※この作品はR-18です。

ストラトス・デザイア   作:夢現図書館

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逸俗帰還

 

 

 

 ソフトウェア、ハードウェアの作業をしていると時間があっという間に過ぎて行く。元々、初めからと言うのもあり更には本来、ISの製作と言うのは複数人で行うモノでありたった2人で行うと言う事自体、無茶な話である。しかし、その常設観念はたった今、崩された。

 簪はデバイスの使い方が常人とは打って変わっており、ヒナタに匹敵する使い方をしている。キーボードで手を挟む形に配置して上げる動作、下げる動作で連続で入力。更にキーの配置もフル・カスタマイズ・モデル。手の指でも入力しているが、それでは時間が足りない。なので足の指も同様に同時に行っている。

 

——レーキュさんは更に頭が可笑しいと言われても仕方ないけど……。

 

 簪でさえISを起動して浮遊しての超人技と言えるがレーキュは更に頭1つ抜けていた。此方は空間投影のキーボードは板状であるのだが、問題はその数。合計124枚。それらを同時(・・)に動かしている。指も動かして居ない、アイ・コントロールもしないしボイス・コントロールでも無い。

 

 レーキュ本人が言うにはシールドバリアを任意の場所に展開……『随意展開』と呼ばるやり方と言う。しかし、それは空間把握能力が秀でなければマトモに運用出来ず尚且つ、並列思考も出来なければ意味が無い高度な技術。その技術はストラトス・デザイアの職員であれば全員出来ると言うのだから末恐ろしい限りである。

 

 種を明かせば指の細さ程度の立体型のシールドバリアを複数同時に随時展開して配置された空間投影キーボードに入力を行い同時進行で進めて行く。先程、見せられた1人でに機体が組み上がって行った光景も規模と過程は違うが概ね同じ要領との事。

 

 『入力する指が20じゃ足りなければ増やせば良い』

 

 そんな発想である。そんな事、言われて出来る様な物では無いのは確かである。

 

「…………ふむ、成程。ええ、分かりました。では、その様に」

 

 その作業の傍でレーキュは別の作業を行なっている。外部からの連絡事項や報告……簪の機体製作も進めなければならないが、本来の業務もしなければならない。全く別々の事なのに一度に熟す……。信じられない光景であり常人では不可能に近いだろう。

 

 作業に没頭する事、数時間。時刻は深夜2時に差し掛かろうとした時。

 

「……」

 

——システム、オールグリーン。機体動作……問題無し。

 

「か、完成した……た、たった24時間で……‼︎」

 

 信じられないと言う感情が強い。機体動作も問題は無い。マルチ・ロックオン・システムに関しては。

 

 

『私なら手動で全部、やりますがね。貴方はどうしますか?』

 

 

 と言う軽い挑発染みた発言を受けた。逆を言えば『貴方なら自動化しなくても問題無いでしょう?』と暗に言われている気もする。

 そして、追加された長方体のスラスターユニット。それはスラスターではあるが、外部出力出来る第二のシールドバリアとの事。どう使うかは簪次第。武装と言うのは使いようとの事であった。

 

「一先ずお疲れ様です。私の作業ペースに良くついて来れましたね。少し侮っていましたよ。良く頑張りました」

 

「い、いえ……私の方こそ機体を完成させる事が出来たのは貴方の強力があってこそです……あ、ありがとうございます」

 

 レーキュとしては簪が此処まで出来た事に驚いているらしい。レーキュの作業ペースについて来れずに過労で潰れる人間は数知れず、ストラトス・デザイアでさえ、ウィキリピアやヒナタくらいしか付き合い切れない。

 

「さて、もう一仕事ありますが、其方はヒナタに委ねましょう。……流石に時間の目処は分かりませんが」

 

——あ、電脳空間フロアの。

 

 専用機持ちであれば電脳空間の仮想現実で機体データを反映させて仮想現実空間内で本物の様に実戦戦闘が出来る施設がある。

 ただ、今すぐには無理だろう。ウィキリピアの悪戯の所為で電脳空間フロアは元より仮想現実空間のデバックやエラー修正と言った緊急メンテナンス。他にも補填等の作業で忙殺されそれ所では無いだろう。少なく見積もっても緊急メンテナンスが終わらない限りそのインストールは出来ないと思われる。

 

「さてと、時間も時間ですが……宿泊施設の最終チェックイン時刻はとっくに過ぎてしまって居ますね。取り敢えず、開発フロアの仮眠室を使って下さい。事情は私の方から通しておきますので」

 

「あ、はい。ありがとうございます」

 

「いえ、此方こそ。技術者にとって良い刺激となりました。新たな閃きは何気ない行動に隠れているものですので」

 

 その後、レーキュの開発室近くの仮眠室に案内される。シャワー室も併設されており流石に着替えは無かったが、取り敢えずシャワーだけでも浴びてから仮眠室で一眠りするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◯

 

 

 

 

 

「何と言いますか、トラブルで折角のお楽しみが潰れちゃいましたね」

 

「でも、専用機の問題が解決したから……悪くなかったと思う……」

 

 翌朝、神楽は隔離フロアからチェックアウトし、簪は開発フロアの仮眠室から総合案内係の案内を経てメインエンドラスを経由し入って来た時の駐車場に行くと送迎の為のリムジンが既に待っていた。そのリムジンに乗り込み、今に至る。

 結果としては電脳空間フロアでのトラブルで時間が潰れてしまったが、一生に一度と言う訳では無いので其処まで気落ちする必要は無い。簪にとっては目下の懸念事項であった専用機の問題が解決しただけでも充分な数日であった事は間違いない。

 

「神楽の方は別れた後、何していたの?」

 

「はい、あの後は機械姦フロアでバキュームベッドの圧縮牢からのクリトリスや乳首にローター調教をしていましたわ。ボールギャグもして居ましたので床に涎が垂れて卑猥でしたわ」

 

——あ、最初に私がそれやって気絶したんだっけ……?

 

「その後は隔離フロアで予め予約して居たコースを堪能しましたわ。あ、コレがその時のマグショットですわ」

 

 神楽はそう言い簪の目の前に小型の空間投影ウィンドウを開く。其処には身体のラインが丸分かりの白と黒の囚人服カラーのボディースーツに身を包んだ神楽が手に手枷を着けて自分の名前が書かれたネームプレートを持った写真が写っていた。

 

——ボディスーツの囚人服……。良いなぁ……。

 

 ハイレグスーツとはまた違ったエロさがあり、露出が少ないのに卑猥さが際立つ。それが囚人と言う被虐感を唆るシチュエーションだと尚更。

 

「写真には写っては居ませんが、足枷が着けられて居ますわ。コレで名実共に囚人と言う訳ですわ」

 

 神楽は片目を閉じてそう微笑む。神楽は一足先に堪能していたらしい。やはり牢屋には拘束具そうだが、囚人らしい服装も外せないと言う事だろう。

 

「……次回は私もそうして貰おうかな」

 

「さて、被虐プレイは此処までにして……。話題を変えましょうか」

 

「あ、うん。クラス代表対抗トーナメントの事、だよね?」

 

 来週辺りに学年別クラス代表対抗トーナメントが行われる。そして来賓の人間が訪れる意味を2人は知っている。

 IS企業、政府の人間、スカウトマンにとっては外す事が出来ない重要なイベントである。IS学園の生徒にとっては第一次の面接でもあるからだ。クラス代表は勿論、観戦席に居る各生徒の現時点での成績、成果、行動を厳しくチェックされる。無論、データが全てでは無いが最初の印象で今後の進路が決まると言っても過言ではない。

 その事実を把握している生徒は何人居るか……ただ、大半の生徒は優勝したクラスに半年間のデザートフリーパスが進呈される事実にしか目が向いていないだろう。見学する方にも学べる事があると言う事を何人、理解しているだろうか?

 

 神楽は1組、クラス代表は織斑 一夏。

 簪は4組で、専用機持ちでクラス代表。

 

 対戦カードや勝ち上がり方によっては当たる可能性は充分あり得る。

 

「まぁ、機体の性能差が勝敗を分けるとは思えませんわ。搭乗者の技量次第の方が正当な判断ですわ」

 

 逆を言えば代表候補生として素人(・・)と言える男性操縦者に負ける訳には行かないのである。操縦技術があり尚且つ専用機が宛てが割れる程の人材ならば尚更。

 

 学園内での模擬戦ならば兎も角、クラス代表対抗トーナメントと言う外部からの来賓が招かれるイベントとなると一敗では済まされない。相手が同じ代表候補生クラスであれば、まだ許される。だが、素人の相手でそんな醜態を晒せば厳しい追及は免れず、最悪の場合代表候補生剥奪や専用機を没収される可能性もある。

 最も、簪の場合は代表候補生の肩書は失うが専用機に関しては元こそは倉持技研属であったが、専用機開発の無期限凍結を受けて完全に手放して今現在は『簪個人のモノ』である為に、公的に取り上げられる事は無い。

 いずれにせよ、誰1人として負けられない戦いになるのは言うまでもない。自分の将来の為、未来の為にも。

 

「……それまでに実戦訓練しないと」

 

——対価として稼働データを渡さないと行けないから、少しでも多く用意するに限る。

 

「私もお手伝いしますわ。数少ない同士でもありますからね」

 

「良いの?クラス別なのに」

 

「偶々、別のクラスになっただけですわ。同じクラスの人間を応援しようだのと言う同調圧力に興味はありません。敵でも好きな方は好きで構わないでしょう?逆に味方でも好きになれない方は現れるでしょう」

 

 『男性操縦者だから』、『クラス代表だから』と言う当てつけの理由は必要ない。自分の意見がその意見ならば構わないが合致しないのであれば無理してやる必要はない。

 

「否定はしない、かな」

 

 リムジンは無事にIS学園の校門前に到着し、校門前で神楽と簪は一旦、其処で別れたのであった。

 

 

 

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