日中の授業過程が恙無く過ぎ去って放課後を迎えて太陽が落ちて夜が訪れての午後9時。この時間帯では基本的に寮棟の門限はとっくに過ぎて居る。そして寮棟の管理者はあの織斑千冬だ。見つかればどんな折檻が飛んで来るか分かったモノでは無い。
『午後9時と言う事は寮棟の門限はとっくに過ぎていますわ。校舎当直の教師に見つからないようにお気をつけを』
照明が落とされた校舎。都会から離れた沖合に浮かぶIS学園島。夜空に浮かぶ星明かりと月の光だけが照らす夜の学園。
簪は専用機の整備と言う名目で高頻度で整備室に入り浸りだった事実を元に寮棟を出ていた。最も、毎回教師に説明するのも面倒なので神楽の言う通り教師に見つからない事に越した事は無かった。
「……さながら、敵拠点に潜入するヒロインみたい」
——アニメやマンガでも戦力差や隠密性が求められる時に敵の主要拠点に潜入するシーン……。場合によっては見つかるパターンもある。
大体、そう言う創作モノでは主人公側が少数精鋭で悪役側が組織然とした構図になりやすい。つまり、数の優位性を精神論で覆す展開が多いのだが実際にやろうとすると、相当な実力差が無ければ成立しない。
——数の暴力で追い込まれて捕まって、拘束調教ってのがお決まりの流れ……。神楽、こう言うシチュエーションがしたかったの……?
取り敢えず真相は神楽に直接聞けば良いとの事で、神楽に指示された場所へ向かう為に校舎の中を音を殺しながら進む。
「……」
先日のクラス代表対抗トーナメントにおいて生徒は兎も角、教員。主に有事の際に駆り出される戦闘教員の死者の方が多かった。
その補充としてIS学園は人手不足を解決する為に新任の教員を募集しているが、今はまだ選考の途中故に現在のIS学園には教師の絶対数が少なくなっている。そう言う事情も重なってか特に見つかりそうな展開にはならず、悠々と校舎の奥へと進む。
「この先……」
校舎の奥まった位置。普通の学園生活ならば立ち入る事がほぼ無い場所の扉の前に到達した。神楽の指示した場所はこの扉を抜けた先であった。
「…………」
扉を開けると地下へと続く階段が視界の先に広がっていた。IS学園の案内図には地下の図面は無かった。つまりこの先は生徒達は知らない区画、と言う事になる。神楽は何処でその事実を知ったのかと気になる思惑を一旦、頭の片隅に追いやりその階段を降りていくと、この階段の踊り場付近にて神楽が待っていた。
「お待ちしていましたわ、簪さん。教員の方に見つからずに来れましたわね」
「専用機の件でよく整備室に居るから、だから抜け出すのは簡単……。そして其の儘、整備室で一夜明ける事もあるから……」
「ああ、そう言う事情もありましたわね。さて、時間も勿体ありませんので早速向かいましょうか」
神楽は合点が言った体を示す。そして、時間が惜しいとの事で踵を返して踊り場先の扉のドアノブに手を掛ける。地上階は大半が自動ドアばかりだと言うのに此処の扉はアナログ形式の扉のようであった。その手には鍵束が握られていた。
「……神楽、その鍵。何処で?」
「職員室から失敬ですわ。こんな素敵な場所を使わずに放置だなんて、勿体無いとは思いません? おや、この鍵ではありませんね。では、此方……」
——神楽、お嬢様なのにやっている事が中々、大胆だ。
神楽の行動は普通に窃盗モノである。自分の私欲の為に平然とやっていた。
「勿論、ちゃんと返却するのでご安心を。一層の事、コピーしてしまうのもアリですわね。其方の方が逐一返却する手間も省けますね」
——良いのかな、色々と。
「それで、神楽。この先って」
そのタイミングで鍵が合致し、扉が開いた。その答えは扉が開かれた先に広がっていた。灰色配色の空間に見える一本道の廊下。複数の重厚そうな扉が並んでおり物々しい空気が肌の感触として伝わって来る。
「此処は懲罰房棟ですわ」
——懲罰房……‼︎ 独房の一種で、主に粗相をした者が入れられる牢屋。IS学園にあるなんて……。
『ストラトス・デザイア』にも監獄同然の宿泊施設がある。其方は鉄格子越しに外から丸見えだったが、IS学園の懲罰房棟は扉にある小さな格子からでしか中が見えないタイプの独房のようである。
その言葉の響きを聞いて簪は少し濡れる感触を感じた。学校行事を終えて報告作業を終えた後でご無沙汰で発散する暇が無かったが故の反動だった。
「クスクス、どうやら期待に膣内が疼いて仕方ないご様子ですわね」
「ッ‼︎」
簪が疼いている様子を見て神楽が笑みながら簪の制服のスカートの中に指を滑らせた。久方振りの自分以外からの刺激に、ビクリと肩を震わせた。
「ふふ、この場所を見つけてから、諸々の設定を考えて来ましたわ。……簡単に言えば今日から簪さんには、夜中は懲罰房で過ごして頂こうかと……」
——それはつまり、普段から囚人として監禁されるって事? 学園でも……夜は囚人として囚われの身になれる……‼︎
その言葉に簪は内心、酷く興奮した。『ストラトス・デザイア』を利用する時でしか、牢獄で寝泊まり出来ない。仮に懲罰房の存在を知ったとしても、鍵は外部からでしか掛けれない。自分1人でやろうとした場合、鍵を持って牢屋に入る事になる為、気分的に不完全だろう。
だが、今は神楽と言う自分と同じ性癖思考を持つ協力……いや、共犯者が居る。
「良いの?」
「ええ、偶には私もSの気分を味わってみようかと思いましてね……。あ、勿論、私も懲罰房に囚われて辱めを受けたいと思っているのですが……簪さんは性格上、S向きでは無さそうですので」
「ご、ごめん……」
反射的に謝った。神楽もドMの思考回路だ。
「いえいえ、私は『ストラトス・デザイア』で堪能していますわ。如何でしょう?」
「うん、……やろう……‼︎」
神楽の甘美な誘いに簪は躊躇わずに快諾した。休日は『ストラトス・デザイア』で、平日はIS学園の懲罰房で被虐を受ける。現状を考えるならば最高の時間と言えるだろう。乗らない手は無い。
「ふふふ、そう言ってくれると分かっていましたわ。さて、先も言った通りやるからには極力雰囲気を出してやりましょう。故に諸々の設定を考えて来ましたわ」
神楽は簪を懲罰房に監禁する為の設定を考えて来た様である。
「うん、任せて良い?」
折角、考えて来てくれたのならば乗っかるべきだ。それに今から考えるのは時間が勿体無い。
「分かりましたわ。では、先ずは其方の管理人室にて私が考えて来た設定の説明をしましょう」
階段側からの1番近くの小部屋は懲罰房棟諸々の管理をする為の事務所兼管理人室であった。『ストラトス・デザイア』の各フロアの健康診断を行う為の部屋に近いか。
「基本設定として懲罰房ですから簪さんには収監される罪状を用意しましたわ」
管理人室にある事務机近くの椅子を持って来てお互い座る。懲罰房に収監される以上、罪状があった方が確かに雰囲気が出る。
「どんな内容?」
「ぶっちゃけ罪状は其処まで重要ではないので適当にしましたわ。準決勝不戦敗罪、四十院家当主に対する不敬罪、と言ったところでしょうか?」
神楽は冗談混じりにそんは突飛な罪状を提示した。確かに適当と言われても可笑しくない内容だろう。最も、罪状の中身はどうでも良い。
「それはさておき、早速『役』に入りましょうか。簪さん、準決勝不戦敗罪、四十院家当主に対する不敬罪。異論はありませんか?」
神楽は収監させる側、つまり『看守』役になり切って質問した。収監される側、つまり簪は『囚人』となる。
「いいえ、ありません」
神楽が乗り気でやっている事は目を見れば分かる。ならば自分も囚人として振る舞うべきだろう。
「では、貴方は今からIS学園生徒である前に懲罰房に収監される罪人であり囚人です。ですので、IS学園生徒の制服ではなく囚人の制服に着替えて貰いますわ」
——囚人服……‼︎
神楽は手を合わせてそう通告して、手元に小型の空間投影ウィンドウを展開した後、事務机に1つの木箱が顕現した。神楽の専用機の拡張領域に入れてあった物を取り出したのだろう。こう言う時、拡張領域は本当に便利である。
木箱の蓋を開ければラップ包にされた白と黒の囚人服カラーのラバー製のボディスーツ。体のラインが丸わかりで股間部に排泄用のチャックがついているだけであり、ハイレグスーツとはまた違ったエロさがある。それが囚人を彷彿させる色合いだと尚更。
「サイズは合わせてありますわ。さぁ、制服を脱いで、囚人服に着替えなさい」
神楽からの命令口調に簪は興奮を隠しながら自身が着ているIS学園の制服に手を掛けていき、脱いで行く。だが、途中で脱ぐ行為が止まった。制服の上着もスカートも脱いだ、残るのは下着の部分のみ。
「何をしているのですか? 当然下着もです。囚人である貴方に拒否権はありません」
簪はそう言う叱責が欲しくてわざと下着を脱ぐのを躊躇った。強い語句を浴びて簪はブラジャーと下着を取っ払い、産まれた姿のまま……裸となった。
アンケートでは20文字と言う制限がある為に、此方で補足。
1学年合同紅白戦
・クラス単位で奇数組、偶数組に分かれてのMOBA形式での模擬戦。
臨島学校
・文字通り南の島での訓練(愉悦)。
次回のイベントは?(タッグマッチの代わりに)
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1学年合同紅白戦
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臨島学校