「此方が、ロッカールームです。ドロシー様のロッカーは此方になります」
診断室の隣にあるロッカールーム。其処で簪に貸し出されたロッカーに着てきた私服をハンガーで架けておく。施設内では基本的に眼鏡等以外の私物は持ち込み出来ない。下着もブラジャーも着ける事は出来ない。文字通り、簡易スーツのみである。
無論、それは代表候補生が常に携帯するISの待機形態も例外では無い。最も今の簪は専用機が完成して居ないのでその線は無いに等しいのだが。
「あ、あの……」
「はい、何でしょう?」
「えっと、勝手ながら私の想像だと」
「拘束された状態で施設内を出歩いていたり、其処らで犯されて居たりと言った光景を予想して居ました?」
——う……言い当てられた。
被虐願望やらドMな感性から施設内ではそんな酒池肉林染みた光景が広がっているんじゃ無いかと言う予想も確かにあった。が、蓋を開ければ非常に清潔感のある空間だった事に面食らったとも言える。
「あー、確かに当初はその様なイメージを持った状態でお越しになられる方々も一定多数居ます。当施設では限れられたフロアで行う事となっています。理由は主に衛生面、モラル維持、利用者様の精神上の配慮から。
衛生面は文字通りの理由です。廊下や共同フロアで中出し行為や器具を用いての潮吹き等は他の利用者様の気分を害する恐れもある上に廊下に彼方此方で愛液を撒き散らすのは全体的に不衛生です。
と言うよりも当施設では男性のスタッフは一切居ませんし、ドロシー様の様に未成年の利用者も居ますし危険日や避妊の配慮も必要ですので精子の挿入は行いません。故に基本的には器具を用いての責めとなります。女尊男卑の情勢故に被虐願望をお持ちでも深層的に男性に恐怖を抱いている方も少なくありません。
次にモラル維持は、公共フロアでそんな行為が公然化されると同調圧力や集団意識の懸念から機密漏洩や個人情報の流出のリスクを孕みます。そして、前述の通り不衛生によりモラル意識の低下を招きます。
最後に三つ目は、不特定多数の方に見られるのはちょっと……と言う方への配慮です。自分と当事者スタッフのみなら兎も角、不特定多数に見られながらは遠慮したいと言う方も居られます。特に代表候補生の方は名前を伏せても何処かで対面している可能性が高いでしょう」
ミソラは1つずつ説明してくれた。確かに、運営側としては何も配慮しなければならない点でもある。そして簪としてもムッツリ寄りなので出来れば密かにやりたい。
「ひ、1つずつ、説明してくれて、ありがとうございます……」
「いえいえ、不安点や疑問等があればいつでもお気軽に仰って下さい。それが総合案内係のお仕事でもありますから。では、行いたいプレイはお決まりですか?」
そしていよいよ、簪自身のプレイに関する話題に入る。
「……えっと、何があるのか、まだ、何も」
「あ、申し訳ありません。初めての方ですので何があるのかご存知ありませんでしたね。では、僭越ながら私がご案内しましょうか?」
迷いながら施設内をウロウロするよりも案内する人が居れば幾分か安心……そう考えた簪はその申し出を受ける事にした。
「は、はい。お願い、します」
ロッカールームを出ていよいよ、施設内のフロアへと足を踏み入れる。1人でハイレグ白スクの簡易スーツ姿で歩き回る勇気はまだ無い。案内してくれるのがメイド服姿の職員と言う組み合わせは奇妙ではあるが、他の利用者は見慣れているのか見向きもしない。
「当『ストラトス・デザイア』は基本的に3つのフロアに分かれています。順番にご案内して気になったフロアから触れて行くのが宜しいでしょう」
と言う事で先ずは1つ目の『拘束フロア』へと案内された。やはり白い大廊下で清潔感があり冷房が効いた少し寒いくらいのフロアである。壁に掛けられた見取り図を見る限り病院の様に個室等が多数、用意されている様である。そして各個室には窓ガラスの様なモノも見受けられる。
「此方では一般的な拘束具を中心に自縛、拘束プレイをご利用になれます。具体的に言えば手錠や、身体を極力傷付けない様な柔らかい縄。他にも手枷、足枷、首輪を用いたモノ。磔台や反省板と言った簡単な器具を用いたプレイも此処で行います。実際に拘束されている方の様子を見た方が良いでしょう」
ミソラに言われてとある個室の壁にある内部が見える窓ガラス前に来て中を覗いて見る。
『んっ、ンンッ……‼︎ ンンッ‼︎』
——わ、わぁ……‼︎
中の部屋ではX字状の磔架に両手両足を枷で固定され、目隠しとボールギャグで拘束。そしてそれなりの膨らみの胸にはローター、下半身の股にはバイブが取り付けられて悶えている全裸の少女が居た。
「この窓ガラスは部屋の中から外が見えません。あの方は全裸で磔にされ目隠し、ボールギャグで責められると言うスタンダードなプレイをご所望された様ですね」
——見られている事を中の人からは見られないんだ……。窓ガラスがある部屋と無い部屋があるから配慮はされているみたい。
「もしかして寸止めも?」
「はい。ご希望であれば、絶頂寸前に寸止めの焦らしプレイも行います」
その姿に簪は思わず見惚れた。目隠しされているが故に視覚が奪われ、そして枷で自由を奪われなすがまま一方的に責められる。正に敵に囚われ一方的に嬲られるヒロインそのものだった。
「この拘束フロアはプレイの基本となりますので他にも色々ありますので見ていきましょう。此方は緊縛プレイの方ですね」
そして別の部屋を覗いて見る。其処では床に這いつくばっている少女の姿が見えた。うつ伏せ故に分からないが両手首は後方で縄で縛られているのが分かる。此方は白い衣に緋袴、俗に言う巫女服姿で縛られている様だ。静かに身動ぎしているが解ける様子は無い。
「彼方の方は巫女服での着衣緊縛を希望されたみたいですね。シチュエーションとしては眠らされて誘拐からの亀甲縛りからの緊縛放置と言ったところでしょうか。今は身体的な休息と言う事でローター等は停止していますね」
「み、見ただけでそんな事が分かるのですか?」
「職員ですから。健康診断で説明した通り、お好きな衣装でのプレイにも興じる事が出来ますのでご参考下さい」
その後、通路はまだまだ奥へと通じている。他にもその光景を見ながら見ながら奥へと歩いて行く。