『ドロシーさんがアブダクターに捕獲されました』
「あらあら、早速捕まっちゃいましたか。結構、焦らされていたので我慢出来なかったみたいですわね」
視界の近くに突如表示された小型メッセージウィンドウを見て神楽はくすりと笑む。パーティで参加した時、メンバーの誰かが捕獲された時や戦闘不能の際にこの様なメッセージが他のメンバーに表示させて知らせる機能がある。
最も、捕まった当人には表示されないのだが。
——さて、そろそろ私も楽しみましょうか。説明続きで疲れて来ましたわ。いえ、肉体的に疲弊させられて其の儘、有無を言わさずにイカされ続けるのもオツなモノですけど。
現在、神楽は簪と別行動し工場内の別区画に訪れていた。その道中で何種類かのエナミーと遭遇した、が、そのエナミーが実行する陵辱内容は好みでは無かったので早々に
「……さて、このフロアで見つけたこの衣装、反映されないのが残念ですわね」
そう言いながら、窓ガラス通路のガラスに映る自身の姿を見てそう嘆息する。最初はバニースーツであったが、現在はIS学園指定のISスーツ姿であった。仮想現実空間にて実装されている衣装の中には現実に使用されている衣装も存在している。例えば各国の代表候補生のISスーツは国によってデザイン性が異なるし専用機持ちともなれば更に固有のデザインとなっている。
今回、神楽が見つけたのは『IS学園指定ISスーツ』と言う名称のもの。
勿論、『IS学園制服』と言うIS学園の学生服デザインの衣装データも存在しているが、神楽は所持していない。
——……正直に申し上げてISスーツも充分、エッチな衣装ですわね。ISもエネルギーが尽きればただの鉄屑。放り出された生身の人間が、戦場で生き残るのは難しい……ふふ。
ニーソとロンググローブもセットの衣装なので、露出部は少ないが身体のラインは丸分かり。ストラトス・デザイアの利用者標準の簡易スーツと同じくらいある意味、羞恥心を煽る衣装だ。
「おや、アレは……?」
ガラス張りの向こう側は大部屋となっており、複数のベルトコンベアが今も稼働していた。その上には一定間隔に真ん中だけ穴が開いて居る円柱の物体が流されている。
——ふむふむ、形状から縦に両開きで首だけ上に出して首から下は格納されて箱詰め……中で何をされてしまうのでしょうか? 無難にバイブやローターによる責めでしょうか?
『んむむっーッ‼︎ んんーッ‼︎ むむんッー‼︎』
「あらあら、お一人、拘束されて居ますわね♡」
流されて居る物体の内の1つ、金色の髪をツインテールにした少女がボールギャグを噛まされ円柱の箱の中に首から出した状態で拘束されていた。涙目になり顔を赤くして呻いており、箱の中で責め具により調教されているのが分かる。
何処かで捕獲され箱詰めにされて流されているのだろう。
「何処へ流されて行くのでしょうか? 此処からでは分かりませんわね」
——うーん、個人的には視界を封じられた状態で責めるべきだと思いますわ。目隠しされると、身体の感覚が鋭敏化してより感じやすくなりますし……後で感想の1つとして挙げておきましょう。
ベルトコンベアで流されている何処かの参加者を見送った後、神楽はこのガラス張りの廊下を抜けて隣の部屋に移動する。
「あらあら、此方はトラップエリア……ですか」
入っていきなり壁を這う小さな機械が見えた。両側の壁にも同じ系統の機械があり、対の様な形で動いているのが見える。目に見えないがそれは赤外線センサーと呼ばれる侵入者対策のレーダーの様である。その光景を見て神楽は思わず舌舐めずりをした。
——ダンジョンと言えばエロトラップが付き物ですわね。どうやら当たりを無事に引けた様ですわね。ゲームのダンジョンのトラップと言えば大概が落とし穴とか、ダメージを受ける内容が大半ですけど……この仮想現実のダンジョンフロアのトラップはエロトラップが中心ですわ。
その為、神楽は赤外線センサーを避けると言う真似をせず、さも当たり前の様に歩きそのセンサーに触れた。
センサーに触れた直後、赤いランプが瞬時に点灯し、発覚した事を知らせるサイレンが数秒間鳴り響く。
「見つかっちゃいましたわね。あら? 成程……こう言うトラップですか」
わざとらしい感想を漏らした時、両腕に違和感を感じて自身の身体を見渡す。気付けば両腕が後ろに回され手首に機械式の手枷が嵌められて後手に拘束されていた。同時に赤外線センサーは停止した。
『【後手拘束】』
メニュー画面を開けばその様な状態の文字が表示されていた。試しに外そうと踠いてみるも、手枷は機械製で力技ではビクともしない。
——腕を拘束されれば戦う術をほぼ封じられる。手枷を如何にかして外さない限り、エナミーと遭遇した際には私は逃げるしかありません。此の儘だと成す術も無く捕獲されてしまうでしょう。
「少々、求める内容ではない単純な拘束ですが……まぁ良いでしょう。せめて強制装着の罠ならば、アームバインダーにして頂ければ良かったのですが……或いは晒し板も捨て難いですね」
少し不満を漏らしつつも拘束を受け入れて足音を忍ばせつつ歩き始める。この状態だと、どのエナミーも拘束して捕獲しようとして来る。神楽としては自分好みの捕獲の仕方をしてくれるエナミー以外には捕獲されたくない。なので、無抵抗を晒す相手は選びたいのだ。
——あら、此処にもコンテナがありますわね。
幾つかのタンクや大型機械が置かれた区画。その隠れる様に開閉式のコンテナが置かれていた。俗に言うアイテム等の入った宝箱みたいなモノであり、ダンジョンフロアにおける醍醐味の1つである。中には衣装やアクセサリー等が入っており、ダンジョンのロケーションに応じて見た目も変化している。単純に洞窟系ならばストレートに宝箱、森林等ならば花の蕾、工場と言った機械系ならばコンテナと言った形である。
今の神楽は両腕は後手に手枷で拘束されて居るが、宝箱は近付いで思考操作で開く事が出来るので問題は無い。
——さて、何が入っているのでしょうか?
コンテナを開けると中に入って居たのは小さなリングが3つ。それを見た神楽はその用途を知って居た。
「乳首とクリトリスに付けるリングですわね……。しかし、この状態では今は着ける事が出来ないのでまた後にしましょうか」
——それに取得物はどの道、反映されませんので諦めましょうか。
興味はあったが、持ち帰る事が出来ないので取得せずにコンテナを閉じる事にして、更に奥へと進む。他に特筆するモノは無かったので扉を抜けて再び別の廊下に出るが、先程と同じく赤外線センサーが各所に設置されているのが見えた。
この周辺のフロアは基本的にトラップが中心の様である。
「腕は拘束されていますし、次は口枷か或いは脚でしょうか?」
——首輪でも構いませんわ、或いはボディーハーネス衣装とかに強制着替え……は流石に求め過ぎでしょうか。
口枷なら兎も角、足を拘束されれば逃げる事も叶わなくなる。そうなれば大人しく虜囚の身になる事を受け入れるしか無い。
——うーん、この辺は私好みの捕獲エナミーは期待出来ませんので、此処は素直にトラップに引っかかって監禁エリアとかに誘拐して貰いましょうか。
そう考えた神楽は先程と同じ感覚で赤外線センサーに触れた。