「コレで少しは囲い込み易くなるかと……」
『ご苦労……と言いたい所ではあるがな。喋り過ぎだ』
「申し訳ございません。ただ少し理解せねば理解出来ないと判断しましたので」
織斑 一夏の前から離脱した後、代表候補生である彼女は自らの『持ち主』に連絡を行っていた。一夏には自覚が足りない。
「……彼には友人を作る権利すらも無いと言う事を」
護衛する側にとって対象の交友関係を把握せねばならない。それが世界唯一の男性操縦者ならばそのセキリュティレベルは最高レベルに跳ね上がる。何時、何処で誰に狙われるか分からない。毛髪一本から爪垢まで何一つ採取されてはならない。
故に政府はある判断を下したのだ。織斑 一夏に対して肉親である織斑 千冬や重要人物保護プログラムの対象である篠ノ之 箒以外の濃厚接触者を全て排除すると言う判断。つまり五反田家もそうだが友人関係にある者の三親等を抹殺し、男性操縦者の人間関係を完全に断ち切ると言う対策。つまり、彼の友人関係者はほぼ全て亡き者になっている事である。
1番の懸念材料は友人関係者から情報が漏れると言う事だ。そんな小さな要因から後々大きな問題に発展しかねないと言う判断から事前に排除する。その場合、仮に男性操縦者がIS学園から逃亡した時、男性操縦者の国外逃走の幇助する懸念も消える。孤立させ周囲に関係者で埋め尽くせば『
最も、一夏が最初に研究所でモルモット生活を送る事を選べばこの様な犠牲を出さずに済んだと思われるが後の祭りである。
『まぁ良い。女尊男卑の都合上、危険ではあるが男性操縦者を泳がせて釣られて出てきた潜在的外敵要因を炙り出し排除する事が出来た』
織斑 一夏がノコノコと1人で外を出歩いている。そんな状況を見て男性操縦者は愚か男ソノモノを憎む者達は放っておく筈が無い。必ず何かしらのアクションを起こす、無論護衛する側も何もしない筈が無いのだ。
「……此方で確認した不審物は概ね殺処分しました。コレで少しは静かになるでしょう」
『報告は受けている。やはり国外からのスパイ関連の関係者が多かった様だな』
織斑 一夏の身柄を欲しがる組織など掃いて捨てる程ある。国外の組織も虎視眈々と狙っている。だからIS学園にも政府や第三勢力の息が掛かったスパイ要員としての生徒が入学している。
と言うか日本国籍以外の留学生はほぼ全員、政府の支援を受けている為に日本人以外は確実にスパイ生徒だと言わざるを得ない。IS学園が安全だとは言い切れないのだ。
「でしょうね。空港のチェックを厳格化するべきかと」
『それは難しいな……。女尊男卑の影響で経済利益が著しい減少傾向にあるんだ。観光業界で収益を伸ばさねばなるまい……もどかしい限りだ。
ならば、その経済下落を一助となった者達に身体を使って返済して貰うつもりだ。奴隷娼婦なり肉便器となってな』
今回の護衛任務で外敵要因となり得る者達はほぼ殺処分されている。ほぼ女性権利団体と言った者達で占められているが、比較的若い年代や容姿が整っている者は捕縛している。
「はい。20代や10代の排除対象に関しては戸籍、国籍抹消後に性奴隷として所定の施設に輸送します」
年齢が若く容姿が良ければ、肉便器なり性奴隷として売り飛ばす事が出来る。性格が悪くとも調教による矯正をして従順にしてしまえば良い。戸籍も国籍も剥奪されている為に、存在しない事になっている。故にやりたい放題しても誰1人咎める権利は無い。
『結構……。では、任務に戻れ』
「はい」
通信が切れると同時に別の無線から次々と報告が上がってくる。男性操縦者を狙う女性権利団体の人間を排除したと言う報告が大半であり、10代後半の者は其の儘、『件の施設』に輸送される。その後は調教され性奴隷として出荷される。何処の男か分からない者に買われて其の儘、奴隷としての末路を辿るだろう。
死ぬのならば役に立ってから殺してからの方が良いと言う判断だ。
「ふふ、せめて良いご主人様に買って貰えると良いが……。運が良ければ戦闘員兼肉便器として使ってくれるやも知れないぞ? 私みたいに」
「皆様、お忙しい中お集まり頂き有難う御座います」
その頃、IS学園某所。午前中に放学処分を執行した後、急ぎ処理しなければならない事務処理を終えた真耶は再びこの部屋に戻って来て居た。照明は落とされこの暗い部屋を照らすのは展開された多数の空間投影ウィンドウの発光のみ。それらを見渡しながら真耶は口を開く。
「只今より第2回世界唯一の男性操縦者、織斑 一夏の事前オークションを執り行います」
真耶は静かにそして冷酷にそう告げた。その言葉に対してオンライン越しの参加者一同は誰も反応しない。いいや、当然の事だと理解している。
「では手始めに現在の織斑 一夏の書類上のスペックを公表します。確認時間は10分とさせて頂きます」
真耶は続け、参加者の眼前に小型の空間投影ウィンドウが展開される。其処には織斑 一夏の学業の成績評価などが記載されている。コレらの情報は極秘情報である。無論、書類上のスペックなので現実と同じとは限らないが。
その情報は各学科毎の成績評価、更には前回のクラス代表模擬戦での勝敗等も記載されている。
「時間になりましたので、入札を開始させて頂きます」
そもそも何故、事前に行うのか?
それは簡単な事。普通のオークションならば当日に行っても問題は無いのだが、対象が男性操縦者である織斑 一夏である事が問題。当然ながら大きく揉める事になる事は容易に想像出来る。故に月末の時間がある時に事前に購入者を決めるのである。
IS学園の裏のルール上、一夏が成績最下位だった場合、生徒である以上例外なく放学処分となる。その時点で購入者に身柄は送られる事となるのだ。だから月末に事前に決めておき、来月末に放学が決まった時にスムーズに作業が進む様にしておく必要があるのだ。
「各代表の皆様方に男性操縦者のご希望の入札額をご提示願います」
そして始まる入札。次々と金額が提示されその度に金額が更新されて行く。前回は10億程で止まったが、今回は……。
「日本銀行券で12億円と決まりました」
落札したのは日本のIS研究機関の1つ。IS学園の卒業生がスカウトされ入職する候補の1つでもあるが、過酷な職場環境と言う噂もある。
「来月末、男性操縦者が成績不振等で放学処分となった場合、落札した方に送られます。では、コレにて事前オークションを終了させていただきます」