※この作品はR-18です。

ストラトス・デザイア   作:夢現図書館

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災肆ユディケス Ⅲ

 

 

 

『全く……直ぐに暴力に走るのは良くないぞ?』

 

 機体の角の部分が見事に凹んでいるマシーン:甲は苦言を呈した。中々、良い音が響いたのだが本人は此処には居ないので大したダメージは無いだろう。

 

「貴方が余計な一言を言わなければこんな結果にならなかったのでは?」

 

『……やれやれ。で、言おうか気になっていたが、何時も一緒にいるリデア君は如何したのだね?』

 

「リデアですか? ……彼女は件の問題児達を見て貰って居ます。放置していると勝手に暴れ出しかねないので」

 

 リデアとは別行動中。勿論、IS学園の何処かにて襲撃役であるウィキリピア達を監視中。彼女達だけだと此方が支持する前に暴れ出しかねないからだ。

 そうこう話している内に学園の敷地内を抜けて向かう先は1学年のクラス代表が試合をする第1アリーナ。

 

 今回のクラス代表対抗トーナメントは学年毎に別々のアリーナで並行して行われる。1年生は第1アリーナ、2年生は第3アリーナ、3年生は第4アリーナで行われる。その為、スカウトマンは物色する人材のアリーナを選択する事になる。最も先行投資に強気な企業は其々のアリーナにスカウトマンを寄越す場合もあるのだが。

 その為、各国政府の要人達も目当ての生徒や代表候補生の成果を見定める目的で選ぶのだが今年は『男性操縦者』が居る為、大半が第1アリーナへと向かう事になる。

 第1アリーナのエントランスを通過してVIP観戦席へと入る。VIP来賓用の席だけあって非常に見栄えの良い場所であった。試合が行われる場所もそうだが、観客席もよく見える。

観客席全体をバリアシールドで覆われており試合中のISの流れ弾等の攻撃を防ぐ為に安全性は考慮されている設計である。

 

『さて、君は何処に座るのかね?』

 

「正直、成果云々に興味は無いので1番後ろで構いませんよ」

 

 観戦席は指定制では無く自由に座れる形式だ。最も、リーリスにとってトーナメントの内容には興味が無いので如何でも良い内容だった。

 

『はは、正直だね。君は』

 

 トーナメントの試合開始までまだ時間がある。その間、前方には今回のトーナメント表が大型の空間ウィンドウで表示されていた。第1回戦の対戦表は以下の通りとなって居た。

 

 1組 VS 3組。

 2組 VS 8組。

 7組 VS 5組。

 4組 VS 6組。

 

「おお、今回のトーナメントはこの様な組み合わせになりましたか」

 

「8クラス中、3クラスは専用機持ち。コレは目が離せませんね」

 

「無名のクラス代表の生徒もぜひ頑張って頂きたいですね……」

 

 勝った組が準決勝に駒を進め、最後は決勝となるスタンダードな形式である。だが、此処はIS学園。特に今回の1組はクラス代表を男性操縦者初戦で当たる3組のクラス代表は専用機持ちでも無ければ何らかの国家代表でも、企業代表のテストパイロットでも無い。無名の一般生徒である。……それでも1年以上ISの知識を有する為にそれでも負けられない戦いとなる。

 

「取り敢えず、IS学園側としてもクラス代表の実力程度のデータは収集したいでしょうから、茶番劇を起こすのは準決勝に突入してからにしましょうか」

 

——その位の配慮はするべきだろう。このイベント自体をぶっ壊すとは言え、IS学園としても生徒に成績を付けねばならないのだから、その機会を潰してしまうのは宜しく無い。最低でも成績を付けれる結果は欲しいだろうしな。

 

「ご来校の来賓の皆様方、ようこそいらっしゃいました‼︎」

 

 その時、VIPルームにその様な声が響き渡った。視線を向ければ其処にはIS学園の教員の1人である山田 真耶が来賓の視線を集めていた。勿論、IS学園の教員であると同時に成績不振や不要になった生徒をお得意様やその手の顧客に売却する販売者と言う側面を持っている。当然ながらこのVIPルームに滞在する各国要人やスカウトマンはその裏の顔を知っている。

 

「トーナメント開幕までお時間が御座いますのでその間に各生徒の現在のパーソナルデータをご覧下さいませ」

 

 真耶はそう言うと来賓達の目の前に空間投影型ウィンドウが展開される。其処には1学年の全生徒の顔写真と共に簡易的なプロフィールの一覧が表示される。

 生徒の顔写真をタップすれば詳細な情報。今日までの確定した各学科の筆記試験等の成績や実技等の個人情報。更に学年順位が表示される。

 最初はこの一覧から詳細情報を取得して選考を進めるのである。当然、この学年順位は生徒達には公開されておらず当人達は今、自分がどう言う成績情報かは知らない。

 尚、学年順位で上位40%未満の生徒はスカウトマンから採用選考から外され、最下位に近い生徒達は今月末で放学処分となり何処ぞえと売却される事となる。

 

「……割と真面目にパッとしないわね」

 

『茶番だと言いつつも確認は入れるのだね?』

 

「まぁ……。売れる商品の品定めくらいは」

 

『そう言う意味ではある種の選考だろうね……本人からすれば最悪だろうが』

 

——ま、この中で最下位争いをしている生徒を物色しているのは俺位だろうな。

 

 IS学園にとって『ストラトス・デザイア』はある種のお得意様。生徒が『商品』としての価値があると判断した場合、どんな成績上位者でも学園は秘密裏に成績不振、つまり放学処分として売り飛ばす方針を執るだろう。

 IS学園も予算が無ければ成り立たない。何せ、電気水道ガスと言ったライフラインは勿論。IS関連の備品は超高額の費用が当たり前。日本政府からの援助があるとは言え、予算を超過しかねない事態は往々にして起こり得る。

 予算の確保は常々、意識しなければならないのだ。

 

「余計なお世話ですよ、四十院の代表」

 

『フフッ、これ以上は言わないでおこうか。今度は腕一本じゃ済まなさそうだからね』

 

——では改めて、成績最下位争いの面々はと。

 各学科の授業について行けていない生徒がチラホラ。他にも実技の面でも成績が振るわない。

 

 成績がどれだけ悪かろう女尊男卑思考だろうが、『買う側』からすればそんなモノは如何だって良い。早い話が『見た目』が良ければ問題ないのだ。巨乳が喜ばれる場合もあるが世の中にはマニアも居る。ロリコン野郎も居るし、貧乳好きも居る。

 基本的に日本で売る場合、銀髪や金髪に高値を付ける者が多い。海外だと元日本人を高値で付ける傾向がある為、市場価値も考慮しなければならない。

 ……中には全く別の理由で『人材』を求める研究員も居るだろう。人権が無くなり人体実験の臨床試験を行いたいと言う化学の発展の為の尊い犠牲が。

 

「話が変わりますが酪農乳業界も生産量が伸び悩んでいるそうですね」

 

『む。ああ、一時ニュースで見たな……。何処ぞの女尊男卑思考に陥った愚か者が、とある牧場にて飼育している雄牛をISを使って虐殺して、其の儘牧場を焼き討ちにすると言う悲劇的な事件が……。動物虐待は目に余る行為だな』

 

——『雄の牛肉なんて口にしたくない』と言う動機らしい。意味が分からん。この前、大手SNSで大々的に発信して拡散していたな。アレで炎上しないのが不思議でならないな。……トドメに野放しと言う警察の呆れた対応。こんなんでこの国は大丈夫かよ。

 

『つまり、現段階の需要は搾乳に足る巨乳の商品と言う訳かね?』

 

「そんな所ですね。牛だって女尊男卑の影響で個体数を減らされちゃ堪らないでしょう」

 

——減ってしまった分は、頭数が揃うまで使い道の無い元IS学園生徒で補って貰うとしようか。タダでさえこの国は食糧自給率が低いんだから、女尊男卑思考でこの国は立ち行かなくなる前に歯止めを掛けねばならんだろ。

 

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