあっという間に囚われの身……と言う訳ですわ」
「そ、そうなんだ……」
他にも開始地点は複数ありログインした時、そのいずれかに降下するとの事。
「ダンジョンフロアって、具体的にクリア目標とかあるの?」
「個別用であればクリア目標を設定する事になりますが、共用では明確に決まったクリア目標はありませんわ。共用ダンジョンは迷宮タイプのダンジョンですが時折、小規模のミッション系統が発令されてクリアすれば報酬が付与されると言う形になりますわね。
その為、基本的に自由に探索して捕縛されたり取得物を探したりと言った事が中心ですわ。
ただイベントダンジョンの場合は明確なクリア目標がある場合がありますわ」
「……成程。それで、敵キャラも居るから戦闘もあるのかな?」
「はい、勿論。このダンジョンフロアにもIS技術が転用されていますので、戦闘探索となりますわ。尚、専用機持ちの方はその武装系統を使用する形になりますわね。ですが、仮想シミュレーションや『エクストリーム・ストラトス』と違い機体は展開出来ず、武装のみ展開する形になりますわ」
神楽はそう言い、手元に再現された日本刀を粒子展開する。仮想現実と雖も、限りなくリアルに近い為にやり方は現実と同じ。簪も整備室でISを展開するのと同じ様にやってみると。
「……出来た」
簪の手元に本来、打鉄弐式に搭載される予定であった超振動薙刀が展開された。細部まで再現されている。
「……無抵抗で捕まる人も居れば、抵抗して敗北して捕まりたいと言う人も居るんだよね?」
「はい、そうですわね。このダンジョンフロアでも『仮想シミュレーション』で使用したデータが使用され各人のシールドバリアのエネルギー量が当人の体力値と考えて下さいまし」
神楽はそう言いメニュー画面を開きステータスの項目を表示する。其処には残量のメーターが表示された。ISは展開していないがこの空間内ではISを展開している様な状態のようである。
「……要するに現実でISを展開して戦闘中である事を想定して動けば良い、と言う事?」
「流石、ドロシーさん。其処まで理解出来ていれば問題ありませんわ」
——……イメージ出来た。そう言う仕様なら分かりやすい。……専用機は完成していないけど量産型で訓練した事あるから、理解出来る。常に戦闘中の状態で探索……うん、成程。
「尚、シールドエネルギーが0になった場合、『戦闘不能』となり身体が全く動けなくなりますわ。その時、近くにエナミーがいた場合、問答無用で捕獲されますわ。文字通り捕虜となります」
——戦闘に負けて其の儘、捕縛される……アニメで良くある光景……此処まで作り込まれているなんてね……。
「状態異常のバッドステータスも相応にありますわたね……。その再現率も高いですわ」
「後は、直に探索して慣らして行く……。流石にずっと話しっぱなしじゃ何も始まらないし」
——……どんなモノなのか見てみたいし、流石にちょっと興奮して来た。
「それもそうですわね、さてチュートリアルはこの辺にしてそろそろ参りましょうか♪ さてさて、どの様に辱められるか楽しみですわね」
「……具体的にどんな感じ?」
「β版で今回の場合ですと……生体ユニットや、搾乳タンク……後はシンプルに強制絶頂装置監禁……と言った具合ですわね」
「後半は兎も角、前半は何……?」
——単語の意味は分かるけど、どんな状況なんだろう?
「生体ユニットは拘束されたユーザーが機械系エナミーのパーツとして取り込まれ責められながら他のユーザーに襲い掛かる陵辱。搾乳タンクは拘束され搾乳され続け、機械系エナミーにエネルギーを供給して自己強化……と言った形になりますわね」
「現実じゃ実現するにな難しい内容だね……‼︎」
ゲームならではこそのシチュエーションと言える。
——例えば神楽か私が捕獲されて、搾乳タンクに繋げられ、助けようとしても苦戦して結局負けて2人仲良く囚われの身……と言うシーンも良いかも♡
「あらあら、ドロシーさん。随分と恍惚的な笑みを浮かべて居ますわね。何か良からぬ妄想でもしたのですか?」
「う、ううん。何でも無いよ……⁉︎」
「ふふふ……では論より証拠と参りましょうか」
開始地点からダンジョン内へと通ずる自動で開く両開きの扉を抜けて2人はいよいよ、工場のロケーションであるダンジョンへと足を踏み入れた。