※この作品はR-18です。

ストラトス・デザイア   作:夢現図書館

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栄光の末路

 

 

 簪と神楽の2人は合流した後、来賓達の避難誘導の為にVIP席へと直行した。扉を破壊して政府高官や各IS企業の重役やスカウトマンの面々をIS学園から避難される為に移動を開始した。

 

——……何と言うか、この状況で各国政府の要人達の護衛誘導は……緊張する……‼︎

 

 何せ護衛対象は1人や2人では無い。誰か1人でも怪我をさせれば代表候補生の資格剥奪は愚か向こう10年は陽の光を見る事は無いかも知れない。……SM的な監禁ならば歓迎は出来るが、普通に拘禁の類は退屈極まりないので遠慮したい所である。

 

 専用機持ちで代表候補生である簪と神楽を先頭にその後ろを『ストラトス・デザイア』の代表であるリーリスと四十院グループの会長だと名乗る缶みたいなロボット(恐らく遠隔通信搭載で本人は何処かで映像越しで見ているのだろう)、その後ろをその他の要人達が続いている。

 

「さて、お兄様」

 

 社会的地位が高い面々ばかりの避難移動で警戒しながら隣を歩く簪が精神的苦痛に苛まれている最中、神楽は全くの何時もの調子で自身の兄である四十院グループの会長に声を掛ける。

 

『ふむ、何かね?我が妹よ』

 

「今回の襲撃……お兄様が発端ですわね?」

 

『何故そう思うのかね?』

 

 其処で神楽は簪に語った現状の推理を聞かせた。昨年度の卒業生の出来の悪さからの解雇率、そして今年初めて四十院グループの会長がIS学園のイベントに参加した事。そして襲撃者がストラトス・デザイアの戦闘員である事を突き付けた。

 

「四十院の大将。此処まで言い当てられたのならば、認めても良いのでは? ほぼほぼ正解でしょう?」

 

 其処でリーリスが神楽は正解を言い当てたと告げる。どうやら神楽の推理は的を射ていた様である。

 

『ふむ、流石は我が妹だ。君の推理はほぼ正解だ。今回の襲撃事件は各国政府包みで行われた将来の採用試験の様なものだ。何でも前回採用したIS学園からの新卒者が軒並み使い物にならないと泣きつかれてね……』

 

「やはり……。随分と派手にやりましたわね」

 

 四十院グループの会長が神楽の推理が正解だと認めた。盛大かつかなり無茶苦茶な茶番劇だったと。その過程でIS学園は無視出来ない程の損害を被っている。

 

『まぁ、その件はリーリス君に言いたまえ』

 

「スケープゴートされる方の身にもなって頂きたいものね。ま、暴力を振るいたいなら振るわれる覚悟が無ければ話にならないわ」

 

——……確かにISは兵器と言う側面があり、……場合によっては戦争の道具とも言える……。決して飾り道具じゃない……。

 

 代表候補生だの国家代表だの、肩書きは良いが……それは有事の際には戦争に駆り出される可能性がある事を何人知っているか。

 

『さてさて、ネタバラシもした事だが……君達の役目をしっかり果たしたまえ』

 

「ええ、不在証明の成立に利用させて頂きますわ」

 

——うわぁ、神楽。凄い悪どい笑みをしてる……。

 

「……やれやれ、四十院の令嬢さんは随分と強かね。ま、お互い利用し合いましょうか」

 

——リーリスさんも悪どい。

 

 アリーナ内の通路を通り第1アリーナの出入り口の1つである北側のエントランスへと到達する。此処からは来賓用の駐車場までは4、5kmはある。

 

「……………。止まりなさい」

 

 エントランスに到達した時、リーリスがそう告げた。腕を組み、目を細めてエントランスのガラスの扉へ視線を向けている。何事かと、後続する要人達は騒ついている。

 

「Ms.セレスティェリア。何事かね?」

 

「待ち伏せされています」

 

 すぐ後ろで歩いていた政府高官の1人が何事かと訊ねる。その問いにリーリスは間髪入れずに答えた。

 

——待ち伏せ……?

 

「へぇ……」

 

 簪が正面へと向き直る。ガラス張りで仕切られた正面入り口。視界には少なくとも誰か人影が居る様には見えない。

 

「……どうやら私達が敷いた茶番劇とは別に、その他の第三勢力、まぁテロリストの類と定義しておきましょうか。その面々も今回のクラス代表対抗トーナメントに乗じて襲撃を掛けようと企んでいたみたいですね」

 

「何故、分かるのかね?」

 

「正面、遠くに見える校舎の屋根の上。その上でマークスマンが此方に銃口を向けています。……誰を狙っているのかまでは把握しかねますが、此処に居るのは恨みを持たれても可笑しくない方ばかりですからね」

 

——此処から、見えるの⁉︎

 

 ノコノコとアリーナのエントラスから出てきた所を狙い撃つ算段だろう。

 

『危機察知能力は相変わらず見事だね。リーリス君』

 

「それは、どうも。さて、立ち往生しても仕方ありませんね……」

 

 冷やかしに対してリーリスは嘆息して視線を周囲に向けたその時、壁や柱の陰、更にはエントランスの上階から多数の人影が現れる。

 

——えっ……いつの間に⁉︎

 

「マークスマンが居るなら、斥候の類は居て然るべきなのですから」

 

 一様に現れたのは黒色のハイレグスーツに同色のサイハイブーツ、ロンググローブ。顔にはバイザーを装着して表情は窺えず、その手にはアサルトライフルが握られており、その銃口を此方へ向けている。その姿は誰がどう見ても戦闘員だと納得させられる。だが、体付きから自分達と大差ない年齢の少女達だと思われる。

 

「「「…………」」」

 

 戦闘員の少女達は無言で銃口を……主にリーリスへと向けている。第三勢力の狙いはリーリスなのだろうか?

 その光景を認めたリーリスは徐に口元を歪めた、その刹那。

 

「「「ッ⁉︎」」」

 

——えっ……あ、アサルトライフルが壊れた(・・・)⁉︎

 

 小気味良い音を立てて、戦闘員達が構えていたアサルトライフルが一斉に自壊した。その現象に戦闘員達は愚か、簪や後ろに居る要人達が驚いた。

 

「やれやれ……最近のテロリスト下っ端連中は質が悪いわね。こう言う時は即射殺でしょう?」

 

 動揺、困惑が広がる中、リーリスは1人そう宣った瞬間、自分達を包囲していた戦闘員達が正面から見えない壁に衝突させられたかの如く吹き飛ばされ壁や柱に叩き付けられ昏倒させられた。

 

——この人……。

 

 簪はリーリスが『ストラトス・デザイア』の代表である事を知っている。そして職員全員がISを持っているようなもの。レーキュの持つISも理解し難い内容であったが……。目の前のリーリスは口だけで戦闘員達を蹴散らした。一体、如何したらそう言う現象を起こせるのか……。

 

「皆さん、呆けている暇はありませんよ。如何やら実力行使に来た様ですから、さっさと脱出してしまいましょう」

 

 困惑する面々に対してリーリスはそう告げると皆が我に返り、その中でリーリスは悠々と正面のガラス張りの扉へと向かう。

 

「あ、あの、さっきマークスマンが居るって……」

 

「心配要らないわ。誰が狙いか分からなかったけど、連中の狙いが私ならば御せる」

 

「簪さん、このお方は頭が可笑しいので理解するだけ時間の無駄ですわ……」

 

 額に手を当てて神楽はさらっと酷い事を言う。その事に対してリーリスは特に反論はしなかった。

 

 

 

 

 

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